事前確定届出給与|仙台市の税理士・ひなた会計事務所

2009.7.3

(1)事前確定届出給与とは

 事前確定届出給与とは、役員報酬や役員賞与について、役員ごとの支給日と支給額を、あらかじめ税務署長に届け出て支給する役員給与をいいます。事前に届け出たとおりに、支給した場合に、会社の経費として認められることになります。

 毎月定額の役員報酬のみを支給する場合には、定期同額給与と言って、届出をしなくても、経費になります。

 役員賞与を支給して、経費にしたい場合には、事前確定届出給与に関する届出を行う必要があります。

(2)届出期限

 事前確定届出給与についての届出は、原則として、定時株主総会の日から1ヶ月以内に提出しなければなりません。提出までの間に、給料日が到来しても、1ヶ月後になります。

 なお、設立1期目の会社の場合には、設立後2ヶ月以内が、提出期限となります。

(3)支給額の変更をした場合

 事前確定届出給与は、原則として、次の定時株主総会まで、変更できません。ただし、次のような場合には、特別に変更が認められており、1ヶ月以内に、改定の届出をする必要があります。

・専務が社長に昇格した場合のように、役員の退任等により、取締役の役職が変更になった場合

・役員が入院したため、入院期間中の役員報酬を変更した場合

・業績の悪化により、役員報酬の減額をしないと、経営危機に陥る場合

・その他

(M.H)

※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

連鎖倒産防止のための経営セーフティ共済|仙台市の税理士・ひなた会計事務所

2009.6.20

(1)経営セーフティ共済とは

 取引先業者の倒産により、売掛金等の回収ができなくなった場合に、セーフティ共済に加入していると、無担保、無保証、無利子で、融資を受けることができます。

 経営セーフティ共済は、正式名称を「中小企業倒産防止共済制度」といい、独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営しています。

 申し込みは、最寄りの金融機関や商工会議所、商工会等で行います。

(2)掛金

 共済の掛金は、毎月納付となり、金額は、月額5,000円から80,000円までの範囲内であれば、5,000円単位で、自由に設定することができます。また、加入後の増減も、原則として可能です。

 毎月の掛金は、会社の経費となります。

(3)融資金額

 融資金額は、回収不能となった売掛金等の金額になります。ただし、それまでの掛金総額の10倍が限度となります。また、掛金の合計は、320万円が限度となりますので、最大でも3,200万円が融資を受けられる金額になります。

 融資を受ける際には、融資額の10%が、控除されることになっています。無利子とは言っていますが、ここで、利息相当分が引かれてしまうことになります。

 融資後は、5年間毎月均等額を、返済することになります。利息の追加はありませんから、借入額の60分の1ずつ返済します。

(M.H)

※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

未成工事支出金と仕掛品|仙台市の税理士・ひなた会計事務所

2009.6.5

(1)製造業・建設業等の売上計上時期

 製造業や建設業等は、請負金額が10億円以下であれば、原則として、その請け負った成果物が完成して、相手に引き渡しをした時点で、売上を計上することになります。

 手付金や中間金を受け取っていても、引き渡しの時点まで、売上計上する必要はなく、引き渡し時に、一括で売上を計上します。

(2)売上原価の算出

 売上が未計上の場合には、それに対応する原価も、経費計上することはできません。原価とは、材料費、外注費、人件費その他の経費をいいます。

 売上が引き渡しまで一切計上されないのですから、それに対応する原価は、引き渡し時に経費に算入します。たとえ、決算までに支払い済みであったり、請求書が届いていたりしても、経費計上はできません。

 これがけっこう大変なのですが、人件費の場合は、その成果物にかかった労働時間等をきちんと把握して、未完成部分にかかった人件費を算出しておく必要があります。

(3)経理処理と消費税

 消費税は、引き渡した時点で、売上に対する消費税を納税することになります。しかし、原価分の消費税については、引き渡した時点ではなくて、支払いが確定した年の消費税として、納付税額から控除するという、ちょっとややこしい計算が必要になります。

 経理処理としては、次のようにしておくと、利益計算も消費税の計算もスムーズにいくと思います。

 売上は、引き渡し時点に全額売上計上ですから、手付けや中間金を受け取った時点では、前受金としておきます。そして、引き渡し時点で、入金額又は請求額を売上に計上し、前受金を売上に振り替えるようにします。

 原価は、支払時又は請求時に、完成、未完成にかかわらず、一旦全額を経費に計上します。会計ソフトであれば、消費税は、課税仕入れとしておきます。

 決算時に未完成部分の原価を算出します。算出した原価を、期末棚卸額として、経費から除外する経理処理を行います。製造業の場合、仕訳にすると、次のようになります。

(借方) 仕掛品 ×× (貸方) 期末仕掛品 ××

 これが翌期には、期首棚卸として、次の仕訳をすることになります。

(借方) 期首仕掛品 ×× (貸方) 仕掛品 ××

 会計ソフトの場合、消費税は、対象外(不課税)にしておきます。

 ちょっとややこしいですが、税務調査では、必ずチェックされるところですので、きちんと計算するようにしましょうね。

(M.H)

※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

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領収証等の保存期間|仙台市の税理士・ひなた会計事務所

2009.5.20

(1)保存期間

 会社の総勘定元帳等の帳簿や、領収証等の証ひょう書類は、原則として、7年間の保存が義務づけられています。7年間というのは、その決算期の申告期限から7年間となります。領収証の日付ではなく、決算期単位で7年間ということになります。

 例えば、21年3月期であれば、平成21年5月31日が申告期限になりますので、平成28年5月31日まで保存しなければなりません。平成20年4月1日から平成21 年3月31日までの全ての領収証等が保存対象になります。

 この期間を過ぎれば、領収証等は、廃棄処分していいことになります。
 

(2)対象になる帳簿書類等

 対象になる帳簿書類等は、一例として、次のようなものになります。あくまでも一例であり、税金の申告に関係するものは、全て保存する必要があります。

・帳簿
 総勘定元帳、仕訳帳、現金出納帳、預金出納帳、手形記入帳、売掛金元帳、買掛金元帳、固定資産台帳、売上帳、仕入帳など

・決算書関係
 貸借対照表、損益計算書、棚卸表など

・書類
 領収証、請求書、注文書、注文請書、契約書、見積書、納品書、送り状、小切手帳、手形帳の耳、預金通帳など

 

(3)電子データによる保存

 業歴が長くなったり、企業規模が大きくなってくると、保存する書類の量も膨大なものとなり、その保存コストが負担となってきます。その対策として、帳簿書類を電子データやスキャナで読み込んで保存することも認められています。

 電子データ保存やスキャナ保存をする場合には、データ保存を開始する3ヶ月前までに、システムの概要を記載した申請書を税務署に提出し、承認を受ける必要があります。

 なお、追加、訂正、削除の履歴管理、タイムスタンプによる改ざん防止、発行日から1週間以内のスキャナ保存など、実際の運用には、かなり高いハードルが設定されています。
 

(4)個人事業者の保存期間

 個人事業者の場合も、保存期間は原則として7年間となっています。申告期限から7年間ですので、平成21年分の帳簿書類は、平成29年3月15日まで保存 することになります。

 なお、領収証、請求書、注文書、注文請書、契約書、見積書、納品書、送り状等の書類は、保存期間は5年間で良いことになっています。

 どうしても保管場所が厳しい場合は仕方ありませんが、必要な書類まで廃棄してしまわないよう、可能であれば、全て7年間保存しておいたほうがいいでしょうね。

(M.H)

※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

外貨取引の評価方法|仙台市の税理士・ひなた会計事務所

2009.5.7

(1)帳簿への表示

 最近では、海外企業との取引を行う会社が増えていますが、外貨での取引を行った場合、会社の帳簿や決算書は、全て日本円で表示することになります。

 この際に問題となるのは、日本円に換算(評価)する為替レートです。

 

(2)評価方法

 計算書等に為替レートが記載されていますので、このレートを使って円換算します。

 為替レートが表示されていない場合には、原則、その日の取引銀行での電信売買相場の仲値(以下、TTM)を使います。このTTMは、銀行毎に、毎日独自に決定しているレートで、銀行のHP上に過去のレートも含めて公開されていますので、評価の際に参考にしてください。

 

(3)決算時の短期外貨建債権債務等

 決算時には、外貨建普通預金や、短期(期間1年以内)の外貨建定期預金及び外貨建取引についてのみ、通常、次の計算式で為替差損益を計上し、期末日のレートで評価した残高を表示する必要があります。

 {期末残高(外貨)×期末日TTM}−期末残高(円)=為替差益※
 ※マイナスの場合、為替差損
 期末残高(円)+為替差損(益)=期末評価後残高

 

(4)評価方法の選択

 評価方法については、外国通貨及び売買目的有価証券を除き、取引日のレートを使う方法と、期末日のレートを使って為替差損益を計上する方法のいずれかを選択することができます。

 選択する場合は、変更する決算期の前日までに、所轄の税務署へ届出することになりますが、届出の有無にかかわらず、一度採用した評価方法については3年間は原則として変更ができませんので、注意してください。

 

(5)為替相場に著しい変動があった場合

 為替相場に著しい変動があった場合には、期間中の取引全てを、期末時の レートを使って評価し直すことができます。「著しい変動」とは、以下の算式によって計算された変動率が、おおむね15%以上となった場合が該当します。

(期末評価後残高−期末評価前残高)÷期末評価後残高×100=変動率(%)

 特に昨年の夏以降、為替相場の変動が大きくなっていますので、多額の輸出取引がある場合には、この制度を使うかどうかで、会社の利益に大きな影響がでるかもしれませんね。

(H.S)

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欠損金の繰戻還付の復活|仙台市の税理士・ひなた会計事務所

2009.4.20 

(1)欠損金の繰戻還付

 前期が黒字で法人税の納付をしていて、今期は、赤字になったとします。今期の赤字を、前期の黒字と相殺して、前期に納税した法人税の還付を受ける制度が、欠損金の繰戻還付です。

 青色申告書を提出している資本金1億円以下の中小法人等であれば、全てこの制度を適用することができます。

 例えば、前期に500万円の黒字で、税率22%とすると、法人税110万円を納税します。当期に200万円の赤字となった場合には、前期に納税した法人税110万円のうち、200万円に相当する法人税44万円の還付を受けることになります。算式にすると、次の通りです。

 還付金額=前期法人税額×当期の赤字額÷前期の黒字額
     =110万円×200万円÷500万円=44万円

 この制度は、法人税のみの制度で、法人事業税等の地方税へは、適用されません。法人地方税は、赤字を翌期以降7年間の黒字と相殺できる、欠損金の繰越控除のみとなります。

 

(2)適用開始時期

 全ての中小法人等が欠損金の繰戻還付ができるようになるのは、平成21年2月期の決算期からとなります。それ以前でも、設立5年以内などの条件に合えば、欠損金の繰戻還付を受けることができます。

 3月決算法人であれば、平成20年3月期が黒字で、平成21年3月期が赤字であれば、21年3月期の申告時に、法人税の還付手続を取ることになります。

 9月決算や12月決算のように、還付を受けられる決算までにまだ間がある場合には、決算期の変更も検討してください。今期は赤字になることが確実で、前期黒字で納税していれば、決算を前倒しにすることによって、法人税の還付を早く受けることが可能になります。

 

(3)還付を受けるための手続

 欠損金の繰戻還付を受けるためには、通常の確定申告の他に、「欠損金の繰戻しによる還付請求書」を一緒に提出することになります。

 別表1(1)では、右上の「欠損金の繰戻しによる還付請求税額」欄の枠外、「外」書きの部分に、還付法人税額を記載します。

 また、別表7(1)には、当期分の青色欠損金の「欠損金の繰戻し額」欄に、当期の欠損金の金額を記載します。当期の欠損金が、前期の黒字を上回る場合には、差額は、7年間の繰越欠損金の対象となります。

 中小法人等の税率が、22%から18%に下がることを考えると、欠損金の繰戻還付を受けた方が、一般的には有利になります。

 

(4)税務調査の対象に

 欠損金の繰戻還付の請求をした場合には、法律上、税務調査を行うことになっています。しばらく税務調査を受けていない場合には、還付請求をきっかけに、税務調査となるかもしれません。

 なお当事務所でも、設立5年以内の会社で、何度か欠損金の繰戻還付の請求を行ったことがあります。請求額が多額でないためか、せいぜい確認の電話が入る程度の調査だけでした。欠損金の繰戻還付だけで、本格的な税務調査になる可能性は低いと思われます。

(M.H)

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共有持分を追加取得した場合の住宅ローン控除|仙台市の税理士・ひなた会計事務所

2009.3.5

(1)国税庁の取り扱い変更

 平成21年2月27日に、国税庁は、「居住用家屋の共有持分を追加取得した場合の住宅借入金等特別控除の取扱いについて」を公表し、これまでの取り扱いを変更しました。

 例えば、夫婦共有の住宅について、離婚による財産分与により、相手の持分を取得することがあります。この場合、住宅ローン控除は、離婚前から所有していた持分のみか、財産分与によって追加取得した持分のみの、どちらかしか、住宅ローン控除の適用を受けることができませんでした。

 今回、国税不服審判所の裁決があり、離婚前からの持分と追加取得した持分の、両方を合わせて住宅ローン控除の適用ができる取り扱いに、変更されました。

 このように、裁判所の判決や国税不服審判所の裁決により、これまでの取り扱いと全く逆の取り扱いに、急に変更することが、たまに起こります。

 

(2)確定申告書を提出している人の還付請求の期限

 追加取得した持分について、住宅ローン控除を受けなかった年分の確定申告書を提出している場合には、更正の請求をすることによって、還付を受けることができます。

 更正の請求は、この取り扱いの変更を知った日の翌日から2ヶ月以内となっています。還付できそうだと思ったら、すぐに手続きにかかったほうがいいですね。

 また、法律により、法定申告期限から5年を経過した年分については、還付を受けることはできませんので、平成15年分については、平成21年3月16日が、更正の請求と期限となります。あと10日ほどしかありませんので、該当する人は、急いで提出するようにしましょう。

 

(3)年末調整のみの場合の還付請求の期限

 サラリーマンのため年末調整のみので、確定申告をしていない場合には、新たに確定申告書を提出することにより、還付を受けることができます。

 還付を受けたい年分の翌年から5年間が、還付申告ができる期間となります。平成16年分の場合は、平成21年12月31日が期限となります。平成15年分については、既に期限が過ぎていますので、還付を受けることはできないことになります。

 共有持分の追加取得をして、全体での住宅ローン控除を適用していなくて、さらに、その年の納税額がある場合には、還付される可能性が高いので、税理士又は税務署に相談してみましょう。

(M.H)

※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

親族へ支払う経費の取り扱い|仙台市の税理士・ひなた会計事務所

2009.2.5

(1)親族へ給料や家賃等を支払った場合

個人事業者が、同一生計の親族へ、給料、家賃、借入金の利子等の経費を支払った場合には、原則として、所得税を計算する際の必要経費にはなりません。

必要経費の対象外となるのは、同一生計の親族の場合です。嫁に行った娘等、生計が別になっている場合には、支払った経費が適正額の範囲内であれば、必要経費として認められることになります。

身内だからといって、他の従業員よりも高額な給料を支払っていたりすると、給料が高いことの合理的な説明ができないと、必要経費として認められないことになります。

また、一緒に生活をしていなくても、仕送りをしているような場合には、同一生計とみなされて、必要経費の対象外となることもあります。


(2)親族が負担した必要経費

事業で使用している土地建物の名義が、同一生計の親族の場合に、その親族に家賃を支払っても、(1)の規定から必要経費にはなりません。

土地建物の固定資産税は、名義人である親族宛てに来ます。その固定資産税を親族が負担して支払ったとしても、所得税を計算する際には、土地建物を事業に使用している個人事業者の必要経費とすることができます。

このように親族が事業に無償で提供している場合に、それに付随する必要経費を負担した場合には、事業に使用している個人事業者の必要経費に加えることができます。今まで計上もれがなかったか、確認してみるといいですね。


(3)青色事業専従者給与

青色申告の場合には、特典として、親族へ支払った給与も、必要経費に算入することができます。

この特典を利用するには、事前に、給与支払額を税務署に届けておく必要があります。その年の3月15日までに届出をすれば、その年の1月分給料から、必要経費に参入することが可能です。

ただ、身内だからといって、資金繰りによって、給料を払ったり払わなかったりということのないようにしてくださいね。必要経費になるのは、実際に払った分だけになります。いくら届出をしていても、支払いの事実が確認できなければ、必要経費にはなりません。

預金口座間で振り込み等によって資金移動しておくのが、間違いのない方法です。現金払いの場合には、きちんと現金出納帳に記帳しておきましょう。

また、親族への給料でも、源泉徴収の義務がありますので、給料支払時には、源泉所得税を天引きして、税務署への納税も行うことになりますし、年末調整も必要になります。

なお、白色申告の場合には、事業専従者が配偶者であれば86万円、配偶者以外であれば、一人につき50万円の、専従者控除を受けることができます。

(M.H)

※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

他人名義の生命保険料控除|仙台市の税理士・ひなた会計事務所

2009.1.5

(1)生命保険料控除

生命保険料を支払った場合には、支払った金額に応じて一定の金額を、所得税を計算する際に控除することができます。

生命保険料控除は、一般の生命保険料と個人年金保険料の2種類に分かれており、それぞれ最高5万円まで、合わせて10万円の所得控除を受けることができます。


(2)別の契約者の保険料を負担した場合

一般的には、生命保険の契約者が、保険料を支払うことになります。しかし、契約者でない者が、保険料を負担する場合もあります。

例えば、契約者が妻の生命保険の保険料を、夫が負担して支払ったとします。生命保険料控除は、保険料を負担した者が受けることが原則です。証明書や証券を見れば、契約者は妻ですから、普通に考えれば、妻が保険料を負担していると判断されます。

これを夫が、年末調整や確定申告の際に、自分が負担しているとして申告をすれば、夫の所得から生命保険料控除を受けることが可能になります。

夫婦に限らず、親子や祖父母が孫の保険料を負担している場合などにも、契約者以外の控除が可能です。実際に保険料を負担している者が、契約者とは別人であることが明らかであれば、控除を受けられますので、まだ、控除額に余裕がある場合には、契約者と実際の負担者を、見直してみましょう。


(3)贈与税の対象になる場合

死亡保険金や満期保険金を受け取った場合に、契約者と受取人が異なる場合には、贈与税の対象になります。贈与税の税率は、かなり高く設定されていて、保険金が1,000万円ですと、約230万円の税金となります。また、契約者と受取人が同じでも、相続税や所得税の対象となるものもあります。

後日思わぬ税金がかかり、予定通りの財産形成ができなくなってしまう可能性がありますので、名義を安易に決めて契約しないように、注意しましょう。

(M.H)

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準確定申告|仙台市の税理士・ひなた会計事務所

2008.1120

(1)準確定申告とは

収入がある方が亡くなった場合、その年の生前発生していた所得については、所得税の申告をしなければなりません。

この場合、所得が給与所得のみであれば、会社で年末調整を行うことによって、納税は終了しますが、それ以外の方は確定申告をすることになります。この確定申告を「準確定申告」といいます。

ちなみに、準確定申告によって計算された所得税は、還付の場合、還付額が相続財産に加算されます。逆に納税の場合には、納税額が相続財産から控除されます。


(2)準確定申告をする必要がある場合

準確定申告は、基本的に相続人が申告することになりますが、申告が必要な場合と不要な場合とがあります。

申告が必要かどうかは、確定申告と同じく亡くなった方の生前の収入内容によって判断しますので、生前に毎年確定申告を行っていた方の場合には、申告の必要があるかを確認したほうが良さそうですね。

準確定申告が必要な代表的なケースを、以下にあげておきます。

・年金等の雑所得のみ方で、所得税の納税や還付がある場合
・給与収入が2,000万円を超えていた場合
・2ヶ所以上から給与を受けていた場合
・給与所得や退職所得以外の所得の合計が20万円を超えていた場合
・同族会社の役員等で、会社から貸付金利子や賃借料等を受取っていた場合


(3)申告方法

準確定申告は、通常の確定申告と違い、亡くなった日の翌日から4ヶ月以内に、亡くなった方の住所地を管轄する税務署へ申告します。相続人が2名以上いる場合には、相続人全員の連署により準確定申告を提出することになります。

申告の際には、一般の確定申告用の申告書と、相続人の内容を記載した準確定申告用の付表をセットで提出します(相続人が1名の場合には、付表を省略できます)。その他の添付書類については、確定申告と同じですので、ここでの説明は省略します。


(4)各種控除

基本的に、各種控除については通常の確定申告と同じですが、配偶者控除等の判定については、死亡の日の現況により判断することになります。また、社会保険料や生命保険料等の各控除は、死亡の日までに支払った額が控除の対象となります。

医療費控除の対象となるのも、死亡の日までに支払った額ですが、控除対象となるのは、死亡の日の前日迄に支払った金額ですので注意してください。ちなみに、死亡後に支払った医療費については準確定申告の控除対象になりませんが、相続税で控除できますので、領収書等は保管しておいてください。


(5)注意点

本来、確定申告をしなければならない方が、1月1日から、確定申告の申告期限までの間に、確定申告を行わないまま亡くなった場合、通常の確定申告と手続きは異なります。

この場合、前年の所得分と、亡くなった年の所得分との2年分について、準確定申告を行うことになり、両方の申告共に亡くなった日の翌日から4ヶ月以内に申告しなければなりません。

また、準確定申告で所得税の納税が発生した場合、申告期限までに現金で納税しなければいけません。相続財産が不動産や株式のみの場合や、現預金がほとんどない場合等には、相続人の方で準備しなければいけませんので、注意しましょう。

(H.S)

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