〒989-3202 宮城県仙台市青葉区中山台1-11-5

受付時間
9時~18時
022-279-6818

会社名、お名前、用件をお話しください。
折り返しお電話いたします。

21年度改正事業承継税制|仙台市の税理士・ひなた会計事務所

2008.11.05

(1)自社株の相続税納税猶予制度

非上場の中小企業の株式の一部について、相続税額の80%の納税猶予を受けられるようになります。この制度は、平成21年度の税制改正として行われ、平成20年10月1日に遡って適用される予定です。

納税猶予の対象となるのは、その会社の発行済株式の3分の2が上限になります。3分の1については、通常の相続税を納税することになります。


(2)対象となる中小企業

納税猶予制度の対象となる中小企業は、中小企業基本法における中小企業になります。業種に応じて、資本金や従業員数に制限が設けられていて、例えば、サービス業の場合には、資本金5,000万円以下、又は、従業員数100名以下である場合に、納税猶予を受けることができいます。


(3)事業承継の要件

納税猶予を受けるためには、次の要件を満たす必要があります。

・被相続人(亡くなった人)が会社の代表者であったこと

必ずしも死亡時に代表者である必要はなく、一度でも代表者になっていれば対象になります。

・被相続人と親族等を合わせて、50%超の株式を保有し、かつ、親族等の中で、筆頭株主であること

・相続により、相続人(遺族)と親族等を合わせて、50%超の株式を保有し、かつ、親族等の中で筆頭株主となること


(4)相続後5年間の継続要件

相続後5年間は、次の要件を満たす必要があります。

・相続人が会社の代表者であること

・雇用のおおむね8割以上を維持すること

・対象株式を継続保有すること

5年間のうちに、代表者を退任したり、M&A等で株式を他人に譲渡したり、従業員が大幅に減少した場合などは、相続税の納税猶予が打ち切られます。

それまで猶予されていた相続税を納税する必要が出る上に、申告期限から猶予されていた期間分の利息として利子税も納税する必要が出てきます。

また、最終的に、納税猶予されていた相続税が、免除となるのは、相続人が死亡した時点になります。途中にさらに孫への事業承継が行われた場合の取り扱いなど、まだ、詳細が明かにされていない部分もありますので、今後発表される平成21年度の税制改正の内容について、十分注意しておく必要があります。

(M.H)

※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

ソフトウェア開発にも工事進行基準|仙台市の税理士・ひなた会計事務所

2008.10.20

(1)工事進行基準とは

工事進行基準とは、請負工事の収益(売上)と原価(費用)を、工事の進行割合に応じて、順次計上していく方法をいいます。工事進行基準を採用すると、その工事の利益を進捗状況に応じて計上できることから、毎期の損益を平準化させることができます。

これに対して、工事の完成引渡時に、一括して、売上及び原価を気乗する方法を、工事完成基準といいます。工事完成基準は、完成時に一括で損益が計上されるため、毎期の決算書の変動が大きくなり、その会社の実態を把握することが難しくなります。


(2)工事進行基準の対象

工事進行基準の対象となるのは、工事、建設、製造(請負によるもの)の他に、ソフトウェアの開発も含まれます。平成20年4月1日以後に開始する事業年度から、ソフトウェアの開発も、工事進行基準の対象となりました。


(3)工事進行基準の強制適用

法人税法では、着手の日から完成までの期間が1年以上であり、かつ、請負対価の額が10億円以上の請負を長期大規模工事といい、工事進行基準の適用が強制されています。

長期大規模工事以外の請負は、工事進行基準と工事完成基準のどちらかを選択することになります。

税金上有利なのは、工事完成基準になります。工事完成基準であれば、請負が完了して引渡しをするまで、利益の計上を先延ばしにすることができます。

しかし、融資や経営事項審査、資金繰り等を考えると、工事完成基準は利益の変動が大きいことから、工事進行基準を採用して、利益を平準化させたほうがいい場合もあります。会社にとって、どれが一番いい方法なのか、きちんと検討しておきましょう。

(M.H)

※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

有姿除却|仙台市の税理士・ひなた会計事務所

2008.10.06

(1)除却と有姿除却

税務上、会社の資産を廃棄することを除却といいます。

除却には、実際に資産を廃棄する「除却」と、その資産を廃棄していなくて
も、今後事業用として使用する予定のないものを帳簿上から除く「有姿除却」
とがあります。


(2)有姿除却の会計処理

通常の除却の場合、帳簿価額を全額除却損として計上するのに対し、有姿除
却では、除却時点でその資産の価値(廃材や鉄屑等)を見積り、「貯蔵品」と
して資産に残しておく必要があります。

例えば、帳簿価額500の機械を除却する時、鉄屑としての見積価格が30であ
った場合、会計処理は以下のように異なります。

(借方)固定資産除却損 470 (貸方)備品(機械) 500
貯 蔵 品   30

なお、有姿除却の場合で、資産の現在価値が0円の場合には、全額を除却損
として処理することになります。


(3)有姿除却ができる条件

有姿除却は、例えば一時的に使用を停止している場合や、メンテナンス等を
行い、いつでも同じ用途で使える状態にしている場合等、今後も再利用する可
能性が残っている場合には、使えません。

有姿除却を行う場合には、その資産が今後、スクラップや廃棄を前提として、
放置されることが条件となります。

なお、除却損として計上できる時期についても、上記条件を満たした時にな
ります。一時的な使用の停止等では、除却損を計上できませんので、注意しま
しょう。


(4) 有姿除却のメリット

有姿除却をすることによって、経費計上を一括でできるというメリットがあ
る反面、有姿除却をするにあたっては、資産の再利用の可能性について、説明
できる状態にしておく必要があります。

その場合、有姿除却後、資産がどういった状況なのかが問題となりますので、
例えば、機械であれば電源が入らないように分解する等の処置をしておくとよ
いでしょう。

有姿除却は、税法で認められている制度ですが、後で再利用できる状態では
ないかと誤解を受けるリスクもありますので、必要のない資産は売却や廃棄し
ておいたほうがいいですね。

(H.S)

※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

役員退職金の損金算入時期|仙台市の税理士・ひなた会計事務所

2008.9.5

(1)株主総会決議時が原則

退職した役員に退職金を支払う場合には、金額が多額になることから、経費計上するタイミングを間違えると、思わぬ損失が生じる可能性があります。

役員への退職金を経費計上するのは、株主総会で退職金の支給を決議した日が原則となります。決議をしただけで、後日、支給するというような場合でも、決議した日に、未払金として経費計上することになります。

例えば3月決算の場合に、3月31日に臨時株主総会を開いて、役員退職金の支給を決議すれば、実際の支給が翌期になっても、当期の経費として、計上できることになります。決議内容を明確にするために、議事録を作成しておくようにしましょう。

なお、合同会社、医療法人、財団法人等の場合には、株主総会ではなく、社員総会で決議することになります。


(2)支給日で経費計上

役員退職給与規程が定めてあり、支給額が規定に基づいて容易に計算できるため、株主総会の開催を待たずに、先に役員退職金を支給してしまう場合もありますね。

逆に株主総会決議はしたけれども、資金繰り等の都合で、役員退職金の支給が遅れてしまうこともあるでしょう。

原則は、株主総会決議時に経費計上ですが、支給時に、経費計上することも可能となっています。損益計算書に、役員退職金として、費用計上してある場合には、税務上も経費として認められることになります。


(3)当期利益と経費計上の時期

株主総会で決議した年に経費計上すると、多額の赤字が出るような場合には、支給を翌期にして、経費計上のタイミングをずらすことも可能になってきます。当期の多額の赤字を回避して、翌期の決算までに、約1年をかけて、対策を練ることもできるようになりますね。

逆に、当期の経費を多く計上したいような時には、定時株主総会を待たずに、臨時株主総会を開催して、支給の決議をすれば、その時点で、経費計上が可能となります。

くれぐれも、支給の決議をした時点で、その役員が退職していなければ、退職給与にはならずに、不定期の役員報酬として、経費算入ができなくなりますので、注意してください。

(M.H)

※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

食事の支給

2008.8.5

(1)従業員への食事の支給

従業員へ食事を支給した場合には、支給のためにかかった費用は、福利厚生費となります。しかし、非課税の要件を満たさない場合には、食事の提供を受けた従業員は、食事代相当額の給与をもらったということになり、所得税が課税されることになります。

従業員に余分な負担をさせることになりまし、会社も、源泉所得税の天引き、納付という手間が増えますので、下記の非課税の要件に、十分に注意しましょうね。


(2)食事の支給であること

非課税になるのは、食事を支給した場合です。食費を支給した場合は、非課税になりません。

社員食堂があって、会社が食事そのものを提供している場合は問題ありませんが、出前や弁当、また外食をするような場合には、食事の内容について、領収証を会社に提出させるようにしてください。

食事代として現金を渡して、食事内容について、会社が感知しない場合には、非課税とはなりません。


(3)通常の勤務時間外の食事であること

残業で夜遅くなった場合や宿日直の場合の食事の提供のように、通常の勤務時間外に支給された食事は、非課税となります。

逆に、通常の勤務時間中である昼食等の支給は、下記(4)の金額基準を満たさなければ、所得税の課税対象となります。


(4)食事代の半分以下かつ3,500円以内の負担であること

通常の勤務時間中である昼食等であれば、食事代の50%以上を、従業員から徴収しており、かつ、会社の食事代の負担が、月額3,500円(税抜)以内であれば、非課税となります。

社員食堂であれば、材料費の50%以上を、給料天引き等の方法で、従業員から徴収してください。弁当や外食であれば、業者等へ支払った金額の50%以上を、従業員から徴収します。

(M.H)

※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

長寿医療制度の口座振替

2008.8.5

(1)長寿医療制度保険料の口座振替の開始

年金から保険料が天引きされるということで批判の多かった、長寿医療制度(後期高齢者医療制度)ですが、平成20年10月分の保険料より、口座振替が可能になります。


(2)社会保険料控除

本人又はその配偶者や親族の社会保険料を支払った場合、支払った人の所得税を計算する際、所得から社会保険料を控除することができ、その分、所得税が安くなります。

社会保険料控除の対象となる社会保険料のうち、主なものは、次の通りです。

・健康保険、雇用保険、国民年金、厚生年金の保険料(保険税を含む)
・介護保険料
・年金基金の掛金
・公務員共済等の掛金


(3)長寿医療制度保険料の口座振替への変更

長寿医療制度の保険料は、年金からの天引きが原則ですので、夫婦で年金を受給している場合には、それぞれの年金から、保険料が天引きされることになります。

社会保険料控除を受けられるのは、社会保険料を支払った人だけになります。奥さんの年金から天引きされた保険料は、支払った人は、奥さんですから、旦那さんの社会保険料控除として計算することはできないんです。

奥さんが旦那さんの扶養親族となっている場合には、天引きされた保険料は、何の控除も受けられず、無駄になってしまいます。

そこで、口座振替への変更手続きを行って、収入の多い人の口座から引落になるようにすれば、保険料が無駄にならず、社会保険料控除を満額利用することができるようになります。

今まで国民健康保険であれば、世帯全員分を納付していたので、名義が誰であれ、実際に納付した人が、社会保険料控除を受けることができたのに、年金天引きという制度にしたために、一手間かけないと、所得税の負担が増えてしまうことになってしまいます。


(4)口座振替への変更手続き

口座振替の変更手続きは、各市区町村でご確認ください。市町村によっては、役場の窓口で手続きするほか、引落口座がある金融機関でも手続きが可能なようです。

平成20年分の所得税から、少しでも所得税を安くしたい場合は、手続きを早めにする必要があります。一番早い10月分からの口座振替にしたければ、8月半ばまでに手続きをしておかなければいけません。市区町村によって、15日や20日というように、期限が違いますので、必ず、お住まいの市区町村にご確認ください。

なお、国保の滞納がある場合には、口座振替に変更できませんし、世帯主である子どもや配偶者名義等の口座から引落にできるのは、年金収入が180万円未満である必要があります。

(M.H)

※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

75歳以上の扶養控除|仙台市の税理士・ひなた会計事務所

2008.7.5

(1)後期高齢者医療制度

子息等の被扶養者となっていた方が、75歳以上になると、健康保険の被扶養者から外れ、後期高齢者医療制度の被保険者となります。被扶養者であれば、保険料の負担がなかったのが、その後は、ご自身で保険料を負担することになります。


(2)扶養控除

所得税の扶養控除の対象となるのは、年間所得金額が38万円以下の場合です。給与や年金は、一定の控除額がありますので、給与収入の場合ですと年間103万円以下、年金収入の場合には、年間158万円以下であれば、年間所得が38万円以下となり、扶養控除の対象となります。


(3)後期高齢者医療制度と扶養控除の関係

後期高齢者医療制度の被保険者となり、健康保険が、子息等の扶養から外れた場合であっても、所得税を計算する際の扶養控除には、一切影響がありません。

所得税は、上記(2)のとおり、所得が38万円以下であることが基準ですから、健康保険の取り扱いに変更があっても、扶養控除が適用できます。

平成20年4月以降に、会社へ親等の75歳以上の方の保険証を返却した際に、誤って、所得税の取り扱いも変更になっていないか確認してみましょう。年末調整の際にも、被扶養親族欄に、氏名を書き忘れることのないように、気をつけましょうね。

(M.H)

※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

仙台市の税理士 ひなた会計事務所のTOPページへ

固定資産税の精算金の処理|仙台市の税理士・ひなた会計事務所

2008.7.5

(1)固定資産税の課税のタイミング

固定資産税は、毎年1月1日現在の所有者が、納税することになっています。年の途中で売買があった場合や新たに建物を建築したような場合には、次の年の1月1日まで、固定資産税は、かからないことになります。


(2)不動産売買時の精算

一般的に、不動産の売買が行われた時は、固定資産税の按分精算が行われます。これは、その年の1月1日現在の所有者である売り主に対して、固定資産税が課税されているため、1年分の固定資産税を売り主が全額負担していると感じられるためです。

例えば、7月1日に売買を行った場合には、売り主が、その年の固定資産税を納税していますから、買い主は、その年の固定資産税の半年分、つまり半額を、売買代金とは別に、買い主に支払います。


(3)買い主の税法上の取り扱い

税法では、固定資産税の納税義務者は、売り主であり、買い主には納税義務は一切ありません。買い主が売り主に支払った固定資産税相当額は、税金の支払いではなく、売買代金とみなされます。

売買代金とみなされるわけですから、契約書上の売買金額に、固定資産税相当額を加算した金額が、その不動産の取得価額になります。

買い主側の勘定科目は、買い主が納税すべき税金ではありませんから、「租税公課」ではありません。土地の固定資産税相当額であれば「土地」、建物の固定資産税相当額であれば「建物」等の、購入した資産の金額に含めることになります。

また、土地の購入は、消費税が非課税、建物購入は、消費税が課税ですから、固定資産税相当額も、それに合わせて、消費税の計算をすることになります。負担した固定資産税相当額に105分5を乗じた金額を、納めるべき消費税から、控除することになります。


(4)売り主の税法上の取り扱い

一方売り主側は、売買代金に固定資産税相当額を加算した金額が、譲渡価額になりますので、固定資産税相当額を加味したところで、売却損益を計算することになります。

さらに、消費税の納税義務があれば、建物分の固定資産税相当額に105分5を乗じた金額の消費税負担も必要になります。

(M.H)

※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

仙台市の税理士 ひなた会計事務所のTOPページへ

固定資産売却時の減価償却費

2008.6.5

◇◆◇固定資産売却時の減価償却費◇◆◇

(1)減価償却費の計算時期

 税法上、減価償却費を計上できるのは、決算期末に所有している減価償却資
産だけとなっています。決算期の途中で、その資産を売却した場合には、決算
期末で所有していませんから、減価償却費の計算はできません。

 しかし、会計では、決算期の途中で売却した場合には、所有している期間に
よって、按分して、減価償却費を計上するのが一般的です。

 会計に合わせて減価償却費を計算した場合には、税法では認められていない、
減価償却費を計上していることになります。

 ただどちらの方法を採用したとしても、減価償却費の計上分が、そのまま固
定資産の売却損益の増減として反映されることになるため、利益や税金には、
結果的に影響しませんので、税法又は会計のどちらの方法を採用しても、問題
にはなりません。


(2)便利な税法的処理

 経理処理としては、税法の処理が、断然ラクです。固定資産を売却した場合
の仕訳としては、期首の帳簿価額と売却価額との差額が、固定資産の売却損益
となります。減価償却費の計算は、一切行う必要がありません。

 この処理をすると、通常、販売費及び一般管理費か製造原価に計上されるべ
き減価償却費がゼロとなります。結果として、その分、営業利益や経常利益が
増加することになります。

 そして、固定資産の売却損益に影響してくるのですが、固定資産売却損益は、
特別損益となり、営業利益や経常利益には、何ら影響しません。最終利益には
影響しますが、これは、税法又は会計のどちらの方法でも、変わらないことは、
最初に述べたとおりです。

 融資や入札の審査では、営業利益や経常利益が重視されます。処理がラクな
税法の処理を採用すれば、審査にも有利に働くことになります。中小企業にと
っては、決算期中に固定資産を売却した場合には、減価償却費の按分計算をし
ないで処理することが、望ましいでしょう。

(M.H)

※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

中古資産の耐用年数

2008.6.5

◇◆◇中古資産の耐用年数◇◆◇


(1)耐用年数の改正

 平成20年4月1日以後に開始する決算期から、機械装置の耐用年数が変更にな
りました。一般的な1年決算法人の場合には、平成21年3月期から、新しい耐
用年数が適用されることになります。個人事業の場合には、平成21年分からと
いうことになりますね。

 これまでの耐用年数は、機械装置の種類ごとに定められていましたが、改正
後は、機械装置が利用される業種ごとに定められることになります。結果的に、
ほとんどの機械装置の耐用年数が同じか短くことになりますが、一部は、長く
なるものもありますので、注意が必要です。


(2)中古資産の耐用年数

 中古資産の耐用年数は、機械装置にかかわらず、全ての減価償却資産につい
て、中古資産の取得時の経過年数に基づいて、簡便計算することが認められて
います。計算方法は下記のとおりです。

・法定耐用年数の全期間が経過している場合
  法定耐用年数×20%

・法定耐用年数の一部期間が経過している場合
  法定耐用年数-経過年数+経過年数×20%

 計算結果に、1年未満の端数が生じた場合には、端数は切り捨てし、切り捨
て後の年数が2年以下の場合には、2年とします。


(3)簡便計算のやり直し

 耐用年数の改正は、中古資産にも適用されます。新たに取得した中古資産は、
改正後の法定耐用年数に基づいて、(2)の簡便計算を行います。

 改正前から所有している中古資産についても、耐用年数の見直しが必要にな
ります。簡便計算で耐用年数を求める際の法定耐用年数が改正されているわけ
ですから、改正後は、新たな法定耐用年数で、計算をやり直します。

 経過年数は、取得時の年数を使用して計算しますので、簡便計算のやり直し
は、かなり面倒な作業になります。決算時に慌てないよう、当時の資料が残っ
ているか、今から探しておいたほうが良さそうですね。

 当時の資料がなく、簡便計算のやり直しができない場合には、税金の申告上
は、経費が少なくなって税金が増える可能性が高いので、それほど問題になり
ませんが、銀行融資等の審査では、粉飾決算と取られる可能性も出てきます。

(M.H)

※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

たまたま土地を売却した場合

2008.5.2
◇◆◇たまたま土地を売却した場合◇◆◇

(1)非課税収入が多い場合
 消費税は、原則として、お客様から売上と一緒に頂いた消費税から、仕入や
経費等と一緒に支払った消費税を控除した残額を納税します。
 しかし、土地の売却や住居用の家賃収入などのように、消費税が非課税とな
っている収入が、全売上の5%超を占める場合には、支払った消費税の一部し
か、納税額から控除できないことになっています。
 土地の売却は、高額になることが多いので、たまたま売却したような場合に
は、非課税売上の割合が増加し、課税売上割合が大きく減少することになりま
す。課税売上割合が減少すると、消費税の納税額が増えることになります。
 その様な場合に、「課税売上割合に準ずる割合」を利用することによって、
少しでも控除額を多くして、納税額を減らすことができる場合があります。

(2)たまたま土地を売却した場合
 土地の売却が単発で、土地の売却以外は事業内容にほとんど変化がない場合
には、土地を売却した決算期の直前3期分の通算課税売上割合か、前期の課税
売上割合のいずれか低い割合を、課税売上割合に準ずる割合として、承認申請
することができます。
 ただし、直前3期の最も高い課税売上割合と最も低い課税売上割合との差が
5%を超える場合には、事業内容に変化があるということで、承認が受けられ
ません。
 さらに、たまたま土地を売却した時だけに認められる特例ですので、翌年以
降については、課税売上割合に準ずる割合の適用廃止届を提出する必要があり
ます。

(3)課税売上割合に準ずる割合
 課税売上割合に準ずる割合は、土地の売却が無くても、利用することはもち
ろん可能です。一般的には、使用人の人数や従事日数、機械等の使用時間、事
業所の面積等の割合が利用されます。
 課税売上割合に準ずる割合を利用するためには、その決算期の末日までに、
税務署長の承認を受ける必要があります。却下以外は可否の通知を出さない他
の承認申請と違い、きちんと承認の通知を受ける必要がありますので、決算期
末前までに余裕をもって、承認申請を提出する必要があります。

(M.H)

※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

買収した会社の欠損金

 

2008.5.2

 

◇◆◇買収した会社の欠損金◇◆◇


(1)青色欠損金の繰越控除

 青色申告の会社が赤字になった場合、その赤字は、翌年以降の黒字と相殺し
て、法人税の計算をすることになります。相殺しきれない場合には、さらに次
の年の黒字と相殺することになり、最終的に、赤字は、最長7年間繰り越すこ
とになります。


(2)特定株主等に支配された場合の不適用

 多額の欠損金を有する赤字会社や休眠会社の株を買い取り、その会社の会社
名や役員を入れ替えて、新たに事業を開始すると、新事業の黒字と買収以前の
赤字とを相殺して、法人税の圧縮をすることが可能になります。

 それを防ぐために、新しい株主が発行済み株式総数の50%超を所有すること
になってから5年間は、買収した赤字会社の繰越欠損金利用できず、買収後の
黒字と相殺できないようになっています。

 なお、5年経過前に繰越欠損金が使えるようになる場合もありますので、そ
の様な事例を以下に掲載しておきますね。


(3)休眠会社が事業を再開した場合

 株式譲渡をするまで事業を営んでいなかった会社を買収した場合には、事業
を再開又は新たに開始した決算期より前に発生した欠損金は、繰り越しするこ
とができません。


(4)異なる事業を開始する場合

 会社買収後に、それまで営んでいた事業を廃止して、廃止した事業の売上金
額のおおむね5倍以上の借入れ等を行った場合は、その借入れを行った決算期
より前に発生した欠損金は、繰り越しすることができません。


(5)赤字会社の債権を取得した場合

 会社を買収した株主が、赤字会社のほとんどの債権を格安で取得し、買収前
の売上金額のおおむね5倍以上の借入れ等を行った場合は、その借入れを行っ
た決算期より前に発生した欠損金は、繰り越しすることができません。


(6)役員・従業員のほとんどが辞めた場合

 会社買収後に、買収される前の常務取締役以上の全役員が退任し、使用人も
20%以上が退職し、新たに始めた事業の売上金額が、買収前の売上金額のおお
むね5倍以上の借入れ等を行った場合は、その借入れを行った決算期より前に
発生した欠損金は、繰り越しすることができません。

(M.H)

※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

欠損金の繰戻還付

2008.4.4


(1)欠損金の繰戻還付

 通常、会社が赤字になった場合の特例として、その赤字を翌期以降7年間の黒字と相殺が可能となる、青色欠損金の繰越控除があります。

 しかし、設立後5年以内の会社は、赤字になった場合は、翌期以降に繰り越すのではなく、前期の黒字と相殺して、前期の法人税を還付してもらうことが可能となっています。これを、欠損金の繰越還付といいます。


(2)還付手続き

 還付を受けるために、赤字の場合の通常の確定申告の他に、欠損金の繰り戻しによる還付請求書を提出する必要があります。ただし、欠損金の繰越はありませんので、別表7の記載は不要です。

この制度は、法人税だけの規定で、同様に欠損金の繰越制度がある事業税には、適用されません。ですから、翌期の法人税の申告の際には、法人税の計算上、欠損金の繰越がなくても、事業税では、繰り越しして翌期以降の黒字と相殺することになります。


(3)暫定税率不成立の影響

 このさぽーと発行時の平成20年4月4日現在、平成20年度の税制改正法案が、5月31日まで延長された一部を除き成立していません。このため、一部の制度が、3月31日をもって期限切れとなっています。

 欠損金の繰戻還付制度は、設立後5年以内の会社に限定されていましたが、平成20年3月31日をもって、5年以内の枠がはずされ、平成20年4月1日以後に終了する決算期からは、どの会社でも受けられる状態となっています。

 現在施行されている法律をそのまま解釈すれば、平成20年4月1日以後に終了する決算期が赤字で、その前の期が黒字であれば、前期の法人税の一部の還付を受けられることになります。

 決算期は、会社の任意で変更可能となっていますので、中途半端でも4月10日決算なんて変更すれば、前期の法人税が還付されるかもしれません。恐らく税制改正法案が、原案通り可決されれば、4月1日に遡って遡及適用される可能性が高いと思われます。遡及適用されれば、やっぱり還付した法人税は、納め直してくれなんとことになるかもしれませんので、実行は、くれぐれも慎重に。

(M.H)

※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

リース取引の経理処理|仙台市の税理士・ひなた会計事務所

2008.4.4

(1)リース取引の改正

 平成20年4月1日以後に契約する所有権移転外ファイナンス・リース取引は、売買取引として、扱われることになります。

 これまでは、リース料の支払時に、リース料や賃借料として、経費処理していました。改正後は、契約時に、資産として計上し、減価償却費として経理処理していくことになります。

 なお、リース契約には、他に所有権移転ファイナンス・リース、オペレーティングリースとありますが、ほとんどのリース契約が所有権移転外ファイナンス・リース取引となっています。


(2)契約時の仕訳

 リース取引は、売買取引として扱われますので、資産の購入とそれに対するローンの支払いということになります。

 期首に月額105、リース期間5年、リース料総額6,300というリース契約の場合(以下、(3)以降同じ。)には、次のような仕訳になります。

(借方)リース資産  6,000 (貸方)リース債務 6,300
   仮払消費税等  300

 消費税も、売買として扱われることになりますので、契約時に、リース料総額の5%分を、仮払消費税等として計上することになります。

 消費税の経理方法を、税込方式又は一括税抜方式を採用している場合には、仕訳時には、消費税を意識する必要がありませんから、消費税込みで、次のように仕訳します。

(借方)リース資産  6,300 (貸方)リース債務 6,300


(3)リース料支払時の仕訳

 リース料の支払いは、ローンの支払いということになりますので、次のような仕訳になります。

(借方)リース債務 105 (貸方)現金預金 105


(4)決算時の仕訳

 これまで、リース取引では、決算時の仕訳は、必要ありませんでしたが、改正後は、減価償却費の計算が必要になります。申告の際は、定率法や定額法の減価償却と同様、償却の明細を別表16(4)に記載する必要があります。

 減価償却費の計算方法は、リース期間定額法となり、税抜経理方式の場合、次のように計算します。

減価償却費=リース料総額×当期の賃借月数÷賃借期間の月数
     =6,000×12月÷60月=1,200

仕訳は、会社の経理方法により、次のどちらかになります。

・間接法
 (借方)減価償却費 1,200 (貸方)減価償却累計額 1,200

・直接法
 (借方)減価償却費 1,200 (貸方)リース資産   1,200

 1年間のリース料の支払額が、税抜100×12月=1,200ですから、減価償却費として経費計上できる金額と支払額が同額となります。


(5)賃借料の経理処理

 中小企業の負担を減らすために、これまで通り、支払時にリース料や賃借料として、経理することも認められています。申告の際の別表記入も省略することができますので、結果的に、これまでと同じ処理でも、法人税は問題ありません。

 ところが、リース料と経理しても、リース取引を売買として扱うことに変わりはありませんので、消費税の計算では、注意が必要です。税抜経理方式を採用している場合には、消費税の処理を適正に行うために、契約時に次の仕訳を行います。

(借方)仮払消費税等 300 (貸方)リース債務 300

 さらにリース料の支払時には、次の仕訳を行います。リース料の消費税の設定も、既契約は、課税対象ですが、平成20年4月1日以降の契約は、課税対象外とします。

(借方)リース料  100 (貸方)現金預金 105
   リース債務  5

 消費税計算や固定資産管理の手間を考えると、平成20年4月1日以降に契約のリース取引は、上記(2)から(4)の処理をしたほうが、管理が楽になると思われます。

(M.H)
※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。
 

個人の少額減価償却資産の売却

2008.3.5

(1)中小企業者の少額減価償却資産の取得価額の必要経費算入の特例

 青色申告の個人が、30万円未満の減価償却資産を取得した場合には、年間30万円を上限に、取得価額全額を取得した年の経費に計上できます。

 白色申告の個人の場合には、全額経費に計上できる資産は、10万円未満となっていますので、青色申告のほうが節税対策がしやすいことになります。


(2)少額減価償却資産を売却した場合

 減価償却資産を売却した場合には、譲渡所得となります。その資産が事業用や不動産賃貸用であっても、事業用又は不動産用の決算書に、売却益や売却損は、計上しません。

 30万円未満の少額減価償却資産は、全額経費計上していれば、帳簿に残高が載ってきません。その様な資産の売却収入は、収入金額全額が譲渡所得として、他の所得と合算して、所得税を計算することになります。

 さらに、消費税の課税事業者の場合には、消費税の納税も必要になります。

 なお、少額減価償却資産の全ての売却損益を通算して、年間50万円以下であれば、特別控除がありますので、所得税は免除されます。


(3)20万円未満の少額減価償却資産

 10万円未満の少額減価償却資産や20万円未満の減価償却資産で、一括償却を行った資産の場合には、譲渡所得ではなく、事業所得又は不動産所得として、所得税の計算を行います。

 もちろん、消費税の課税事業者であれば、消費税の納税もあります。

(M.H)

※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

減価償却方法の変更

2008.3.5

(1)減価償却方法の選択

 建物(平成10年4月1日以後取得の建物を除く。)、建物附属設備、車両運搬具、工具器具備品、機械装置等の有形固定資産は、減価償却の方法を、定額法か定率法のどちらかを選択することになります。

 新たに法人を設立した場合等は、定額法又は定率法のどちらを選択するか、第1期の申告期限までに、届出をする必要があります。もし届出をしなかった場合には、定率法を選択したものとみなされます。これを法定償却方法といいます。

 個人事業者の場合も、開業初年度の確定申告期限までに選択することになりますが、届出をしなかった場合には、法人と違い、法定償却方法は定額法になります。


(2)減価償却方法の変更

 一度選択した償却方法を変更したい場合には、変更したい決算期の前期末までに、変更の承認申請書を提出する必要があります。変更したい決算期末までに、税務署から何の通知もなければ、変更が承認されたことになります。

 ただし、前回の選択又は変更から3年経過してない場合には、特別な理由がない限り、変更の承認申請は、却下されることになります。


(3)19年度税制改正による措置

 平成19年度税制改正で、減価償却方法が改正されました。
 https://www.hinatax.jp/article/13186989.html

 税制改正初年度の平成19年4月1日以後に最初に終了する決算期(例:20年3月期決算)については、減価償却方法の変更に特例が設けられています。

 本来は、前期末までに承認申請となっていますが、改正初年度は、変更したい決算期の申告期限までに、変更承認申請を提出すればよくなっており、申請すれば、そのまま承認されることになっています。20年3月期決算の場合には、20年5月までに提出すればいいわけです。

 従来の定率法を採用している場合、減価償却の改正で、減価償却額が大幅に増加しました。このため、設備投資初年度に、より節税効果を得られるようになっています。

 逆に思わぬ経費の増加により、計画していた利益が計上できないということも出てきます。その場合には、定額法への変更も検討する必要が出てきます。

 なお、変更等の手続きを行わなかった場合には、従来の償却方法を継続して選定したものとみなされます。


(4)変更と選定

 全ての資産を、法定償却方法から別の減価償却方法に変更したい場合には、変更承認申請の他に、選択の届出も行う必要があります。

 税制改正が実施された平成19年4月1日前後では、減価償却方法の選択は、別々に行うことになっています。ですから、平成19年3月31日以前取得の資産は、法定償却方法からの変更承認申請、平成19年4月1日以後取得の資産は、新たに償却方法の選択届を行います。

 平成19年4月1日以後取得資産の選択届を行わなかった場合には、改正日を境に、2つの償却方法で計算する必要が出てきますので、注意が必要です。

(M.H)

※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

ゴルフ会員権の売却損

2008.2.5

(1)ゴルフ会員権の売却で節税

 ゴルフ会員権を売却すると、所得税が還付されることがあります。

 ゴルフ会員権を売却して、売却損が出た場合には、給与や退職金等の他の収入と相殺して計算することが認められています。

 ゴルフ会員権が売却損であれば、給与や退職金の収入と相殺されますので、所得税の対象になる給与や退職金の収入が、売却損の分、減少することになります。

 含み損を抱えた上に、あまり利用しないゴルフ場があるようであれば、売却を検討されてみてはいかがでしょうか。ただ、毎年の税制改正時に、相殺禁止となるのではないかとの噂が出ますので、売却時期には、慎重に検討してください。


(2)計算例

 例えば、600万円で購入したゴルフ会員権を50万円で売却した場合には、550万円の売却損が発生します。その年の年収が1,000万円であれば、所得税の対象になる収入は、1,000万円−550万円=450万円となります。

 給与や退職金は、一定の金額以上であれば、支給される際に、所得税が天引きされます。1,000万円の給与であれば、1,000万円に対応した所得税が天引きされるのです。

 相殺した結果、所得税の対象になるのは、450万円だけですので、その差額分の所得税が、納めすぎということで還付されることになります。


(3)確定申告が必要

 ゴルフ会員権の売却損と他の収入との相殺を行うためには、確定申告をする必要があります。申告期間は、原則2月16日から3月15日までとなっていますが、還付申告の場合には、この期間以外でも、申告は可能です。

 ただし、青色申告をしている場合や電子証明書控除を受ける場合等は、期限後では特例を受けられなくなりますので、申告期限を守るようにしましょう。

(M.H)


※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

法人成りの法定調書

2008.1.7

(1)法人成りとは

 個人事業者が会社を設立して、個人事業で行っていた事業を、会社で継続して行うことを、法人成りと言います。

 平成18年の会社法の改正により、資本金1円でも、誰でも会社を設立することができるようになったため、会社を設立して法人成りする方が増えているようです。

 もし、今個人事業で消費税の納税を行っているのであれば、法人成りで、合法的に消費税の免除を受けることもできます。


(2)法定調書

 その年の1月1日から12月31日までに支払った給与や家賃、税理士報酬等について、翌年の1月31日までに支払内容について、税務署に報告する義務があります。その報告書を、「法定調書」と言います。

 どのような支払内容について、報告義務があるかについては、法律によって定められています。


(3)年の途中で法人成りした場合

 年の途中で法人成りをした場合には、1月1日から12月31日までの期間に、個人事業の期間と会社の期間の両方が存在することになります。法律上は、個人と会社は、別々の存在として扱われますので、法定調書も、個人と会社で、別々に作成、提出することになります。

 個人事業から会社へと引き続き勤務している従業員は、一旦個人事業を退職し、新たに会社に就職したという取り扱いになります。

(M.H)

※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

電子証明書等特別控除

2008.1.7

(1)概要

 所得税の確定申告を、納税者本人の電子証明書を付して、電子申告で行った場合に、最大で5,000円の税額控除を受けることができます。

 この制度は、平成19年分又は20分年の、いずれか1年分で受けることができます。19年分で控除を受けた場合には、20年分では受けることはできません。また、19年分の控除額が5,000円未満の場合に、差額を20年分で控除することもできません。

 例えば、平成19年分で3,000円の控除を受け、平成20年分で残りの2,000円の控除を受けるということはできず、19年分で控除を受けた3,000円のみで、終わりとなります。


(2)申告期間

 この控除を受けるためには、確定申告期間内に、電子申告をする必要があります。

 通常、所得税の還付申告の場合には、確定申告期限を過ぎて申告しても、なんのペナルティもありません。しかし、この控除制度は、期限を過ぎると、控除を受けられなくなります。

 還付申告の場合は、年明けから申告ができますので、平成19年分で控除を受ける場合には、1月4日から3月17日までが、申告期間となります。平成20年分の場合は、1月5日から3月16日までとなります。


(3)税理士に依頼している場合

 申告を税理士に依頼している場合でも、この控除は受けられます。ただし、電子申告をすることが要件となっていますので、税理士が電子申告で確定申告を行う必要があります。

 さらに、納税者本人の電子証明書を付すことも要件ですから、所定の電子証明書を入手する必要があります。


(4)電子証明書

 所得税の確定申告で利用できる電子証明書は、十数種類に限定されています。

 電子証明書を入手するには、各発行機関で定められた手数料が必要になります。料金は発行機関によって異なり、1年間で1万円程度の手数料がかかるものもあります。

 この控除を受けるために入手するのであれば、公的個人認証サービス(いわゆる「住基カード」)が、手頃な金額となっています。発行する市町村によって若干異なりますが、だいたい3年間の利用で1,000円程度となっています。

 また、発行手続きも市町村によって異なり、その場で即発行となるところから、2週間程度かかるところもあるようです。さらに、この控除制度ができたためか、住基カードの発行が増加し、カード自体の在庫が不足している市町村もあるようですので、早めに発行手続きをしたほうが良さそうです。

 税額控除に関係ありませんが、住基カードは、写真付きも選べますので、自分の好きな写真を住基カードに使って、身分証明書としても利用することができます。これで写真写りの悪い運転免許証を利用する必要なくなりますね。


(5)サラリーマンの税額控除

 この控除制度は、サラリーマンのように給与以外の収入がない方でも、納税額があれば、控除を受けることができます。サラリーマンの場合、年末調整で所得税の手続きは完了していますので、普段は、なんの申告もしていませんが、確定申告をすれば、5,000円の還付金を受け取れるんです。

 ただし、電子証明書の入手に1,000円、さらに、この電子証明書をパソコンに読み取らせるための機械の購入に安くても3,000円と、それなりに出費がありますので、単純に5,000円が得するわけではないということに注意してください。

 さらに、所得税には、20万円未満の少額収入は、申告不要という制度があります。確定申告をすると、この申告不要制度の利用ができなくなり、今まで申告する必要がなかった収入も、全部税務署に明らかにする必要が出てきます。

(M.H)


※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

年末調整のよくある間違い2007

2007.12.5

NEW!! 2021年版はこちら
NEW!! 2020年版はこちら

2019年版はこちら

2018年版はこちら
2017年版はこちら
2016年版はこちら
2015年版はこちら

2014年版はこちら
2013年版はこちら


2012年版はこちら

 
2011年版はこちら

2010年版はこちら
2009年版はこちら 


 年末調整を行うために、従業員は会社に対して「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」と「給与所得者の保険料控除申告書兼給与所得者の配偶者特別控除申告書」という、2つの用紙を提出することになっています。

 また、2年目以降の住宅ローン控除を受ける人は、その関係書類も会社に提出します。


(1)年末調整とは

 会社は、毎月の給料や賞与を支払う際に、従業員の扶養家族の人数等に応じて、所得税を概算額で給料等から天引きすることとなっています。毎月天引きしている金額は、概算額ですから、12月の給料支給時に1年分の所得税額を計算し直し、計算した所得税額と毎月の概算額との差額を精算することとなっています。

 この精算手続のことを、「年末調整」といいます。


(2)よくある間違い〜扶養控除等申告書編〜

・扶養親族の所得金額欄に、年収を記載している。

 所得と年収は違います。扶養親族になるのは、所得が38万円以下の人です。所得とは、収入から経費を引いた金額をいいます。パートやアルバイトの場合、経費に相当する金額として、最低65万円が与えられています。

 パート収入が年間100万円の場合、所得は、100万円−65万円=35万円となり、所得が38万円以下ですから、扶養親族に該当することとなります。金額欄には、「35万円」と記載します。

 パート収入は気にされている方が多いのですが、大学生の子供がいる場合には、子供のアルバイト代にも注意してください。稼ぎすぎていると、扶養親族に該当しなくなり、後で追徴課税されることがよくあります。

 なお、年金の場合の、経費に相当する金額は、65歳以上で最低120万円、65歳未満で最低70万円となっていますので、年金額が158万円(65歳以上)又は108万円(65歳未満)の場合に、扶養親族に該当します。


・「同居老親等」に○が付いていない

 70歳以上の父母や祖父母を扶養している場合には、扶養控除の金額が増加します。さらに、同居しているかどうかでも金額が変わってきます。同居しているのに、ここに印が付いていないと、控除額で損をすることとなります。

 ただし、同居老親等に該当するのは、直系のみですので、

 老人ホームなどに入居されている場合には、同居ではありませんので、こちらは○を付ないように注意してください。


・「特定扶養親族」に○が付いていない

 16歳以上22歳以下の方を扶養している場合には、扶養控除の金額が増加します。該当する場合には、○を付けてください。

 生年月日がきちんと書かれていれば、そちらで判断はできますが、たまに、生年月日も書かれていないときがあります。よく、2番目以降のお子さんの生年月日を、間違われる方がいます。お子さんにばれると大変ですよ。


・障害の内容が書かれていない

 本人が障害者であったり、障害者を扶養していたりする場合には、控除額が増加します。障害者である旨を記載する欄がありますので、そちらもきちんと記入してください。

 また、障害の重さにより、控除額も変わってきます。障害者手帳等に書かれている等級も記載するようにしてください。


・寡婦・寡夫を記載していない

 死別や離婚により配偶者がいない場合には、控除額が増加することがあります。男性と女性、死別と離婚では、要件が違いますので、申告書の裏面の要件をよく読んで、その旨を記載するようにしてください。


 寡婦

 夫と死別又は離婚して、扶養親族がいる人

 夫と死別して、所得が500万円以下(給与の場合には、年収約688万円以下)の人


 特別の寡婦

 上記の寡婦に該当し、扶養親族である子がいて、かつ、所得が500万円以下の人


 寡夫

 妻と死別又は離婚して、扶養親族である子がいて、かつ、所得が500万円以下の人


(3)よくある間違い〜保険料控除申告書編〜

・加入している保険すべてを記載してある

 生命保険料控除は、生命保険の種類によって、「一般」と「個人年金」の2種類に分かれています。

 それぞれ、年間の保険料が10万円以上であれば、生命保険料控除の控除額は5万円で打ち止めとなります。ですから、月額1万円程度の保険を1つだけ記載されれば、控除は満額受けられることになります。

 あまりにいっぱい保険をかけられていると、別の意味で心配になってきます。

 なお、「一般」と「個人年金」の区別は、証明書に、その保険がどちらが該当するか記載されていますので、証明書をきちんと確認してください。「年金保険」という名称の保険でも、「一般」に該当することもあります。


・損害保険料控除もあります

 平成19年分より、損害保険料控除は、廃止されました。ただし、平成18年12月31日までに契約した長期損害保険契約については、19年以降も、控除を受けることができます。

 「長期」になるのは、保険期間が10年以上で、かつ、満期返戻金があるものです。期間が10年以上でも、満期返戻金が無いものもありますので、その場合は、対象になりません。


・自分で払った健康保険料を記載していない

 年の途中で無職の期間があった場合には、健康保険料や国民年金を自分で納付することになります。この自分で払った保険料は、申告がないと、会社では一切把握できません。

 用紙の左下に記載する欄がありますので、自分で払った金額を記載してください。なお、領収証の添付は必要ありません。

 給料から社会保険料が天引きされている人は、会社で計算しますので、記載する必要はありません。


(4)よくある間違い〜住宅ローン控除編〜

・1年目なのに年末調整で控除を受けようとする

 住宅ローン控除は、1年目だけは、税務署で確定申告をすることになっていますので、年末調整で会社に提出されても、控除は受けられません。

 2年目以降は、会社の年末調整で控除を受けることができます。


・残高証明書しか提出しない

 年末調整で住宅ローン控除を受けるためには、金融機関発行の「残高証明書」と「住宅借入金(取得)等特別控除申告書」を、会社に提出する必要があります。申告書は、2年目の夏頃税務署から、2年目以降の分がまとめて郵送されます。

 紛失や転職等により、手元に申告書がない場合には、税務署に再発行の手続をする必要がありますので、年末調整時期になって慌てないようにしましょう。

 残高証明書は、毎年11月頃に、各金融機関から郵送されます。


(5)よくある間違い〜その他〜

・前職の源泉徴収票を提出しない

 年末調整は、その年の1月1日から12月31日までの給料を合計して行います。年の途中で転職等をした場合には、前の勤務先から源泉徴収票を発行してもらい、現在の勤務先に提出します。

 前職の源泉徴収が、1月31日までに入手できない場合には、年末調整はできませんので、確定申告で精算することになります。

 同時に2カ所以上の職場に勤務している場合には、源泉徴収を提出しても、年末調整は受けられません。勤務期間が重複している場合には、確定申告をすることになります。


・医療費の領収証を提出する

 1年間に多額の医療費がかかった場合には、所得税を軽減させる、医療費控除の制度があります。この医療費控除は、年末調整で行うことはできません。医療費控除が必要な場合は、確定申告を行うことになります。

(M.H)


※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

お問合せ・ご相談はこちら

受付時間
9時~18時(昼休み12時30分から13時30分)

ご不明点などございましたら、お電話もしくはお問合せフォームよりお気軽にご相談ください。

お電話でのお問合せはこちら

022-279-6818

宮城県仙台市にある税理士事務所のひなた税理士法人(ひなた会計事務所)です。経営革新等支援機関に認定された税理士事務所です。当税理士事務所では、無駄な帳簿を廃止して、経理の合理化を支援します。

お気軽にお問合せください

お電話でのお問合せ・相談予約

022-279-6818

<受付時間>9時~18時

<受付時間>9時~18時

代表者 日向雅之

ひなた税理士法人
株式会社ひなた会計事務所

住所

〒989-3202
宮城県仙台市青葉区中山台1-11-5

受付時間

9時~18時

メルマガ登録フォーム

メールアドレス(必須)
(例:info@hinatax.jp) 半角でお願いします。
メールアドレス(確認用再入力)(必須)
半角でお願いします。