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5,000円以下の飲食費は、全額経費に

2006年2月6日

(1)改正の内容

 平成19年3月決算の会社から、1人あたり5,000円以下の飲食費は、交際費から除外することになりました。
 
 
(2)交際費に該当した場合

 資本金額に応じ、次の金額は、経費になりません。
 
・資本金1億円以下の場合
 損金不算入額=支出交際費の額-A×90%
※Aは、次のア、イのいずれか少ない金額
 ア 400万円
 イ 支出交際費

・資本金1億円超の場合
 損金不算入額=支出交際費の全額
 
 交際費に該当すれば、一部、経費計上できなかったのですが、今後は、交際費であっても、5,000円以下の飲食費であれば、全額経費にすることができます。
 
 
(3)1人あたりとは

 1人分の飲食費が5,000円以下かどうかが問題になります。例えば、20,000円の飲食費の場合、4人以上であれば、1人あたりが5,000円以下となりますね。1人あたりの金額をはっきりさせるために、今後は、より一層、帳簿等に、飲食したメンバーの名前を、きちんと控えておくようにしましょう。
 
 
(4)5,000円以下とは

 会社の消費税の経理方式が、税込経理方式の場合は、注意が必要です。税込経理方式では、帳簿には、税込金額しか記載されません。そのため、このような金額判定の際には、全て、税込で行うことになります。
 
 税込5,250円(税抜5,000円)の飲食代では、経理方式により、不利になります。今後は、飲食店でも、この税制改正に合わせて、5,000円のメニューを多く出してくると思われます。少しでも収入を上げたい飲食店側としては、税抜5,000円の設定にしたいところですので、会社側でも、それに合わせて、税抜経理に変更していったほうがいいですね。
 
(5)5,000円を超えた場合は

 5,000円を超える飲食費は、全て交際費になるわけではありません。あくまでも、飲食の内容によります。やむを得ない理由により、会議時の昼食代が、たまたま5,000円を超えてしまったようなときには、交際費ではなく、会議費になります。しかし、接待の意味があって、高額の食事を提供したのであれば、交際費になります。


 

(M.H)

※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

1人オーナー会社の増税

2006年2月6日

(1)制度の内容

 役員報酬は、所得税法上、給与として扱われます。給与所得には、サラリーマンの経費に相当する部分として、給与所得控除というのがあります。この給与所得控除の金額を、法人税を計算する際に、利益に加算することになります。法人税は、利益に税率をかけて計算しますので、利益に加算するということは、その分、法人税の負担が増えることになります。
 
 ちなみに、給与所得控除の金額は、年収1,200万で230万円、年収2,400万円で、290万円となります。

 なお、この改正は、平成19年3月決算から始まる予定です。


(2)対象となる会社

 次の2つの要件を満たす会社です。
 
・社長とその親族の持株割合が90%以上であること
 
・社長とその親族が、役員の過半数を占めること

 改正案では、「業務を主宰する役員」という表現が使われています。これは、趣旨としては、社長のことを指しています。ただ、実質的なオーナー以外に、名義上の社長がいるような場合には、オーナーを指すことになります。
 
 また、「常務に従事する役員」という表現から、役員の過半数を判定する際には、非常勤役員や名義上の役員は、除外して判定します。
 
 役員が3名でも、社長と2名の非常勤役員という構成の場合は、常勤役員は、社長1人ですので、過半数を占めていることになります。


(3)除外規定

 この規定には、除外規定が設けられています。上記(2)の2つの要件に該当しても、(1)の規程は、適用されませんので、法人税が増えるないことになります。除外規定の判定には、まず、次の所得等の金額を求めます。
 
 所得等の金額=
 (前期以前3期分の会社の利益+前期以前3期分の社長の役員報酬額)÷3
                
・所得等の金額が800万円以下の場合

 利益と役員報酬を足した金額が、800万円以下であれば、この規程は適用されません。利益がゼロで、役員報酬が800万円以内であれば、これまでの税負担と、何ら変わらないことになります。
 
・所得等の金額が800万円超3,000万円以下の場合

 この場合には、社長の役員報酬額が、所得等の金額の50%以下であれば、適用除外となります。
 
 
(4)対策

・社長一族の持株割合を90%未満にする

 親族以外の第三者に10%超の株式を保有してもらえば、この規程は、適用されなくなります。信頼のおける取引先で、同じように、この規程に苦しめられそうなところがあれば、お互いに、11%ずつ株を持ち合えば、この規程の対象外になります。
 
 取引先以外では、従業員などに出資してもらうのも大丈夫です。
 
 ただ、後から仲が悪くなったり、退職したりすると、株を保有していることが問題になることもありますので、慎重に実行する必要があります。


・役員を増やす

 社長一族が役員の過半数を占めてはいけませんので、親族以外の役員を増やせばいいことになります。しかし、名義上や非常勤ではダメですので、常勤できる人物を役員にしなくてはいけません。
 
 従業員で信頼の置ける者がいれば、役員への昇格を持ちかけてみてはいかがでしょうか。肩書きによって、仕事にやりがいを持つことにより、業績もアップするかもしれません。名義上ではダメですから、役員として、経営参加させることを忘れないでくださいね。
 
 また、取締役会の過半数を反社長派に握られた場合には、社長解任というようなクーデターを起こされる可能性もありますので、こちらも慎重に実行してください。
 

・社長以外の役員報酬比率をアップする

 社長以外の役員になっている奥さんや子どもの役員報酬を上げれば、適用除外になる可能性が高くなります。社長個人の収入は減ってしまうかもしれませんが、社長一家として、結果的に収入が減らないことを目的とします。
 
 これも、勤務実態とかけ離れた役員報酬を支給した場合には、この規程以前に、経費として認められない可能性が出てきます。


 現段階では、まだ、改正案の状況ですので、このまま法案が通るかという問題もありますし、詳細についても決まっていない部分もありますので、今後の推移を注意深く見守ってください。


 

(M.H)

※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

株式譲渡の税金

2006年1月16日

 サラリーマンが、上場株式の売買を行って、損益が発生した場合の、所得税の確定申告について、ご説明いたします。

(1)譲渡損益の計算

 まずは、株を売って、儲かったのか、損したのかの計算方法をご説明します。譲渡損益は、次の計算式で算出します。

 譲渡損益=売却価額−取得費−手数料等


(2)取得費とは

 取得費というのは、買ったときの金額に、手数料を足した金額になります。何回かに分けて購入している場合には、平均単価を計算することになります。例えば、1株ずつ、手数料込みで50万円と70万円で2回購入している場合には、(50万円+70万円)÷2株=60万円が単価となり、2株のうちの1株を売却していれば、60万円×1株=60万円が、取得費になります。

 買った値段を把握していないときは、証券会社から送られてくる取引報告書で、確認することになります。また、過去10年以内に購入したものであれば、証券会社で調べてもらうことも可能です。

 それでもわからない場合には、自分が保管している、取引明細で確認することになりますが、預金通帳や家計簿、日記などで確認できるのであれば、それでもかまいません。

 過去の資料もない場合には、名義書換日を調べて、その日付から、証券会社のデータベースや新聞記事から把握することになります。


(3)特定口座と一般口座

 証券会社に口座を開設した場合に、特定口座か一般口座かを選択することになります。特定口座を選択すると、証券会社が、譲渡損益の管理を行ってくれます。さらに、特定口座を選択した方は、源泉徴収の有無を選ぶことになります。源泉徴収ありを選ぶと、譲渡益の10%が、口座から徴収されることになります。

 特定口座を選択しない場合には、一般口座となり、譲渡損益の管理は、自分で行うことになります。

 多くの証券会社は、特定口座の源泉徴収ありを進めますが、必ずしも、それが、税制上、一番有利とは限りません。


(4)一般口座で譲渡益の場合

 一般口座を選択し、1年間の収支がプラスの場合には、確定申告が必要になります。

 譲渡益に対する所得税7%は、確定申告で納めることになります。

 株の譲渡益には、住民税3%もかかりますが、これは、6月以降に納税することになります。会社からの給料天引きになっている場合には、通常、株の譲渡益分も一緒に給料天引きとなりますので、株の分の住民税は、別に納めたいという方は、確定申告書第二表の「自分で納付(普通徴収)」の欄に、チェックを入れてください。


(5)一般口座で譲渡損の場合

 一般口座で、譲渡損の場合には、確定申告は不要です。面倒くさがりの方は、申告をしないでそのままでもいいのですが、一手間をかけて、確定申告をすると、お得になる制度があるんです。

 それが、譲渡損失の繰越控除制度です。譲渡損が生じた場合には、確定申告をすることにより、翌年以後3年間の譲渡益と相殺することが可能になります。譲渡益が出ても、過去3年の赤字と相殺できるわけですから、申告の手間をかけるだけで、税負担が減少することになります。これは、申告を続けることによって受けられる制度ですから、忘れずに申告をしましょう。


(6)平成13年9月30日以前に取得した株式の売却

 平成13年9月30日以前に購入した株を売却した場合には、取得費を、平成13年10月1日の終値の80%相当額とすることができます。実際の購入額がいくらであろうと、取得費は固定されますので、親から相続でもらった株なんかを持っている場合には、計算上は、譲渡損となる場合も出てきます。

 実際の購入金額がわかっていて、そちらのほうが有利だという場合には、実際の株価で申告することも可能です。


(7)購入価額1,000万円までの非課税制度

 平成13年11月30日から平成14年12月31日までの間に購入した株式を、平成17年1月1日から平成19年12月31日までの間に売却した場合には、購入金額の合計が1,000万円に達するまでは、その譲渡は非課税となります。

 こちらも、確定申告が必要になります。


(8)特定口座(源泉徴収あり)の場合

 特定口座で源泉徴収ありを選択して、1年間の収支がプラスになっても、申告の必要はありません。源泉徴収ありの場合は、譲渡益に対して、証券会社の口座から、既に税金(所得税7%、住民税3%)が控除されていますので、改めて申告書を提出するという、投資家の手間を省く制度になっています。

 しかし、上記の(5)(6)(7)の制度は、確定申告をしないと受けられない制度
になっていますので、譲渡損が発生した場合や非課税制度を利用したい場合などは、申告の手間を惜しんだために、税負担が多くなることもあります。


(9)特定口座(源泉徴収なし)の場合

 特定口座で源泉徴収なしを選択して、1年間の収支がプラスになった場合には、確定申告の必要があります。損益計算は、証券会社でやってくれますので、証券会社が発行した報告書を元に、(4)と同じように、申告をすることになります。

 報告書は、証券会社から税務署にも提出されますので、申告を忘れますと、後で、追徴されることになります。

 譲渡損の場合には、(5)と同様、特例を利用するのであれば、申告が必要になりますが、面倒という方は、そのままでも大丈夫です。


(10)専業主婦は注意を

 年間の所得が38万円以下の人は、親や配偶者等の親族の扶養になります。この所得には、特定口座(源泉徴収あり)で確定申告をしなかった場合の譲渡益は、含まれません。

 ですから、たとえ20億円の儲けがあったデイトレーダーでも、他に所得がなく、確定申告をしなければ、扶養親族の対象になります。

 専業主婦や学生などで、株で収益が上がっている場合には、申告をしてしまうと、扶養からはずれることになり、配偶者や親の税負担が増えることになります。



 

(M.H)


※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

消費税簡単計算

2005年12月6日

 平成16年4月に、消費税の免税事業者の基準が、3,000万円から1,000万円に引き下げられました。そこで、申告書の記載事項順に、税込で損益計算書を作成している方のために、簡単な消費税の計算方法を紹介します。

(1)課税標準額

 1年間の売上を1.05で割ってください。この数値を1,000円未満切り捨てしたものが、課税標準額です。ただ、消費税は、売上の概念が広いので、固定資産の売却があった場合には、消費税では、売上ととらえますので、売却額を売上に加えるようにしてください。

 車両の下取りのように、所有資産と購入資産を入れ替えるような場合には、下取りの査定額が売上となります。

 なお、売上の中に、輸出分が入ってる場合には、輸出は、免税となりますので、消費税の計算から除外します。

 また、消費という性格や政策的配慮から、非課税となっているものもありますので、こちらも除外します。


(2)消費税額

 消費税の税率は、現在のところ4%となっています。意外でした?実は、消費税5%というのは、国税の消費税4%+地方消費税1%の合計となっています。

 1,000円未満切り捨てをした課税標準額に、4%をかけたものが、消費税額となります。


(3)控除対象仕入税額

 仕入や経費等で、支払った金額に、4/105をかけます。これは、税込5%のうちの4%分の消費税を求める計算式になります。経費のうちには、消費税がかからないものもありますので、除外する必要があります。たとえば、給料等の人件費、法定福利費、減価償却費、租税公課、保険料、諸会費等が除外対象になります。運送関係の方は、特に軽油税も除外する必要があります。


(4)差引税額

 (2)の消費税額から(3)の控除対象仕入税額を引いた金額になります。


(5)中間納付税額

 前期の消費税額が60万円を超えると、中間納税を行っていますので、中間納税額を控除します。申告の際には、実際に納税しているかどうかは問いませんので、未納場合でも、計算に含めます。


(6)納付税額

 (4)の差引税額から(5)の中間納付税額を控除した残額です。この金額が、マイナスになった場合には、消費税を払いすぎているということで、還付ということになります。


(7)課税資産の譲渡等の対価の額

 (1)課税標準額の1,000円未満を切り捨てする前の数値を記載します。


(8)資産の譲渡等の対価の額

 (7)の課税資産の譲渡等の対価の額に、非課税売上を加算した金額になります。特に非課税項目に該当するものがない場合でも、非課税の中に、利子がありますので、受取利息分は、加算する必要が出てくると思います。


(9)譲渡割額

 地方消費税の計算をします。税率1%というのは、国税の消費税の25%相当額という意味になっていますので、国税の消費税で計算した、4%分の金額に25%をかけて計算します。


(10)消費税及び地方消費税の合計(納付又は還付)税額

 国税の消費税4%分と地方消費税1%分を合計した金額を記載します。これが、確定申告で納付する消費税額になります。



 

(M.H)


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同業者団体の会費

2005年12月6日

 会社が所属する協会や連盟などの同業者団体が、会員のために行う広報活動、研修指導、その他通常の業務運営のための会費については、会社が支払ったときに、経費に計上することになります。
 
 ただし、会費の使途が、会員相互の懇親、政治献金などの場合には、会社がその団体に対して、支出した時点では、経費にならず、前払費用となります。その団体が、会費の目的のために支出した時点で、交際費や寄付金などの経費に計上できることになります。
 
 支払い時に経費にならないことから、多額の場合には、資金繰りに影響しますし、交際費や寄付金は、税金の計算上、支払額の一部が経費にならないなどの不利が生じる場合がありますので、注意が必要です。
 
 なお、その団体の入会金については、会員としての地位を譲渡可能であれば、資産計上し、譲渡時又は脱退時に、譲渡損益の計算をすることになります。譲渡ができない場合には、繰延資産となり、5年間で償却ということになります。


(2)社交団体の会費

 ロータリークラブ、ライオンズクラブ等の社交団体の会費は、法人会員として入会した場合には、交際費として、取り扱うこととなります。法人会員制度がないため、やむを得ず、社長などの個人名で入会せざるを得ない場合には交際という扱いに変わりはありませんが、それ以外で、個人名義で入会した場合には、社長等の賞与として扱われ、会社の経費にならない上に、社長等には、所得税が課税される可能性があります。
 
 入会金についても、会費と同様、法人会員であれば、交際費の扱いとなりますが、個人会員であれば、交際費の場合と個人の賞与の場合があります。


(3)青年会議所の会費

 青年会議所の会費は、会費の使途や目的、事業内容に応じて、判断することになります。懇親が目的の会費であれば、交際費に該当しますが、交際費以外の目的での会費であれば、全額が経費に計上できる場合もあります。ロータリークラブやライオンズクラブの会費に比べれば、割安ということが影響しているようです。


 

(M.H)

※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

資格取得手当

2005年11月10日

 従業員が資格や技術を習得するために、会社が費用を負担した場合には、原則として、従業員への給与となり、所得税の対象となります。会社は、給料という経費ですが、従業員側は、源泉所得税がかかるので、その分、手取りが減ることとなります。
 
 ただし、次の条件のいずれかを満たす場合には、給与には該当せず、源泉所得税が課税されない上に、会社も、福利厚生費等の経費となります。
 
・会社の仕事に直接必要な技術や知識を、従業員に習得させるための費用であること

・会社の仕事に直接必要な免許や資格を、従業員に取得させるための研修会や講習会などの出席費用であること

・会社の仕事に直接必要な分野の講義を、従業員に大学などで受けさせるための費用であること

 条件としては、「会社の仕事に直接必要であること」になります。また、会社が習得等を「させる」場合に限られます。自主的に勉強する場合は、給与課税になります。
 
 各人の業務内容によって、判断が分かれる場合がありますので、不安がある場合には、きちんと税理士等に相談する必要があるでしょう。

 なお、役員でも、会社の仕事に必要があれば、課税対象外になります。


 

(M.H)

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初めて消費税を納めるとき

2005年11月10日

(1)消費税の基本的な仕組み

 消費税の納税は、売上等でお客さんから預かった消費税から、仕入や経費等の支払に含まれる消費税を控除したあとの残りの消費税を、税務署へ納めることになっています。 


(2)納税義務の判定

 売上が1,000万円を超えた場合には、その2年後の分から消費税を納めることになります。つまり、2年前の売上が1,000万円を超えるかどうかによって、今年の消費税の納税義務があるかどうかを判断します。

(3)免税事業者から課税事業者になった場合

 前期に消費税の納税義務がなかった事業者(以下「免税事業者」という。)が、今期に消費税を納める事業者(以下「課税事業者」という。)となった場合には、前期末に所有していた棚卸資産について、消費税の調整をする必要があります。

 前期末に所有していた棚卸資産分の消費税を、今期の消費税の納税額から控除することになります。例えば、前期末に、105万円(税込)の棚卸資産があった場合には、105万円×5÷105=5万円の納税額が減ることになります。

 翌期に消費税の納税義務があるかどうかは、(2)から既にわかっていますので、免税事業者であるときに、商品を多めに購入しておけば、翌年の消費税を減らせる結果となります。ただ、在庫は、通常、利益になりますので、その分、法人税の負担が増えることになりますから、消費税の軽減以上に、法人税の負担が増えることのないよう、注意が必要です。

 なお、以前に課税事業者であった期間がある場合には、免税期間中に仕入れた棚卸資産についてだけが控除の対象となりますので、いつ仕入れたものかがわかるように、きちんと明細に記載しておく必要があります。


(4)課税事業者から免税事業者になった場合

 (3)とは逆に、課税事業者から免税事業者になる場合には、課税事業者である期の末日に所有している棚卸資産の分の消費税は、納めるべき消費税から、控除できないことになります。

 期末に商品を大量に仕入れても、消費税の軽減にはつながりませんので、やはり、消費税の納税のことも考えた、計画的な仕入が必要になってきますね。


(5)簡易課税を選択している場合

 (3)の場合も(4)の場合も、簡易課税制度を選択している場合には、棚卸資産の分の消費税について、考慮する必要はありません。簡易課税制度は、売上のみで、納税額を計算する制度ですので、仕入れた分の消費税については、納税額に影響してこないんですね。



 

(M.H)


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紹介料の支払い方|仙台市の税理士・ひなた税理士法人

2005年10月5日

 お客さんを紹介してもらったお礼に、紹介料を支払った場合には、原則として、交際費に該当します。交際費は、中小企業の場合、一部が経費になりませんので、その分、税負担が増すことになります。ただし、下記の要件を満たしていれば、販売手数料等の経費となり、税負担が増えることはありません。


(1)情報提供が業務かどうか

 不動産の仲介業者のように、紹介をすることが業務となっている業者に支払った紹介料は、交際費には該当しません。しかし、以前に家を建てたお客さんが、友人を紹介した場合のように、一般の人や会社が紹介をしてくれた場合には、下記(2)以降の、いろいろな制約が出てきます。


(2)支払い基準を公表すること

 紹介料を支払う場合には、事前に契約書を交わしておく必要があります。しかし、紹介キャンペーンなんかを行う場合には、全ての人と契約書を交わしておくのは、現実的には不可能でしょう。

 そのような場合には、必ずしも契約書を交わしておく必要はなく、事前に、紹介料の支払い基準を公表しておけば、事足りることとなっています。公表の方法には、チラシ等の広告、ダイレクトメール等の文書を出したり、会社に掲示したりする方法があります。

 口頭での公表でもかまいませんが、税務署の調査の際には、公表の証明が大変になりますので、避けたほうがいいでしょう。


(3)支払額が妥当であること

 紹介料の支払額が、その内容に対して、妥当な金額である必要があります。紹介料を支払ったことにより、赤字になったり、相手先によって、金額が増減しないようにしましょう。

 支払い基準が、契約額の何パーセントというような場合には、細かい金額の端数が生じることもあると思います。1,000円未満切捨てなどのように、一定基準での端数処理は、妥当の範囲になるようです。


(4)取引先の従業員でないこと

 会社の従業員が、自分が勤める会社を紹介して手数料を受け取った場合には、交際費に該当することになります。従業員ですから、自分が勤める会社の利益になることをするのは、当然ですよね。

 取引先の従業員でも、紹介先がその会社でないところであれば、交際費に該当しないことになります。


(5)紹介内容等

 契約書や書面において、紹介を受ける内容を、あらかじめ明らかにしておく必要があります。また、紹介後に、実際に業務を行う必要があります。成約にならなくとも、紹介を頂いただけで、紹介料を支払うというのではなく、成約分についてのみ紹介料を払うようにしてください。


(6)紹介料をもらったら

 紹介料を受け取った側については、会社であれば、収入に加算することはもちろんですが、個人であっても、所得税の対象になるのが原則であることを、忘れないでください。どのような形であれ、紹介料を受け取れば、申告の必要があることを付け加えておいたほうがいいでしょう。

(M.H)


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白色申告のしかた

2005年10月5日

(1)白色申告と青色申告

 ほとんどの会社は、税金上の特典があることから、税金の申告には、青色申告を選択します。しかし、青色申告にするためには、事前に税務署へ届出をしなければなりません。

 事前に届出をしなかった場合には、税金の申告は、白色申告となります。


(2)白色申告のしかた

 基本的には、白色申告でも、申告のしかたは一緒になります。言葉のとおり、使用する用紙が、白色と青色の違いはありますが、その他の添付書類として使用する別表用紙は、同じものを使います。

 ただ、青色申告の特典といわれるように、青色申告だからこそ利用できる制度がありますので、白色申告の場合には、その特典を利用することができません。

 例えば、中小企業の場合には、30万円未満の備品等の固定資産は、購入時に一括で経費に算入することができます。これは、青色申告の会社に認められた特典ですので、白色申告の場合には、一括で経費に算入できる金額は、10万円未満に引き下げになってしまいます。

 10万円以上の固定資産については、一括で経費にはできず、減価償却という方法で、数年間にわたり、徐々に経費計上していくことになります。


(3)設立時に届出を!

 青色申告を適用する際の事前届出には、期限が定められています。設立第1期の場合には、第1期の決算日の前日までに提出しなければなりません。これを過ぎますと、第1期は、白色申告となります。

 この場合、青色申告の特典である、繰越欠損金制度を利用することはできなくなります。創業当初というのは、設備投資などがかさみ、赤字になることが多くあります。この赤字は、青色申告であれば、将来の黒字と相殺して、税負担を軽減するのに活用できるのですが、白色申告ですと、黒字になったときは、黒字に対する税金を、そのまま負担することになります。

 書類1枚を提出し忘れただけで、余分な税金を負担することになりますので、忘れずに、「青色申告の承認申請書」を提出するようにしましょう。


(4)所得税の白色申告

 所得税にも白色申告があります。現在の所得税の青色申告は、様式が以前と変わったために、用紙の色が青色ではなく、白色申告と同じ用紙となっています。青色と白色の違いは、申告書の該当箇所に、○印を付けるか付けないかだけになります。

 用紙は同じでも、青色申告の特典を適用できないことには変わりありません。特に所得税では、お金の支出を伴わない特典もありますので、帳簿をきちんと付けて、青色申告を目指しましょう。

 なお、申告書に添付する決算書は、青色と白色では、用紙が違いますので、間違えないようにしてください。



 

(M.H)


※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

源泉徴収の注意点

2005年9月5日

 給料やボーナスを支払う場合、支給する側が所得税を天引きして支給し、差引いた税額を従業員に変わって国に納めます。この作業を源泉徴収といいますが、給料の支給時だけではなく、源泉徴収は他にも様々な場合に発生しますし、天引きのしかたに注意が必要なものもあります。


(1)弁護士、税理士等の報酬

 弁護士や税理士へ報酬を支払う際も、一定の所得税額を源泉徴収しなければなりません。源泉徴収の対象となる主な報酬と、税額の算出方法は次の通りです。

・弁護士や税理士等(※)への報酬
 源泉徴収税額=支払金額の10%(支払額が100万円以下の場合)
例えば、税理士報酬10万円の場合、10万円×10%=1万円を天引きし、9万円を支払います。

※弁護士、税理士以外の対象者
 公認会計士、計理士、会計士補、社会保険労務士、弁理士、企業診断員、測量士、測量士補、建築士、建築代理士、不動産鑑定士、不動産鑑定士補、技術士、技術士補、投資顧問業者、火災損害鑑定人、自動車等損害鑑定人

・司法書士等(※)への報酬
源泉徴収税額=(支払金額-1万円)×10%
例えば、司法書士報酬10万円の場合、(10万円-1万円)×10%=9千円を天引きし、9万1千円を支払います。

※司法書士以外の対象者
 土地家屋調査士、海事代理士


(2)アルバイトの源泉徴収

 アルバイトに給料を支払う際にも、社員と同様、源泉徴収が必要です。源泉徴収税額表を見て、天引きする金額を算出しますが、アルバイトでも「扶養控除等申告書」提出のあるなしで、税額表の「甲欄」を使うか「乙欄」を使うかが違います。提出があれば「甲欄」、なければ「乙欄」を使いますが、徴収する税額に大きな差が出てきます。(日給の場合は、日額表の「丙欄」を使う場合もあります。)

 例えば、「扶養控除等申告書」を提出したアルバイトの給料が、月100,000円だった場合は、天引きする税額は1,130円です。それに対して、「扶養控除等申告書」を提出していない場合は、同じ給料でも、天引きする税額は5,500円になります(扶養親族なしの場合。)。このように、支給額に差が出てしまうので、アルバイト代をもらう本人のためにも、提出させるようにしましょう。


(3)未払いとなった給料

 会社の資金繰りの都合で、給料日に社長の役員報酬の一部が未払いとなってしまった場合は、給料支給日に、未払を含めた本来支払うべき役員報酬総額に応じて、源泉所得税を天引きします。のちに未払いの給料分として支払いがあった際は、すでに源泉所得税を天引きしているため、源泉徴収の必要はありません。


(4)源泉所得税の納付

 給料や、税理士報酬等で徴収した源泉所得税は、支払いをした日の翌月10日までに国に納付しなければいけません。

 ただし、給料の支給人数が10人未満の場合は、納付手続きを簡単にするために半年に1回、まとめて納付することができる特例制度があります。特例制度を適用するためには「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を税務署に提出する必要があります。なお、忙しいときに臨時で使用した人を含めると10人以上になるけど、平常の状態においては10人未満という場合はこの特例制度を選択できます。

 特例を適用すると、1月~6月までの源泉所得税を7月10日、7月~12月までの源泉所得税を翌年1月10日までに納付となります。さらに、源泉所得税の滞納がなければ、12月20日までに「納期の特例適用者に係る納期限の特例に関する届出書」を税務署に提出することによって、1月10日の納期限を1月20日までに延ばすことが可能です。これらの届出書は、1枚の紙にセットになっていますので、納期特例を選択すると、自動的に、1月の納期限は、1月20日になります。7月の納期限は、延長されませんから、注意してくださいね。

 また、納期限が土、日、祝日にあたる時は、それぞれ納期限が繰り下げになります。


 

(Y.C)

 

※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

免税事業者の消費税の還付

2005年9月5日

(1)消費税の基本的な仕組み

 消費税の納税は、売上等でお客さんから預かった消費税から、仕入や経費等の支払に含まれる消費税を控除したあとの残りの消費税を、税務署へ納めることになっています。
 
 もし、仕入等の消費税のほうが、売上等の消費税よりも多かった場合は、どうなるでしょう。このように、払った消費税のほうが多い場合には、払いすぎた消費税分を、税務署が会社へ還付してくれることになります。


(2)納税義務の有無

 売上が1,000万円を超えた場合には、その2年(期)後の分から消費税を納めることになります。つまり、2年(期)前の売上が1,000万円を超えるかどうかによって、今年の消費税の納税義務があるかどうかを判断します。


(3)設立第1期と第2期の消費税

 会社を設立した第1期と第2期は、2期前の売上がありませんから、自動的に、消費税の納税義務は免除されます。第1期目の売上が、年換算で1,000万円を超えた場合には、第3期目から消費税を納めることになります。

 ただし、資本金が1,000万円以上の会社については、相当の売上規模があるとみなされ、第1期目から、消費税の納税義務が発生します。第1期目の売上が、年換算で1,000万円以下であれば、第3期目の消費税の納税義務は、免除されます。


(4)1・2期目の消費税の還付

 消費税の納税義務のない会社を「免税事業者」といいますが、免税事業者は、消費税の申告ができないことになっています。申告ができないということは、(1)で説明した、払いすぎた消費税の還付のための申告もできないんです。
 
 会社をはじめた当初は、事業に必要な設備を用意したり、販売のための仕入をしたりと、売上以上に支出がかさむことが、よくあります。こんな時に、払いすぎた消費税を取り戻す方法があります。
 
 設立第1期目の決算日までに、「消費税課税事業者選択届出書」を税務署に提出することにより、免税事業者であった第1期が、強制的に、課税事業者へと変わることになります。課税事業者というと、納税のイメージが伴いますが、意味合いとしては、消費税の申告を必ずしなければいけない事業者ということになりますので、納税の申告も還付の申告もできることになります。
 
 ただ、この課税事業者選択届出書を提出すると、2年間の強制適用となりますので、1年目で消費税の還付を受けても、2年目は納税という可能性が高くなります。目先の還付金にとらわれて、届出書を提出してしまうと、結果的に、税負担が多くなる可能性がありますので、事業計画をきちんと分析して、届出書を提出するかどうか、検討する必要があるでしょう。
 
 また、課税事業者選択届出書は、1度提出すると、永久に効力が発生しますので、途中で、強制的に課税事業者になることをやめたいと思ったときは、「消費税課税事業者選択不適用届出書」を提出する必要があります。この届出書を提出すれば、翌期からは、本来の2期前の売上が、1,000万円以下かどうかで、その期の納税義務を判定することになります。


 
(M.H)


※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。
 

収入印紙の豆知識

2005年8月5日

(1)収入印紙と印紙税

 印紙には、よく目にする収入印紙、法務局などで使用する登記印紙、特許申請に使用する特許印紙など様々ありますが、ここでは収入印紙について解説したいと思います。

 よく3万円以上の買い物をすると、200円の収入印紙が貼られた領収書を受け取りますよね。収入印紙は主に、印紙税の納付の為に使用します。印紙税は、契約書や領収書など、取引に際して作成される文書にかかる税金です。何気ない日常取引の中にも、印紙税という税金が関わってきます。


(2)課税文書と税額

 印紙税がかかるのは、税法で定められている課税文書に限られています。代表的なものをあげると次のとおりです。

・売上代金に係る金銭の受取書
 主に商品を売ったときの領収書、アパート家賃の領収書、工事代金の領収書 など。
・不動産、船舶又は航空機等の譲渡に関する契約書
 不動産売買契約書、不動産売渡証書など。
・消費貸借に関する契約書
 借入証書など。
・請負に関する契約書
 工事請負契約書、工事注文請書、広告契約書など。

 課税文書になるかどうかは、その文書の名称だけで判断するのではなく、実際の記載内容により判断するので、請求書がメインで領収書がくっついている書類でも、印紙が必要な場合があります。

 肝心な税額は、文書の種類と該当する記載金額によって違ってきます。最もよく使われる、売上代金に係る金銭の受領書については、広く知られているとおり、3万円未満が非課税です。3万円以上100万円未満の受領書は200円の印紙が必要になります。

 その他の課税文書に対する税額は、国税庁HPにある税額表でご確認下さい。


(3)印紙税納付を怠った場合

 印紙を貼るべき文書に貼っていなかったり、金額が不足していることが、調査で発覚した場合は、本来の税額+その2倍に相当する金額を過怠税として納めなければいけません。つまり本来の3倍の税金を払うことになります。ただし、調査を受ける前に未納や不足に気がつき、自主申告した場合は、本来の印紙税額+その10%(つまり本来の1.1倍)の金額の過怠税で済みます。なお、過怠税は法人税の延滞税と同じく、全額経費になりません。


(4)印紙税の還付

 決められた金額以上の印紙を貼ったり、貼る必要のない文書に印紙を貼ってしまった場合は、手続きにより国からお金を返してもらえます。そのためには、税務署にある「印紙税過誤納確認申請書」を記載して税務署に提出します。書類を提出する際は、間違って印紙を貼ってしまった書類と印鑑(法人の場合は代表者印)、還付金は銀行や郵便局の通帳に振込まれるので、口座番号が必要です。


(5)相殺の領収書

 会社間の取引の関係上、売掛金と買掛金を相殺することがあります。その際に発行する相殺の領収書には、印紙を貼る必要はありません。なぜなら、領収書といえども相殺は金銭の受取書に該当しないからです。ただし注意が必要です。領収書に「売掛金と買掛金を相殺」などの、相殺したことが分かるように記載しなければいけません。

 印紙税の節約の仕方について解説しておりますので、こちらもご覧下さい。





(Y.C)



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パソコンの経理処理

2005年8月5日

 パソコンの法定耐用年数は、なんと、4年です。それ以上前のパソコンを使っている方もいるでしょうし、中には、4年前のパソコンなんて使い物にならないと感じている方もいるでしょう。でも、残念ながら、法律でそう決まっていますので、税金の申告では、それに従うことになります。
 
 
(1)購入時の処理

 パソコンを購入したら、購入時に、「工具器具備品」(又は、「器具備品」、「備品」でも可。)という資産に計上します。
 
 でも、最近は、低価格のパソコンも販売されており、モニタ付きで79,800円というのもったりします。このように、購入代金が10万円未満の場合には、資産に計上しないで、「消耗品費」などの、経費にすることができます。
 
 10万円未満かどうかの判定は、1セットごとに行います。パソコン本体とディスプレイを別々に購入しても、単体では、使い物になりませんので、合計額で判定することになります。なお、ディスプレイのみの買い替えの場合には、単体で判定します。
 
 
(2)減価償却

 パソコンを購入したら、決算期ごとに減価償却をして、経費を計上していきます。減価償却の計算式は、下記のとおりです(定率法)。
 
 減価償却費=(購入代金-減価償却費の累計額)×償却率
 
 償却率は、耐用年数ごとに決まっており、4年の場合には、0.438になります。購入初年度だけは、購入月から決算月までの、月数按分が必要となりますので、計算式は、下記のとおりとなります。
 
 減価償却費=購入代金×償却率×購入月から決算月までの月数÷12ヶ月

 なお、パソコンでも、サーバー用に使用する場合には、耐用年数が5年(償却率0.319)となりますので、注意が必要です。


(3)設立第1期の減価償却

 設立第1期や決算期を変更した場合には、事業年度が、1年に満たない場合があります。1年に満たない場合には、耐用年数の改訂を行う必要があります。
 
 改訂耐用年数=法定耐用年数×12÷その事業年度の月数
 
 ・計算結果に1年未満の端数が出たときは、切捨。
  (例 4年×12÷5ヶ月=9.6年→9年)
 ・事業年度の月数は、1ヶ月未満の端数を切り上げて計算。
  (例 H17.8.5~H17.12.31は、4ヶ月と27日→5ヶ月)


(4)中小企業の特例

 資本金1億円以下の中小企業は、購入代金が30万円未満であれば、購入初年度に、購入代金の全額を経費に計上できます。
 
 この特例を適用するためには、税金の申告をする際に、申告書に添付する減価償却の明細書の備考欄に、次のように記載する必要があります。
 
 「取得価額 30万円未満の減価償却資産について措法67の8を適用している。また、適用した減価償却資産の取得価額の合計額は○○円であり、その明細は別途保管している。」
 
 文章の最後に、明細を別途保管の旨の記載があるとおり、全額経費に計上した資産については、別管理が必要になります。全額経費に計上しますから、決算書には、資産としてなにも載らないことになりますが、別の台帳で、パソコンの有無をきちんと把握するようにしてください。

 
(M.H)


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リース取引の種類

2005-06-06

2005年6月6日

(1)リース取引とは

 リース取引とは、物件の所有者からリース期間中に、その物件を借りて使用する代わりに、リース料を支払う取引です。かたくるしく書きましたが、「リース」という言葉は日常一般的に使われているので、だいたいの内容は知っていますよね。

 会社が結ぶリース取引は基本的に、契約期間の途中で契約を解除することができません。物件を使用することによってかかるコスト(設置料や保険料など)を、借りた側が負担するので、実際には自分のものとして使用するのと、ほとんど変わりません(一部例外あり。)。

 実は、リース取引は契約内容により、会計処理の方法が違ってきます。どのような契約を結べば、会社にとって有利なのか、検討することが大事です。


(2)リース料が経費になる取引

 通常の賃貸借取引のリースです。この場合はリース料を支払ったときに費用計上されます。リース期間が終了すると、返品することになりますが、契約更新することによって、再び使用することができます。

 このリース取引は税金対策にも効果があります。

 例えば、3月決算で多額の利益が出そうだったから、3月に新車を一括で買った。という場合は、車が資産計上されてしまい、1ヶ月分の減価償却分しか経費になりません。現金が減って利益が減らないという、考えと違う結果になってしまいます。

 ですが、支払いと同時に経費になるリース取引の場合は違います。たとえ、3月にリース契約をして、3月31日に1年分のリース料を前払した場合でも、短期前払費用となり、支払った1年分のリース料が経費になります。すると利益が少なくなり、支払う税金も抑えられることになりますね。


(3)リースなのに会社の資産に

 リース期間終了後に、無償でリース物件をもらえたり、リース期間が耐用年数に比べ極端に短い、などの一定の要件を満たしている場合は、リースといえども貸借対照表に資産として計上されます。
 
 この場合は、減価償却によって経費になるので、支払った金額と経費になる金額が一致しません。つまり、ローンを組んで物件を購入した場合とあまり変わらないことになります。


(4)リース取引のメリット

 リース取引にする大きなメリットは、購入する場合と違い、一度に多額の設備資金を用意する必用がないことです。資金上の問題で諦めていた設備投資も、これで有効に行うことができます。また、賃貸借取引になりますので、金融機関からの借入枠も使わずに済みます。
 
 その他に、契約内容によって法人税がお得になったり、通常よりも多額の減価償却できたりと、税金対策にも効果がある場合がありますので、リースを検討される際は当事務所にご相談下さい。

 

(Y.C)

 


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設備投資は、決算対策になるか?

2005年6月6日

 決算で大幅な利益が出そうなので、何か物を買って、少しでも税金を減らそう。昔から、節税策として考えられてきました。さて、どれほど、効果があるのか、検討してみましょう。

(1)減価償却

 3月決算の会社が、3月25日に、500万円のトラックを購入したとします。耐用年数を5年とすると、その年の減価償却費(定率法)は、次のようになります。
 
 5,000,000円×0.369×1月/12月=153,750円
 
 計算式中の「1月/12月」の部分は、月割り計算を意味しています。期の途中
で、減価償却対象となる資産を購入した場合には、初年度だけ、月割り計算で
減価償却費の計算をすることになります。税率を40%とすると、節税額は、次
のとおりです。
 
 153,750円×40%=61,500円

 そうなりますと、500万円の出費をしたにもかかわらず、浮いた税金は、61,500円ということになります。今期の税金を少しでも少なくしたいという目的には、全然合ってないですね。

 それでも、2年目以降は、現金の出金がなくとも、減価償却費という形で、購入費の500万円が徐々に経費に計上されますので、減価償却が行われる5年間という期間で見ると、最終的には、出金分のほぼ全額が経費に計上されることになります。

 もし、トラックを購入しなければ、500万円に対する税金は、200万円かかることになります。それでも、会社に300万円が残るわけですから、今後の運転資金として、有効に活用することができるのではないでしょうか。

 税金の計算では、出金=経費ではありませんので、節税だけに気を取られずに、今後の資金繰りや経営戦略を考えて、設備投資をする必要があります。


(2)特別償却

 購入したトラックが、天然ガス車の場合には、上記(1)の減価償却費に、特別に償却費を上乗せして計算できる、「特別償却」を適用できる場合があります。
 
 上乗せ計算が適用できるのは、一定の要件に該当したときで、主なものとしては、次ような制度があります。
 
 ・エネルギー需給構造改革推進設備等の取得
 ・中小企業者等の機械等の取得
 ・事業基盤強化設備の取得
 ・情報通信機器等の取得             他
 
 上乗せできる金額は、制度によって様々ですが、目安としては、購入金額の30%~50%となっています。
 
 この制度は、2期目以降の減価償却費の先取りの制度なので、トータルでの減価償却費には、影響がありません。ただ、初年度に限っては、購入代金の約12%~20%の節税が行えることになります。


(3)特別税額控除

 (2)の制度に代えて、法人税を直接減額する制度もあります。
 
 特別償却は、初年度の償却費を多く計上できるので、初年度の税金は少なくなりますが、2年目以降の減価償却費が、通常よりも減少してしまうため、逆に2年目以降の納税額が多くなってしまいます。

 税額控除制度は、減価償却費には、何の影響も与えませんので、単純に購入年度の法人税が少なくなることになります。金額は、制度によって、おおむね購入金額の7%~10%となっています。
 
 設備投資の時期、制度の選択により、納税額に大きく影響が出る場合がありますので、充分に検討する必要があります。


 

(M.H)

 


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平成17年度税制改正

2005年5月9日

 平成17年度税制改正の主なものについて、ご紹介いたします。

(1)定率減税の半減

 本来の所得税等の額から、一律に控除されていた定率減税を下記のとおり、半減することになりました。
 
        改正前         改正後
 所得税  20%(25万円限度)   10%(12.5万円限度)
 住民税  15%(4万円限度)   7.5%(2万円限度)
 
 本来の所得税額が10万円の人は、20%の定率減税により、負担すべき所得税が8万円となっていましたが、改正後は、9万円となります。

 この改正は、所得税については、平成18年1月の給料支給分から、住民税については、平成18年6月の給料支給分から適用されます。給料計算担当者は、年末に税務署から、新しい源泉税額表が送られてきますので、忘れずに処理する必要があります。


(2)住宅税制

 中古住宅について、税制上の特典を受けるためには、築年数が25年(木造20年)以内という制限がありましたが、一定の耐震基準に適合する場合には、築年数の制限がなくなりました。対象になる、住宅税制は、以下のとおりです。
 
 ・住宅ローン減税
 ・居住用財産の買換え等の譲渡所得税
 ・住宅取得投資金の相続時精算課税
 ・所有権移転登記、抵当権設定登記の登録免許税
 
 
(3)人材投資育成税制

 今年度から、新たに創設された、法人税の減額制度です。中小企業の場合には、支出した研修費の20%の減税を受けられる場合があります。対象になる研修費の範囲は、業務に関係する以下の支出になります。
 
 ・外部への研修委託費
 ・会社が指定した研修への参加費や受講費
 ・研修の講師に対する謝礼、講演料等
 ・研修会場の使用料
 ・研修の教材費                 など
 
 控除額の計算は、何種類かありますので、会社にとって、一番有利なものを選択することになります。また、この規定は、平成17年4月1日以後に開始する決算期から適用開始になりますので、大規模な研修を検討している場合には、実施時期を検討する必要があります。
 
 
(4)国民年金保険料の納付証明書の添付
 
 年末調整や確定申告の際に、国民年金保険料の社会保険料控除を受ける場合には、保険料納付証明書の添付が義務づけられました。
 
 タレントや国会議員の国民年金の未納問題に端を発し、これまでは、金額の記載のみで控除が可能だったものが、証明書を添付しなければ、控除を受けられないことになりました。会社の給与計算の担当者は、証明書の確認という手間が増えることになりますし、自営業者等の確定申告が必要な方は、証明書の保管が必要になってきます。
 
 
 その他にも、改正点がございますので、詳しいことは、当事務所にお問い合わせください。


 

(M.H)

 


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固定資産税

2005年4月4日
(1)固定資産税とは
 固定資産税とは1月1日現在、資産(土地・家屋・償却資産)を持っている人に対してかかる税金です。
 固定資産税の対象となる主な資産は、次のようなものです。
(土地)・・・宅地、田んぼ、畑はもちろん、池や沼、山、なども対象になります。
(家屋)・・・住宅、店舗、工場、倉庫、物置小屋などです。
(償却資産)・・・土地家屋以外の会社で使っている資産で、減価償却費として償却される資産をいいます。ただし自動車は償却資産の対象にはなりません。
(2)税金を納める人
 固定資産税を納めなければいけない人は、原則は資産の持ち主です。持ち主というのは建物や土地の場合、主に登記簿に所有者として登記されている人をいいます。償却資産の場合は、1月31日までに市町村に提出する「償却資産申告書」に所有者として登録されている人になります。
 固定資産税を計算するうえで重要なのは評価額です。土地と家屋の固定資産評価額は3年に1度、評価替えによって見直すことになっています。最近では平成15年度に、実施されました。
 固定資産評価は、国が決めた固定資産評価基準に基づいて実施され、最終的に市町村長が価額を決定します。この価額を課税標準額といいます。具体的な固定資産の評価方法については複雑なのでここでは省略します。
 このように決められた金額が、固定資産課税台帳に登録されます。
 償却資産の課税標準額は、所有者が毎年1月1日現在で所有している資産を申告して、償却資産申告書に記入された金額が課税標準額となります。
 税額の計算方法は、課税標準額×税率(1.4%)で、算出額が納めるべき固定資産税となります。
 今現在はほとんど税率1.4%ですが今後、地方の税収をアップするために税率が引き上げられるかもしれません。
 課税標準額は原則、固定資産評価額をそのまま使って計算するのですが、宅地については税負担の急増を抑えるためなどの目的で、課税標準額を調整するので評価額よりも低い課税標準額を基礎として計算することもあります。
 ただし、同じ行政区域内で固定資産の課税標準額が次の金額に満たない場合は、税金が免除されます。
(土地)・・・30万円 (家屋)・・・20万円 (償却資産)・・・150万円
(3)都市計画税とは
 都市計画税とは、都市のいろいろな計画事業を進めるためにかかる費用の一部を負担するための税金です。1月1日現在、市街化区域内に土地や家屋を持っている人が負担することになります。
 固定資産税の納税方法は、役所から送られてくる納税通知書により、4月、7月、12月、2月の4回に分けて納めることになります。
 その際、固定資産税と一緒に都市計画税も納めることになります。
 税額の計算方法は、おおむね、課税標準額×税率(0.3%)です。
 課税標準額は、基本的には固定資産税と同じく家屋や土地の価格です。
 宅地についても固定資産税と同じように、課税標準額を調整して税負担を抑えられる特例が認められています。
 なお、固定資産税が免税の場合は、都市計画税も課税されません。
 新築住宅の場合一部税額が減税されたり、火災や水害で損害を受けたとかで、特別な事情がある場合など、その他さまざまな減税の特例が認められています。
(4)縦覧制度
 土地や家屋を持っている納税者は、縦覧帳簿で自分が持っている土地や家屋の価格(評価額)を、同一区域内にある土地や家屋の価格と比較することができます。他と比較することによって、納税者が自分の土地や家屋の価格が適正かどうかを見分けることができます。この制度を縦覧制度といいます。
 縦覧帳簿には土地と家屋の2種類があります。それぞれ、所在地や評価額などが記載されていますが、所有者の名前や住所は記載されていませんので、「○○さんの土地の価格を知りたい」というような縦覧はできません。
 縦覧できる人は、あくまで固定資産税の納税者が対象になるので、基本的に納税義務がない人は縦覧することができません。しかし、納税者からの委任状があれば代理人として他人の帳簿を縦覧することができます。
 縦覧期間は、4月1日から最初の納期限の日までです。(ちなみに平成17年度の仙台市の場合は5月2日まで)資産が所在する役所、役場で見ることができます。縦覧による料金は無料ですが、縦覧申請書や本人確認がとれる免許証などが必要になります。
 なお、縦覧帳簿をコピーして持ち帰ることはできないので、メモ帳などを持参することをおすすめします。
(5)閲覧制度
 閲覧制度は縦覧制度と同じく、自分が持っている資産の価格を確認できる方法の1つです。
 閲覧は、市町村に登録されている自分の資産について、価格などを確認することができます。閲覧できる期間は、特に定めはありませんが、平成17年度分は4月1日からとなります。
 閲覧するには基本的に手数料がかかってしまいますが、縦覧期間中であれば特別、全国ほとんどの役所で無料で閲覧することができます。
(6)不服申立て
 送られてきた固定資産税納税通知書の価格以外の内容(所在地や面積)に納得がいかない、という場合はその納税通知書が送られてきた日の翌日から60日以内に、市町村長に対して不服申立てをすることができます。
 固定資産の価格について不満がある場合は、市町村長に対する不服申立てではなく、書面によって各市町村に設置している固定資産評価審査委員会に対する審査の申出となります。審査についても、納税通知書が送られてきた日の翌日から60日以内に申出をしなければなりませんので注意して下さい。
 ただし、評価替えの年以外は基本的に、価格においての不服審査の申出をすることはできません。 

(Y.C)

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愛知万博で節税

2005年4月4日

 予約システムのトラブルや弁当持ち込み禁止など、何かとお騒がせの愛知万博ですが、国税庁では、愛知万博に関する支出について、経費算入を優遇する取り扱いをしています。
 
(1)取引先に入場券を配った場合

 会社が、販売促進の目的で愛知万博の入場券のみを、取引先等に配布した場合には、その入場券の購入代金は、交際費以外の販売促進費等の経費として扱うことになります。
 
 ご存知のとおり、交際費に該当した場合には、中小企業でも、最低限、支出額の10%が経費として認められませんが、交際費以外の経費として扱うということは、全額、経費計上することが可能になります。
 
 ここで注意しなければいけないのは、入場券の配布が、販売促進を目的として行われるものでなければいけないことです。ある特定の人に配布したような場合には、原則通り、交際費となる場合もありますので、注意が必要です。
 
 また、配布するものは、「入場券のみ」ですので、一緒に、会場までの交通費や新幹線の切符などを渡さないようにしてくださいね。
 
 なお、個人事業者の場合には、交際費は、全額経費になります。


(2)愛知万博への社員旅行

 従業員の慰安やレクリエーションとして、愛知万博を見学する場合には、入場券の購入代金、会場までの交通費、宿泊費等については、福利厚生費となり、全額、経費に算入することになります。

 さらに、従業員の家族も一緒に万博の見学を行った場合には、その家族分の入場券等も、同様に福利厚生費として扱うことになります。通常、社員旅行では、家族を同伴し、その家族分の旅費を会社が負担した場合には、その従業員の給与という扱いになり、従業員に所得税がかかることになります。国がやってるだけに、愛知万博については、条件が大幅に緩和されてるんですね。
 
 社員旅行の日程のひとつとして、愛知万博を組み込んだ場合には、通常の社員旅行としての取り扱いになりますので、4泊5日以内や従業員の半数以上の参加等、種々の要件をクリアする必要があります。
 
 詳しくは、こちらを参照ください。


 
(M.H)


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贈与時の名義書換料は取得費に

2005年3月4日

 2月1日、最高裁判所は、「ゴルフ会員権を売却したときの譲渡所得税について、父から贈与を受けたときに支払った名義書換料が取得費になるか」を争った裁判で、取得費算入を認める判決を出しました。地裁、高裁では、取得費不算入の納税者側敗訴でしたが、一転して、納税者側勝訴の逆転判決となりました。
 
 
(1)これまでの取り扱い

 土地・建物の不動産やゴルフ会員権などを売却して、売却益が出た場合には、その売却益に対して、所得税がかかります。売却益は、次のように計算します。
 
売却益=収入-取得費-譲渡経費 (※取得費=購入代金-減価償却費)
 
 相続や贈与で不動産等を取得した場合には、購入代金がゼロですが、不動産やゴルフ会員権の名義を変更するための、登記費用や名義書換料がかかります。
これらの費用は、売却益を計算する際は、取得費として認められていませんでした。


(2)2月14日 通達公表

 国税庁は、最高裁の判決を受けて、今までの取り扱いを変更することになり、早速、2月14日に変更を公表し、HP上に公開しました。
 
 取得費に算入できることになったのは、不動産の登記費用、ゴルフ会員権の名義書換手数料の他に、不動産取得税、株式の名義書換手数料などとなっています。


(3)既に申告してしまった人はどうするか

・平成16年分
 今日(平成17年3月4日)の段階では、確定申告の期間中ですので、3月15日までに「訂正」の申告をすることが可能です。3月16日以降でも、5年間は、還付請求ができますので、混雑している税務署を避けて、のんびり行ってもいいかもしれませんね。
 
・平成15年分
 過去の税金を多く払いすぎた場合に、払いすぎの分を還付してもらう手続きを「更正の請求」といいます。更正の請求は、申告期限から1年間、行うことができますので、平成17年3月15日までに手続きを行うことになります。
 
・平成14年分以前
 更正の請求の期限を過ぎていますが、税務署長の職権によって、還付することが可能ですので、「嘆願書」を税務署に提出することになります。ただし、還付が可能なのは、法律上5年間と決まっていますので、平成10年分以前は、還付を受けることができなくなります。
 
 平成11年分については、手続きの関係上、3月10日頃までに嘆願書を提出しないと、期限に間に合わない可能性が出てきますので、急いだほうがいいですね。
 
 「更正の請求」は、所定の様式がありますので、その用紙を使用することになりますが、「嘆願書」は、様式が任意となっています。自分で作成してもいいですし、「更正の請求」の用紙のタイトルを「嘆願書」に代えて提出することも可能です。


(4)概算取得費で申告した場合

 購入代金がわからなかったり、タダでもらった不動産等を売却した場合には、収入金額の5%を取得費とすることができます。この5%相当額を概算取得費といいますが、概算取得費を使って申告をする場合には、名義書換料等の経費をさらに上乗せすることは、認められていません。
 
 過去に申告した概算取得費よりも、名義書換料等が多い場合には、税金が還付される可能性がありますので、当事務所にご相談ください。

 ちなみに、最高裁で勝訴判決を受けたの人の職業は、税理士です。

 
(M.H)

※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

交際費等は全額経費じゃない!?

2005年2月7日
 交際費等は、会社の売上を伸ばしたり、よい取引先を見つけたりするために使われたお金であれば、会社の必要経費として処理します。
 ですが、税務上の交際費等の扱いはちょっと違っています。この交際費等の中には無駄遣いした金額も含まれていると考えられ、一部が経費として認めてもらえません。
(1)交際費等は全額経費にならない!?
 現在、資本金が1億円以下の会社では、1年間に400万円までの支出した交際費等の90%分は、経費として認めてくれますが、あとの10%は経費にはなりません。
例えば・・・
 「資本金1千万円の会社が年間100万円の交際費等を使いました」
 100万円×90%=90万円
 経費になる金額90万円   経費にならない金額10万円
 になり、10万円に税率約30%分、約3万円が交際費等の税負担になります。
 では、資本金1千万円の会社が年間500万円の交際費等を支出した場合はどうでしょう。その場合でも、限度額400万円の90%、360万円しか経費になりません。あとの140万円は経費になりませんので、使いすぎには注意しましょう。
 資本金1億円を超える会社の交際費等については、全額経費にならず、税金がかかってしまいます。
例えば・・・
 1年で400万円の交際費等を使ったとすると、
 400万円×税率約40%=約160万円
 交際費等だけで約160万円の税金負担が確定することになります。
 赤字決算の場合には、基本的に税負担はありませんが、交際費等の金額によ
って、税負担が発生することもあります。
(2)間違えやすい交際費等
 交際費等は、範囲が広いために他の科目と間違えやすい科目です。
 業者を対象として、抽選会を開催したとします。そのときの賞品にかかる費用は、会社外部の人への贈答として、交際費等として処理することになります。
 ですが、よく商店街で見かける一般消費者を対象とした抽選会の場合は処理が違ってきます。この場合、交際費等ではなく広告宣伝費や販売促進費となり、全額費用として認められます。
 外部の人に賞品をあげたのだから、交際費等になるのでは?と思う方もいるかもしれませんが、対象が不特定多数の人であれば、交際費等にはならず広告宣伝扱いになります。
(3)ゴルフ費用の処理
 ゴルフクラブの入会金は、法人会員で契約した場合「ゴルフ会員権」として貸借対照表の資産の部に計上されることになります。また、そのゴルフクラブに支出する年会費やロッカー使用料等は交際費等になります。
 個人会員としての入会金や年会費等を会社で負担した場合は、その人に対する給与として処理します。
 ゴルフのプレー代については法人会員、個人会員にかかわらず、仕事上必要であれば、交際費等になります。そうでない場合は給与扱いです。
 給与扱いになれば、その人に所得税がかかることになります。さらに会社役員だったら、役員賞与になり、経費になりませんので注意して下さい。
 なお、ゴルフ場へ行くための高速代やタクシー代も交通費ではなく、交際費等となります。なので、帳簿をつける際「〜ゴルフ場タクシー代」のように普通の交通費と区別することが必要です。

(Y.C)

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