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医療控除から除外する保険金等|仙台市の税理士・ひなた税理士法人

2005年2月7日

 医療費控除とは、1年間に支払った医療費の一部を所得税の計算対象から控除することによって、所得税を軽減させることをいいます。原則として、次の計算式で計算した金額に税率をかけた金額が減税されます。この制度を受けるためには、確定申告が必要となります。

 (支払った医療費-受け取った保険金など)-10万円(※)
       (※)その年の所得によって10万円を下回る場合があります。


(1)対象になる医療費

 基本的に病院や薬局で支払った医療費であれば対象になりますが、一部対象にならないものもありますので、申告の際には、注意が必要です。以下に、主な具体例を挙げておきます。

 医療費控除から除外されるもの

・医師への謝礼
・健康診断の費用(健康診断により疾病等が発見された場合を除く。)
・ビタミン剤などのいわゆる健康食品の購入代金
・美容整形の費用
・通院のためのガソリン代


(2)出産費用

 出産費用は一時期に多額の医療費が発生しますので、控除を受けようと考えている方も多いと思いますが、その際は、以下の点に注意してください。

・妊娠と診断されてからの定期検診や検査などの費用、入院費は医療費控除の対象になります。

・タクシー、電車、バス等の通院費用は、医療費控除の対象になりますが、領収証がない場合には、家計簿やメモにより支払額を明確にしておきます。

・健康保険などから出産育児一時金や配偶者出産育児一時金などが支給されますので、その金額は医療費控除の額を計算する際に医療費から差し引かなければなりません。市町村によっては、「お祝い金」としているところもありますので、注意してください。


(3)歯の治療費

 歯の治療も保険が適用されずに医療費が高額になる場合がありますので、申告の際は次の点に注意してください。

・保険のきかない自由診療のうち、一般的な治療については、医療費控除の対象になりますが、必要以上に高額な材料を使用したり、容貌を美化したりするための治療は対象になりません。

・歯の治療費を歯科ローンにより支払う場合には、信販会社への金利や手数料相当分は、医療費控除の対象となりません。また、病院から領収証を発行されなかったときは、ローンの申込書等を用意してください。


(4)その他の注意点

・介護サービスも対象となるものがあります。

・医療費控除は、1月1日から12月31日を計算期間としますので、治療が年をまたいだ場合には、それぞれの年ごとに医療費の計算を行います。例えば、合計で17万円(12月に9万、1月に8万)の支払をした場合には、医療費控除を受けられない場合があります。

・原則として、領収証の提出又は提示が必要です。


(5)受け取った保険金等とは

 医療費控除を計算する際には、支払った医療について保険金等で補てんされた金額を、控除金額から除外することになっています。対象となる保険金等は、下記の通りです。
 
・健康保険等から受ける、高額療養費、移送費、出産育児一時金等
・損害保険、生命保険、共済等から受ける医療保険金、入院費給付金、傷害費用保険金等
・医療費の補てんのために受け取る損害賠償金
・互助会等から医療費の補てんのために受け取る給付金

 高額の入院給付金を受け取れる医療保険に加入していると、負担した入院費より、受け取った保険金のほうが、大きい場合があります。このようなときは、その入院費については、医療費控除の対象から除外することになります。ただし、オーバーした分は、他の医療費と相殺する必要はありませんので、他の医療費の合計が10万円を超えれば、医療費控除を受けることができます。


(6)保険金が未確定の場合

 12月の入院の分を保険会社に請求したところ、3月15日の確定申告期限までに入金されなかった場合には、一旦、概算額で確定申告を行うことになります。給付額が確定して、概算額と差額がある場合には、後日、訂正を行うことになります。結構、面倒なんですね。


(7)出産手当金

 健康保険に加入している本人が、子供を出産した場合には、出産育児一時金と出産手当金が支給されます。

 出産育児一時金は、1児につき30万円が支給され、上記に記載のとおり、医療費から控除することになります。
 
 出産手当金は、産前産後に会社を休んだために、受けることができなかった給料を補てんするために支給されます。医療費の補てんのために支給されるものではありませんので、医療費から控除する必要はありません。


(8)職員互助会からの給付金

 会社の互助会や親睦会から、医療費の補てんのために入院給付金を受け取ったときは、たとえ、任意の団体から受け取ったものでも、医療費の補てん目的であれば、医療費から控除する必要があります。
 
 ただし、入院という事実だけに基づいて、社交上の儀礼として支給される入院見舞金であれば、控除する必要はありません。


(9)交通事故の慰謝料を受け取った場合

 交通事故にあい、加害者側の保険から、慰謝料や保険金が支給された場合には、医療費の補てん目的で支給されたものであれば、医療費から控除することになります。
 
 また、慰謝料という収入が発生していますが、この受け取った慰謝料は、非課税となっています。

 

(M.H)


※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

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費用が資産に!?

2005年1月13日

(1)繰延資産とは

 会社で支出する費用のうち、支出の効果がそのときだけでなく1年以上に及ぶものを繰延資産といいます。

 繰延資産は車両などの固定資産の減価償却と同じで、期間に分散して費用化していくことが認められています。その間は資産計上して、未償却分を繰り延べていくから繰延資産というのですね。

 繰延資産は大きく2つに分けることが出来ます。
 1つは商法でも認められている「商法上の繰延資産」で、6種類あります。

 もう1つは「税法上の繰延資産」です。税法では商法で挙げられているものとは別に、繰延資産として資産計上しなければならないものがあります。例えば、公共的施設や共同的施設(商店街のアーケードなど)の負担金がこれにあたります。(20万円未満は資産計上不要)

 ここでは、商法上も認められている繰延資産について説明していきます。

(2)商法上も認められている繰延資産

・創業費
 会社設立に必要な設立諸費用や発起人への報酬、設立登記の登録免許税などに支出した費用です。

・開業費
 会社設立後、営業を始めるまでの開業準備のために特別に支出した費用です。
 「特別に支出した費用」なので、常に発生する費用は含まれません。

・新株発行費
 会社設立後、新たに株式を発行するために支出した費用です。
 株券の印刷費や、増資にあたっての登記の登録免許税などが該当します。

・社債発行費
 社債を発行するために支出した費用です。
 社債券の印刷費や、社債の登記の登録免許税などが該当します。

・社債発行差金
 社債を額面金額未満で発行した場合の、額面金額と発行金額との差額です。

・建設利息
 会社を設立しても2年以上にわたって開業できない場合に、株主に配当する利息です。

 以前は試験研究費と開発費も繰延資産として計上出来ました。しかし、2000年3月期からは支出があった決算期に一括費用処理することになりました。

(3)繰延資産の会計処理

 商法でも認められている繰延資産(社債発行差金は除く)については、商法上早く費用化することが要求されているので、税法もそれを考慮して自由に償却することを認めています。

 自由に償却出来るということは、支出額の範囲においていつでも、いくらでも費用に計上してもよい、ということです。

 商法では早く費用化するために、それぞれ次のように償却期限が定められています。

・創業費、開業費
 創業、開業後5年以内に最低5分の1以上を毎期償却

・新株発行費、社債発行費
 発行後、3年以内に最低3分の1以上を毎期償却

・社債発行差金
 社債の償還期間にわたって償却

 赤字が出そうな場合はその期の償却額を少なくして費用を抑えることが出来ます。また、利益が出そうな場合は一括で償却して利益を抑えることが出来るので、税金対策にもなります。

 

(Y.C)

 

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売上代金が回収不能になった場合の処理(貸倒損失)

2005年1月7日

 月末に入金予定だった売掛金が、相手先の倒産などにより、回収できないことがあります。回収不能のことを「貸倒」といいますが、この回収できなかった金額を、貸倒損失として経費にするためには、税法上の様々な基準をクリアしなければなりません。

 基準をクリアしないまま経費処理をすると、寄附金という扱いになり、資本金や利益金額に応じて、経費算入できない金額が出てきます。貸倒処理には、十分な検討が必要ですので、事前に必ず相談してくださいね。


(1)債権の全部又は一部が切捨てられた場合

 次に掲げるように、法的整理等によって、債権の切捨てが確定した場合には、その切捨てられた債権の金額を、強制的に損失に計上しなければなりません。

 ・会社更生法等による更生計画の認可の決定があった場合
 ・民事再生法による再生計画の認可の決定があった場合
 ・商法による特別清算の認可、若しくは、整理計画の決定があった場合
 ・破産法による強制和議の認可の決定があった場合
 ・債権者集会で、合理的な基準により協議決定があった場合
 ・第三者の斡旋による協議で、合理的な基準により債権切捨の契約があった場合
 ・長期間債務超過の会社に対して、書面により、債務免除の通知をした場合

 最初4つは、裁判所に申し立てをして手続を行うことになりますが、申し立てをした段階では、貸倒引当金の計上という形で、債権の50%程度を、経費に計上することができます。最終的な債務整理の決定がおりるまで、何年もかかる場合がありますので、債務整理が現在どのような状況なのか、チェックをしていく必要があります。

 最後の書面による債務免除(債権放棄)は、一般的には、内容証明郵便を利用し、証拠を残すようにします。また、一方的に債権放棄を通知しても、債務者に返済能力がある場合には、寄附金として取り扱われ、経費算入に制限が出てきます。


(2)全額回収不能見込の場合

 相手の資産状況や支払能力等から見て、債権全額の回収ができないことがわかったときは、その時点で、全額を貸倒として経費に計上することができます。
 
 (1)の法的整理等の場合には、強制的に経費に算入されますが、(2)の場合には、自主的に経費に算入するという意思表示をしなければなりません。回収不能が判明した時点でしか、経費算入ができないという規定になっていますので、経費算入の意思表示をしなかった場合には、法的整理等が行われるまで、経費算入ができない場合も出てきます。
 
 また、全額回収不能が条件ですから、一部でも回収の見込がある段階でこの規定を適用しても、貸倒とは認められず、寄附金の扱いになることがあります。
 
 担保を取っているときは、担保分の回収可能性がありますので、担保を処分した後の残りの債権を、経費処理することになります。


(3)1年以上取引がない場合等

 得意先との取引がなくなってから、1年以上経過した場合には、次の金額を貸倒として経費に計上することができます。
 
 貸倒金額=債権金額-1円(備忘価額)
 
 なお、債権は、売掛金や未収請負金等の売掛債権だけが、この規定の対象であり、貸付金や未収利息等は含まれません。また、取引停止をいつと見るかですが、得意先と直接の接触をせずに、振込で入金があった場合には、その入金日となります。取引停止には、継続的に取引を行っていることが前提になりますので、たまたま、一度だけの取引が回収不能になった場合には、対象になりません。
 
 そうそう、担保がある場合には、この規定は使えませんので、注意してください。

 さらに、同一地域の売掛債権の合計額が、旅費等の回収費用を下回り、督促をしても回収不能の場合には、上記と同じように、債権金額から1円を引いた金額を、貸倒として経費に計上することができます。

 この規定も、担保がある場合には、使えませんよ。


(5)貸倒処理した債権が回収できた場合

 既に回収不能として処理した債権が、ひょんなことから回収できたとします。こんなときは、あきらめていたものが回収できたということで、なんか、儲かった気がしますよね。
 
 経理上も、「気」だけじゃなく、本当の儲けとして、収入に加算しなければいけません。収入に計上する金額は、既に貸倒として経費処理した金額ではなく、実際に、回収した金額になります。このようなときの勘定科目を「償却済債権取立益」と言います。


(6)ゴルフ会員権の預託金

 民事再生法により、ゴルフ会員権の預託金の切捨があった場合には、その切捨てられた金額は、会社の貸倒として経費に計上されます。

 会社所有の場合には、経費に計上できますが、個人所有の会員権の切捨があった場合には、個人の所得税からは、何も控除されないことになります。含み損の出ている会員権は、ゴルフ場が破綻する前に、売買により譲渡損失として確定しておくことが必要です。

 

(M.H)

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青色申告の特典

2004年12月6日

 あなたの会社は青色申告法人ですか?

 わからなくても、青色申告法人か白色申告法人かを、すぐに確認できる方法があります。 法人税申告書の別表1の用紙が青色であれば、あなたの会社は青色申告法人です。

 そもそも、青色申告をして何になるの?白色申告と何が違うの?と思っている方もいると思います。


(1)青色申告の特典

 簡単に言うと、青色申告をすると税法上、白色申告には認められていない様々な特典が認められています。
 主な特典を紹介します。

・当期に発生してしまった赤字を、翌期以降最高7年間繰り越すことができる!
 
 なぜこれが特典になるのかというと、会社に利益が出れば当然、その分の税金を払うことになります。

 でも、青色申告で前期までに赤字を出していた場合、当期の利益と前期までの赤字を相殺することができるのです。
 前期までの赤字が2期以上の事業年度で発生している場合、最も古い事業年度に発生した赤字から順に控除します。

 つまり、前期までに発生してしまった赤字を、利益で埋めてしまうまでは税金を納めなくてもすむということです。

 平成16年の税制改正によって、赤字の繰り越し期間が5年から7年に延長されました。平成13年3月31日より前に始まった、事業年度に発生した赤字の繰り越し期間は5年間となりますので注意しましょう。

(設立5期まで限定)
・赤字を繰り戻して、1年だけさかのぼって納めた税額を返してもらえる!

例えば・・・

 前期は、売上がバンバン伸びて、利益を出して税金を納めたのに、当期はぜんぜん売上が伸びなくて赤字になってしまった。
 というような場合は、1年だけさかのぼって納めた税金を返してもらうことができます。

 解散等の場合を除き、平成4年4月1日から平成18年3月31日までの間に終了する各事業年度に発生した赤字については、この還付制度は適用できません。
 また、税金を支払った事業年度から、赤字発生の事業年度までの各事業年度について、申告期限内に青色申告で提出していなければ、還付請求をすることはできません。
 
 ここでは2つの特典を紹介しましたが、この他にも様々な特典があります。


(2)青色申告の適用要件

 では、どんな会社でも「青色申告をしたい!」と言えば認められるのか、というとそうもいきません。
 
 青色申告には様々な特典があるかわりに、様々な適用要件があります。その要件をクリアすることが必要です。

 青色申告を認めてもらおうとする会社は、申告書を提出しようとする事業年度が始まる日の前日までに、青色申告の承認申請書を税務署長に提出しなければいけません。

 ただし設立第1期目については、設立日から3ヶ月後と、決算日とのどちらか早い日の前日までに申請することが必要です。


(3)個人青色申告

 青色申告は会社だけではなく、個人の所得税にも認められています。

 所得税青色申告にも、会社の青色申告と同じで様々な有利な特典があります。主なものをあげると、

・最高65万円の青色申告特別控除

 所得の金額から最高65万円を控除することができます。
 貸借対照表、損益計算書、金額計算に関する明細書を申告書に添付する必要があります。
 平成16年の税制改正でこれまでの55万円の控除から65万円の控除に改正されました。よって、65万円控除は平成17年分の申告から適用となります。

・青色事業専従者給与の経費算入
・貸倒引当金の必要経費算入
・減価償却の必要経費算入  など
そのほか、所得税の青色申告の特典はまだまだたくさんあります。

 適用要件をクリアし、税金上お得な青色申告をおすすめします。
 

(M.H)

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経費の先取り引当金

2004年11月5日

 月末に入金予定だった売掛金が、相手先の倒産などにより、回収できないことがあります。回収不能のことを「貸倒」といいますが、この回収できなかった金額は、貸倒損失として、経費になります。
 
 このように、売掛金などの債権には、回収不能というリスクがつきまといます。税法では、回収不能リスクを経費として先取りする方法が認められています。この方法を、貸倒引当金の繰入といいます。
 
 経費を先取りできる引当金は、いろいろありますが、税法で認められているものを下記に紹介します。


(1)貸倒引当金

 金銭債権の回収不能に備えて計上する引当金を、貸倒引当金といいます。計上できる金額は、期末の債権額に対して、業種ごとに、次の率となっています。
 
 ・卸売業及び小売業(法人)・・・・・・・1.0%
 ・製造業(法人)・・・・・・・・・・・・0.8%
 ・その他の事業(法人)・・・・・・・・・0.6%
 ・個人事業・・・・・・・・・・・・・・・5.5%
 
 破産や手形の不渡り等が発生した場合には、回収できないと予想される金額を見積もって、経費に計上することができます。


(2)返品調整引当金

 売れ残った商品に対して、販売価額による買い戻しをする特約を結んでいる場合に、その買い戻しにより生じる損失の見込額を計上する引当金を、返品調整引当金といいます。計上できる金額は、過去の返品率をもとに計算した金額です。
 
 ただし、対象業種が限られており、出版業、医薬品販売、化粧品販売、CD販売などとなっております。


(3)退職給与引当金

 退職金制度を導入している場合に、将来の退職金支出に備えて計上する引当金を、退職給与引当金といいます。この引当金は、平成15年に廃止され、現在は、過去に計上した退職給与引当金を、強制的に、10年間で利益に振り返ることとされています。

 税法では廃止されましたが、会計では、「退職給付会計」として、計上が義務づけられています。


(4)準備金制度

 引当金制度は、会計上も認められている制度ですが、政策上の理由から、引当金と同じように、経費の先取りができる、「準備金」の制度が、税法では、認められています。
 
 主なものに、海外投資等損失準備金や特別修繕準備金がありますが、この制度が使えるのが、資源を開発する法人や船舶の修繕など、特殊なものに限られています。
 
 
(5)引当金の戻入

 引当金は、経費の先取りですから、将来、その経費が発生しなかった場合には、その先取りした経費は、戻さなければなりません。過去にさかのぼって戻すことはできませんから、発生しないことが確定した年に、利益に加算します。

 

(M.H)

 

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建物修理はすべて経費になるか

2004年11月5日

 会社が事務所などの修繕をした場合に、支払ったときに、全額「修繕費」として会社の経費になるわけではありません。
 
 支払時に経費になるかどうかは、修繕の内容に判断することになり、修理をした結果、事務所建物の使用できる期間が長くなった場合には、修繕費ではなく建物の追加取得になります。

 建物の追加取得となった場合には、決算において減価償却費を計上することになります。減価償却は耐用年数によって、毎年、費用配分していきますから、支払った金額全て経費になるには、何年もかかってしまいます。


(1)資産の取得になる場合

 会社が所有している資産の修理、改良等のために支払った金額のうち、修理によってその資産の使える年数が延長されたり、地震等にも耐えるように資産を改良し、耐久性等が増したと認められる部分の金額は資産の取得となります。

例えば、次のようなものは、資産の取得となります。

1.会社と物置とをつなぐ廊下の取り付け工事費用など、明らかに建物自体につけ加えた部分の金額

2.会議室の部分を車庫スペースに変えたとか、建物の使用目的を変えるための改造や改装にかかった金額

 修繕の内容により、判断するわけですが、例外があり、次のどちらかにあてはまる場合は、資産の取得になるかならないかの判定をすることなく、修繕費として経費処理することが認められています。

・修理、改良等にかかった金額が20万円未満の場合
・だいたい3年周期で行われる、修理、改良等の場合


(2)修繕費になる場合

 修繕とは本来、使っているものの働きを維持したり、もとの状態に戻したりすることをいうので、修繕費とは、建物や機械の働きをそのまま維持するために支払った金額をいいます。

 しかし実際には、修繕にかかった金額が、資産の取得になるのか、ものの働きを維持するためのものなのか判断しにくい場合があります。

 資産の取得になるのか修繕費になるのか、判断がつかない場合には、次のいずれかに該当するときは、経費処理することを認めています。

1.修繕にかかった金額が60万円未満だった場合
2.修繕にかかった金額が、修理した資産の取得価額の10%以下だった場合

例えば、3年前に1500万円で建てた事務所を100万円かけて大修理しました。判断がつかないので、請求書を見ると、「事務所工事代 100万円」としか書いておらず、修理にかかった部分と、資産取得の部分の区分がわかりませんでした。

 この場合、1500万円の10%(=150万円)以下になるので上記2から、経費処理することになります。

 明らかに、建物を増築したというような場合は、初めから資産の取得になります。


(3)税金負担への影響は

 さて、資産の取得として処理した場合と、修繕費として処理した場合では税金の負担は変わってくるのでしょうか?

 修繕費と判断された場合には、支払額全額が、その年の経費になり、利益が減少しますから、その年の税負担は、少なくなります。
 
 資産の取得と判断された場合には、減価償却によって毎年、費用配分されることになります。支払った年に計上できる経費が少なくなりますので、その年の税負担は、逆に増えることになります。
 
 資産の取得になるのか修繕費になるのか適切に判断することが重要です。そのためには、業者まかせではなく、見積書、請求書等にも細かく目を通しておくことが必要です。

 

(Y.C)

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クレジットカード決済

2004年10月6日

 会社の経費をクレジットカードで支払ったときの領収証や利用明細書って、どうしてますか?まさか、そのまま、捨ててしまうなんてことはないですよね。

(1)消費税における請求書等の保存

 当たり前と思われるかもしれませんが、消費税では、請求書や領収証(以下、「請求書等」)の保存が義務づけられています。そして、その請求書等には、次の事項が記載されていなければなりません。

 ・支払先の氏名又は名称
 ・取引年月日又は支払年月日
 ・取引の内容
 ・取引金額又は支払金額
 ・こちらの氏名又は名称(支払先が小売業の場合は省略可)


(2)クレジットカードでの決済

 クレジットカードで買い物をすると、後日、カード会社の締め日ことに集計した、請求明細書が送られてきます。この明細書があれば、買い物のときに渡される、レシート等は不要だと思っていないでしょうか?

 カード会社から送られて来る請求明細書に記載されているのは、年月日、店の名前、金額は記載されています。しかし、(1)の3つめ、「取引の内容」が、請求明細書には、記載されていないことが、多いのです。

 「取引の内容」が記載されているのが、買い物のときに渡されるレシート等になりますので、保存する必要が出てくるわけです。捨ててしまうと、消費税を余分に払うことになります。

     カード会社によっては、「電気代」のように、取引内容が掲載されている場合があります。その場合には、カードの利用明細の保存でよいことになります。


(3)金額が3万円(税込)未満の場合

 実は、1回の買い物が税込で3万円未満の場合には、レシート等の保存をしなくてもいいことになっています。

 と、言うことで、3万円以上の買い物のときは、レシート等の保存をお忘れなく。


(4)領収証がない場合

 3万円以上の買い物でも、自動販売機で購入したり、乗車券等のように、回収されてしまって、領収証等が無い場合には、例外として、領収証等を保存しなくてもいいことになっています。

 また、相手方に領収証等を発行してもらうように要求したにもかかわらず、相手方が、領収証等をくれない場合にも、例外として、保存しなくてもいいことになっています。

 このような場合には、鉄道会社や航空会社を除き、帳簿に、年月日、支払先の住所及び氏名又は名称、取引内容、支払金額、保存できない理由を記載しなければいけません。


(5)注意点

 レジで買い物をしたあとに、レシートとは別に、領収証を発行してもらう場合があります。そのときに、但し書きに「品代」と記載してもらったりしますが、「品代」では、取引の内容がわかりませんので、面倒でも、購入したものを記載してもらってください。

 また、「上様」も、こちらの名称ではありませんので、きちんと名称を記載してもらってください。(小売業の場合には、省略できます。)

 

(M.H)

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納税・申告が遅れたら罰金!?

2004年9月4日

 関西電力では、平成15年3月期(申告期限 平成15年6月2日)の消費税の確定申告を、手続きミスから忘れてしまい、約10日遅れで提出しました。納税のほうは、きちんと納期限に済んでいたのですが、申告が遅れたというペナルティーとして、12億円の無申告加算税が課税されたのです。
 http://www.kepco.co.jp/pressre/2004/0720-3j.html

 単なるうっかりミスのようですが、関西電力ほどの大企業になると、納税額が247億円という大きな金額になることから、追徴される金額も、莫大なものになってしまいます。

 税金には、申告期限や納付期限が定められています。その期限を過ぎてしまうと、罰金的な意味合いで、追加の税金がかかることになります。その追加の税金のことを附帯税といいます。以下に、具体的内容を示します。


(1)延滞税

 法定の納期限までに、国税を納付しなかったときには、納期限の翌日から納付日までの期間に応じて、年4.1%の率で延滞税がかかります。延滞税は、完納までの期間が、長くなればなるほど、率が上がっていくことになります。納期限から、2ヶ月が過ぎると、年14.6%という、サラ金並みの利率になってしまいます。
 
 100万円の税金を30日間延滞すると、次のようになります。
 
 1,000,000円×4.1%×30日÷365日=3,369円→3,300円(百円未満切捨)
 
 なお、納期限から1年を経過した場合には、原則として、それ以後の延滞税の計算は停止されます。だからって、納めないでいると、差し押さえの可能性もありますので、税金は期限内に納めましょう。
 
 
(補足)

 納期限から2ヶ月までの期間の利率は、毎年変わります。前年11月30日現在の公定歩合に4%を加算した率が、その年の延滞税の率になります。平成15年11月30日現在の公定歩合は、0.1%でしたので、0.1+4=4.1%となるわけです。
 現在は、公定歩合が低くなっていますが、今後上昇した場合でも、7.3%が上限となります。


(2)過少申告加算税

 期限内に申告書を提出した場合でも、その後、修正申告等で、税額が当初申告した金額より増加した場合には、その増額した金額の10%相当額の、過少申告加算税が追加せされます。
 
 ただし、修正申告書が税務署の調査が入る前に提出されたときは、過少申告加算税は賦課されません。申告後に何か、ちょっとした間違いがあったときは、早めに修正申告書を提出すると、余計な出費が無くなりますね。
 
 なお、修正申告等で増加した金額が、50万円を超える場合等一定の場合には、15%相当額の過少申告加算税が加算されることもあります。


(3)無申告加算税

 申告期限内に申告書を提出しないで、期限後に申告書を提出した場合には、15%の無申告加算税がかかることになります。

 こちらは、税務署が調査に入る前に、期限後申告書を提出したときは、15%
ではなく、5%が加算されることになります。
 
 上記の関西電力の場合には、調査前に提出しましたので、5%加算というこ
とになったんですね。


(4)不納付加算税

 給料等から天引きした源泉徴収税額を、納期限までに納めなかった場合には、10%の不納加算税が加算されます。源泉徴収税額は、納付=申告となりますので、加算税の名称がちょっと変わってるんですね。
 
 こちらは、税務署の調査が入る前に、納付をした場合には、加算されるのは、5%となります。
 
 納付をしませんと、毎年2月と8月頃に、直前半年分の税額の確認が行われ
ます。この確認が行われる前に納めれば、加算される金額は、5%で済むわけですね。


(5)重加算税

 修正申告書等を提出し、過少申告加算税の対象になる増加税額ある場合に、その増加した税額が、仮装、隠ぺいによるとき(いわゆる脱税をしたとき)は、15%の過少申告加算税ではなく、35%の重加算税が加算されることになります。
 
 これが、無申告の場合に脱税をしていると、40%の重加算税になります。脱税をしている方は、見つからないように注意してください。じゃなくて、脱税は割に合いませんから、やめときましょうね。


(6)延滞金、加算金

 (1)~(5)は、国税についての説明でした。事業税等の地方税にも、延滞金や加算金がかかるものがあります。ただし、延滞金の利率が4.1%となる期間は、2ヶ月ではなく、1ヶ月となりますので、注意が必要です。




 

(M.H)

※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

公示制度(長者番付)

2004年8月4日

 毎年5月になると、その年に行われた確定申告に基づいて、所得税額のランキングが発表されます。いわゆる長者番付というものですね。一般的には、所得税について、マスコミで大きく取り扱われますが、実は、所得税以外にも、法人税や相続税でも、公示される制度があるんです。
 
 公示方法というのが、各税務署の掲示板に掲示されるだけですので、税務署に用がなかったりすると、なかなか目にする機会が少ないかと思います。でも、よく見ると、意外な発見をしたりできるんです。
 
 税目ごとに、その違いを説明いたします。


(1)所得税

 所得税は、前年分をその年の2月16日から3月15日までの間に申告しますが、公示は、3月31日時点で、所得税額が1,000万円以上の者について、公示が行われます。これが、いわゆる長者番付となるものです。
 
 3月31日が、公示するかどうかの判定日になりますので、申告期限は過ぎてしまいますが、4月以降に申告をした場合には、所得税額がいくらになっても、公示の対象からはずれることになるわけです。
 
 この方法を使って、公示からはずれたのが、セコムの親族といわれています。


(2)法人税

 法人税にも公示制度があります。所得税と違うのは、公示の基準で、法人税の場合には、所得が4,000万円超が公示対象となります。また、法人の場合には、申告期限は、法人ごとに違いますので、とにかく、提出された申告書が、4,000万円超のものであれば、公示されることになります。しかも、申告書の種類は、申告期限内の確定申告の他、期限後に行う、修正申告も対象になります。
 
 通常は、申告期限から、1,2ヶ月後に、税務署の掲示板に掲示されますが、掲示内容をよく見ますと、3期連続で公示されている会社があったりします。恐らくこれは、税務調査等があり、3期分の修正申告を行ったのではないかという想像ができます。意外に有名企業が、修正申告をしてたりしますので、たまに、税務署の掲示板を見てみるのもいいですよ。
 
 修正申告で公示される方としては、できれば、載りたくないというのが心情でしょう。法人税の場合にも、裏技があり、修正申告は、公示対象になりますが、税務署長が職権で行う、更正や決定の手続きの場合には、公示対象から、はずれることになります。
 
 
(3)相続税

 相続税の場合には、亡くなった方の財産総額が5億円超の場合か、もらった財産の金額が2億円超の場合に、公示の対象になります。こちらも、税務署の掲示板に掲示されることになります。
 
 この公示を見ると、亡くなった方がどのぐらいの財産を持っていたのか、また、誰がどのぐらいの財産を相続したのかということを知ることができます。プライバシーも何もあったものではないですね。

 

(M.H)

※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

同族会社に関する規定

2004年8月4日

(1)同族会社とは

 同族会社とは、株主のうち、上位トップ3の株主の持ち株割合が、発行済株式の50%超を占める会社をいいます。「会社」が対象ですので、協同組合や医療法人は、除外されます。
 
 持ち株割合の計算は、親族を同一株主とみなすなど、細かな計算規定がありますので、株が分散している会社の場合には、注意が必要です。(と、言っても、ほとんどの会社は、社長一族の持ち株だけで、50%を超えると思いますので、あまり気にしなくてもいいかもしれませんね。)


(2)同族会社の留保金課税

 同族会社については、1年間の利益が一定金額を超えると、通常の法人税に上乗せする形で、法人税が余分にかかる仕組みとなっています。上場会社などには、通常の法人税しかかからないのに、同族会社というだけで、税金が増えてしまうんですね。
 
 これは、同族会社となると、会社も個人も財布は一緒という感覚になり、配当等をあまり行わなくなり、会社にお金を貯め込む傾向が出てきます。そうなると、国は、配当金に対する税金を徴収できるはずが、その分税収が減ってしまうので、会社から上乗せして徴収しようということになったんですね。
 
 上乗せされる金額は、課税留保金額に次の税率をかけた金額です。
 
 年3,000万円以下の金額 ・・・・・・・・・10%
 年3,000万円超年1億円以下の金額・・・・・15%
 年1億円超の金額 ・・・・・・・・・・・・20%
 
 なお、課税留保金額とは、次の算式により計算します。
 
 課税留保金額=(イ)-(ロ)

 (イ)留保金額=利益-法人税等-役員賞与-配当金
 
 (ロ)留保控除額=次の3つのうち、最も大きい金額
 
 ・利益の35%
 ・年1,500万円
 ・期末資本金×25%-期末利益積立金


(3)留保金課税の適用停止

 次に該当する場合には、法人税に上乗せされる、留保金課税がかかりません。
 
・新事業創出促進法に規定する、設立10年以内の中小企業者
 
 中小企業者の要件は、業種に応じて、資本金や従業員の数に制限があります。
 
 製造業・・・・資本金3億円以下又は従業員300人以下
 卸売業・・・・資本金1億円以下又は従業員100人以下
 サービス業・・資本金5,000万円以下又は従業員100人以下
 小売業・・・・資本金5,000万円以下又は従業員50人以下
 
 基本的に、設立10年以内の中小企業は、留保金課税が免除されることになりますが、創業時から、多額の利益ってそう簡単に出るものなんでしょうか。
 
・新事業創出促進法に規定する認定事業者

・資本金1億円以下で、自己資本比率(A/B)が、50%以下の会社
 
 A:自己資本+株主からの借入金
 B:A+負債


(4)役員としての取り扱い

 役員への給与には、経費算入に、様々な制限が設けられています。それに対して、使用人への給与には、特に制限はありません。同族会社は、役員就任について融通が利きますので、わざと使用人の立場にして、給与を経費に算入することがあります。
 
 本来は役員とすべき人を使用人にして、その人の給与を、制限なく、経費に算入する会社が出てくることになります。税法では、それを防ぐために、同族会社の使用人でも、役員として扱われることがあります。
 
 経営に参加している場合には、きちんと役員として就任させるほうがいいで
しょう。


(5)行為計算の否認

 同族会社の場合には、税務署長の職権で、強制的に収入を増加させたり、経費算入に制限を設けることが、できることになっています。
 
 同族会社は、株主=役員という場合が多く、経営監視の目が実質的に、無きに等しくなっておりますので、通常の会社では行わないような取引を、行う場合があります。例えば、関連会社に対して、通常の値段の半分で、商品を販売したり、株主に低利で資金を貸し付けたりすることがあります。
 
 その取引を行った結果、税金の負担を不当に減少させた場合には、税務署長は、その取引がなかったものとすることができます。

 

(M.H)

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IT投資促進税制

2004年7月6日

(1)概要

 青色申告をしている場合に、平成15年1月1日から平成18年3月31日までの間に、特定の情報通信機器を取得した場合には、減価償却費を多めに計上できたり、又は、税金の控除を受けられる制度です。


(2)要件(資本金3億円以下又は個人事業者)

 ・青色申告であること
 ・新品であること(中古はダメですよ!)
 ・自社で使用すること(まとめて買って、他社に貸すはダメです)
 ・一会計期間に購入した資産の合計額が140万円以上
  (ソフトウェアの場合、70万円以上)


(3)対象資産

 パソコン、ディスプレイ、スキャナー、プリンター、デジタルコピー機、FAX、IP電話設備、ソフトウェアなど


(4)特別償却

 通常の減価償却費に加えて、50%の特別償却費が上乗せされます。
 例えば、200万円のデジタル複写機を購入した場合には、次のようになります。
 
 ・通常の減価償却費(定率法)
  200万円×0.369=738,000円
  
 ・特別償却費
  200万円×50%=1,000,000円
  
 ・合計
  738,000+1,000,000円=1,738,000円
  
  通常の減価償却費よりも、100万円も多く、経費に計上できますよ。


(5)税額控除

 (4)の税額控除に代えて、税額控除を選択することもできます。どちらか一方の選択ですので、両方は適用できません。
 
 控除額=取得価額×10%(法人税の20%を限度)
 
 先ほどの、200万円のデジタル複写機ですと、200万円×10%=20万円分、法人税や所得税が、減額されるんですね。
 
 どちらかの選択ですが、さて、どちらを採用した方が得なのでしょうか?
 これは、購入初年度だけを見ますと、特別償却が有利になりますが、長い目で見ると、税額控除のほうが有利になるようになっています。
 
 税額控除は、控除ですので、単純に、税金が安くなりますが、特別償却という制度は、単なる経費の先取りなので、初年度の経費が増えても、耐用年数の5年トータルの経費としては、金額が変わらないからなんですね。
 
 ちょっと、わかりづらい説明になってしまいましたので、実際に申告をする際には、きちんと有利選択できるよう、情報提供いたします。


(6)リースの場合

 税額控除は、購入の他にも、リース契約により、対象資産を事業供用しても受けることができます。ただし、この場合の控除額は、次のようになります。
 
 控除額=リース料総額×60%×10%(法人税の20%を限度)
 
 つまり、リース料総額の6%が控除になるわけですね。


(7)繰越控除

 税額控除って、文字通り、税金の控除ですから、控除する税金がなければ適用できません。赤字の場合には、法人税がゼロですから、この特例を使っても、なんのメリットがないんです。まして、特別償却の場合ですと、経費が増えるわけですから、より、赤字が増加する結果になるわけですね。
 
 そのような会社のために、税額控除に1年間の繰越制度があります。
 
 今年、税金がゼロのために控除できなかったり、税額が少額で、特例の全額を控除できなかった場合には、控除できなかった金額を、1年間に限り繰り越すことができます。
 
 次の年に利益が出て、税額が発生すれば、翌年分の税金から、控除を受けることになります。この繰越を利用するためには、1年目に繰越制度を利用する旨の届出が必要になります。
 
 なお、2年目も税額が発生しなかった場合には、控除は受けられません。

 

(M.H)

 

※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

消費税の仕組み

2004年6月4日

(1)消費税の基本的な仕組み

 消費税の納税は、売上等でお客さんから預かった消費税から、仕入や経費等の支払に含まれる消費税を控除したあとの残りの消費税を、税務署へ納めることになっています。


(2)納税義務の有無

 売上が1,000万円を超えた場合には、その2年後の分から消費税を納めることになります。つまり、2年前の売上が1,000万円を超えるかどうかによって、今年の消費税の納税義務があるかどうかを判断します。

 平成16年開業の個人事業者を例に取りますと、次のようになります。
 
  年度   平成16年  平成17年  平成18年  平成19年  平成20年
  売上   500万円  1500万円 6000万円 500万円  1500万円
 納税義務   無     無     無     有     有

 このように、開業当初の2年間は、2年前の売上がゼロですので、消費税の納税義務はありません。平成18年には、2年前の売上がありますが、1,000万円以下ですので、消費税を納めなくていいことになります。
 
 また、平成19年の売上は500万円ですが、2年前の平成17年の売上が1,000万円を超えていますので、消費税を納めなければいけなくなります。
 
 平成20年も引き続き消費税を納めますが、平成21年には、2年前の平成19年の売上が1,000万円以下ですので、再び、消費税を納めなくてもいいことになります。
 
 今年の売上で判断するのではなく、2年前の売上で判断しますので、注意してくださいね。
 
 以前は、消費税の納税義務の基準は、3,000万円でしたが、改正により、個人事業者は平成17年分、法人は平成17年3月期以降の納税分から、1,000万円を基準に判断することになります。2年前の売上が判断のポイントですから、個人の場合には平成15年分の売上、法人の場合には平成15年3月期の売上により判定しますので、今から、売上を抑えても、残念ながら納税義務の有無には影響しません。
 
 この改正により、新たに消費税を納めることになる事業者が、大幅に増えることになります。今まで、お客さんから消費税をもらっていても、それを納める必要もなく自由に使えていたのが、これからは、納税が発生しますので、資金繰りには十分注意が必要です。

 ちなみに、年商2,000万円ですと、概算で年間30万円から50万円ぐらいの納税が発生するものと思われます。


(3)簡易課税

 (1)にも書きましたが、消費税は、売上の消費税から、経費等の消費税を控除した残額を納めるのが原則です。納税手続きの簡略化のため、小規模の事業者については、経費等の消費税額に関係なく、売上の分の消費税の一定割合を納める制度があります。この制度を「簡易課税」といいます。小規模かどうかの判定は、売上高5,000万円を基準にします。こちらも、2年前の売上で判断します。
 
  平成16年開業の個人事業者を例に取りますと、次のようになります。
 
  年度   平成16年  平成17年  平成18年  平成19年  平成20年
  売上   500万円  1500万円 6000万円 500万円  1500万円
 納税義務   無     無     無     有     有
 簡易課税  適用無   適用無   適用無 適用有 適用無

平成16年から18年は、消費税を納める必要がありませんから、簡易課税の適用もありません。平成19年は、2年前の平成17年の売上が5,000万円以下ですから、簡易課税を適用できます。

平成20年は、2年前の平成18年の売上が5,000万円を超えいていますので、簡易課税を適用することができません。

以前は、簡易課税適用の基準は、5,000万円ではなく、2億円でした。こちらも改正により、個人事業者の平成17年分、法人の平成17年3月期以降について、基準が引き下げとなります。

簡易課税を適用するためには、事前に届出が必要となります。また、1度届出を出すと、その届出の効力は、永久に続くことになります。ですので、簡易課税を止める時も、届出が必要です。ただし、1度、届出を出したら、2年間は、取りやめをすることができません。

設備投資等を考えている場合などは、簡易課税を適用することにより、納税額が増えてしまう場合もありますので、計画をきちんと立てておく必要があります。

なお、納めるべき一定割合とは、業種によって、次のようになっています。

卸売業  売上でもらった消費税の10%
小売業       〃     20%
建設・製造業    〃     30%
金融・保険業    〃     40%
サービス業     〃     50%


(4)課税事業者の選択

 2年前の売上が無かったり、1,000万円以下だったとしても、事前に届出をすることにより、消費税の納税義務者になることができます。
 
 なぜ、納めなくてもいいのに、わざわざ、消費税を納めるようにするのでしょうか?
 
 何度も書いていますが、消費税は、売上分の消費税から、経費等の消費税を控除した残額を納めます。経費等の金額には、設備投資の金額も含まれます。一時的に経費が増加したり、大規模な設備投資を行ったりすると、支払った消費税が預かった消費税より大きくなり、納税ではなく、国から払いすぎの消費税が、還付されることになるのです。
 
 なんか、得した気分になりますよね(^○^)。
 
 この届出も簡易課税と同じで、一度届出をすると、その効力は永久に続くことになりますので、止める場合には、その旨の届出をすることになります。ただし、1度、課税事業者を選択したら、2年間は、取りやめをすることができませんので、1年目で還付を受けたとしても、2年目は納税というようなことにもなりますので、きちんとした計画が必要になります。


(5)資本金1,000万円以上の会社

 新たに会社を設立した場合には、1期目と2期目は、2年前の売上がゼロですので、消費税を納める必要がありません。
 
 しかし、資本金が1,000万円以上の会社は、売上の規模も大きいだろうということで、1期目と2期目については、消費税の申告をしなければいけないことになっています。
 
 3期目以降は、2年前の売上がありますので、売上が1,000万円以下かどうかによって判断することになります。


(6)不動産収入の場合

 消費税の納税義務の判定基準が1,000万円引き下げられたことにより、今まで、消費税を納めてこなかった事業者も、これからは納める必要がでてきます。
 
 不動産収入で1,000万円を超えている場合にも、対象になりますが、不動産収入のうち、土地と居住用の賃貸料は、非課税となっています。1,000万円の判定には、非課税のものは除いて判定します。


(7)帳簿の記載

 経費等の消費税を控除するためには、帳簿と請求書等の保存が必要になります。請求等には、領収証が含まれますので、今まで、領収証だけで申告をしていた場合には、帳簿の保存がないと、控除ができないことになります。
 
 帳簿の記載事項は、次のようになります。この内容をきちんと記載していないと、消費税の納税が増える可能性がありますよ。
 
 ・支払先の氏名又は名称
 ・支払年月日
 ・支払の内容
 ・支払金額
 

(M.H)

※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

平成16年度税制改正

2004年5月6日

 今年は、小幅な改正といわれていますが、主な改正の内容をご紹介いたします。


(1)住宅ローン減税の延長

 ローンを利用して、住宅を取得した場合に、10年間、年末ローン残高の1%分、所得税が減額される制度が、平成16年末まで、延長されました。
 
 平成17年以降は、徐々に控除額が減少することになります。ちなみに、ローンを3,000万円としますと、住宅を取得する年により、10年間の控除額は、次のようになります。
 
 居住年     控除額
 平成16年    約270万円
 平成17年    約250万円
 平成18年    約240万円     ※特別減税を考慮しない。


(2)居住用財産の譲渡損の繰越控除

 居住用の不動産を売却して、取得時の金額よりも値下がりしたために、売却損が発生した場合には、給与などの他の所得と、相殺して、相殺しきれなかった金額は、3年間繰り越して、他の所得と相殺できることになりました。
 
 この制度は、以前からあったのですが、売った不動産にローンが残っていなければならない、新たに、居住用の不動産を取得しなければならないなどの、条件がありましたが、この条件が無くなりました。
 
 これによって、ローンの返済が終わっている不動産の売却や、賃貸アパート等への住み替えの場合にも、適用できるようになります。


(3)不動産売却の税率の引き下げ

 不動産を売却した場合の、売却益に対する、所得税の税率が引き下げられました。住民税を含めた税率は、次のようになります。
 
 長期譲渡(所有期間5年超)  20%(改正前26%)
 短期譲渡(所有期間5年以下) 39%(改正前52%)
 
 税率の引き下げと引き替えに、100万円の特別控除という制度が廃止されました。この廃止により、税率が引き下げられても、所得税の負担が増える場合もあります。


(4)損益通算の廃止

 居住用以外の不動産を売却して、売却損が発生した場合に、給与などの他の所得との相殺ができなくなりました。
 
 この改正は、増税は遡及しないという、税制改正の原則を破る、悪しき前例になる可能性があります。


(5)投資信託の税率の引き下げ

 株式投資信託の税率が、上場株式並みに、引き下げられました。売却益に対する税率が、所得税、住民税を合わせて、10%(改正前26%)になりました。また、特定口座での利用も可能になったり、売却損を繰り越せることになったりと、以前よりも、利用しやすくなりました。


(6)非上場株式の税率の引き下げ

 上場株式に比べて、割高だった、非上場株式の売却益に対する税率が、所得税、住民税を合わせて、20%(改正前26%)になりました。
 
 
 上記(2)から(6)の改正は、平成16年1月1日以後の売却から、適用されます。


(7)欠損金の繰越期間の延長

 法人の今期の赤字を、翌期以後5年間の黒字と相殺して、法人税がかからなくなる、繰越欠損金の制度が、5年から7年に延長されました。7年に延長されるのは、平成14年3月期以降の赤字からになります。

 これにより、帳簿の保存期間も、5年から7年に延長されました。また、税務調査の対象期間も延長されることになります。


(8)年金課税の強化

 公的年金等控除額が縮小されました。65歳以上の場合、年金からの最低控除額が、140万円から120万円になります(65歳未満は、70万円で変わりません。)


 この改正は、平成17年分から適用されます。


(9)老年者控除の廃止

 65歳以上の方(年間所得1000万円以下に限る)の老年者控除65万円が廃止されます。
 
 この改正は、平成17年分から適用されます。

 政府税制調査会でも話題になっていますが、これからは、高齢者の課税はどんどん強化されていくのでしょうか?


(10)青色申告特別控除の引き上げ

 平成17年分から、所得税の事業所得や不動産所得に対する、青色申告特別控除額が、65万円(現行55万円)に引き上げられました。これにより、青色申告を選択し、帳簿をきちんと付けることの有利さが、増すことになります。
 
 
(11)住民税均等割の引き上げ

 所得に関係なく、住民1人あたりに課税される、個人住民税の均等割が、平成17年分から下記のとおり、引き上げられ、統一されました。
 
       現行            改正後
 人口50万以上の市      3,000円 → 3,000円
 人口5万以上50万未満の市  2,500円 → 3,000円
 その他の市及び町村     2,000円 → 3,000円

 また、同一生計の妻に対する均等割の優遇措置も縮小され、パート収入100万円以上の場合には、平成18年から、全額課税されます。

 
(M.H)


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決算賞与

2004年4月5日

(1)従業員への賞与

 従業員へ賞与を支給した場合には、原則として、支給日に、会社の経費に計上することになります。
 
 例えば、賞与の計算期間が6月から11月分を、12月に支給というような場合には、11月に経費に計上することはできませんので、注意が必要です。

(2)決算賞与

 使用人に支給額を通知した日に、経費に計上できる場合もあります。そのために、下記の条件がついてきます。
 
 
・支給額を、支給を受けるすべての従業員に通知すること。

 従業員全員に通知することになっていますので、一部の幹部職員だけに通知するというわけにはいきません。また、それぞれ、個人個人の支給額を通知することになっていますので、「従業員全員で○○万円」という、通知のしかたも認められません。
 
 
・通知した金額を通知した従業員全員に支給すること

 通知した日から、支給日までの間に、急に退職することになり、退職した従業員には、支給しないということはできません。支給日で、支給することが確定していますので、社長が、辞める人間にまで、賞与を出したくないと思っても、支給しないわけにはいきません。


・決算日から1ヶ月以内に支給すること

 決算日が、3月31日であれば、4月30日までに支給しなければいけません。これを過ぎると、通知日ではなく、支給日で、経費に計上することになります。
 
 
・通知日の事業年度で損金経理すること

 損金経理とは、会社の決算で、経理処理することをいいます。決算書にきちんと経費として計上しましょう。


(3)通知手続き

 社長が口頭で、従業員に伝えても、上記の用件は満たしますが、後から、通知をしたかどうかの確認が不可能になりますので、書面で通知するようにしましょう。
 
 従業員同士の賞与額を、公にしたくないのであれば、個別に文書を渡すようにしましょう。
 
 業績賞与などの場合に、賞与を明らかにしたいと思えば、一覧表を提示して、従業員から、確認の押印又はサインをもらうようにしましょう。
 
 いずれの場合も、通知日が問題になりますので、日付をきちんと入れることを、忘れないでください。


(4)源泉徴収税額の算出

 賞与の場合の源泉徴収税額は、給与とは違ってきます。算出に使う数字は、次の2つです。
 
・前月の給与の総支給額から、非課税の通勤手当等と社会保険料を控除した金額
・扶養親族の数

この2つの数字を、源泉徴収税額表の別表第三に当てはめますと、税率が求められます。

その税率を、賞与額にかけて、源泉徴収税額を計算します。

なお、前月の給与がない場合、又は、前月の給与の10倍以上の賞与を支給する場合には、毎月の給料計算で使う、源泉徴収税額表の別表第一を使うことになります。

源泉徴収税額表は、最寄りの税務署でもらうか、国税庁のHPからダウンロードできます。
 

(M.H)


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消費税総額表示雑感

2004年4月5日

 4月1日から消費税の総額表示制度がスタートしました。各小売店とも、様々な工夫を凝らして、表示方法の変更を行ったようです。
 ただ、表示方法については、認められている方法と、認められない方法があります。先週の折り込み広告を見ますと、ほとんどの広告は、きちんと対応しているのですが、一部、認められていない方法で表示している店がありました。
 
 どのような表示方法かというと、100円(税込105円)という、表示方法です。

 いわゆる100円ショップがこの方法を採用するのではないかと思われていましたが、スーパーなどでもこの方法を採用したようです。
 
 しかし、問題がありました。この方法には、条件が付いており、税抜金額が税込金額より目立ってはいけないとなっています。スーパーのモ○ヤや靴小売りのA○Cマート、ラーメンの会○っぽなどは、明らかに目立っていますね。
皆さんも、近所で、確認してみてください。
 
 この総額表示制度によって、実質、値下げをしている小売店が多いようですが、景気回復傾向の雰囲気が出てきた状況が、デフレにより、逆戻りすることのないよう、祈るばかりです。

 また、総額表示制度は、一般消費者に価格を提示する場合に適用されることになっています。ということは、事業者間の取引や見積書を発行して、打ち合わせをしてから、金額を決めるような取引の場合には、総額表示制度は適用されません。
 
 しかし、これだけ、総額表示制度が報道されますと、営業中に誤解が生じる可能性が出てきます。例えば、従来どおり、見積書を出した際に、税別20万円で出したつもりが、相手業者では、4月から総額表示だからということで、税込20万円と勘違いしてしまう可能性が出てきます。
 
 都度の取引は、税抜で、締め日の合計請求書で、消費税を上乗せする方法で取引をしている場合には、支払の際に、トラブルになる可能性が出てきますので、これからは、税抜なのか、税込なのか、しっかりと明記した方がいいでしょう。
 
 詳しくは、直接、ご説明いたしますので、お問い合わせください。

 
(M.H)


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年金課税の強化(老年者控除と公的年金等控除)

2004年4月2日

(1)平成16年度税制改正

 平成17年分の所得税から、65歳以上の課税が強化されることになりました。
年金生活者にとっては、かなりの増税となりますので、実質的には、年金課税への強化となっています。


(2)老年者控除の廃止

 65歳以上方には、所得税を計算する際、50万円の所得控除がありましたが、この制度が、平成17年から廃止されます。
 
 なお、年間の所得が1,000万円を超える場合には、元々、この制度の適用はありません。


(3)公的年金等控除の縮小

 65歳以上の公的年金については、年金収入から、最低140万円を控除した金額が、所得税の対象となっていました。この最低控除額140万円が、平成17年からは、120万円に縮小されることになります。
 
 本来は、65歳未満と同じ、70万円になるところでしたが、上記の老年者控除の廃止とともに縮小されたのでは、一気に税負担が増してしまいますので、120万円にとどまったようです。
 
 
(4)どのぐらいの増税?

 年金収入が年間250万円の場合の、所得税対象額は、次のようになります。
 
・平成16年まで
 年金収入250万-年金控除140万円=110万円
 
・平成17年から
 年金収入250万ー年金控除120万円=130万円

 控除額の最低額の差額が20万円ですので、この場合の、所得税と住民税の差額は、約3万円の違いが出てきます。(特別減税を考慮しない。)

 年金の支給額が減額された上に、増税では、ますます、手取り額が減ってしまいますね。
 

(M.H)

 

※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

会社設立前の費用は経費になるか

2004年3月4日

(1)繰延資産

 繰延資産とは、支出した費用のうち、その支出の効果が1年以上に及ぶものをいいます。法人の設立にかかる「創業費」や新技術の発明のための「試験研究費」などが該当します。


(2)繰延資産の経理

 繰延資産に該当する場合には、経費として処理せずに、一旦「資産」に計上します。そして、決算のときに、減価償却と同じように、繰延資産の種類毎に定められた期間に応じて、償却費として経費に計上していくことになります。


(3)会社設立前の費用

 会社の設立日は、設立登記の申請をした日となります。本来であれば、設立日以降に支出したものが、経費となるのですが、実際には、設立日以前から、設立登記の登録免許税、定款認証料、創立事務所の家賃などが支出されることになります。
 
 商法では、定款において、設立以前に支出したものを、会社の負担とする旨を記載している場合に限り、会社の負担とすることができることになっています。しかし、法人税法では、そのような規定がありませんので、会社負担の記載がなくとも、会社の第1期の支出として処理することができることになります。
 
 これら、設立前に支出した費用が、創業費という「繰延資産」となります。


(4)創業費の経理方法

 創業費は、会社が経費としたい金額をいくらでも、経費に計上できます(もちろん、支出した金額が上限ですよ。)。

 創業費は、商法で規定されている繰延資産です。商法では、創業費は、5年以内に毎期均等額以上を償却しなければいけないことになっています。ちょっと、表現がわかりづらいので、100万円の創業費ですと、100万円÷5年=20万円ですので、20万円以上であれば、いくらでも、償却していいことになっています。
 
 では、法人税では、どのようになっているでしょうか?法人税法では、償却費として経費に計上できるのは、会社が償却をした金額となっています。この規定から、20万円以上であれば、商法にも法人税法に違反していない事になります。

(M.H)

 

※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

コンピューターソフトの経費処理

2004年2月5日

(1)経理処理

 ソフトウェアは、無形固定資産という資産の一種に該当します。無形固定資産は、建物や車両のように、一旦購入金額を資産に計上し、減価償却により、経費に算入していくこととなります。

 ソフトウェアの減価償却方法は、残存価額ゼロで、定額法により計算します。計算式は、次のようになります。会計期間の途中で、ソフトウェアを取得した場合には、月割りにより按分して計算します。

 減価償却費=取得価額×償却率(※)×取得から期末までの月数÷当期の月数

 償却率は、耐用年数によって定められており、ソフトウェアの耐用年数は、次のようになっています。

・販売用の原本・・・3年(償却率0.333)
・開発研究用・・・・3年(償却率0.333)
・その他・・・・・・5年(償却率0.200)

 通常のパッケージとして販売されているソフトウェアの場合には、5年で償却することになります。

 3月決算の法人が、1月に50万円のソフトウェアを購入した場合は、次のようになります。

 50万円×0.200×3÷12=25,000円


(2)少額償却資産

 ソフトウェアは、購入金額によって、(1)の経理方法の他に、特例が認められています。

・10万円未満の場合

 1ライセンスあたりの金額が10万円未満の場合には、その全額を経費に算入することができます。(1)の通常の減価償却も採用できます。

・10万円以上20万円未満の場合

 1ライセンス当たりの金額が10万円以上20万円未満の場合の場合には、一括償却という方法を採用できます。一括償却とは、毎期3分の1ずつ減価償却をしていく方法をいいます。この場合は、月数按分を行いません。また、途中で、ソフトウェアを処分しても、除却損を計上することはできません。(1)の通常の減価償却も採用できます。

・中小企業で30万円未満の場合

 資本金1億円以下の中小企業で、1ライセンス当たりの金額が30万円未満の場合には、その全額を経費に算入することができます。20万円未満であれば、上記の一括償却を採用することもできます。また、(1)の通常の減価償却も採用できます。


(3)プリインストールのパソコンの場合

 市販のパソコンの場合には、ウィンドウズなどのOSやワープロ、表計算ソフトなどが、既に組み込まれているものがほとんどなっております。このような場合には、パソコンとソフトウェアに区分することは、不可能ですので、全額をパソコンとして、耐用年数4年で減価償却をすることになります。


(4)バージョンアップなどの場合

 バージョンアップにかかった費用は、そのバージョンアップの内容により判断することになります。プログラムの機能上の障害の除去、現状の効用の維持等のように、小幅な修正は、修繕費として経費に算入することになります。

 しかし、新たな機能の追加、機能の向上等、大幅な修正は、減価償却の対象となります。

 ただし、バージョンアップの費用が10万円(中小企業は30万円)未満の場合には、上記(2)から、全額経費に算入できます。


(5)ソフトウェアを使わないことになった場合

 ソフトウェアをパソコンから削除し、パッケージ等も処分した場合には、廃棄となり、まだ減価償却をしていない部分の金額を、経費に算入することになります。

 パソコンにそのソフトウェアが残ったままでも、そのソフトウェアを使用する業務を行わないことになったり、新しいソフトウェアを使用して業務を行うことになったため、古いソフトウェアを使用しないことが明らかなときは、まだ減価償却をしていない部分の金額を、経費に算入することができます。


(6)IT投資促進税制

・合計で70万円(資本金3億円超の場合は600万円)以上購入した場合

 次の特別償却か税額控除を選択できます。

 特別償却費=取得価額×50%

 控除税額=取得価額×10%


・合計で100万円(資本金3億円以下に限る)以上のリースを組んだ場合

 次の税額控除を受けることができます。

 控除税額=リース料総額×60%×10%

 

(M.H)

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給与所得以外の所得が20万円以下の場合

2004年2月5日

 サラリーマンは、年末調整で給与に関する課税関係は終了しますので、原則として、所得税の確定申告をする必要がありません。しかし、給与以外の収入が20万円を超える場合には、確定申告をしなければなりません。

 「しなければなりません」ということは、逆に言いますと、給与以外の収入が20万円以下の場合には、確定申告をしなくてもいいことになっています。しなくてもいいから確定申告をしないというのは、本当に得なのでしょうか?

 給与以外の収入には、様々なものがあります。原稿料や講演料収入、アパート等の不動産の賃貸収入、養老保険の満期金、株や不動産の売却益、配当金、クイズの賞金etc.・・・。

 これらの収入の中には、源泉徴収という制度により、所得税が天引きされて支払われるものがあります。上記の中では、原稿料、講演料収入、配当金、クイズの賞金が該当します。天引きされる金額は、おおむね10%から20%となっています。

 確定申告をした場合には、給与とこれらの収入を合算して、所得税を計算し直すことになります。計算の結果、天引きされた金額が、所得税の前払いとなり、所得税の還付を受けられる場合があります。

 例えば、上場会社から1万円の配当を受け取った場合、10%の税金(1,000円)が控除され、手取額は、9,000円となります。この配当を合算して、確定申告をした結果、増額となった税金が800円であれば、既に1,000円が控除されていますので、これが前払税金となり、200円の還付を受けることができます。

 確定申告の時期は税務署が非常に混み合います。少額の還付金のために、わざわざ出向くのも面倒くさいという方もいらっしゃると思いますが、現在は、インターネットから申告書を自宅のプリンターで出力して、郵送で申告することも可能です。

 切手代も時間ももったいないという方は、還付の場合には、確定申告期限(3月15日)を過ぎても、罰則はありませんので、申告期限以降に税務署に出向けば、時間をかけずに申告ができることと思います。

 

(M.H)



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還付を受けられる人

2004年2月4日

・年の中途で退職したため年末調整を受けていない人

・災害、盗難、横領により損害を受けた人

・10万円以上の医療費を1年間に支出した人

・1万円以上の特定の寄付を行った人

・ローンで住宅を新築又は購入、若しくは、増改築を行った人

・その他

 

(M.H)

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