2024年12月18日
(1)会社(支給者)側の手続
退職金を支払う場合には、退職者に「退職所得の受給に関する申告書」を記載させ、その提出を受けます。
会社は、下記(3)の方法により、退職所得分の所得税と住民税を計算し、支給の際、退職金から税金を控除します。
控除した税金は、支給日の翌月10日までに、所轄の税務署及び退職者の住所地の市町村に納付します。
さらに、「退職所得の源泉徴収票」を作成して、退職者に渡します。
「退職所得の受給に関する申告書」の提出を受けないまま退職した場合には、上記の方法により税金を計算しないで、退職所得の20.42%の所得税を源泉徴収することとなります。
会社は、控除した所得税を所轄の税務署に翌月10日までに納付します。
申告書の提出があれば、所得税及び住民税額は、通常20%より少なくなります。
この制度を知らずに天引きをしなかったとしたら、税務署に約20%分の所得税を追加で払うように言われてしまいます。
会社が払った所得税は、会社が退職者から徴収することになりますが、退職者と連絡が取れなくて回収できないと、所得税は会社が負担することになります。
しかも、10%の不納付加算税が上乗せされる可能性があります。
(2)退職者の手続
「退職所得の受給に関する申告書」を提出した退職者は、源泉徴収だけで所得税の課税関係が終了します。
原則として確定申告をする必要はありません。
ただし、年金などのその他の所得がある場合には、確定申告をしなければなりません。
確定申告書には、納税額に影響が無くとも、退職所得の金額を記載しなければなりません。
「退職所得の受給に関する申告書」を提出せず、20.42%の所得税を源泉徴収された場合には、確定申告をすることによって、所得税の還付を受けることができます。
(3)所得税の金額
退職金は、通常、その支払いを受けるときに所得税と住民税が退職金から天引きされます。
この退職金は、他の所得に比べ税負担が軽く済むよう配慮されています。
退職所得の金額
=(退職金の額-退職所得控除額)×1/2
2分の1をかけることで、負担軽減になっています。
所得税額=退職所得の金額×税率-控除額
さらに、復興所得税が加算されます。
(4)退職所得控除額
退職所得控除額は退職した方の勤続年数に応じて次のようになります。
勤続年数 退職所得控除額
20年以下 40万円×勤続年数
20年超 70万円×(勤続年数-20年)+800万円
(注1)勤続年数に1年未満の端数があるときは、たとえ1日でも1年として計算します。
(注2)上記の算式によって計算した金額が80万円未満の場合は、80万円となります。
(注3)障害者となったことに直接基因して退職する場合は、上記により計算した金額に100万円加算された金額になります。
(M.H)
※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。