2024年7月18日
(1)従業員賞与は支払日に経費計上
従業員へ賞与を支払った場合は、その支払日に経費計上します。
今期の業績が順調で従業員へ少しでも還元したいという場合には、決算日までに賞与を支給すれば、その決算期の経費ですから、法人税負担を減らすことができます。
税務上はこれで問題ないのですが、経営上は従業員のモチベーションの低下につながる可能性があります。
経営者が賞与を支払うことにしたきっかけは、利益が出たからですが、決算書を従業員へ公開していなければ、どのぐらい利益が出ているかなんて従業員は知りません。
従業員は今年がんばったということで、賞与を受け取って喜ぶことでしょう。
経営者は法人税が減って、一見みんながウィンウィンの関係に思えます。
従業員からすれば、翌年もがんばって、また決算賞与をもらおうと思いますね。
ところが同じようにがんばっても、会社の利益が多くないからということで、決算賞与が出なかったらどうでしょう。
良かれと思って支給した決算賞与が、従業員の不満につながらないよう、十分な説明を尽くしてくださいね。
(2)未払決算賞与
資金繰りの都合等で決算日に賞与を支給できなくても、決算賞与を経費に計上する方法があります。
ただし、決算日までに、支給対象の従業員へ決算賞与の支給額を通知してください。
通知の方法は口頭でも良いことになっていますが、後から税務調査で通知日の確認が難しくなってしまいますので、記録に残るようにしてください。
文書で通知して、従業員から確認印をもらっておけば確実ですね。
グループウェアを利用していれば、システム上で通知日の確認が簡単にできます。
通知をしたら、決算日から1ヶ月以内に賞与を支給してください。
くれぐれも実際の支給まで1ヶ月の猶予があるから、じっくり利益の状況を見定めて、支給額の通知日を後から遡って記載しておこうなんて邪な考えは起こさないように。
決算日に通知した従業員が急に退職してしまうと、辞めた従業員には賞与を支給したくないと考えるのが経営者の発想ですね。
気持ちはわかりますが、一度通知したからには退職しても支給しなければ、他の従業員も含めた決算賞与全額が支給日の翌期の経費にしかなりません。
ここで確認してほしいのが就業規則や賃金規定です。
就業規則等には、賞与は支給日在職者に支給するとしている会社が多くあります。
この規定があると、未払賞与の計上は認められません。
決算賞与を未払計上する場合は、必ず就業規則を確認し、在職者支給規定を変更しておくようにしてください。
たとえこの規定を無視して、退職者にも支給したとしても未払賞与の計上は認められませんからね。
(M.H)
※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。