年末調整のよくある間違い2021|仙台市の税理士・ひなた会計事務所

2021年11月20日

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 年末調整を行うために、従業員は会社に対して次の3つの用紙を提出します。

●給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
●給与所得者の基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書
●給与所得者の保険料控除申告書

 2021年から提出書類への押印が不要になりました。

 また、2年目以降の住宅ローン控除を受ける人は、税務署から送られてきた住宅借入金等特別控除申告書と金融機関の借入金残高証明書も会社に提出します。

 2020年から、会社によっては電子データでの提出が可能です。


(1)年末調整とは

 会社は、毎月の給料や賞与を支払う際に、従業員の扶養家族の人数等に応じて、所得税を概算額で給料等から天引きすることとなっています。

 毎月天引きしている金額は概算額ですから、12月の給料支給時に1年分の所得税額を計算し直し、計算した所得税額と毎月の概算額との差額を精算します。

 この精算手続きのことを「年末調整」といいます。


(2)よくある間違い〜扶養控除等申告書編〜

●令和4年分扶養控除等申告書を使っている

 令和4年分の扶養控除等申告書を使って、令和2年分の年末調整をしている方は、注意してください。

 控除対象扶養親族は、16歳以上を記載しますが、令和4年分の申告書には、「平19.1.1以前生」と記載されています

 令和3年分の年末調整で扶養親族になるのは、「平18.1.1以前生」の16歳以上になります。

 15歳以下の扶養親族は、用紙下部の「住民税に関する事項」に記入します。

 生年月日がきちんと記載してあれば、年末調整担当者が判断できます。


●マイナンバーが記載されていない

 扶養控除等申告書を記入する場合には、マイナンバー(個人番号)の記載が必要になります。

 本人だけでなく、扶養親族のマイナンバーも必要です。

 ただし、前年以前にマイナンバーを記載し、会社が一覧表やデータで管理している場合は、記載不要です。


●会社のマイナンバーが記載されていない

 給与を支払う会社のマイナンバー(法人番号)を記載してください。

 なお、個人事業の場合は、マイナンバー(個人番号)を記載してはいけません。


●年収が1,095万円以下なのに源泉控除対象配偶者の記載がない

 本人の年収が1,095万円(所得900万円)以下、かつ、配偶者の年収が150万円(所得95万円)以下を、源泉控除対象配偶者といいます。

 夫婦の年収が基準以下の場合は、配偶者の氏名を記載します。


●扶養親族の所得金額欄に年収を記載している

 所得と年収は違います。扶養親族になるのは、所得が48万円以下の人です。

 所得とは、収入から経費を引いた金額をいいます。

 パートやアルバイトの場合、経費に相当する金額として、最低55万円が与えられています。

 パート収入が年間100万円の場合、所得は、100万円−55万円=45万円となり、所得が48万円以下ですから、扶養親族に該当することとなります。金額欄には「45万円」と記載します。

 パート収入は気にされている方が多いのですが、大学生の子供がいる場合には、子供のアルバイト代にも注意してください。

 稼ぎすぎていると、扶養親族に該当しなくなり、後で追徴課税されることがよくあります。

 また、年金の場合の、経費に相当する金額は、65歳以上で最低110万円、65歳未満で最低60万円とですので、年金額が158万円(65歳以上)又は108万円(65歳未満)の場合に、扶養親族に該当します。


●「同居老親等」に○が付いていない

 70歳以上の父母や祖父母を扶養している場合には、扶養控除の金額が増加します。

 さらに、同居しているかどうかでも金額が変わってきます。

 同居しているのに、ここに印が付いていないと、控除額で損をすることとなります。

 老人ホームなどに入居されている場合には、同居ではありませんので、こちらは○を付けてはいけません。


●「特定扶養親族」に○が付いていない

 19歳以上22歳以下の方を扶養している場合には、扶養控除の金額が増加します。該当する場合には、○を付けてください。

 生年月日がきちんと書かれていれば判断はできますが、たまに、生年月日も書かれていないときがあります。


●障害の内容が書かれていない

 本人や配偶者が障害者であったり、障害者を扶養していたりする場合には、控除額が増加します。障害者である旨を記載する欄がありますので、そちらもきちんと記入してください。

 また、障害の程度により、控除額も変わってきます。障害者手帳等に書かれている等級も記載するようにしてください。

 15歳以下の子供は、扶養控除の対象にはなりませんが、障害者控除の対象になりますので、忘れずに記載してください。


●ひとり親や寡婦を記載していない

 配偶者がいない場合には、控除額が増加することがあります。

 所得が48万円以下である子供と、一緒に生活していることが条件です。

 自分の所得が500万円以下でなければいけません。

 収入が給与のみであれば、給与収入約677万円以下が対象です。

 入籍していなくても、住民票に未届の夫又は未届の妻の記載がある場合は、対象になりません。

 該当する場合は「ひとり親」欄にチェックマークを付けてください。

 夫と死別して、その後結婚していない場合は、所得が500万円以下であれば、寡婦控除が受けられます。

 夫と離婚後結婚していなくて、扶養親族がいて、かつ、所得が500万円以下であれば、寡婦控除が受けられます。

 該当する場合は「寡婦」欄にチェックマークを付けてください。


●外国の扶養親族の証明書類を提出していない

 海外に居住する親族の扶養控除、配偶者控除、障害者控除を受ける場合は、「親族関係書類」と「送金関係書類」も提出しなければいけません。

 親族関係書類とは、戸籍の附票、パスポートや外国政府が発行した書類で親族関係がわかる書類です。

 送金関係書類とは、金融機関やクレジットカード会社の書類で、生活費や教育費に充てたことを明らかにする書類です。


(3)よくある間違い〜基礎控除申告書編〜

●年収2,695万円超なのに基礎控除申告書に記載している

 年間所得2,500万円超の場合は、基礎控除申告書に金額を記載しても、基礎控除は受けられません。

 給与収入の場合は、年収2,695万円以下の場合に記載してください。

 なお、給与以外に収入がある場合は、他の所得も合算して判断します。

 所得が1,000万円を超える場合は、配偶者控除等申告書の記載は不要です。


●会社のマイナンバーが記載されていない

 給与を支払う会社のマイナンバー(法人番号)は必要です。

 ただし、個人事業の場合は、マイナンバー(個人番号)を記載してはいけません。


(4)よくある間違い〜配偶者控除等申告書編〜


●年収1,000万円超なのに配偶者控除等申告書に記載している

 年収1,195万円(所得1,000万円)を超える場合には、配偶者控除も配偶者特別控除も受けられません。

 また、配偶者の所得が133万円を超える場合も、控除を受けられません。

 配偶者の収入が給与だけの場合は、年収2,015,999円未満であれば、控除の対象です。


●配偶者控除等の対象なのに、「扶養控除等申告書」のみで、「配偶者控除等申告書」を提出しない

 配偶者控除と配偶者特別控除がいくら適用されるかは、本人と配偶者の両方の所得が基準になります。

 申告書提出時の見積額でかまいませんから、年収や所得を記載するようにしましょう。

 後日所得が確定して、控除額が変わった場合は、訂正が可能です。

 翌年1月31日までであれば、勤務先で再年末調整をしてもらいます。

 それ以降は、自分で確定申告をすれば、差額が精算されます。

 なお、配偶者が海外に居住している場合は、扶養親族同様、親族であることと送金の証明が必要です。


●年金を記載しない

 年金をもらっている場合には、雑所得になります。

 65歳以上の場合は、年金収入から110万円を引いた金額が所得になります。

 65歳未満の場合は、年金収入から60万円を引いた金額が所得になります。

 ただし、65歳未満で年金収入が130万円を超える場合には、計算が必要になりますので、裏面を確認してください。


●配偶者控除等の金額が間違っている

 配偶者控除及び配偶者特別控除は、配偶者の所得の他に、本人の所得も関係してきます。

 判定がわかりづらい場合は、年末調整担当者が判断できるように、配偶者と本人両方の所得又は収入だけは記載してください。


(5)よくある間違い〜所得金額調整控除申告書編〜

●年収850万円超なのに所得金額調整控除申告書に記載していない

 給与の年収が850万円超で、23歳未満の扶養親族がいる場合は、所得金額調整控除の対象です。

 また、本人、配偶者、扶養親族のいずれかが特別障害者の場合にも、控除を受けられます。

 該当する欄にチェックマークを付けてください。

 合わせて、扶養親族や障害者手帳の内容も記載してください。


(6)よくある間違い〜保険料控除申告書編〜

●保険契約の内容を区分していない

 生命保険料控除は、生命保険の種類によって、「一般」、「介護医療」、「個人年金」の3種類に分かれています。

 なお、「一般」、「介護医療」、「個人年金」の区別は、証明書に、その保険がどれに該当するか記載されています。

 10、11月頃に生命保険会社から届いた控除証明書を確認してください。

 証明書が電子データで提供される場合があります。

 「年金保険」という名称の保険でも、「一般」に該当することもあります。

 「医療保険」という名称の保険でも、「一般」に該当することもあります。

 こくみん共済等の共済保険の場合には、「介護」に該当することもあります。

 平成24年1月1日以後の、新たな保険契約の締結の有無や、契約の変更の有無によって、控除額の計算式が変わります。


●自宅以外の地震保険料を控除している

 賃貸用や事業用の不動産の地震保険料は、いくら証明書があっても、控除の対象になりません。

 地震保険料控除は、居住用不動産が対象です。


●損害保険料控除もあります

 平成19年分より、損害保険料控除は、廃止されました。

 ただし、平成18年12月31日までに契約した長期損害保険契約については、19年以降も控除できます。地震保険料控除欄の「旧長期」に、○を付けてください。

 「長期」になるのは、保険期間が10年以上で、かつ、満期返戻金があるものです。

 期間が10年以上でも、満期返戻金が無いものもありますので、その場合は、対象になりません。


●平成18年までに契約した地震保険の二重控除

 平成18年12月31日以前に契約した地震保険には、長期損害保険料控除の対象になるものもあります。1つの保険料の支払いで2つの控除は受けられませんので、どちらか有利なほうを選択します。

 農協の建更等の証明書は、1つの保険契約で両方の証明金額が記載されていますので、注意が必要です。


●自分で払った健康保険料等を記載していない

 年の途中で無職の期間があった場合には、健康保険料や国民年金を自分で納付することになります。この自分で払った保険料は、申告が無いと、会社では一切把握できません。

 用紙の右側に記載する欄がありますので、自分で払った金額を記載してください。

 親が子供の国民年金を払ってあげた場合も、親の控除対象になります。

 なお、国民年金は、控除証明書か領収証の添付が必要です。健康保険は、領収証等の添付は必要ありません。

 給料から社会保険料が天引きされている人は、会社で計算しますので、記載する必要はありません。


●2年分前納の国民年金保険料の控除額を記載していない

 国民年金保険料を2年分前納した場合には、2年分全額を控除するか、年分ごとに控除するか、選択できます。

 2年分全額控除の場合は、前納した金額を記載してください。

 年ごとに控除したい場合は、「社会保険料(国民年金保険料)控除額内訳明細書」を添付する必要があります。


●自分で払った確定拠出年金(iDeCo)や小規模企業共済を記載していない

 自分で払ったiDeCoや小規模企業共済の掛金は、申告が無いと、会社では一切把握できません。

 用紙の右下に記載する欄がありますので、自分で払った金額を記載してください。


(5)よくある間違い〜計算編〜


●給与の締日で計算する

 例えば12月31日締め、翌年1月10日払いの給与は、令和3年分の給与となります。

 給与の締日と支給日が月をまたぐ場合には、年末調整は支給日で考えます。

 12月支給分までが、その年の年末調整の対象になります。


●令和19年まで復興特別所得税を上乗せ

 通常の税率で計算した所得税に102.1%をかけて、所得税と復興特別所得税を合わせて計算します。

 計算結果が過去の年末調整と違ってくる可能性があります。


●100円未満切り捨てのタイミングが違う

 復興所得税分を上乗せした税額で、100円未満の切り捨てします。


(6)よくある間違い〜納税編〜

●1月20日までに納税する

 6ヶ月分の源泉所得税をまとめて納税する「納期の特例」を適用している場合には、7月分から12月分の納期限は、翌年1月20日になります。

 毎月納付の場合の12月分の納期限は、翌年1月10日です。


●ゼロ申告をしていない

 年末調整の結果、還付額が多額で、源泉所得税の納税額がゼロの場合は、納税額ゼロの納付書を作成して、税務署に提出してください。

 e-Taxで送信しても大丈夫です。

(M.H)

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