賃上げ税制のための昇給は控えましょう|仙台市の税理士・ひなた会計事務所
2022年4月5日
(1)賃上げ税制とは
賃上げ税制とは、従業員の給与を増加させると、最大で増加額の40%の法人税減税ができる制度です。
前期比で2.5%以上の増加をすると、増加額の30%の法人税が減税されます。
2.5%まで行かなかったとしても、増加額が1.5%以上であれば、増加額の15%の減税ができます。
さらに教育訓練費が前期比10%以上増加させた場合は、控除額が10%上乗せされます。
2.5%以上の増加、かつ、10%以上の教育訓練費増加で、最大40%の減税がされるわけです。
この制度は、2022年4月以降に開始する決算期からの増加が対象です。
1年決算法人であれば2023年3月決算から適用です。
早めに昇給させてしまうと、税額控除の基準となる前期の給与支給額が増加してしまう可能性があります。
決算期にかかわらず4月昇給としている会社は、昇給のタイミングに注意してくださいね。
(2)給与支給額の増加額
増加率の判定の基準になる給与とは、月給以外にも賞与も対象にです。
月給で昇給させてしまうとその昇給額が継続してしまいますので、賞与の増額でこの制度を利用するという方法もありますね。
また会社全体の給与が対象ですから、正社員に限らず、
パート、アルバイトも含めて判定します。
ただし、役員の親族や使用人兼務役員は対象になりません。
大企業の制度と違い中小企業向けの制度では、新規採用者の給与も含めて給与の増加額を計算します。
(3)意外に少ない減税額
年間で給与を50万円増額させると、最大で20万円の減税となるように思われるかもしれませんが、果たして実際はそうなるでしょうか。
賃上げ税制というか、ほとんどの税額控除制度には、法人税額の20%という控除額の上限が設定されています。
20万円の減税となるためには、20万円÷20%=100万円以上の法人税を納税していないといけません。
法人税の税率が15%ですから、100万円÷15%=約666万円ですね。
つまり666万円以上の利益を出していれば、満額の控除を受けられるわけです。
増加額の最大40%の減税というよりは、法人税額の20%の減税という中小企業がかなり多いのではないでしょうか。
(M.H)
※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。