退職金で手取を増やす方法|仙台市の税理士・ひなた会計事務所

2021年6月4日

(1)退職所得は2分の1課税


 退職金に対する税金を計算するにあたって、まずは、勤続年数に応じた退職所得控除額を計算します。

 退職所得控除額は、次の算式で計算します。

 40万円×勤続年数(下限80万円)

 10年勤務した会社から、1,000万円の退職金が支給されたとします。

 10年の場合ですと、40万円×10年=400万円が控除額です。

 退職所得は2分の1課税ですから、退職金の1,000万円から控除額400万円を引いた600万円の半分の300万円が、所得税、住民税の課税対象額になります。

 300万円に税率をかけて計算しますと、所得税が約20万円、住民税が約30万円で、トータル約50万円の税金がかかります。

 1,000万円の退職金から税金を差し引いた、約950万円が手取りとなります。

 ちなみに、勤続年数が20年超の場合の退職所得控除額は、下記の算式で計算します。

 70万円×(勤続年数−20年)+800万円


(2)給与を減額、退職金を増額


 退職金の2分の1課税を利用するために、毎月の給与を5万円減額して、減額分を退職金として支給することに取り決めしたとします。

 5年後に退職すれば、300万円の退職金ということになります。

 この場合の退職金に対する所得税、住民税は、約8万円弱ですから、手取りで約292万円となります。

 毎月の給与を退職金に振り替えた結果、給与額や扶養の状況等によって個人差はありますが、5年間で80万円の手取り増加となる方もいます。


(3)勤続5年以内は2分の1課税縮小

 最終的な手取りが増えるなら、毎月の給与額を少額にして、その分退職金で受け取ろう考えたくなりますよね。

 残念ながら、2022年から退職所得の2分の1課税が縮小されます。

 2分の1課税にできるのは、上限300万円までとなります。

 つまり、高額の退職金は、手取りが減るということです。

 対象は、勤続年数5年以下の従業員です。

 なお、勤続年数は切り上げ計算ですから、1日でも超えれば1年増えます。

 計算過程は省略しますが、勤続5年で1,000万円の退職金が支給された場合、退職金の手取りが約76万円減少してしまいます。

 最終的な手取りが増えない可能性がありますので、よく考えて給与の設定をしましょう。


(4)役員の2分の1課税はそもそもナシ


 勤続5年以下の役員が受け取った退職金には、2分の1課税の制度はありません。

 退職所得控除は引けますが、引いた金額がそのまま所得税、住民税の課税対象です。

 300万円の上限もありません。

 優秀な人材を引き抜きたい場合に、手取りを増やすという観点からは、役員として迎え入れるのではなく、執行役員等の従業員として採用して、300万円上限の2分の1課税を利用するのも手かもしれませんね。

(M.H)

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