売上代金の回収ができない場合の処理|仙台市の税理士・ひなた会計事務所
2021年4月30日
(1)取引停止後1年で貸倒れ
売上代金が回収不能の場合、貸倒損失として損失計上するのですが、税法上は損失計上に厳しい要件がつけられています。
そのうちのひとつに、1年以上取引が停止した場合というのがあります。
最後の取引日、最後の入金日又は最後の入金予定日のうち最も遅い日から1年以上経過した場合は、貸倒損失として処理することが可能です。
最後の取引から1年以上経ったとしても、その取引が単発のものであった場合は、この制度の対象外です。
取引先の資産状況から見て、返済能力があると判断されれば、貸倒れになりません。
単に1年以上取引がないからというだけでは、貸倒損失にはなりませんので、相手先の支払能力の調査も必要になってきます。
(2)対象は売上代金のみ
この貸倒れ処理が可能なのは、売上代金のみで、貸付金には使えません。
また、担保がある場合や保証金等をとっている場合は、貸倒れにできません。
先に担保を処分しましょう。
さらに、回収にあたっての交通費等の取立費用が、債権額を上回らないと貸倒れになりません。
少しでも回収コストを上回るなら、回収の努力をしなければいけません。
(3)帳簿上は1円だけ残す
1年以上取引停止等の要件を満たしても、まちがって全額を損失計上してはいけません。
必ず、備忘価額を残します。
備忘価額は、1円以上であればいくらでもかまいません。
つまり、1円を引いた残額が、貸倒損失として損失計上できます。
回収コストに見合わない売掛債権が残っていないか、見直してみましょう。
(M.H)
※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。