社長の自宅は会社で|仙台市の税理士・ひなた会計事務所
2021年4月30日
(1)社長から家賃を徴収
会社で社長の自宅を購入した場合は、社長へタダで貸してはいけません。
少額でかまわないので、家賃を徴収しましょう。
少額といっても、1円とかではダメで、家賃として負担してもらわなければいけない最低額が決められています。
その最低額がビックリするほど、低額なのです。
(2)最低限度の家賃の計算方法
家賃の最低限度額を賃料相当額といい、計算式は下記のとおりです。
賃料相当額=A+B+C
A(建物の固定資産税の課税標準額)×0.2%
B12円×(その建物の総床面積(平方メートル)÷(3.3平方メートル))
C(敷地の固定資産税の課税標準額)×0.22%
どのぐらい安いのか、具体例で見てみましょう。
仙台市内で4,000万円で購入した約80平米のマンションですと、建物の課税標準額は約1,100万円、土地は
約30万円という物件があります。
これを計算式にあてはめますと、22,950円となります。
つまり、徴収すべき家賃は22,950円以上であれば、税務上は何ら問題が無いわけです。
しかも、会社は、減価償却費、支払利息、火災保険料、固定資産税、マンションの管理費等を経費に計上できるわけです。
なお、この計算式は、マンションであれば床面積99平米以下、木造又は軽量鉄骨の戸建であれば床面積132平米以下でなければ使えません。
(3)小規模でない社宅の計算方法
上記の床面積を上回る場合の計算式は、下記のとおりです。
賃料相当額=(A+B)÷12
A(建物の固定資産税の課税標準額)×12%
※木造又は軽量鉄骨の戸建の場合は12%ではなく10%を乗じます。
B(敷地の固定資産税の課税標準額)×6%
仙台市内で6,000万円で購入した約100平米のマンションでしたら、建物の課税標準額約1,400万円、土地の課税標準額約40万円とします。
計算結果は142,000円です。
床面積の大きい物件ですと、個人で購入したときの負担額とそれほど差は出ないかもしれませんね。
それでも、個人で支払う金額よりは安い家賃で、住むことができるのではないでしょうか。
ただし、プール付きであったり、趣味用の設備があったり、又は、床面積が240平米超の場合には、豪華社宅と認定されれば、相場に見合った家賃を負担する必要があります。
(4)社宅が賃貸の場合
賃貸の場合には、大家に払う家賃と、会社に払う家賃が明確ですから、負担の差がもっとわかりやすくなると思います。
賃貸ですと、固定資産税の通知は所有者である大家さんに行くため、計算しようが無いと思っていませんか。
賃貸契約書のコピーを役所に提出すれば、賃貸人でも、固定資産税額を確認することができるのです。
また、固定資産税は3年に1度評価額の見直しがありますので、3の倍数の年には、家賃の見直しを行ってくださいね。
なお、小規模でない社宅の場合は、賃料相当額が会社が大家に支払う家賃の半額以下であれば、家賃の半額相当額を負担する必要があります。
(5)タダで貸してしまうと
社長から家賃を徴収せずに、タダで貸した場合は、上記で計算した賃料相当額の給料が支払われたとして、所得税の課税対象になります。
社長が負担している家賃が、賃料相当額より安い場合は、差額が給与として課税されます。
幸いにして、毎月定額なので、会社の経費にはなりますが。
(M.H)
※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。