テレワーク導入が地方税に及ぼす影響|仙台市の税理士・ひなた会計事務所
2020年7月20日
(1)地方税法の「事務所」とテレワーク
法人の事業を行っている場所が「事務所」に該当すると法人事業税を納める先の増加やその場所の地方公共団体から新たに法人住民税の均等割が課税されます。
テレワークで在宅勤務をすると、自宅で法人の事業の一部を行うことになります。
自宅が「事務所」に該当するとされないために、どのような点に注意が必要でしょうか。
(2)「事務所」に該当するかどうかの判断基準
地方税法の「事務所」に該当するかどうかは
・その場所に事業へ従事する人がいること
・その場所に事業へ用いる設備等があること
・その場所で継続して事業を行っていること
以上、3つの要件を総合勘案して各自治体が判断することになります。
各自治体でより詳しく判断基準を出しているところもあります。
一般的に自宅を「事務所」と捉えることには違和感を持つかもしれませんが、この3つの基準をみると、自宅は「事務所」ではないとも言い切れません。
(3)「事務所」と判断されないためのポイント
・在宅勤務をする人がアルバイトやパートタイマーだから
・その場所で収益等が上がっていないから
以上の理由では、「事務所」ではないと言えません。
よって、在宅勤務するアルバイトの自宅が交通の便の良い場所にあるため、以後その場所も会社の商品の引き渡し場所とするような場合、「事務所」に該当します。
一方で、一時的に事業のために使用する目的であれば、その場所で継続して事業をしているとはならないため、新型コロナの緊急事態宣言が出されている間だけ在宅勤務するという場合には「事務所」と判断されません。
(4)今後継続的にテレワークを採用する場合
職場でやっていた業務を自宅でやる以上の設備を揃えると「事務所」と判断されやすくなります。
テレワークが快適にできるように量販店でパソコンを購入し、それを用いて会社のサーバーにアクセスし、遠隔で業務をすることは問題ないと考えられます
一方で、例えば、
・職場で使う専用ソフトが自宅のパソコンにもインストールされている
・職場で作業するIDと自宅から作業するIDとがある
・自宅へ法人用のネット回線が引かれている
・自宅に独自の業務書類保管庫がある
ような場合、その自宅で独自の業務を行っていると考えられるため、「事務所」に該当するとされる可能性は高いです。
新型コロナウィルスの影響で、テレワークやサテライトオフィスを導入する会社も増えてきました。
特に、在宅勤務の場合、従来の職場との違いから、仕事がやりづらいとの声もあり、自宅の作業環境を充実させようと考えている方も多いと思いますが、
やりすぎると会社の納める税金に影響が出るかもしれないので注意が必要です。
(T.S)
※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。