リース資産が被災した場合|仙台市の税理士・ひなた会計事務所
2011.9.20
(1)残存リース料の支払い
リース契約により使用している事業用の資産が、災害より使用不能となった場合には、その時点でリース契約は解除となり、リース会社から、支払いが残っているリース料の全額を請求されることになります。
リース会社へ残りのリース料を支払った場合には、次のような仕訳になります。
(借方)リース債務 ×× (貸方)現金預金 ××
固定資産除却損 △△ 固定資産 △△
現在、リース契約は、ローンでの資産購入という扱いになっていますから、ローンの支払い処理と同時に、固定資産の除却処理も行います。
とは言っても、被災した状況の中で、残りのリース料の一括支払いを求められても、難しいところがあります。その場合は、リース会社との交渉によって、一部減額や免除、分割払いに応じてもらえることも、あるようです。
減額や免除となった場合には、その分支払いが少なくなって得をするわけですから、実際の支払額と残存リース料との差額を、「リース債務解約益」として、特別利益に計上することになります。
(2)リース料で経費処理している場合
古い契約や中小企業の場合には、「リース料」や「賃借料」という科目で、経費処理をしている場合があります。残存リース料を一括で支払った場合には、支払額全額を経費計上することになります。
一括支払額を「リース料」で経費処理をしてしまいますと、金額によっては、営業利益が極端に減ったり、営業赤字になったりしてしまいます。
決算書の見栄えが悪い時は、「リース債務解約損」という科目で特別損失に計上すれば、営業利益や経常利益を確保して、銀行融資や官公庁の入札の審査に与える影響を、少なくすることができます。
逆に節税をしたい場合には、災害があった決算期において、リース会社へ支払わなくてはいけない金額を契約から算出して、支払いをする前であっても、未払金として、経費計上することも可能です。
(3)消費税控除のタイミング
リース契約時に、固定資産に計上する経理方法を採っている場合には、残存リース料を一括で支払っても、納める消費税には影響しません。契約時点で、リース資産の消費税については、控除が終了しているためです。
リース料で経理処理している場合には、未払分の消費税の控除処理がされていない可能性が高いですので、一括支払いの時点で、納める消費税から控除することになります。
(M.H)
※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。