5棟10室基準|仙台市の税理士・ひなた会計事務所
2010.3.5
(1)事業的規模と確定申告
不動産の賃貸を行っている場合、事業的規模かどうかによって、所得税の計算が変わってきます。
事業的規模であれば、損益計算書の他に、複式簿記によって貸借対照表を作成している場合には、65万円の青色申告特別控除を受けられます。事業的規模でない場合には、控除額は、10万円になってしまいます。事業的規模かどうかで、55万円も差が出るのは大きいですね。
また、不動産の管理や集金等の業務を行っている家族に,給与を払っている場合には、一定の条件を満たせば、その給与を経費にすることもできます。原則として、家族への給与は、経費になりませんので、所得が分散されることによって、税負担が大幅に軽減されるかもしれません。
ただし、事業的規模で、利益が290万円以上の場合には、都道府県から個人事業税が課税されることになります。個人事業税の税額は、利益の5%となります。特典ばかりでなく、負担が増えることもあることを、知っておいてくださいね。
(2)5棟10室基準
事業的規模の判断は、社会通念上事業と称する程度かで、決めることになっていますが、これではわかりづらいので、形式基準が定められています。それが一般に5棟10室基準というものです。
形式基準では、アパートやマンションの貸付部屋数が10室以上である場合、事業的規模とすることになります。これをクリアするために、一部屋の大きさを小さめにして10室になるようにしているアパートもあったりします。
貸家の場合には、1棟をアパート2室として計算します。貸家が5棟であれば、10室と同等ということで、事業的規模になります。
月極駐車場の場合には、5台分をアパート1室として計算します。駐車台数が50台分確保できる駐車場であれば、事業的規模になります。
駐車場以外の貸地の場合には、貸地1件がアパート1室になります。貸地10件がそのまま10室ということで、事業的規模になります。
これらの基準は、個別に判定するのではなく、組み合わせて判定していきます。例えば、6室のアパート1棟、貸家1棟、月極駐車場10台というような場合には、
6室+1棟×2+10台÷5=10室
となり、事業的規模ということになります。
形式基準を下回れば、事業的規模にならないわけではありません。2室でも年間の不動産収入が1,500万円ということで、事業的規模と認められている事例もあります。あくまでも、社会通念上で判断することになるのですが、この形式基準をクリアしていれば、事業的規模ということになりますから、安心感はありますね。
(M.H)