買収した会社の欠損金
2008.5.2
◇◆◇買収した会社の欠損金◇◆◇
(1)青色欠損金の繰越控除
青色申告の会社が赤字になった場合、その赤字は、翌年以降の黒字と相殺し
て、法人税の計算をすることになります。相殺しきれない場合には、さらに次
の年の黒字と相殺することになり、最終的に、赤字は、最長7年間繰り越すこ
とになります。
(2)特定株主等に支配された場合の不適用
多額の欠損金を有する赤字会社や休眠会社の株を買い取り、その会社の会社
名や役員を入れ替えて、新たに事業を開始すると、新事業の黒字と買収以前の
赤字とを相殺して、法人税の圧縮をすることが可能になります。
それを防ぐために、新しい株主が発行済み株式総数の50%超を所有すること
になってから5年間は、買収した赤字会社の繰越欠損金利用できず、買収後の
黒字と相殺できないようになっています。
なお、5年経過前に繰越欠損金が使えるようになる場合もありますので、そ
の様な事例を以下に掲載しておきますね。
(3)休眠会社が事業を再開した場合
株式譲渡をするまで事業を営んでいなかった会社を買収した場合には、事業
を再開又は新たに開始した決算期より前に発生した欠損金は、繰り越しするこ
とができません。
(4)異なる事業を開始する場合
会社買収後に、それまで営んでいた事業を廃止して、廃止した事業の売上金
額のおおむね5倍以上の借入れ等を行った場合は、その借入れを行った決算期
より前に発生した欠損金は、繰り越しすることができません。
(5)赤字会社の債権を取得した場合
会社を買収した株主が、赤字会社のほとんどの債権を格安で取得し、買収前
の売上金額のおおむね5倍以上の借入れ等を行った場合は、その借入れを行っ
た決算期より前に発生した欠損金は、繰り越しすることができません。
(6)役員・従業員のほとんどが辞めた場合
会社買収後に、買収される前の常務取締役以上の全役員が退任し、使用人も
20%以上が退職し、新たに始めた事業の売上金額が、買収前の売上金額のおお
むね5倍以上の借入れ等を行った場合は、その借入れを行った決算期より前に
発生した欠損金は、繰り越しすることができません。
(M.H)