住民税の増税
2006年8月4日
平成18年6月頃、住民税が増税になったと、苦情や問い合わせが、市町村の窓口に殺到しているという記事が、新聞紙上を賑わしました。去年まで、税額がゼロだった人が、数万円の税額になったり、一気に10倍の税額になった人もいたようです。なぜ、このような騒動にまでなってしまったのでしょうか。
年金受給者を例に、説明していきます。
(1)年金受給者の住民税の課税方法
住民税は、前年の所得に基づき、市町村が算出して、直接納税者に税額を通知します。納税者は、その通知に基づき、金融機関等で、年4回に分けて、住民税を納付することになります。
(2)年金受給者の所得税の課税方法
所得税は、年金を支給する際、その支給額から、所得税の概算額を算出し、年金から天引きする形で、納付することになっています。支給時には、概算額で計算していますので、本来の負担額とは、ズレが生じてしまいます。このズレを是正するために、毎年2~3月に、確定申告をして、精算することになります。
(3)平成17年の税制改正
平成17年から、年金受給者について、所得税、住民税を計算する際に、控除される公的年金控除や老年者控除が、縮小されました。この縮小により、所得税も住民税も増税となっています。
(4)なぜ、住民税だけが騒動になったのか
(2)のとおり、所得税は、概算額が天引きされます。概算額の算出には、(3)の控除額の縮小が、考慮されています。年金支給時の所得税は、既に増税となっていて、その通知も手元に届いていたのですが、1回の増税額がわずかであることから、問題にする人が多くなかったのです。
年金支給額の変更は、このような税制改正の他に、介護保険料の改正や支給額自体の改正もありますので、支給額の変更に慣れてしまい、あまり気にされなかったということもあるでしょう。
それに対して、住民税は、税制改正が考慮されるのは、(2)のとおり、6月の1回限りになります。増税額も1年分が一気に課税されますので、負担感が非常に増すことになります。そのため、事情を知らない納税者が、役所に殺到したということなのでしょう。
ちなみに、住民税の税率は、国会で決めてますので、うちの市は、住民税が安いということはないです。
(5)平成19年は、もっと増えます!
平成19年1月から、所得税と住民税の税率が変わります。年金収入が約400万円以下の場合には、所得税10%、住民税5%の税率が、所得税5%、住民税10%となります。
所得税は、支給時に天引きする概算の税額が、変わります。税率が10%から5%ということは、天引きされる所得税は、半分になります。平成19年の1月以降の年金と取り額は、その分増えることになりますね。
住民税は、6月に税率の変更が行われます。こちらは、5%から10%ですから、倍になるわけです。平成18年は、10倍になった人もいたようですね。確かに、4,000円の税額が、40,000円になれば、10倍です。これが、さらに倍になるわけですから、今度は、40,000円が80,000円です。2年間で、一気に20倍です。平成19年の役所の窓口は、もっと混雑しそうですね。
(注意)上記は、一例です。税額は、個人によって全く違います。増加する税額も、それぞれです。
(M.H)