株式譲渡の税金

2006年1月16日

 サラリーマンが、上場株式の売買を行って、損益が発生した場合の、所得税の確定申告について、ご説明いたします。

(1)譲渡損益の計算

 まずは、株を売って、儲かったのか、損したのかの計算方法をご説明します。譲渡損益は、次の計算式で算出します。

 譲渡損益=売却価額−取得費−手数料等


(2)取得費とは

 取得費というのは、買ったときの金額に、手数料を足した金額になります。何回かに分けて購入している場合には、平均単価を計算することになります。例えば、1株ずつ、手数料込みで50万円と70万円で2回購入している場合には、(50万円+70万円)÷2株=60万円が単価となり、2株のうちの1株を売却していれば、60万円×1株=60万円が、取得費になります。

 買った値段を把握していないときは、証券会社から送られてくる取引報告書で、確認することになります。また、過去10年以内に購入したものであれば、証券会社で調べてもらうことも可能です。

 それでもわからない場合には、自分が保管している、取引明細で確認することになりますが、預金通帳や家計簿、日記などで確認できるのであれば、それでもかまいません。

 過去の資料もない場合には、名義書換日を調べて、その日付から、証券会社のデータベースや新聞記事から把握することになります。


(3)特定口座と一般口座

 証券会社に口座を開設した場合に、特定口座か一般口座かを選択することになります。特定口座を選択すると、証券会社が、譲渡損益の管理を行ってくれます。さらに、特定口座を選択した方は、源泉徴収の有無を選ぶことになります。源泉徴収ありを選ぶと、譲渡益の10%が、口座から徴収されることになります。

 特定口座を選択しない場合には、一般口座となり、譲渡損益の管理は、自分で行うことになります。

 多くの証券会社は、特定口座の源泉徴収ありを進めますが、必ずしも、それが、税制上、一番有利とは限りません。


(4)一般口座で譲渡益の場合

 一般口座を選択し、1年間の収支がプラスの場合には、確定申告が必要になります。

 譲渡益に対する所得税7%は、確定申告で納めることになります。

 株の譲渡益には、住民税3%もかかりますが、これは、6月以降に納税することになります。会社からの給料天引きになっている場合には、通常、株の譲渡益分も一緒に給料天引きとなりますので、株の分の住民税は、別に納めたいという方は、確定申告書第二表の「自分で納付(普通徴収)」の欄に、チェックを入れてください。


(5)一般口座で譲渡損の場合

 一般口座で、譲渡損の場合には、確定申告は不要です。面倒くさがりの方は、申告をしないでそのままでもいいのですが、一手間をかけて、確定申告をすると、お得になる制度があるんです。

 それが、譲渡損失の繰越控除制度です。譲渡損が生じた場合には、確定申告をすることにより、翌年以後3年間の譲渡益と相殺することが可能になります。譲渡益が出ても、過去3年の赤字と相殺できるわけですから、申告の手間をかけるだけで、税負担が減少することになります。これは、申告を続けることによって受けられる制度ですから、忘れずに申告をしましょう。


(6)平成13年9月30日以前に取得した株式の売却

 平成13年9月30日以前に購入した株を売却した場合には、取得費を、平成13年10月1日の終値の80%相当額とすることができます。実際の購入額がいくらであろうと、取得費は固定されますので、親から相続でもらった株なんかを持っている場合には、計算上は、譲渡損となる場合も出てきます。

 実際の購入金額がわかっていて、そちらのほうが有利だという場合には、実際の株価で申告することも可能です。


(7)購入価額1,000万円までの非課税制度

 平成13年11月30日から平成14年12月31日までの間に購入した株式を、平成17年1月1日から平成19年12月31日までの間に売却した場合には、購入金額の合計が1,000万円に達するまでは、その譲渡は非課税となります。

 こちらも、確定申告が必要になります。


(8)特定口座(源泉徴収あり)の場合

 特定口座で源泉徴収ありを選択して、1年間の収支がプラスになっても、申告の必要はありません。源泉徴収ありの場合は、譲渡益に対して、証券会社の口座から、既に税金(所得税7%、住民税3%)が控除されていますので、改めて申告書を提出するという、投資家の手間を省く制度になっています。

 しかし、上記の(5)(6)(7)の制度は、確定申告をしないと受けられない制度
になっていますので、譲渡損が発生した場合や非課税制度を利用したい場合などは、申告の手間を惜しんだために、税負担が多くなることもあります。


(9)特定口座(源泉徴収なし)の場合

 特定口座で源泉徴収なしを選択して、1年間の収支がプラスになった場合には、確定申告の必要があります。損益計算は、証券会社でやってくれますので、証券会社が発行した報告書を元に、(4)と同じように、申告をすることになります。

 報告書は、証券会社から税務署にも提出されますので、申告を忘れますと、後で、追徴されることになります。

 譲渡損の場合には、(5)と同様、特例を利用するのであれば、申告が必要になりますが、面倒という方は、そのままでも大丈夫です。


(10)専業主婦は注意を

 年間の所得が38万円以下の人は、親や配偶者等の親族の扶養になります。この所得には、特定口座(源泉徴収あり)で確定申告をしなかった場合の譲渡益は、含まれません。

 ですから、たとえ20億円の儲けがあったデイトレーダーでも、他に所得がなく、確定申告をしなければ、扶養親族の対象になります。

 専業主婦や学生などで、株で収益が上がっている場合には、申告をしてしまうと、扶養からはずれることになり、配偶者や親の税負担が増えることになります。



 

(M.H)


※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

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