たな卸資産の評価
2003年9月3日
「たな卸」という言葉を辞書で引いてみると【決算のとき手持ちの商品の数量と価格を調査すること】とあります。つまり、在庫調査のことです。では、実際にどのようなモノがたな卸に該当するのでしょう。
当然、店先あるいは棚に置いているものですから売るための商品というのが基本で、倉庫にある材料や、工場でコンベアーの上にのっている製造途中の仕掛品も含まれます。
(1)たな卸資産の種類
税法によると、たな卸資産というのは次のものをいうことになっています。
・商品・製品
・半製品(まだ製造中で製品としては売れないが、商品価値のあるもの)
・仕掛品(製造途中のもの)
・主要原材料
・補助原材料
・消耗貯蔵品(油、釘など。一つひとつの金額が小さく、いったん使ったらそれっ切りという消耗品的性格を持つもの)
同じ建物でも、会社がそこへ入って仕事をしている建物は固定資産ですが、不動産売買業者が持っている建売りの建物は商品ですから、たな卸資産ということになります。
(2)たな卸資産の取得原価
たな卸資産の原価は原則として次のようになります。
・買ったもの=仕入の原価+購入の際にかかった費用(引取運賃、運送保険料、手数料、関税など)
・作ったもの=材料費+人件費+諸経費
(3)たな卸の重要性
決算におけるたな卸はその期の利益を左右する重要な作業です。
例えば、前期から繰り越されてきた在庫が200万円あり、そこへ当期中に1,000万円の仕入をします。決算期末に倉庫に残っている商品を数えてみたら300万円ありました。
すると、当期中に倉庫から払い出されて売上に回された商品は200+1,000-300=900万円になります。この商品が1,100万円で売れていれば単純に200万円のもうけということになります。
ところが、期末のたな卸で品物の一部を二重に数え、期末に残っている商品を330万円と計算した場合はどうなるでしょう。払出高は、200+1,000-330=870万円となり、利益が 1,100-870=230万円と30万円多く計算されてしまいます。
つまり、期末たな卸を実際より多く計算すると、その金額だけ利益が増えるわけです。もちろん、利益に対して税金がかかりますから、税金も余計に支払ってしまうことになりますので注意して下さい。
(4)たな卸資産の評価方法
売上原価=期首たな卸高+当期仕入高-期末たな卸高
期末たな卸数量を多く数えると利益が変動します。しかし、それだけではありません。期末に残っている商品、いわゆる在庫一つひとつの値段をどのようにつけるかでも、たな卸額が異なってきます。
評価方法には原価法(買った値段)と低価法(原価と時価の低いほう)の二つがあり、原価法はさらに次のようないろいろな方法があって、どれを選定するかでたな卸額が違ってきます。
・個別法
期末のたな卸商品をその個々の仕入の原価で評価します。
・先入先出法
先に買ったものから順に売る、という考え方。つまりたな卸分は、期末近くに買ったものから順に残っていることになります。
・後入先出法
後から仕入れたものが先に出て行った、という考え方。つまり、先に購入したものが在庫として残っていることになります。
・総平均法
繰越分、仕入分の全商品の仕入額を合計し、平均単価を求め、期末在庫数量に掛けてたな卸額を決定する方法です。
・移動平均法
仕入の度、平均単価を改訂していく方法です。
・単純平均法
仕入れたときの数量を無視して、仕入れた回数で平均単価を求める方法です。
・最終仕入原価法
期末の在庫がいつの仕入分であるかにお構いなく、期末に一番近い時点で仕入れた単価を使ってたな卸額を決定する方法です。一番簡単でわかりやすい方法になります。
・売価還元法
売価から逆に売り上げた商品の原価を求めて計算する方法です。
このようにどの方法を採用するかは、会社の特性や仕入管理の状況などとあわせて、慎重に選定するべきでしょう。
会社が選んだ方法は税務署に届けることになっていますし、これまでの評価方法を変えるには、新しい方法を適用したい年度開始日前に、申請書をやはり税務署に提出しなければなりません。
また、評価方法を届け出なければ、税務上は自動的に最終仕入原価法が適用されることになります。
「たな卸」という言葉を辞書で引いてみると【決算のとき手持ちの商品の数量と価格を調査すること】とあります。つまり、在庫調査のことです。では、実際にどのようなモノがたな卸に該当するのでしょう。
当然、店先あるいは棚に置いているものですから売るための商品というのが基本で、倉庫にある材料や、工場でコンベアーの上にのっている製造途中の仕掛品も含まれます。
(1)たな卸資産の種類
税法によると、たな卸資産というのは次のものをいうことになっています。
・商品・製品
・半製品(まだ製造中で製品としては売れないが、商品価値のあるもの)
・仕掛品(製造途中のもの)
・主要原材料
・補助原材料
・消耗貯蔵品(油、釘など。一つひとつの金額が小さく、いったん使ったらそれっ切りという消耗品的性格を持つもの)
同じ建物でも、会社がそこへ入って仕事をしている建物は固定資産ですが、不動産売買業者が持っている建売りの建物は商品ですから、たな卸資産ということになります。
(2)たな卸資産の取得原価
たな卸資産の原価は原則として次のようになります。
・買ったもの=仕入の原価+購入の際にかかった費用(引取運賃、運送保険料、手数料、関税など)
・作ったもの=材料費+人件費+諸経費
(3)たな卸の重要性
決算におけるたな卸はその期の利益を左右する重要な作業です。
例えば、前期から繰り越されてきた在庫が200万円あり、そこへ当期中に1,000万円の仕入をします。決算期末に倉庫に残っている商品を数えてみたら300万円ありました。
すると、当期中に倉庫から払い出されて売上に回された商品は200+1,000-300=900万円になります。この商品が1,100万円で売れていれば単純に200万円のもうけということになります。
ところが、期末のたな卸で品物の一部を二重に数え、期末に残っている商品を330万円と計算した場合はどうなるでしょう。払出高は、200+1,000-330=870万円となり、利益が 1,100-870=230万円と30万円多く計算されてしまいます。
つまり、期末たな卸を実際より多く計算すると、その金額だけ利益が増えるわけです。もちろん、利益に対して税金がかかりますから、税金も余計に支払ってしまうことになりますので注意して下さい。
(4)たな卸資産の評価方法
売上原価=期首たな卸高+当期仕入高-期末たな卸高
期末たな卸数量を多く数えると利益が変動します。しかし、それだけではありません。期末に残っている商品、いわゆる在庫一つひとつの値段をどのようにつけるかでも、たな卸額が異なってきます。
評価方法には原価法(買った値段)と低価法(原価と時価の低いほう)の二つがあり、原価法はさらに次のようないろいろな方法があって、どれを選定するかでたな卸額が違ってきます。
・個別法
期末のたな卸商品をその個々の仕入の原価で評価します。
・先入先出法
先に買ったものから順に売る、という考え方。つまりたな卸分は、期末近くに買ったものから順に残っていることになります。
・後入先出法
後から仕入れたものが先に出て行った、という考え方。つまり、先に購入したものが在庫として残っていることになります。
・総平均法
繰越分、仕入分の全商品の仕入額を合計し、平均単価を求め、期末在庫数量に掛けてたな卸額を決定する方法です。
・移動平均法
仕入の度、平均単価を改訂していく方法です。
・単純平均法
仕入れたときの数量を無視して、仕入れた回数で平均単価を求める方法です。
・最終仕入原価法
期末の在庫がいつの仕入分であるかにお構いなく、期末に一番近い時点で仕入れた単価を使ってたな卸額を決定する方法です。一番簡単でわかりやすい方法になります。
・売価還元法
売価から逆に売り上げた商品の原価を求めて計算する方法です。
このようにどの方法を採用するかは、会社の特性や仕入管理の状況などとあわせて、慎重に選定するべきでしょう。
会社が選んだ方法は税務署に届けることになっていますし、これまでの評価方法を変えるには、新しい方法を適用したい年度開始日前に、申請書をやはり税務署に提出しなければなりません。
また、評価方法を届け出なければ、税務上は自動的に最終仕入原価法が適用されることになります。
(Y.C)
※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。