経費になる税金、ならない税金
2003-06-03
2025年1月18日更新
2003年6月3日
(1)支払っても経費にならない税金
会社が毎期の決算時に払う法人税、地方法人税、法人都道府県民税、法人市町村民税は経費になりません。
損益計算書には費用として計上し、その分利益額が減少します。
しかし、法人税の申告書では、利益に法人税等を加算して税額計算をしますので、結果として経費にはなりません。
個人事業主が支払う所得税、個人住民税は経費になりません。
個人の場合は、事業主勘定として経理することで、経費から除外します。
罰金的な意味で支払う無申告加算税や過少申告加算税も経費になりません。
納税が遅れた場合の延滞税や延滞金も経費になりません。
これらも損益計算書では費用に計上されますが、法人税等の計算時に利益に加算されることになります。
ちなみに、罰金及び科料並びに過料も経費になりません。
役員変更登記が遅れた場合の過料は、代表者個人宛てに検察庁から通知が届きます。
会社で支払った場合でも、経費になりません。
業務中に交通違反をして、交通反則金を支払っても経費になりません。
たとえ業務中であってもです。
業務外の交通反則金を会社が払った場合は、違反した人の給与となりますから、その分の源泉所得税が発生します。
違反者が役員であれば、役員賞与ですから所得税を負担した上に、会社の経費にもなりません。
罰金等も税金同様、損益計算書の費用に計上し、法人税等の計算の際に利益に加算します。
(2)未納でも申告時点で経費になるもの
会社が払った法人事業税や事業所税は、期限内納付であれば、支払った時点で経費処理してかまいません。
もしも納付が遅れた場合は、申告書を提出した日に未払い計上することで経費計上が可能です。
ただ会社の場合は、決算時に未払法人税等として費用計上するのが一般的です。
決算日では未納ですから経費にはならないため、法人税の計算時に利益に加算されることになります。
そして、納付した決算期の法人税計算では、利益から減算することで経費計上と同様の効果になります。
個人事業の場合も12月までに支払っていれば、支払時に経費処理をしてください。
個人事業税は、課税通知と納付書が送られてくる方式ですので、課税通知が届いた時点で未払い計上して経費計上します。
廃業した年だけは、翌年に納付する予定の事業税額を未払い計上して経費にすることが認められています。
消費税を税込経理方式で処理している場合は、納税した時点で費用計上します。
決算時に未払消費税等を計上することで、費用計上することも認められています。
利益が思ったより多いときは、納税前に経費を先取りすることが可能です。
(3)未納でも経費になるもの
不動産取得税、自動車税、固定資産税は、都道府県や市町村から課税通知書が届いてから納税します。
この課税通知書が届いた時点で、費用計上することができます。
未納でも経費になります。
不動産取得税を早く経費にしたい場合は、都道府県税事務所にお願いすれば、課税通知書を早く発行してくれるかもしれません。
なお、実際に納付をした時点で、経費にすることも可能です。
(4)支払い時点で経費になるもの
印紙税、登録免許税、自動車重量税等の上記以外の税金は、支払った時点で経費にすることができます。
(M.H)
※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。