2023年3月3日
(1)65万円の青色申告特別控除
個人事業を営んでいる場合、会計基準に従って経理をすると、利益から最大65万円を控除することができます。
経理をきちんとすることが条件ですから、確定申告書には、損益計算書の他に貸借対照表も添付しなければいけません。
65万円の青色申告特別控除を受けるためには、開業から2ヶ月以内に承認申請書を提出する必要があります。
開業時に手続きを忘れても、青色申告を始めたい年の3月15日までに申請すれば、その年から青色申告になります。
貸借対照表の添付がない場合は、控除額は10万円になります。
期限後の申告の場合も、10万円控除です。
なお、65万円の控除を受けるためには、電子申告が条件ですので、税務署の窓口や郵送で提出すると控除額は55万円になります。
(2)個人事業と不動産賃貸業の兼業
不動産賃貸業の申告も65万円の青色申告特別控除が適用できます。
ただし、事業と呼べるほどの規模でない場合は控除額は10万円です。
貸家であれば5棟以上、アパートやマンションであれば10室以上、駐車場であれば50台以上の賃貸であれば事業的規模となります。
アパート等は2室を貸家1棟に換算できます。
駐車場の場合は10台を貸家1棟に換算できます。
組み合わせで貸家5棟相当以上になれば、事業的規模です。
個人事業を営んでいる方が不動産賃貸業をやっている場合は、不動産賃貸業が事業的規模に及ばなくても、最大65万円の青色申告特別控除は適用可能です。
個人事業をやっているということだけで、控除額は65万円になります。
65万円の特別控除は、不動産所得から先に控除します。
不動産所得の利益が65万円以下の場合は、控除後の利益はゼロです。
控除しきれなかった差額は、事業所得から控除します。
不動産と個人事業を合わせて、65万円の控除となります。
どちらかが控除前の段階で赤字の場合は、黒字の所得からだけ控除します。
不動産賃貸業が小規模であっても、個人事業を営んでいれば65万円の控除が可能なんです。
(3)個人事業が事業と呼べるか
そもそも論として個人事業が事業と呼べるほどのものかが問題です。
フリマアプリでちょっと販売をしています、とか、アフィリエイトでこづかい稼いでます程度では事業とは呼べません。
事業でなければ、65万円の控除はできません。
年間の売上が300万円以下ですと、事業に該当しない可能性がありますので、慎重に判断しましょう。
(4)貸借対照表は両方必要
65万円控除の要件の一つが、貸借対照表の添付です。
貸借対照表は、個人事業及び不動産賃貸業の両方とも作成する必要があります。
不動産賃貸業が小規模であったとしても、貸借対照表を作成しなければいけません。
なお、貸借対照表は両方を合算して作成します。
(M.H)
※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。