2023年1月20日
(1)2%だけ負担してもらう
2023年10月からインボイス制度が始まります。
インボイス制度では、消費税を納税していない免税事業者である取引先に支払った代金のうち、消費税に相当する分を支払者側が負担することになります。
支払者側にとっては、税務署へ納税する消費税額が免税事業者へ支払った消費税相当分、負担が増えることになります。
負担したくない支払者側としては、取引先に対して免税事業者から消費税を納税する課税事業者に変更するよう要請することが多くなるでしょう。
ところが導入当初から支払者側に10%の負担を求めるのは影響が大きいことから、当初3年間は経過措置が設けられています。
その経過措置が、支払った消費税相当分のうち2%だけ納税すれば良いという制度です。
支払者側の負担が増えるのは10%分ではなく
2%分なのです。
免税事業者との取引がそれほど多くない会社であれば、2%分であれば負担しても許容できる額になるかもしれません。
免税事業者から課税事業者になるように要請された場合には、増える負担は2%だけなので、企業規模を考えたらそちらで負担してもらえませんかと頼んでみてはいかがでしょうか。
(2)下請けいじめを盾に断る
今回のインボイス制度の導入にあたり、取引先に課税事業者になるよう強制することは、下請けいじめとして法律違反になる可能性があるとされています。
また、免税事業者のままであれば、一方的に取引を停止することも下請けいじめになる可能性があります。
下請けいじめの可能性を指摘して、免税事業者のままであることを受け入れてもらうよう要請することができます。
ただ、この対策はうまくいかないこともありますので慎重にお願いします。
他の業者が価格面で優位性があったり、商品が優れているということで他社に乗り換えたりすることで取引停止になった場合は、下請けいじめに該当しない可能性があります。
(3)あきらめて2%納税
どうしても断れないときは、あきらめて消費税を納税しましょう。
とは言っても、いきなり10%相当分を納税するわけではありません。
インボイス導入当初3年は特例があり、2%分だけを納税すれば良いのです。
売上が800万円であれば、80万円の納税ではなく16万円の納税となります。
16万円という金額でも大きいと感じるかもしれませんが、取引停止になるよりマシであれば、受け入れることが必要かもしれません。
ただ課税事業者になりますと、もちろん今まで必要なかった消費税の確定申告と納税がありますし、請求書や領収証をインボイス対応に変更する必要が出てきます。
既にインボイス登録に合わせて、簡易課税制度の届出をした場合は注意が必要です。
簡易課税制度の届出をしていても2%納税の制度は適用できますが、設備投資が多額だったりすると不利になる可能性があります。
簡易課税制度の届出済みの場合は、取り下げ手続きをすることをお勧めいたします。
手間と実利を図って検討してみてくださいね。
(M.H)
※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。