2023年1月5日
(1)なにもしない
消費税の免税事業者に課税事業者になるよう依頼しても免税事業者のままの場合、一番ラクな方法は何もしないことです。
2023年10月から消費税のインボイス制度が始まります。
消費税を納税している課税事業者は、請求書や領収証等に登録番号を記載します。
登録番号は消費税の課税事業者しか記載できません。
登録番号は、税務署へ申請をしないと発行されません。
インボイス前は、取引先が免税事業者であっても、免税事業者に支払った消費税相当分は税務署への納税額から控除できました。
インボイス制度では、免税事業者へ消費税相当分を支払っても控除ができません。
つまり、免税事業者への消費税相当分についてこちらの負担が増えることになります。
さすがに制度開始から全額負担増はきついので、制度開始当初3年間は消費税額の20%分だけ負担すれば良いことになっています。
消費税率が10%であれば2026年10月までは、負担が増えるのは2%分だけです。
年間の免税事業者との取引額がそれほど多くなければ、割り切って2%分をこちらがかぶれば、依頼も確認もする必要がなくなります。
3年間の猶予がありますから、その間に取引先との関係を検討することができますね。
(2)2%の減額を依頼する
免税事業者は消費税を納税していないのだから、今まで上乗せしていた消費税相当分を減額したいところです。
いきなり10%も減額されたのでは、取引業者もたまったものではありません。
そこで当初3年間は実質的に負担が増える2%分の減額をお願いしてみてはいかがでしょうか。
10%の減額が無理でも2%なら、免税事業者も受け入れてくれるかもしれません。
免税事業者側も消費税の確定申告が不要になるわけですから、手間が増えることもありません。
(3)課税事業者になってもらうよう依頼する
免税事業者がインボイス制度のために課税事業者になっても、いきなり10%分の納税が発生するわけではありません。
当初3年間は2%分の納税だけで済んでしまう制度があるんです。
課税事業者になっても2%分の納税だけで済むからと、取引先を説得してみてはいかがでしょうか。
免税事業者であっても消費税の10%を別途加算している事業者も多いと思います。
免税事業者にとっては消費税の申告と納税の手間が増えますが、今までどおり堂々と消費税を上乗せすることができます。
なお、(3)の制度は令和5年税制改正大綱に基づいております。
(M.H)
※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。