30万円未満でも一発経費にできません|仙台市の税理士・ひなた会計事務所
2022年5月20日
(1)少額減価償却資産の即時償却
10万円未満の減価償却資産を取得した場合、取得価額の全額をその年の経費にできます。
さらに中小企業ですと、全額経費の単価基準が30万円にアップします。
減価償却資産ですから、本来は使用可能期間で按分して減価償却費として経費にしていくので、買ったその年の全額が経費になることはありません。
ただし単価が少額である場合は、買ったその年に全額経費計上できるんです。
その単価の基準が原則10万円というわけです。
単価10万円未満であれば、何台購入しても全額経費です。
金額が多額でも全額経費です。
そして、中小企業の場合は、単価基準が10万円から30万円に引き上げられます。
ただし10万円以上30万円未満の資産を全額経費にできるのは、年間300万円までという上限が設定されています。
300万円という制限はありますが、30万円未満であれば全額経費にできるということで、決算前のかけこみ購入で税金対策をする方法が行われるわけです。
ここで注意していただきたいのは、全額経費にできるのは使用開始した資産だけです。
買うだけ買って箱を空けて使ったのは翌期ですと、買った年には経費にできませんからね。
また、10万円以上20万円未満の場合には、3分の1を経費できる一括償却という方法もありますので、少額減価償却資産を多数購入した場合には、経費計上額が最大になる組み合わせを考えてみましょう。
(2)貸付用は全額経費不可
2022年4月以降は単価基準を満たした場合でも、購入した少額減価償却資産が貸付用の場合は、全額経費にできず、通常の減価償却をしなければいけません。
単価が10万円未満でも、貸付用資産は全額経費にできません。
ただし例外もあり、全額経費計上が認められる場合もあります。
それが貸付業が本業の場合です。
本業ですから、事業計画にも影響しますからね。
それ以外に、親会社がまとめて購入して、子会社に貸し付けている場合も全額経費計上可能です。
子会社の資金力の問題や、スケールメリットで安く買えるということもあるでしょうからね。
また、下請けに工具等を貸し付けている場合も全額経費にできます。
不動産賃貸業で、家具等を貸し付けている場合も全額経費経費にできます。
なお、貸付業が本業でなくても、継続的に事業活動の中で貸し付けが行われている場合は、それが節税や租税回避等が目的でない場合は、全額経費計上可能場合もあります。
貸付用だから経費にできないと諦めずに、よく検討する必要がありますね。
(3)償却資産税の対象
貸付用で全額経費にできなかった資産は、固定資産税の対象です。
償却資産として毎年1月に申告する必要があります。
(M.H)
※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。