一括償却資産|仙台市の税理士・ひなた会計事務所
2021年11月6日
中小企業が10万円以上20万円未満の資産を購入した場合、償却方法は3つの中から選択します。
1.法定耐用年数で普通償却する
2.特例を使って全額をその期の損金に算入する
3.一括償却資産として3年間で均等に償却する
今回は「3.」の一括償却資産での償却をみていきます。
(1)「一括(いっかつ)」とは
一括償却と聞いて、その期にまとめて全額償却できると勘違いしないでください。
ここでいう一括(いっかつ)とは、個々に計算せずに、対象となる資産を一括り(ひとくくり)にして計算できるということです。
そして、その一括りにした資産を3年間で償却していきます。
例えば3月決算の会社で、令和3年6月に17万円のパソコン、令和3年8月に18万円のプリンター、令和4年1月に19万円のディスプレイを購入したとします。
そして一括償却資産として償却する場合
(17万円+18万円+19万円)÷36(3年分の月数)×12(その事業年度の月数)=18万円
令和4年3月期 18万円
令和5年3月期 18万円
令和6年3月期 18万円 となります。
同じ事業年度内であれば買ったタイミングも関係なく一緒にして計算します。
(2)償却途中で壊れてしまったら
先ほどの例で、令和5年1月に落雷があり3つとも壊れてしまい、修復不可能のため廃棄した場合を考えてみます。
廃棄の時点で未償却残高は36万円あります。
しかし、この場合でも、令和5年3月期に損金算入できる額は18万円です。
つまり、途中で該当資産がなくなったとしても、一括償却資産の方法を選択した限り、当初の予定通り3年間で償却していくことになります。
(3)全額その期に損金算入した方が得なのでは
3つの選択肢のうち、「2.」の方法でその期に全額損金算入した方が、3分割するよりその期の利益が減少し、その分法人税等も減額します。
しかし、ここで償却資産税の問題が出てきます。
「2.」の方法で償却した資産は償却資産税がかかります。
一方で一括償却資産とした場合には、償却資産税の対象とならないため、償却資産税がかかりません。
ですので、法人税等の税額と償却資産税額をシミュレーションして、有利な方を選択していくことになります。
例外として、該当資産の合計額が150万円未満の場合や、ソフトウェアなどの無形固定資産は償却資産税がそもそもかかりません。
このような場合には、シミュレーションをすることなく「2.」の方法でその期に全額損金算入した方が有利になります。