役員賞与が経費にならないかも!?|仙台市の税理士・ひなた会計事務所
2020年9月4日
(1)役員賞与が経費となるためには
役員に支払う賞与を経費にするためには、事前に税務署へ、事前確定届出給与に関する届出書を提出します。
これには、いつ、だれに、いくら賞与を支払うかを記載します。
しかし、届出書の内容と実際の支給時期や支給額が違ったり、支給額が不相当に高額であったりすると、その全額が経費と認められなくなってしまいます。
(2)役員の中途退任
5月決算で、8月と12月に役員賞与を支給する旨の届出書を提出した会社において、役員が10月に中途退任したという例で考えていきます。
決算期、賞与の支払い時期、役員の退任時期がポイントです。
賞与対象期間の途中での退任のため、賞与を減額することや、賞与支給時に在籍していないため支給を取りやめる対応をすると、そのままでは届出書と支給額が異なるとして、8月支給分も含めて経費と認められなくなってしまいます。
経費とするためには、中途退任という臨時改定事由が生じたとして、支給額に係る変更届出書等を提出することが必要です。届出書の提出期限は退任の日から1月を経過する日です。10/15に退任したとすると、11/14までです。
一方で届出書通りに支給した場合、12月の賞与が役員としての仕事の対価として認められる限り、退職後の支給だとしても、そのまま役員賞与として経費となります。
仕事と賞与の間に厳密な関係性までは求められていません。
役員に対してモチベーションアップや福利厚生目的でも仕事の対価として認められます。
(3)12月支給を取りやめたい場合
中途退任などの事情はないが、昨今の事情を鑑み、会社からお金が出ていくことを止めたいとなった場合は、決算期を9月、10月、11月のいずれかへ変更しましょう。
12月支給の賞与を取りやめたとしても、12月の取りやめは8月賞与の期に影響しないため、そのまま経費として認められます。
役員賞与が経費と認められないと、その分支払う税金が多くなってしまいます。
中途退任というイレギュラーな事態に対応するために、多くの業務が必要となるかと思いますが、賞与の件も忘れずに確認をお願いします。
(T.S)
※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。