去年の法人税が還付される|仙台市の税理士・ひなた会計事務所
2020年5月20日
(1)欠損金の繰戻しによる還付
今期の決算時に赤字だった時、前期の法人税が還付される制度をご存知でしょうか。
欠損金の繰戻し還付という制度で、青色申告書を提出している法人が今期の赤字と前期の黒字を相殺してその分の法人税を還付してもらうのです。
(2)繰戻し還付のメリット・デメリット
繰戻し還付のメリット・デメリットは以下のものが上げられます。
一つ目のメリットとして、赤字の相殺が早くできる点です。
繰戻し還付は今期の決算のタイミングで赤字の相殺できます。
似た制度として繰越控除というものがありますが、こちらは次の決算以降で赤字の相殺をします。
今期の決算のタイミングで相殺できる分、1年早く制度の恩恵を受けられるのです。
繰戻し還付を請求した場合、およそ2か月で税務署から還付金が受け取れます。
二つ目のメリットは、繰越控除が消えてしまうのを抑えることができる点です。
繰越控除は10年たつと消えてしまうため、少しでも消える金額を少なくするために繰戻し還付を活用することができます。
今期の赤字が大きくて10年で繰越控除が全部使いきれない!という場合は前期の黒字と合わせて11年分と相殺できるようになります。
デメリットは税率の違いで損をする可能性があることです。
例えば前期400万円の黒字、今期400万円の赤字、来期1,100万円の黒字の会社があったとします。
繰戻し還付を使うと前期納めた法人税が丸々戻ってきますが、来期は1,100万円に税率をかけた法人税を支払わなくてはいけません。
法人税は金額によってかかる税率が変わるため、上記の例の場合は繰越控除を使って1,100万円と相殺した方が約24万円も納税金額が少なくなるのです。
(3)コロナウイルスによる損害金
コロナウイルスの影響などで仕入商品を廃棄した費用、施設を消毒した費用などは災害損失欠損金となります。
白色申告書を提出している法人は通常ですと繰戻し還付も繰越控除も使うことができませんが、この災害損失欠損金の場合は使うことができます。
これは欠損金の繰戻し還付や繰越控除とは別の制度ですが、行えることは一緒です。
(4)税務調査のリスクも
法人税法に繰戻し還付は調査してから還付すると書いてあるため、税務調査されるリスクも取らないといけません。
税務調査と言っても電話での確認程度で済む場合もあれば電話すら来ない場合、実際に会社に来て調査される場合もあります。
コロナウイルスの影響で税務署も実地調査を行えないでいますので、今なら実質ノーリスクです。
(H.N)
※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。