欠損金の繰戻還付の復活|仙台市の税理士・ひなた会計事務所

2009.4.20 

(1)欠損金の繰戻還付

 前期が黒字で法人税の納付をしていて、今期は、赤字になったとします。今期の赤字を、前期の黒字と相殺して、前期に納税した法人税の還付を受ける制度が、欠損金の繰戻還付です。

 青色申告書を提出している資本金1億円以下の中小法人等であれば、全てこの制度を適用することができます。

 例えば、前期に500万円の黒字で、税率22%とすると、法人税110万円を納税します。当期に200万円の赤字となった場合には、前期に納税した法人税110万円のうち、200万円に相当する法人税44万円の還付を受けることになります。算式にすると、次の通りです。

 還付金額=前期法人税額×当期の赤字額÷前期の黒字額
     =110万円×200万円÷500万円=44万円

 この制度は、法人税のみの制度で、法人事業税等の地方税へは、適用されません。法人地方税は、赤字を翌期以降7年間の黒字と相殺できる、欠損金の繰越控除のみとなります。


(2)適用開始時期

 全ての中小法人等が欠損金の繰戻還付ができるようになるのは、平成21年2月期の決算期からとなります。それ以前でも、設立5年以内などの条件に合えば、欠損金の繰戻還付を受けることができます。

 3月決算法人であれば、平成20年3月期が黒字で、平成21年3月期が赤字であれば、21年3月期の申告時に、法人税の還付手続を取ることになります。

 9月決算や12月決算のように、還付を受けられる決算までにまだ間がある場合には、決算期の変更も検討してください。今期は赤字になることが確実で、前期黒字で納税していれば、決算を前倒しにすることによって、法人税の還付を早く受けることが可能になります。


(3)還付を受けるための手続

 欠損金の繰戻還付を受けるためには、通常の確定申告の他に、「欠損金の繰戻しによる還付請求書」を一緒に提出することになります。

 別表1(1)では、右上の「欠損金の繰戻しによる還付請求税額」欄の枠外、「外」書きの部分に、還付法人税額を記載します。

 また、別表7(1)には、当期分の青色欠損金の「欠損金の繰戻し額」欄に、当期の欠損金の金額を記載します。当期の欠損金が、前期の黒字を上回る場合には、差額は、7年間の繰越欠損金の対象となります。

 中小法人等の税率が、22%から18%に下がることを考えると、欠損金の繰戻還付を受けた方が、一般的には有利になります。


(4)税務調査の対象に

 欠損金の繰戻還付の請求をした場合には、法律上、税務調査を行うことになっています。しばらく税務調査を受けていない場合には、還付請求をきっかけに、税務調査となるかもしれません。

 なお当事務所でも、設立5年以内の会社で、何度か欠損金の繰戻還付の請求を行ったことがあります。請求額が多額でないためか、せいぜい確認の電話が入る程度の調査だけでした。欠損金の繰戻還付だけで、本格的な税務調査になる可能性は低いと思われます。

(M.H)
※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。
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