欠損金の繰戻還付
2008.4.4
(1)欠損金の繰戻還付
通常、会社が赤字になった場合の特例として、その赤字を翌期以降7年間の黒字と相殺が可能となる、青色欠損金の繰越控除があります。
しかし、設立後5年以内の会社は、赤字になった場合は、翌期以降に繰り越すのではなく、前期の黒字と相殺して、前期の法人税を還付してもらうことが可能となっています。これを、欠損金の繰越還付といいます。
(2)還付手続き
還付を受けるために、赤字の場合の通常の確定申告の他に、欠損金の繰り戻しによる還付請求書を提出する必要があります。ただし、欠損金の繰越はありませんので、別表7の記載は不要です。
この制度は、法人税だけの規定で、同様に欠損金の繰越制度がある事業税には、適用されません。ですから、翌期の法人税の申告の際には、法人税の計算上、欠損金の繰越がなくても、事業税では、繰り越しして翌期以降の黒字と相殺することになります。
(3)暫定税率不成立の影響
このさぽーと発行時の平成20年4月4日現在、平成20年度の税制改正法案が、5月31日まで延長された一部を除き成立していません。このため、一部の制度が、3月31日をもって期限切れとなっています。
欠損金の繰戻還付制度は、設立後5年以内の会社に限定されていましたが、平成20年3月31日をもって、5年以内の枠がはずされ、平成20年4月1日以後に終了する決算期からは、どの会社でも受けられる状態となっています。
現在施行されている法律をそのまま解釈すれば、平成20年4月1日以後に終了する決算期が赤字で、その前の期が黒字であれば、前期の法人税の一部の還付を受けられることになります。
決算期は、会社の任意で変更可能となっていますので、中途半端でも4月10日決算なんて変更すれば、前期の法人税が還付されるかもしれません。恐らく税制改正法案が、原案通り可決されれば、4月1日に遡って遡及適用される可能性が高いと思われます。遡及適用されれば、やっぱり還付した法人税は、納め直してくれなんとことになるかもしれませんので、実行は、くれぐれも慎重に。
(M.H)