東日本大震災への税制上の対応(第一弾)|仙台市の税理士・ひなた会計事務所
2011.5.2
税制上の対応について、その主なものをご紹介いたします。
(1)所得税
・雑損控除の特例
地震や津波により住宅や家財に損害があった場合に、平成22年分か23年分の所得税を減額することが可能になります。所得税の減額ですから、所得税の負担がない場合には、減額はありません。
どちらの年で減額するかは、一般的には、納税額の多い年が有利になりますが、23年分の減額ができるのは、平成24年3月になりますから、少しでも早く減額を受けたい場合は、22年分で減額を受けることになります。
なお、損害額が、他の収入を上回る場合には、その上回った金額は、翌年以降5年間の収入と相殺して、所得税の減額を受けることになります。
・事業用資産の損失
事業用資産の損失は、事業所得の計算で、経費計上します。大震災が起きたのは、平成23年ですが、22年の損失として、遡って経費計上することができます。
22年に遡ったことにより、22年が赤字となった場合は、赤字分を21年分の黒字と相殺して、21年の所得税の還付を受けることもできるようになりました。
22年以前に遡らずに、23年分の損失として計上し、他の収入と相殺して所得税を計算することもできます。相殺しきれなかった損失額は、24年分以降5年間の他の収入と相殺することになります。
平成22年分の所得税については、既に申告済みであっても、訂正等が可能となっています。
(2)法人税
・震災損失の繰戻還付
東日本大震災後に、赤字決算となった会社は、その赤字のうち、震災損失の金額を、直前2期の黒字と相殺して、法人税の還付を受けることができます。この還付は、中間決算で受けることも可能です。
直前2期の少なくともいずれかで、法人税の納税をしていることが条件です。法人税の納税をしていない場合は、来期以降の黒字と相殺して、法人税を減額することになります。
(3)相続税・贈与税
・財産の評価額
東日本大震災前に相続や贈与で取得した財産であっても、相続税や贈与税の申告期限が、大震災後であれば、大震災後の値下がりした評価額に変更できます。
・申告期限の延長
相続税、贈与税の申告期限は、延長されます。平成23年5月2日現在、いつまで延長されるかは、決まっていません。
(4)登録免許税・不動産取得税
大震災により損壊した建物に代えて、平成33年3月31日までに新たに土地や建物を取得した場合には、登録免許税と不動産取得税を免除します。船舶についても、同様に登録免許税が免除となります。
(5)消費税
・課税事業者の選択
消費税の還付を受けるための消費税課税事業者選択届出書の提出が、期限後であっても、期限内に提出されたものとみなされ、還付を受けることができます。ただし、翌年は、消費税の納税となる可能性がありますから、ご注意ください。
(6)印紙税
地方公共団体や政府系金融機関等の、大震災による特別貸付制度による消費貸借契約書は、平成33年3月31日まで、印紙税が非課税となります。
大震災による代替資産の取得や、損壊物件の修繕のための工事請負契約書や不動産の売買契約書について、平成33年3月31日まで、印紙税が非課税となります。
(7)自動車重量税・自動車取得税
被災した自動車の代替として、平成26年3月までに買い換えた場合は、自動車重量税と自動車取得税が免除となります。
(8)固定資産税
津波による甚大な被害を受けた地域の土地や建物の固定資産税について、平成23年分は免除となります。
(M.H)