100%即時償却する方法|仙台市の税理士・ひなた会計事務所

2022年7月5日
 

(1)設備投資で税制優遇

 一定の設備投資をすると、取得価額の10%が法人税から控除されます。

 また、減価償却費を先取りする即時償却を採用することも可能です。

 即時償却を選択しますと、設備投資額全額をその年の経費にできますので、法人税を大幅に減少させることができます。

 対象となる設備投資は、160万円以上の機械装置、70万円以上のソフトウェア、30万円以上の工具器具備品、60万円以上の建物付属設備です。

 なお、個人事業主の場合は、所得税から控除されます。


(2)証明書の入手

 生産性が旧モデルより1%以上工事している場合は、その投資する設備等について、工業会等から証明書が交付される場合があります。

 その他に機能や販売時期等の要件がありますが、証明が発行されますと手続きがラクになります。

 まずはメーカーや販売店に、経営力強化税制のための証明書が発行されるか確認しましょう。


(3)証明書が発行されなかったら

 証明書が入手できない場合は、所轄の経済産業局に経営力向上計画案を提出して、確認を受ける必要があります。

 計画案は、税理士の事前確認を受ける必要があります。

 投資利益率が5%以上といった数値目標をクリアする計画必要がありますが、そこは確認を受ける税理士に相談して進めましょう。

 経産局の確認を受ける場合は、事前に連絡をしておく方がスムーズです。


(4)設備の取得は1番最後

 証明書又は経産局の確認書を入手したら、担当省庁から計画の認定を受けます。

 どの役所に認定を受けるかは、建設業なら地方整備局というように事業分野ごとに定められています。

 認定を受けてから設備の取得をします。

 確認や認定には1ヶ月程度かかる場合がありますので、決算時期を考えて余裕を持って設備投資を進めるようにしましょう。

 事前取得の例外も認められていますが、決算期末までに全ての手続きが完了する必要があります。


(5)税務申告

 最後に法人税の確定申告で、税制融合措置を受けて完了です。

 申告書には、確認申請書と計画認定書の写しを添付します。

 税額控除が即時償却のどちらかを選択するわけですが、一度選択したら修正申告等での変更はできません。

(M.H)

※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

料金はこちら

 通常コース料金表 現在の報酬より多少は上がってもいいので、質のいい税理士を探している方にお勧めです。

税務署に行かずに昔の申告を確認する方法|仙台市の税理士・ひなた会計事務所

2022年6月20日

(1)所得税はネットで閲覧可能


 所得税の申告書は、パソコンやスマートフォンから閲覧することが可能です。

 料金はかかりません。

 e-Tax(電子申告)で提出した場合だけでなく、書面で提出した場合も閲覧できます。

 インターネットに接続されたパソコン又はスマートフォンを準備してください。

 マイナンバーカードも必要です。

 代理申請はできませんので、本人のマイナンバーカードを準備してください。

 パソコンの場合は、マイナンバーカードの読み取り装置も必要ですね。

 e-Taxにログインをして、閲覧申請データを作成して送信します。

 パソコンの場合は、e-Taxのホームページのe-Taxソフト(WEB版)の「申告・申請・納税」をクリックしてください。

 スマホの場合は、e-Taxソフト(SP版)からログインして「申請・納税」をタップしてください。

 申請から数日後に、e-TaxのメッセージボックスにPDFファイルが格納されダウンロード可能となります。

 メッセージボックスの確認にも、マイナンバーカードが必要です。

 PDFは格納から180日間、ダウンロードができます。

 期間を経過した場合は、再度申請をしてください。

 入手できる情報は、下記のとおりです。

 ・所得税及び復興特別所得税確定(修正)申告書
 ・青色申告決算書
 ・収支内訳書

 令和2年分以降の直近3年分が閲覧可能です。

 申告期限内の3月15日までに申告をした場合は、その年の5月1日以降閲覧可能になります。


(2)紙での閲覧申請は税務署へ

 税務署に行けば、紙での閲覧が可能です。

 税務署では、所得税申告書に限らず、法人税、消費税、相続税、贈与税等や各種申請書、届出書も閲覧できます。

 手続きは、申告書等閲覧申請書を税務署の窓口へ提出してください。

 事前に検索して印刷した用紙に記入していけば、良いですね。

 窓口では、免許証本人確認書類で本人確認が行われます。

 税務署では閲覧だけで、コピーはもらえません。

 閲覧申請書に写真撮影について記載しておけば、スマホやデジカメで撮影可能です。

 撮影した写真は税務署員が確認しますので、消去や再撮影の指示に従うようにしましょう。

 撮影できないと手書きで写すことになりますので、不備が無いように気をつけてくださいね。

 税務署では代理申請も可能です。

 代理申請の場合は、納税者本人の実印を押捺した委任状と印鑑証明書が必要です。

 代理人の身分帳証明書も必要です。

 紙の閲覧も料金はかかりません。

(M.H)

※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

免税事業者への取引変更は下請けいじめ|仙台市の税理士・ひなた会計事務所

2022年6月3日


(1)2023年10月インボイス制度開始

 消費税の課税取引を行った場合は、事業者は取引の相手方に求められた場合は、登録番号等の法令で定められた事項が記載された「適格請求書」を発行しなければなりません。

 登録番号は、税務署に申請して発行してもらいます。

 適格請求書は、消費税の課税事業者のみが発行できます。

 適格請求書を発行した事業者は、控えを保存する義務があります。

 適格請求書を受け取った買い手側の事業者は、消費税の納税額の計算をする際、保存してある適格請求書に記載された消費税額を、納税額から控除することができます。


(2)免税事業者への消費税は自己負担

 消費税の免税事業者は、登録番号がないので適格請求書を発行できません。

 登録番号がない請求書では、消費税の納税額から控除できません。

 控除ができないということは、免税事業者への支払分の消費税は自分で負担することになるわけです。

 自己負担は嫌だからと、免税事業者へ消費税相当分の支払をしない、免税事業者との取引を止めようと考える会社が出てきそうですが、場合によっては下請けいじめと指摘される可能性が出てきます。


(3)消費税分の支払をしない

 取引相手が免税事業者とは知らず、登録番号のない請求書を受け取って初めて免税事業者であることを知ったとします。

 消費税分を負担するのは嫌なので、消費税相当額を減額して支払いたいですね。

 免税事業者であることを理由に、消費税相当額を支払わないのは下請法違反になります。


(4)契約内容の交渉に応じない

 今の下請けとの契約が免税事業者であることを前提に締結されていたとします。

 今後のことを考えて、取引先に課税事業者なるよう要請しました。

 要請に応じて免税事業者から課税事業者になりました。

 ココまでは問題ありません。

 課税事業者になったということで、契約内容の見直しを依頼されましたが拒否しました。

 契約見直し交渉に応じず、一方的に取引を継続すると、下請法違反になる可能性があります。


(5)免税事業者との取引打ち切り通告

 取引先の免税事業者に課税事業者になるよう要請しました。

 ココまでは問題ないですね。

 しかし、その要請文に課税事業者にならない場合は取引を打ち切りますや、消費税相当分を減額しますというように、一方的に通告しました。

 一方的な通告は独禁法上問題になる可能性がありますので、必ず交渉を行うようにしましょう。

 対等な交渉の結果、価格据え置きになることは問題ありません。

(M.H)

※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

30万円未満でも一発経費にできません|仙台市の税理士・ひなた会計事務所

2022年5月20日

(1)少額減価償却資産の即時償却

 10万円未満の減価償却資産を取得した場合、取得価額の全額をその年の経費にできます。

 さらに中小企業ですと、全額経費の単価基準が30万円にアップします。

 減価償却資産ですから、本来は使用可能期間で按分して減価償却費として経費にしていくので、買ったその年の全額が経費になることはありません。

 ただし単価が少額である場合は、買ったその年に全額経費計上できるんです。

 その単価の基準が原則10万円というわけです。

 単価10万円未満であれば、何台購入しても全額経費です。

 金額が多額でも全額経費です。

 そして、中小企業の場合は、単価基準が10万円から30万円に引き上げられます。

 ただし10万円以上30万円未満の資産を全額経費にできるのは、年間300万円までという上限が設定されています。

 300万円という制限はありますが、30万円未満であれば全額経費にできるということで、決算前のかけこみ購入で税金対策をする方法が行われるわけです。

 ここで注意していただきたいのは、全額経費にできるのは使用開始した資産だけです。

 買うだけ買って箱を空けて使ったのは翌期ですと、買った年には経費にできませんからね。

 また、10万円以上20万円未満の場合には、3分の1を経費できる一括償却という方法もありますので、少額減価償却資産を多数購入した場合には、経費計上額が最大になる組み合わせを考えてみましょう。


(2)貸付用は全額経費不可

 2022年4月以降は単価基準を満たした場合でも、購入した少額減価償却資産が貸付用の場合は、全額経費にできず、通常の減価償却をしなければいけません。

 単価が10万円未満でも、貸付用資産は全額経費にできません。

 ただし例外もあり、全額経費計上が認められる場合もあります。

 それが貸付業が本業の場合です。

 本業ですから、事業計画にも影響しますからね。

 それ以外に、親会社がまとめて購入して、子会社に貸し付けている場合も全額経費計上可能です。

 子会社の資金力の問題や、スケールメリットで安く買えるということもあるでしょうからね。

 また、下請けに工具等を貸し付けている場合も全額経費にできます。

 不動産賃貸業で、家具等を貸し付けている場合も全額経費経費にできます。

 なお、貸付業が本業でなくても、継続的に事業活動の中で貸し付けが行われている場合は、それが節税や租税回避等が目的でない場合は、全額経費計上可能場合もあります。

 貸付用だから経費にできないと諦めずに、よく検討する必要がありますね。


(3)償却資産税の対象

 貸付用で全額経費にできなかった資産は、固定資産税の対象です。

 償却資産として毎年1月に申告する必要があります。

(M.H)

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節約できるかな 法人の均等割額|仙台市の税理士・ひなた会計事務所

  2022年5月2日

(1)均等割と基準

 法人を運営する上で検討が必要な税金があります。

 それは利益に関係なく一定額を納める均等割という税金です。

 均等割は法人であれば等しく払う義務のある税金で、法人が赤字で利益が出ていなくても納税の必要があります。

 等しく払うと言っても法人によって事業の規模が違いますので一定の基準に従って税額が変わります。

 基準としてはどの都道府県と市町村に事務所を置いているかと、資本金等の額や従業員数によって判定されます。


(2)均等割の額

 例として資本金1,000万円以下、従業員数50人以下の法人についていくつか記載させて頂きます。

 事務所の所在地によって下記のように税額が変動します。

 青森県  年20,000円 青森市  年50,000円
 秋田県  年21,600円 秋田市  年60,000円
 宮城県  年22,000円 仙台市  区ごとに年50,000円
 神奈川県 年20,000円 横浜市  区ごとに年54,500円
 愛知県  年21,000円 名古屋市 区ごとに年50,000円

 通常は同一の市内であれば事務所を複数設置しても均等割額は変わりません。

 仙台市のように政令指定都市の場合は区ごとに均等割を計算します。

 東京都の23区も上記の県や市とは異なる計算を行います。

 23区内に法人がある場合は1ヶ所目が年70,000円、2ヶ所目以降が50,000円ずつ加算されます。


(3)事務所設置のタイミング

 均等割は年の途中で事務所の設置を行った場合は月割りで課税されます。

 その際、1ヶ月に満たない日数は切り捨てされますが、切り捨ての結果0ヶ月になる場合は1ヶ月分として計算します。

 その為、事務所を設置したタイミングによって税金の額が変わります。

 計算例を記載します。

 宮城県仙台市に本店がある会計期間1/1〜12/31の法人が、6/15に秋田県の秋田市に事務所を設置した場合

 宮城県が1/1〜12/31の12ヶ月で22,000円

 仙台市が1/1〜12/31の12ヶ月で50,000円

 秋田県と秋田市は6/15〜12/31の6ヶ月半ですので、1ヶ月未満の端数切り捨てで6ヶ月として計算します。

 秋田県が21,600*6/12=10,800円

 秋田市が60,000*6/12=30,000円

 上記の設置タイミングであれば秋田の均等割は半分で済みます。

 法人が営業していない場合、休眠の届出を提出すれば免除される場合もありますが、自治体によって取り扱いが異なります。

 法人が赤字でも原則納税の義務がありますので、毎年のランニングコストとして検討した上で設置しましょう。

(K.S)

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消費税の登録申請を忘れるな!|仙台市の税理士・ひなた会計事務所

2022年4月20日


(1)2023年10月インボイス制度スタート

 2023年10月から、消費税のインボイス制度が始まります。

 消費税は、売上でもらった消費税から、仕入や経費等で支払った消費税を控除して納税額を計算します。

 インボイス制度が始まりますと、消費税の課税事業者は、法令で定められた事項を掲載した請求書や領収証の発行が義務化されます。

 相手から発行を求められた場合は、必ず発行しなければいけません。

 請求書や領収証を受け取った事業者は、法令に定められた事項がその請求書や領収証に記載されているか確認する必要があります。

 もし記載されていない場合は、消費税の納税額を計算する際、支払った分の消費税を納税額から控除できません。

 控除ができないということは、その分の消費税を負担することになります。

 もちろん、受け取った請求書や領収証の保存も義務です。


(2)インボイスの記載事項

 今までの請求書や領収証には、日付、項目(商品名)、金額は、皆さん記載していると思います。

 項目(商品名)が、食料品等の軽減税率対象である場合は、記号を付ける等して軽減税率対象商品であることを明示しなければいけません。

 宛名の記載も義務ですが、不特定多数を取引先とする小売業や飲食店等は記載を省略できます。

 消費税額を記載している場合が多いと思いますが、税率ごとの内訳も必要です。

 適用税率も記載してくださいね。

 うちの商売は全部10%の商品しか扱ってないということが明らかだったとしても、税率の記載は義務です。

 この税率が記載されていない請求書は、現在のところかなり多いですね。

 商品価格も、税率ごとに合計した金額を記載してください。

 合計額の税率も明記が必要です。

 インボイス発行事業者の名称も必要ですね。

 そして忘れていけないのが、登録番号です。


(3)登録申請

 登録番号は、税務署に「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出して、税務署から発行してもらいます。

 個人事業者は、新たに番号が発行されます。

 法人は、既に発行済の13桁の法人番号の前に「T」の文字がついた番号が発行されます。

 はじめから番号がわかっていても、登録申請は必要です。

 現在消費税の課税事業者であっても、登録申請は必要です。

 免税事業者の場合は、登録申請をすると自動的に消費税の課税事業者となり、消費税の納税義務が発生します。

 事業内容や規模により、提出により不利になる場合もありますので、慎重に検討しましょう。

 また、取引先から登録を要請される可能性がありますので、将来の取引のことも考えてきちんと協議をするようにしてください。

 2023年3月31日までに登録申請をすると、2023年10月1日のインボイス制度開始時に登録番号を記載した請求書や領収証を発行することが可能です。

(M.H)

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賃上げ税制のための昇給は控えましょう|仙台市の税理士・ひなた会計事務所

2022年4月5日


(1)賃上げ税制とは

 賃上げ税制とは、従業員の給与を増加させると、最大で増加額の40%の法人税減税ができる制度です。

 前期比で2.5%以上の増加をすると、増加額の30%の法人税が減税されます。

 2.5%まで行かなかったとしても、増加額が1.5%以上であれば、増加額の15%の減税ができます。

 さらに教育訓練費が前期比10%以上増加させた場合は、控除額が10%上乗せされます。

 2.5%以上の増加、かつ、10%以上の教育訓練費増加で、最大40%の減税がされるわけです。

 この制度は、2022年4月以降に開始する決算期からの増加が対象です。

 1年決算法人であれば2023年3月決算から適用です。

 早めに昇給させてしまうと、税額控除の基準となる前期の給与支給額が増加してしまう可能性があります。

 決算期にかかわらず4月昇給としている会社は、昇給のタイミングに注意してくださいね。


(2)給与支給額の増加額

 増加率の判定の基準になる給与とは、月給以外にも賞与も対象にです。

 月給で昇給させてしまうとその昇給額が継続してしまいますので、賞与の増額でこの制度を利用するという方法もありますね。

 また会社全体の給与が対象ですから、正社員に限らず、
パート、アルバイトも含めて判定します。

 ただし、役員の親族や使用人兼務役員は対象になりません。

 大企業の制度と違い中小企業向けの制度では、新規採用者の給与も含めて給与の増加額を計算します。


(3)意外に少ない減税額

 年間で給与を50万円増額させると、最大で20万円の減税となるように思われるかもしれませんが、果たして実際はそうなるでしょうか。

 賃上げ税制というか、ほとんどの税額控除制度には、法人税額の20%という控除額の上限が設定されています。

 20万円の減税となるためには、20万円÷20%=100万円以上の法人税を納税していないといけません。

 法人税の税率が15%ですから、100万円÷15%=約666万円ですね。

 つまり666万円以上の利益を出していれば、満額の控除を受けられるわけです。

 増加額の最大40%の減税というよりは、法人税額の20%の減税という中小企業がかなり多いのではないでしょうか。

(M.H)

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事後確定でも支給できる役員賞与|仙台市の税理士・ひなた会計事務所

2022年3月18日



(1)使用人兼務役員の使用人分賞与

 役員賞与は経費にならないから支給を止めよう。

 事前に税務署に届出すれば役員賞与を支給できるけど、届出期限を過ぎてしまった。

 そんな場合でも、使用人兼務役員の使用人分賞与なら支給しても経費にできるのです。

 あくまでも経費にできるのは、使用人分の賞与だけです。

 他の従業員よりも極端に高い金額を支給すると、使用人分の額を超えているとして税務署から指摘される可能性があります。

 他の従業員よりも賞与額が多い場合には、使用人としてなぜ多いのかをきちんと説明できるようにしておきましょう。


(2)使用人兼務役員とは

 ところで使用人兼務役員とは何でしょうか。

 最後に「役員」とついてますから、取締役として登記されている方が対象です。

 取締役でありつつ、部長、執行役員、工場長のように、使用人としての役職を与えられている方を言います。

 「執行役員」は法的には使用人の扱いです。

 もちろん、使用人として常時勤務している必要もあります。

 このような方を使用人兼務役員と言うわけです。

 ただし、社長や代表取締役は、いくらトップ営業マンとして活躍していても、使用人兼務役員になれません。

 副社長、専務、常務も使用人兼務役員になれません。

 専務等の役職が定款や株主総会等の決議が何もされていないことが、中小企業にはよくあります。

 専務の呼称や名刺への記載のみでは、機関決定されていなければ、使用人兼務役員になれる可能性があります。

 また、同族会社の場合にはオーナー経営者の親族である場合や、その役員の持ち株割合が5%超の場合は、使用人兼務役員になれません。


(3)使用人分賞与の明示

 使用人兼務役員に使用人分賞与を支給した場合は、法人税の申告書に添付する勘定科目内訳書に記載します。

 「役員報酬手当等及び人件費の内訳書」の「役職名 担当業務」欄に「執行役員」「工場長」のように、使用人としての役職も掲載します。

 支給額については、「役員報酬」と「使用人分給与と賞与の合計額」に分けて集計します。

 使用人分としての給与と賞与の合計額を、「使用人分職務分」欄に記載します。

 役員分の賞与は、事前確定届出給与であれば支給することができます。

 「事前確定届出給与」欄に、支給額を記載してください。

(M.H)

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住所・氏名が変わった人の確定申告|仙台市の税理士・ひなた会計事務所

2022年3月4日


(1)申告時点の氏名で申告

 結婚等で名字が変わった場合には、確定申告をする時点の氏名で申告してください。

 3月15日の確定申告期限は関係ありません。

 申告をする時点の氏名を記載します。

 申告期限後や翌年以降の申告になったとしても、記載するのは申告時点の氏名です。

 ただし、還付申告の場合は、還付金の受取口座の名義にご注意ください。

 口座名義は申告書記載の氏名と一致しないと振り込まれませんので、新氏名の口座を新たに開設するか、口座の名義人の変更手続きを行ってくださいね。


(2)申告時点の住所で申告

 引っ越しで住所が変わった場合は、申告をする時点の現住所で申告してください。

 税務署の所轄が変わる場合は、変更後の申告時点の税務署に提出します。

 住所ごとに税務署の管轄区域が決まっていますので、国税庁のHP等で確認しておきましょう。

 なお、2023年からは納税地の異動届の提出は不要です。

 ただし、年が明けてから引っ越した場合は、旧住所を記載する欄がありますのでお間違えのないように。

 所得税の確定申告書には、その年の1月1日現在の住所を記載する欄があります。

 これは、住民税が1月1日現在の住所で課税されるためです。

 年明けから申告までに引っ越しをした場合は、新住所と旧住所の両方を記載することになります。

 住民税は旧住所の自治体に納税します。


(3)源泉徴収等の変更不要

 手元にある源泉徴収票や控除証明書等が、変更前のままということがありますね。

 その場合は変更前のままでかまいません。

 勤務先等の発行元からわざわざ訂正してもらう必要はありません。

 旧住所、旧姓のままで申告してください。

 そもそも源泉徴収票は添付の必要がありませんから、気にする必要もありません。

(M.H)

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6つの納税方法|仙台市の税理士・ひなた会計事務所

2022年2月18日


 法人の場合は決算、個人事業主の方や不動産をお持ちの方・お給料が2ヶ所ある方などは確定申告という形で申告を行いますが、実は納税方法は6つもあるのをご存じでしょうか。

 今回は、6つの納税方法をメリット・デメリットでご紹介します。


(1)振替納税制度

メリット:
 1度手続きを行うと、翌年以降は必要なく引落が1ヶ月後(R4確定申告の場合4月21日)になる

デメリット:
 事前に依頼書の提出が必要
 ネットバンキングは、使用できない場合がある
 引っ越しによって納税地が異動になる場合には手続きが必要

 振替納税を希望する場合は、振替依頼書を用意します。

 必要箇所の記入を行った後、納税地を所轄する税務署または、振替依頼書に記載した金融機関へ納期限までに提出が必要になります。

 R4年確定申告の場合はR4年3月15日までに提出が必要です。

 所得税と個人事業主の消費税限定になります。

 期限後申告分・修正申告分・贈与税については、使用できませんのでご注意ください。


(2)クレジットカード

メリット:
 納付金額や納付先の税務署がわかれば、自宅のパソコンやスマートフォンから24時間いつでも納付手続きが可能
 分割払いを選択できる
 ポイント・マイルが付く

デメリット:
 決済手数料がかかる
 毎回手続きをしなければならない

 ご利用になるクレジットカードの決済手数料含む金額が、決済可能額以下でないと使用できません

 使用するカードによって一括払い・分割払いを選択できますが、ボーナス払いは選択できませんのでご注意ください。

 利用可能なクレジットに関してはこちらです。

 Visa、Mastercard、JCB、American Express、Diners Club、TS CUBIC CARD


(3)コンビニ

メリット:
 買い物のついでに納付ができる
 営業を行っていれば24時間利用ができる

デメリット:
 税務署でバーコード付納付書の発行を依頼・もしくは自分でQRコードを作成しなくてはならない
 30万円以上の納付には使えない

 すべてのコンビニではなく以下のコンビニの端末設置店舗のみになります。

 ローソン・ナチュラルローソン・ミニストップのLoppi端末設置店舗
ファミリーマートのFamiポート端末設置店舗


 コンビニでの納付は現金のみとなりクレジットカードや電子マネーの利用はできませんのでご注意ください


(4)金融機関や税務署窓口

メリット:
 利用可能額の制限がない

デメリット:
 窓口の営業時間にしか利用できない

 納付書を持っていけば納付が可能になります。

 もし納付書がない場合は、税務署または所轄税務署管内の金融機関に用意してある納付書を使用することができます。


(5)ダイレクト納税

メリット:
 自宅で納付手続きが完了する

デメリット:
 利用には1ヶ月前までに準備が必要

 国税ダイレクト方式電子納税依頼書兼国税ダイレクト方式電子納税届出書を作成し、納税地を所轄する税務署へ書面で提出する必要があります。

 ダイレクト納付を利用する日の約1ヶ月前には提出の必要がありますので余裕を持ち提出を行う必要がございます。

 また、来年から使用するという場合には早めに提出をしておくといいでしょう


(6)ペイジー

メリット:
 パソコンやスマートフォンから簡単に納付できる 
 多くの金融機関で利用できる

デメリット:
 利用には事前に手続きが必要

 振替納税の場合ネット銀行は対応していませんがペイジーの場合楽天銀行・PayPay銀行は対応になります。


●期日までに納付ができなかった場合

 口座の残高不足などで支払いができなかった場合には、延滞税がかかってしまいます。

 引き落とし日前の平日までには納税資金を振り込み、余裕を持って納税の準備をしましょう。

(Y.O)

※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

特定口座を申告するデメリット|仙台市の税理士・ひなた会計事務所

2022年2月4日

(1)特定口座とは

 源泉徴収ありの特定口座とは、個人投資家が株式の売買をするときに、証券会社に開設する口座の一つです。

 特定口座は1証券会社につき1口座開設できます。

 特定口座で売買した株式の損益は、証券会社が計算してくれます。

 売却益が出た場合は、約20%の税金を証券会社が天引きして、税務署等へ納税します。

 売却損の場合は、その年の売却益と相殺して、税金が払いすぎであれば証券会社が還付してくれます。

 配当金を特定口座で受け取ることにしてれば、証券会社が配当金も含めて売却損益を計算して、税金を天引きしてくれます。

 特定口座での売買は、どんなに利益が出ても確定申告をする必要はありません。

 ただし、証券会社は1年分の売却損益と配当金の金額を集計して、年間取引報告書を個人投資家と税務署に交付します。


(2)特定口座を申告するデメリット

 特定口座の売却損益は、確定申告をすることもできます。

 売却益の特定口座を申告すると、合計所得金額が増えることになります。

 本人が誰かの扶養になっていた場合は、申告をしたことで合計所得金額が48万円を超えてしまい、扶養から外れることになります。

 申告しなければ扶養のままだったのにということになりかねません。

 また国民健康保険の場合には、保険料の算定根拠に含まれる可能性があり、保険料の増額となるかもしれません。

 国保の保険料については、確定申告をしても申告書第二表下段の「特定配当等・特定株式等譲渡所得の全部の申告不要」欄にチェックを付けることで回避できます。

 結局、特定口座を申告しても、手間だけでなく負担も増える結果となる可能性が高いんですね。

 とは言っても、きちんと計算すると負担が減ることもありますので。


(3)売却損を申告して税金還付

 売却損の場合には、申告をすることで、翌年以降の売却益と相殺することができます。

 今年の100万円の損失を確定申告して、翌年100万円の利益が出たとします。

 翌年も確定申告をすると、前年の赤字100万円とその年の黒字100万円が相殺されて、証券会社が100万円の黒字から天引きされた税金が還付されます。

 ただこれも注意が必要で、扶養になるかどうかの判定基準は赤字と相殺する前の所得金額ですから、100万円の黒字を申告した時点で扶養を外れることになってしまいます。

 特定口座については、手間を考えれば申告しないと割り切ってしまうのも一考かもしれません。

(M.H)

※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

申告が必要な退職金かも|仙台市の税理士・ひなた会計事務所

2022年1月20日


(1)退職所得は原則確定申告不要

 退職金を受け取るときは、会社に「退職所得の受給に関する申告書」を提出します。

 会社は、退職金に対する所得税や住民税を計算して、税金を控除した金額を退職金として支給します。

 税務署や市町村へ退職金の報告書を提出して、控除した税金は納税します。

 一般的には、これで退職金の手続きは終了です。

 確定申告をする必要もありません。


(2)確定申告をする場合

 医療費控除やふるさと納税で、還付申告をする場合がありますね。

 新たに個人事業を始めた場合や、元々不動産賃貸もしていて確定申告をする人もいますね。

 年金をもらい始めて確定申告という人もいるでしょう。

 いずれにしても確定申告をする場合は、退職所得についても確定申告書に記載する必要があります。

 退職所得は、確定申告書の第三表に記載します。

 たとえ還付税額や納税額に影響がなくてもです。

 退職所得は「原則」申告不要ですが、確定申告をする場合は申告が必要なのです。

 配偶者控除や基礎控除の制度が複雑になり、所得金額調整控除なんてのもあって税額に影響する場合があるんですね。


(3)還付金が増えるかも

 申告不要でも退職金を確定申告すると、還付金が増える場合もありますよ。

 その年に、退職金以外に収入がない場合は可能性があります。

 扶養家族がいる場合は、還付金がさらに増えるかもしれませんね。

 不動産や事業が赤字の場合は、還付の可能性が大いにあります。

 ただし必ず還付金があるとは限りませんので、悪しからず。

(M.H)

※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

会社での暗号資産取引|仙台市の税理士・ひなた会計事務所

2022年1月5日


(1)暗号資産の購入

 会社で暗号資産(仮想通貨)を購入した場合は、「(投資)暗号資産」という勘定科目で、資産に計上します。

 資産の区分は、固定資産の投資その他の資産です。

 計上する金額は、購入時に支払った金額です。

 購入手数料がかかる場合は、購入金額に含めます。

 支払手数料という経費にはなりません。

 ドルやユーロの外貨建てで購入した場合は、原則として取引時の為替相場の仲値(TTM)で円換算した金額を計上します。


(2)暗号資産の売却

 暗号資産を売却した場合は、売却した分の暗号資産を減らします。

 減らす金額は、購入時に支払った金額です。

 購入手数料が含まれている場合は、手数料も含めて減らしてください。

 一部の売却であれば、売却した分だけを按分計算して減額します。

 購入手数料も含めて按分が必要です。

 売却額はそのまま入金しますから、現預金を増加させてください。

 売却手数料が引かれている場合は、支払手数料として経費計上します。

 入金額と売却額の差額を求めて、儲かっていれば「暗号資産売却益」、損していれば「暗号資産売却損」とします。

 区分は営業外損益です。

 外貨建ての場合は、購入時同様、原則としてTTMで円換算して計算します。


(3)暗号資産の交換

 暗号資産を他の暗号資産に交換した場合は、購入と売却を同時に行ったことになります。

 新しく取得した暗号資産は、取得時のレートで円換算して(投資)暗号資産に計上します。

 支払いに利用した暗号資産は、税法上は売却の扱いになります。

 取得時のレートで円換算した暗号資産を減額してください。

 取得時と交換時でレートが変動していれば、売却益、又は、売却損を計上することになります。


(4)会社で投資すべきか

 会社の場合には、売買の都度、取引を記録する必要があり、経理が非常に煩雑になるかもしれません。

 累進課税の所得税より、一定税率の法人税の方が税負担が少なくなる可能性があります。

 しかし、マンパワーの小さい中小企業は、税負担と手続きの煩雑をよく検討して投資しましょう。

(M.H)

※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

青色申告でも申告不要にできる|仙台市の税理士・ひなた会計事務所

2021年12月20日

(1)確定申告不要制度

 会社役員やサラリーマンのように給与をもらっている人は、給与以外の所得が20万円以下の場合は、確定申告をしなくてもいいんです。

 副業をしている場合でも、確定申告をしなくても良い場合があるのです。

 ただし、20万円以下かどうかの基準は、所得で判断しますからおまちがえのないように。

 所得とは、収入から経費を差し引いた利益相当額をいいます。

 収入自体が20万円以下であれば、基準を超えることはありませんから、申告不要にできますね。

 20万円を超える場合には、所得基準を下回っているか収支を計算する必要があります。

 後日、本当に申告不要の基準以下かどうか税務署から確認があるかもしれませんので、帳簿資料を揃えておくようにしましょう。


(2)青色申告10万円控除

 不動産所得や事業所得について、青色申告を選択していると、10万円の青色申告特別控除を受けることができます。

 10万円控除は、青色申告の承認申請をして、帳簿等の要件を満たしていれば適用できるものです。

 収支計算をした結果の利益額が20万円超えていたとしても、10万円控除を行って所得が20万円以下となる場合は、確定申告不要とすることができるんです。

 所得税は法人税と違って確定申告をしなかったとしても、帳簿等がきちんと保存されていれば、青色申告取消しにはなりません。

 決して申告不要だからといって、領収証等を破棄しないようにしてくださいね。


(3)65万円控除は申告が必要かも

 青色申告でも、複式簿記で帳簿を付けて、貸借対照表を添付して、電子申告すると10万円ではなく65万円の控除を受けることができます。

 65万円控除は、申告期限内の確定申告が要件です。

 たとえ65万円を控除して所得が20万円以下になったとしても、申告不要を選択すると期限内申告の要件を満たしていませんから、65万円控除の対象になりません。

 65万円控除を適用する場合は、期限内に確定申告をするようにしましょう。

 申告しなかったとしても10万円控除は適用できますから、10万円控除の結果所得が20万円以下になれば、申告不要を選択することはできます。

 こちらも、帳簿や領収証等の破棄をしないように。


(4)確定申告が必要な場合

 給与以外の所得が20万円以下でも、年間の給与収入が2,000万円超の人は、確定申告をしなければいけません。

 自分が経営する同族会社から家賃や利息を受け取った場合は、たとえ少額でも確定申告をしなければいけません。

 還付申告の場合は、20万円以下の少額所得も含めて申告しなければいけません。

 できるだけ払う税金を少なくしたい、又は、還付される税金を多くしたいと思うところですが、まちがった申告となり追加納付とならないように、正確に検討していきましょう。

(M.H)

※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

まだ間に合うぞ!小規模企業共済|仙台市の税理士・ひなた会計事務所

2021年12月3日

(1)小規模企業共済とは

小規模企業共済とは、小規模企業の経営者のために国が用意した退職金の制度です。

従業員が20人以下(サービス業など一部の業種は5人以下)の役員、個人事業主やその家族等が加入できます。

加入時の従業員数で判定しますので、加入後に従業員が増えてもそのまま継続可能です。


(2)制度の内容

会社役員を退任した場合や事業を廃業した場合等に、共済金を一括・分割・併用から選んで受け取ることができます。

一括の場合は退職金扱いとなり所得税の計算上で有利な制度を利用することが可能です。

分割の場合は年金と同様の扱いとなり毎年の受取額に応じた所得税を納税することとなります。

どの受け取り方を選んだとしてもトータルの所得税は大幅に軽減される制度になっています。

掛金に対しての予定利率が1%ありますので、低金利の時代では銀行に預けているよりも利回りが大きいのも特徴です。


(3)掛金と税金の関係

掛金は月額1,000円から70,000円まで500円単位で設定可能です。

支払った掛金は、所得税の計算上で経費と同様の扱いで控除できますので、金額に応じて税額が減少します。

所得税率は5%〜45%までの幅がありますので、所得の高い人ほど効果が高くなります。

年払いも可能ですので、年間分の支払いで最大84万円の控除を受けることが可能です。

会社役員であれば役員報酬を7万円増額して小規模企業共済に月7万円で加入することで会社の経費を年84万円増やして法人税を減らすことができます。

収入が84万円増えますが、84万円の控除がありますので所得税は増加しません。

資金繰りが厳しい場合は1,000円に減額することで支払額を調整することも可能ですので、老後に向けた資産形成として検討してみてはいかがでしょうか。

(K.S)

※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

年末調整のよくある間違い2021|仙台市の税理士・ひなた会計事務所

2021年11月20日

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 年末調整を行うために、従業員は会社に対して次の3つの用紙を提出します。

●給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
●給与所得者の基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書
●給与所得者の保険料控除申告書

 2021年から提出書類への押印が不要になりました。

 また、2年目以降の住宅ローン控除を受ける人は、税務署から送られてきた住宅借入金等特別控除申告書と金融機関の借入金残高証明書も会社に提出します。

 2020年から、会社によっては電子データでの提出が可能です。


(1)年末調整とは

 会社は、毎月の給料や賞与を支払う際に、従業員の扶養家族の人数等に応じて、所得税を概算額で給料等から天引きすることとなっています。

 毎月天引きしている金額は概算額ですから、12月の給料支給時に1年分の所得税額を計算し直し、計算した所得税額と毎月の概算額との差額を精算します。

 この精算手続きのことを「年末調整」といいます。


(2)よくある間違い〜扶養控除等申告書編〜

●令和4年分扶養控除等申告書を使っている

 令和4年分の扶養控除等申告書を使って、令和2年分の年末調整をしている方は、注意してください。

 控除対象扶養親族は、16歳以上を記載しますが、令和4年分の申告書には、「平19.1.1以前生」と記載されています

 令和3年分の年末調整で扶養親族になるのは、「平18.1.1以前生」の16歳以上になります。

 15歳以下の扶養親族は、用紙下部の「住民税に関する事項」に記入します。

 生年月日がきちんと記載してあれば、年末調整担当者が判断できます。


●マイナンバーが記載されていない

 扶養控除等申告書を記入する場合には、マイナンバー(個人番号)の記載が必要になります。

 本人だけでなく、扶養親族のマイナンバーも必要です。

 ただし、前年以前にマイナンバーを記載し、会社が一覧表やデータで管理している場合は、記載不要です。


●会社のマイナンバーが記載されていない

 給与を支払う会社のマイナンバー(法人番号)を記載してください。

 なお、個人事業の場合は、マイナンバー(個人番号)を記載してはいけません。


●年収が1,095万円以下なのに源泉控除対象配偶者の記載がない

 本人の年収が1,095万円(所得900万円)以下、かつ、配偶者の年収が150万円(所得95万円)以下を、源泉控除対象配偶者といいます。

 夫婦の年収が基準以下の場合は、配偶者の氏名を記載します。


●扶養親族の所得金額欄に年収を記載している

 所得と年収は違います。扶養親族になるのは、所得が48万円以下の人です。

 所得とは、収入から経費を引いた金額をいいます。

 パートやアルバイトの場合、経費に相当する金額として、最低55万円が与えられています。

 パート収入が年間100万円の場合、所得は、100万円−55万円=45万円となり、所得が48万円以下ですから、扶養親族に該当することとなります。金額欄には「45万円」と記載します。

 パート収入は気にされている方が多いのですが、大学生の子供がいる場合には、子供のアルバイト代にも注意してください。

 稼ぎすぎていると、扶養親族に該当しなくなり、後で追徴課税されることがよくあります。

 また、年金の場合の、経費に相当する金額は、65歳以上で最低110万円、65歳未満で最低60万円とですので、年金額が158万円(65歳以上)又は108万円(65歳未満)の場合に、扶養親族に該当します。


●「同居老親等」に○が付いていない

 70歳以上の父母や祖父母を扶養している場合には、扶養控除の金額が増加します。

 さらに、同居しているかどうかでも金額が変わってきます。

 同居しているのに、ここに印が付いていないと、控除額で損をすることとなります。

 老人ホームなどに入居されている場合には、同居ではありませんので、こちらは○を付けてはいけません。


●「特定扶養親族」に○が付いていない

 19歳以上22歳以下の方を扶養している場合には、扶養控除の金額が増加します。該当する場合には、○を付けてください。

 生年月日がきちんと書かれていれば判断はできますが、たまに、生年月日も書かれていないときがあります。


●障害の内容が書かれていない

 本人や配偶者が障害者であったり、障害者を扶養していたりする場合には、控除額が増加します。障害者である旨を記載する欄がありますので、そちらもきちんと記入してください。

 また、障害の程度により、控除額も変わってきます。障害者手帳等に書かれている等級も記載するようにしてください。

 15歳以下の子供は、扶養控除の対象にはなりませんが、障害者控除の対象になりますので、忘れずに記載してください。


●ひとり親や寡婦を記載していない

 配偶者がいない場合には、控除額が増加することがあります。

 所得が48万円以下である子供と、一緒に生活していることが条件です。

 自分の所得が500万円以下でなければいけません。

 収入が給与のみであれば、給与収入約677万円以下が対象です。

 入籍していなくても、住民票に未届の夫又は未届の妻の記載がある場合は、対象になりません。

 該当する場合は「ひとり親」欄にチェックマークを付けてください。

 夫と死別して、その後結婚していない場合は、所得が500万円以下であれば、寡婦控除が受けられます。

 夫と離婚後結婚していなくて、扶養親族がいて、かつ、所得が500万円以下であれば、寡婦控除が受けられます。

 該当する場合は「寡婦」欄にチェックマークを付けてください。


●外国の扶養親族の証明書類を提出していない

 海外に居住する親族の扶養控除、配偶者控除、障害者控除を受ける場合は、「親族関係書類」と「送金関係書類」も提出しなければいけません。

 親族関係書類とは、戸籍の附票、パスポートや外国政府が発行した書類で親族関係がわかる書類です。

 送金関係書類とは、金融機関やクレジットカード会社の書類で、生活費や教育費に充てたことを明らかにする書類です。


(3)よくある間違い〜基礎控除申告書編〜

●年収2,695万円超なのに基礎控除申告書に記載している

 年間所得2,500万円超の場合は、基礎控除申告書に金額を記載しても、基礎控除は受けられません。

 給与収入の場合は、年収2,695万円以下の場合に記載してください。

 なお、給与以外に収入がある場合は、他の所得も合算して判断します。

 所得が1,000万円を超える場合は、配偶者控除等申告書の記載は不要です。


●会社のマイナンバーが記載されていない

 給与を支払う会社のマイナンバー(法人番号)は必要です。

 ただし、個人事業の場合は、マイナンバー(個人番号)を記載してはいけません。


(4)よくある間違い〜配偶者控除等申告書編〜


●年収1,000万円超なのに配偶者控除等申告書に記載している

 年収1,195万円(所得1,000万円)を超える場合には、配偶者控除も配偶者特別控除も受けられません。

 また、配偶者の所得が133万円を超える場合も、控除を受けられません。

 配偶者の収入が給与だけの場合は、年収2,015,999円未満であれば、控除の対象です。


●配偶者控除等の対象なのに、「扶養控除等申告書」のみで、「配偶者控除等申告書」を提出しない

 配偶者控除と配偶者特別控除がいくら適用されるかは、本人と配偶者の両方の所得が基準になります。

 申告書提出時の見積額でかまいませんから、年収や所得を記載するようにしましょう。

 後日所得が確定して、控除額が変わった場合は、訂正が可能です。

 翌年1月31日までであれば、勤務先で再年末調整をしてもらいます。

 それ以降は、自分で確定申告をすれば、差額が精算されます。

 なお、配偶者が海外に居住している場合は、扶養親族同様、親族であることと送金の証明が必要です。


●年金を記載しない

 年金をもらっている場合には、雑所得になります。

 65歳以上の場合は、年金収入から110万円を引いた金額が所得になります。

 65歳未満の場合は、年金収入から60万円を引いた金額が所得になります。

 ただし、65歳未満で年金収入が130万円を超える場合には、計算が必要になりますので、裏面を確認してください。


●配偶者控除等の金額が間違っている

 配偶者控除及び配偶者特別控除は、配偶者の所得の他に、本人の所得も関係してきます。

 判定がわかりづらい場合は、年末調整担当者が判断できるように、配偶者と本人両方の所得又は収入だけは記載してください。


(5)よくある間違い〜所得金額調整控除申告書編〜

●年収850万円超なのに所得金額調整控除申告書に記載していない

 給与の年収が850万円超で、23歳未満の扶養親族がいる場合は、所得金額調整控除の対象です。

 また、本人、配偶者、扶養親族のいずれかが特別障害者の場合にも、控除を受けられます。

 該当する欄にチェックマークを付けてください。

 合わせて、扶養親族や障害者手帳の内容も記載してください。


(6)よくある間違い〜保険料控除申告書編〜

●保険契約の内容を区分していない

 生命保険料控除は、生命保険の種類によって、「一般」、「介護医療」、「個人年金」の3種類に分かれています。

 なお、「一般」、「介護医療」、「個人年金」の区別は、証明書に、その保険がどれに該当するか記載されています。

 10、11月頃に生命保険会社から届いた控除証明書を確認してください。

 証明書が電子データで提供される場合があります。

 「年金保険」という名称の保険でも、「一般」に該当することもあります。

 「医療保険」という名称の保険でも、「一般」に該当することもあります。

 こくみん共済等の共済保険の場合には、「介護」に該当することもあります。

 平成24年1月1日以後の、新たな保険契約の締結の有無や、契約の変更の有無によって、控除額の計算式が変わります。


●自宅以外の地震保険料を控除している

 賃貸用や事業用の不動産の地震保険料は、いくら証明書があっても、控除の対象になりません。

 地震保険料控除は、居住用不動産が対象です。


●損害保険料控除もあります

 平成19年分より、損害保険料控除は、廃止されました。

 ただし、平成18年12月31日までに契約した長期損害保険契約については、19年以降も控除できます。地震保険料控除欄の「旧長期」に、○を付けてください。

 「長期」になるのは、保険期間が10年以上で、かつ、満期返戻金があるものです。

 期間が10年以上でも、満期返戻金が無いものもありますので、その場合は、対象になりません。


●平成18年までに契約した地震保険の二重控除

 平成18年12月31日以前に契約した地震保険には、長期損害保険料控除の対象になるものもあります。1つの保険料の支払いで2つの控除は受けられませんので、どちらか有利なほうを選択します。

 農協の建更等の証明書は、1つの保険契約で両方の証明金額が記載されていますので、注意が必要です。


●自分で払った健康保険料等を記載していない

 年の途中で無職の期間があった場合には、健康保険料や国民年金を自分で納付することになります。この自分で払った保険料は、申告が無いと、会社では一切把握できません。

 用紙の右側に記載する欄がありますので、自分で払った金額を記載してください。

 親が子供の国民年金を払ってあげた場合も、親の控除対象になります。

 なお、国民年金は、控除証明書か領収証の添付が必要です。健康保険は、領収証等の添付は必要ありません。

 給料から社会保険料が天引きされている人は、会社で計算しますので、記載する必要はありません。


●2年分前納の国民年金保険料の控除額を記載していない

 国民年金保険料を2年分前納した場合には、2年分全額を控除するか、年分ごとに控除するか、選択できます。

 2年分全額控除の場合は、前納した金額を記載してください。

 年ごとに控除したい場合は、「社会保険料(国民年金保険料)控除額内訳明細書」を添付する必要があります。


●自分で払った確定拠出年金(iDeCo)や小規模企業共済を記載していない

 自分で払ったiDeCoや小規模企業共済の掛金は、申告が無いと、会社では一切把握できません。

 用紙の右下に記載する欄がありますので、自分で払った金額を記載してください。


(5)よくある間違い〜計算編〜


●給与の締日で計算する

 例えば12月31日締め、翌年1月10日払いの給与は、令和3年分の給与となります。

 給与の締日と支給日が月をまたぐ場合には、年末調整は支給日で考えます。

 12月支給分までが、その年の年末調整の対象になります。


●令和19年まで復興特別所得税を上乗せ

 通常の税率で計算した所得税に102.1%をかけて、所得税と復興特別所得税を合わせて計算します。

 計算結果が過去の年末調整と違ってくる可能性があります。


●100円未満切り捨てのタイミングが違う

 復興所得税分を上乗せした税額で、100円未満の切り捨てします。


(6)よくある間違い〜納税編〜

●1月20日までに納税する

 6ヶ月分の源泉所得税をまとめて納税する「納期の特例」を適用している場合には、7月分から12月分の納期限は、翌年1月20日になります。

 毎月納付の場合の12月分の納期限は、翌年1月10日です。


●ゼロ申告をしていない

 年末調整の結果、還付額が多額で、源泉所得税の納税額がゼロの場合は、納税額ゼロの納付書を作成して、税務署に提出してください。

 e-Taxで送信しても大丈夫です。

(M.H)

※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

創業後2年間の消費税免除はオワコン!?|仙台市の税理士・ひなた会計事務所

2021年11月6日

(1)消費税の免税事業者

 消費税は2期前の売上が1,000万円以下ですと、原則として消費税の納税義務はありません。

 会社設立後の1期目と2期目、個人事業者の創業2年間は、2期前の売上がありません。

 つまり売上がゼロですから、1,000万円以下ということで最初の2年間は、消費税を納める必要がないのです。

 なお、例外規定がありますがここでは省略します。


(2)2023年10月インボイス開始

 2023年10月からインボイス制度が始まります。

 店や会社が領収証や請求書を発行しますが、消費税の納税額の計算を、その領収証等に記載された消費税額をもとに行います。

 ただし、全ての領収証等が計算の対象になるわけではありません。

 計算の対象になるのは、納税番号が記載された領収証等だけです。

 納税番号は、消費税を納税している事業者に発行されます。

 消費税を納めていない事業者には番号が発行されませんから、領収証等には納税番号の記載がありません。

 納税番号がない領収証等は、納税額の計算から除外されます。


(3)免税事業者は取引上不利か?

 支払った消費税は、納税額の計算の際に納税額から控除されます。

 免税事業者に支払った消費税は、計算から除外されるので控除ができません。

 控除ができないということは、支払った側がその消費税分納税額が増えることになります。

 消費税を負担してまでその免税事業者と取引する必要がないと判断されれば、取引からはずされるかもしれません。

 取引が継続したとしても、免税事業者なんだから、消費税分は支払わないということになるかもしれません。

 これが実際に起きるかはわかりませんが、実際にやられては商売がやっていけなくなることもあるでしょう。

 それを確実に防ぐ方法は、売上が1,000万円以下であっても、自主的に消費税を納税する課税事業者になることです。

 2023年3月までに税務署に手続きをすれば、インボイスが開始される2023年10月から課税事業者になることができます。

 インボイスが導入されなければ、個人事業者で創業して3年目に法人成りすれば、最大で4年間の消費税免除が使えました。

 今後は、創業時から消費税の納税があることが当たり前になるのでしょうか。

(M.H)

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一括償却資産|仙台市の税理士・ひなた会計事務所

2021年11月6日


中小企業が10万円以上20万円未満の資産を購入した場合、償却方法は3つの中から選択します。

1.法定耐用年数で普通償却する

2.特例を使って全額をその期の損金に算入する

3.一括償却資産として3年間で均等に償却する

今回は「3.」の一括償却資産での償却をみていきます。


(1)「一括(いっかつ)」とは

一括償却と聞いて、その期にまとめて全額償却できると勘違いしないでください。

ここでいう一括(いっかつ)とは、個々に計算せずに、対象となる資産を一括り(ひとくくり)にして計算できるということです。

そして、その一括りにした資産を3年間で償却していきます。

例えば3月決算の会社で、令和3年6月に17万円のパソコン、令和3年8月に18万円のプリンター、令和4年1月に19万円のディスプレイを購入したとします。

そして一括償却資産として償却する場合

(17万円+18万円+19万円)÷36(3年分の月数)×12(その事業年度の月数)=18万円

令和4年3月期 18万円

令和5年3月期 18万円

令和6年3月期 18万円 となります。

同じ事業年度内であれば買ったタイミングも関係なく一緒にして計算します。


(2)償却途中で壊れてしまったら

先ほどの例で、令和5年1月に落雷があり3つとも壊れてしまい、修復不可能のため廃棄した場合を考えてみます。

廃棄の時点で未償却残高は36万円あります。

しかし、この場合でも、令和5年3月期に損金算入できる額は18万円です。

つまり、途中で該当資産がなくなったとしても、一括償却資産の方法を選択した限り、当初の予定通り3年間で償却していくことになります。


(3)全額その期に損金算入した方が得なのでは

3つの選択肢のうち、「2.」の方法でその期に全額損金算入した方が、3分割するよりその期の利益が減少し、その分法人税等も減額します。

しかし、ここで償却資産税の問題が出てきます。

「2.」の方法で償却した資産は償却資産税がかかります。

一方で一括償却資産とした場合には、償却資産税の対象とならないため、償却資産税がかかりません。

ですので、法人税等の税額と償却資産税額をシミュレーションして、有利な方を選択していくことになります。

例外として、該当資産の合計額が150万円未満の場合や、ソフトウェアなどの無形固定資産は償却資産税がそもそもかかりません。

このような場合には、シミュレーションをすることなく「2.」の方法でその期に全額損金算入した方が有利になります。

課税売上割合に準ずる割合|仙台市の税理士・ひなた会計事務所

2021年10月5日


(1)課税売上割合とは

 消費税は売上でお客様から頂いた消費税から、経費等で支払った消費税を控除した残額を納税します。

 ただし売上の中に、消費税が非課税となる売上がある場合は、払った消費税の全額を控除できない場合があります。

 受取利息、住宅や土地の貸し付け、土地の売却等が非課税の売上となります。

 消費税の課税対象の売上、非課税対象の売上、輸出売上の3つの合計額のうちに、課税対象の売上の占める割合を「課税売上割合」といいます。

 控除できる消費税は、払った消費税に課税売上割合をかけた金額になります。

 ただし、課税売上高が5億円以下で、かつ、課税売上割合が95%以上の場合は、支払った消費税の全額を控除できます。


(2)課税売上割合に準ずる割合

 たまたま土地の売却を行った場合は、非課税売上が多額になり、課税売上割合がかなり低くなるでしょう。

 割合が下がれば控除できる消費税が少なくなってしまいますので、消費税の納税額が高額になってしまいます。

 また業種によっては、常に課税売上割合が低いということもあるでしょう。

 そのような場合に、課税売上割合以外の割合を使って控除額を計算することができるんです。

 会社の組織が消費税の課税売上の部署と非課税売上の部署に分かれている場合には、従業員の人数の割合を使うことができるでしょう。

 部署ごとの床面積割合で計算するという方法もありますね。

 合理的な区分が可能であれば、従業員の勤務日数の割合、使用する資産の金額や数量の比率、機械や車両等の稼働時間の割合も使えると思います。


(3)事前承認が必要

 課税売上割合に準ずる割合を適用する場合は、税務署に適用承認申請書を提出して、承認を受けなければいけません。

 提出期限は、適用しようとする事業年度の決算日です。

 後からどっちが有利か計算してからということはできませんので、シミュレーションをして申請するようにしましょう。

(M.H)

※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

個人事業の承継は相続前|仙台市の税理士・ひなた会計事務所

2021年9月17日


(1)売上1,000万円以下は消費税免除

 個人事業主は、前々年の消費税課税対象の売上が
1,000万円以下である場合には、消費税の納税義務はありません。

 納税義務がありませんから、申告の必要もありません。

 売上高が1,000万円を超えた場合は、その翌々年から消費税の納税義務が発生します。

 新規創業の場合は、1年目と2年目の前々年はまだ創業前で売上がありませんから、通常1年目と2年目は消費税を納める必要はありません。

 ただし、個人事業でも1年目の6月末までの給与支給額が1,000万円を超える場合等、ある程度の規模で事業を始める場合は、1年目から消費税の納税義務がありますから注意してください。


(2)相続により事業承継した場合

 相続による事業承継で事業を開始した場合は、1年目から消費税の納税義務が免除されるとは限りません。

 例えば親から事業を承継した場合に、親が免税事業者の場合は、事業を承継した子の1年目は同様に免税事業者になります。

 しかし、親が課税事業者であった場合は、親が亡くなった日までの事業については、親の名前で消費税の納税をします。

 亡くなった日の翌日以後の事業については、子の名前で消費税の納税をすることになります。

 つまり、消費税課税事業者の事業を相続により承継した場合の創業1年目は、承継直後から課税事業者になります。

 事業承継後2年目と3年目については、親と子の2人の売上を合計して、1,000万円以下かどうかを判定します。

 事業を相続により承継した場合は、消費税の納税義務の判定が複雑になりますのでご注意を。


(3)亡くなる前に承継しよう

 亡くなってから承継すると、親の売上規模が影響しますので、亡くなる前に承継してしまいましょう。

 亡くなる前に承継を済ませれば、(2)の判定は不要で、単なる親の廃業と子の創業の形になります。

 親は個人事業の廃業届と消費税の廃止届を提出して、翌年3月に、廃業日までの分の確定申告をして終了となります。

 子は開業届を提出して創業となり、事業承継以降の確定申告を毎年していくことになります。

 消費税の納税義務の有無は(1)の方法で判定しますので、創業1年目と2年目は消費税の免税事業者となる可能性が高いでしょう。

 親の青色申告は引き継がれませんので、青色申告の承認申請は別途提出が必要です。

 消費税の簡易課税を適用したい場合も、親から引き継ぎはありませんので、別途簡易課税選択適用届が必要です。

 在庫や設備の引き継ぎ額が大きい場合は、消費税の納税額や還付額に影響しますので、相続で承継するかも含めて、承継方法や届出書の提出について、十分な検討をする必要があります。


(4)不動産賃貸業は相続で

 不動産賃貸業の場合は、相続前の承継が必ずしも有利になるとは限りません。

 不動産賃貸業の承継は、所有不動産の名義変更を伴いますので、登記費用や不動産取得税の負担を考えると、相続での承継が有利になる可能性が高いと思います。

 相続税の納税負担もありますので、きちんとシミュレーションして対策をしましょう。

(M.H)

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