IT投資促進税制
(1)概要
青色申告をしている場合に、平成15年1月1日から平成18年3月31日までの間に、特定の情報通信機器を取得した場合には、減価償却費を多めに計上できたり、又は、税金の控除を受けられる制度です。
(2)要件(資本金3億円以下又は個人事業者)
・青色申告であること
・新品であること(中古はダメですよ!)
・自社で使用すること(まとめて買って、他社に貸すはダメです)
・一会計期間に購入した資産の合計額が140万円以上
(ソフトウェアの場合、70万円以上)
(3)対象資産
パソコン、ディスプレイ、スキャナー、プリンター、デジタルコピー機、FAX、IP電話設備、ソフトウェアなど
(4)特別償却
通常の減価償却費に加えて、50%の特別償却費が上乗せされます。
例えば、200万円のデジタル複写機を購入した場合には、次のようになります。
・通常の減価償却費(定率法)
200万円×0.369=738,000円
・特別償却費
200万円×50%=1,000,000円
・合計
738,000+1,000,000円=1,738,000円
通常の減価償却費よりも、100万円も多く、経費に計上できますよ。
(5)税額控除
(4)の税額控除に代えて、税額控除を選択することもできます。どちらか一方の選択ですので、両方は適用できません。
控除額=取得価額×10%(法人税の20%を限度)
先ほどの、200万円のデジタル複写機ですと、200万円×10%=20万円分、法人税や所得税が、減額されるんですね。
どちらかの選択ですが、さて、どちらを採用した方が得なのでしょうか?
これは、購入初年度だけを見ますと、特別償却が有利になりますが、長い目で見ると、税額控除のほうが有利になるようになっています。
税額控除は、控除ですので、単純に、税金が安くなりますが、特別償却という制度は、単なる経費の先取りなので、初年度の経費が増えても、耐用年数の5年トータルの経費としては、金額が変わらないからなんですね。
ちょっと、わかりづらい説明になってしまいましたので、実際に申告をする際には、きちんと有利選択できるよう、情報提供いたします。
(6)リースの場合
税額控除は、購入の他にも、リース契約により、対象資産を事業供用しても受けることができます。ただし、この場合の控除額は、次のようになります。
控除額=リース料総額×60%×10%(法人税の20%を限度)
つまり、リース料総額の6%が控除になるわけですね。
(7)繰越控除
税額控除って、文字通り、税金の控除ですから、控除する税金がなければ適用できません。赤字の場合には、法人税がゼロですから、この特例を使っても、なんのメリットがないんです。まして、特別償却の場合ですと、経費が増えるわけですから、より、赤字が増加する結果になるわけですね。
そのような会社のために、税額控除に1年間の繰越制度があります。
今年、税金がゼロのために控除できなかったり、税額が少額で、特例の全額を控除できなかった場合には、控除できなかった金額を、1年間に限り繰り越すことができます。
次の年に利益が出て、税額が発生すれば、翌年分の税金から、控除を受けることになります。この繰越を利用するためには、1年目に繰越制度を利用する旨の届出が必要になります。
なお、2年目も税額が発生しなかった場合には、控除は受けられません。
(M.H)