IT投資促進税制

2004年7月6日

(1)概要

 青色申告をしている場合に、平成15年1月1日から平成18年3月31日までの間に、特定の情報通信機器を取得した場合には、減価償却費を多めに計上できたり、又は、税金の控除を受けられる制度です。


(2)要件(資本金3億円以下又は個人事業者)

 ・青色申告であること
 ・新品であること(中古はダメですよ!)
 ・自社で使用すること(まとめて買って、他社に貸すはダメです)
 ・一会計期間に購入した資産の合計額が140万円以上
  (ソフトウェアの場合、70万円以上)


(3)対象資産

 パソコン、ディスプレイ、スキャナー、プリンター、デジタルコピー機、FAX、IP電話設備、ソフトウェアなど


(4)特別償却

 通常の減価償却費に加えて、50%の特別償却費が上乗せされます。
 例えば、200万円のデジタル複写機を購入した場合には、次のようになります。
 
 ・通常の減価償却費(定率法)
  200万円×0.369=738,000円
  
 ・特別償却費
  200万円×50%=1,000,000円
  
 ・合計
  738,000+1,000,000円=1,738,000円
  
  通常の減価償却費よりも、100万円も多く、経費に計上できますよ。


(5)税額控除

 (4)の税額控除に代えて、税額控除を選択することもできます。どちらか一方の選択ですので、両方は適用できません。
 
 控除額=取得価額×10%(法人税の20%を限度)
 
 先ほどの、200万円のデジタル複写機ですと、200万円×10%=20万円分、法人税や所得税が、減額されるんですね。
 
 どちらかの選択ですが、さて、どちらを採用した方が得なのでしょうか?
 これは、購入初年度だけを見ますと、特別償却が有利になりますが、長い目で見ると、税額控除のほうが有利になるようになっています。
 
 税額控除は、控除ですので、単純に、税金が安くなりますが、特別償却という制度は、単なる経費の先取りなので、初年度の経費が増えても、耐用年数の5年トータルの経費としては、金額が変わらないからなんですね。
 
 ちょっと、わかりづらい説明になってしまいましたので、実際に申告をする際には、きちんと有利選択できるよう、情報提供いたします。


(6)リースの場合

 税額控除は、購入の他にも、リース契約により、対象資産を事業供用しても受けることができます。ただし、この場合の控除額は、次のようになります。
 
 控除額=リース料総額×60%×10%(法人税の20%を限度)
 
 つまり、リース料総額の6%が控除になるわけですね。


(7)繰越控除

 税額控除って、文字通り、税金の控除ですから、控除する税金がなければ適用できません。赤字の場合には、法人税がゼロですから、この特例を使っても、なんのメリットがないんです。まして、特別償却の場合ですと、経費が増えるわけですから、より、赤字が増加する結果になるわけですね。
 
 そのような会社のために、税額控除に1年間の繰越制度があります。
 
 今年、税金がゼロのために控除できなかったり、税額が少額で、特例の全額を控除できなかった場合には、控除できなかった金額を、1年間に限り繰り越すことができます。
 
 次の年に利益が出て、税額が発生すれば、翌年分の税金から、控除を受けることになります。この繰越を利用するためには、1年目に繰越制度を利用する旨の届出が必要になります。
 
 なお、2年目も税額が発生しなかった場合には、控除は受けられません。

 

(M.H)

 

※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

消費税の仕組み

2004年6月4日

(1)消費税の基本的な仕組み

 消費税の納税は、売上等でお客さんから預かった消費税から、仕入や経費等の支払に含まれる消費税を控除したあとの残りの消費税を、税務署へ納めることになっています。


(2)納税義務の有無

 売上が1,000万円を超えた場合には、その2年後の分から消費税を納めることになります。つまり、2年前の売上が1,000万円を超えるかどうかによって、今年の消費税の納税義務があるかどうかを判断します。

 平成16年開業の個人事業者を例に取りますと、次のようになります。
 
  年度   平成16年  平成17年  平成18年  平成19年  平成20年
  売上   500万円  1500万円 6000万円 500万円  1500万円
 納税義務   無     無     無     有     有

 このように、開業当初の2年間は、2年前の売上がゼロですので、消費税の納税義務はありません。平成18年には、2年前の売上がありますが、1,000万円以下ですので、消費税を納めなくていいことになります。
 
 また、平成19年の売上は500万円ですが、2年前の平成17年の売上が1,000万円を超えていますので、消費税を納めなければいけなくなります。
 
 平成20年も引き続き消費税を納めますが、平成21年には、2年前の平成19年の売上が1,000万円以下ですので、再び、消費税を納めなくてもいいことになります。
 
 今年の売上で判断するのではなく、2年前の売上で判断しますので、注意してくださいね。
 
 以前は、消費税の納税義務の基準は、3,000万円でしたが、改正により、個人事業者は平成17年分、法人は平成17年3月期以降の納税分から、1,000万円を基準に判断することになります。2年前の売上が判断のポイントですから、個人の場合には平成15年分の売上、法人の場合には平成15年3月期の売上により判定しますので、今から、売上を抑えても、残念ながら納税義務の有無には影響しません。
 
 この改正により、新たに消費税を納めることになる事業者が、大幅に増えることになります。今まで、お客さんから消費税をもらっていても、それを納める必要もなく自由に使えていたのが、これからは、納税が発生しますので、資金繰りには十分注意が必要です。

 ちなみに、年商2,000万円ですと、概算で年間30万円から50万円ぐらいの納税が発生するものと思われます。


(3)簡易課税

 (1)にも書きましたが、消費税は、売上の消費税から、経費等の消費税を控除した残額を納めるのが原則です。納税手続きの簡略化のため、小規模の事業者については、経費等の消費税額に関係なく、売上の分の消費税の一定割合を納める制度があります。この制度を「簡易課税」といいます。小規模かどうかの判定は、売上高5,000万円を基準にします。こちらも、2年前の売上で判断します。
 
  平成16年開業の個人事業者を例に取りますと、次のようになります。
 
  年度   平成16年  平成17年  平成18年  平成19年  平成20年
  売上   500万円  1500万円 6000万円 500万円  1500万円
 納税義務   無     無     無     有     有
 簡易課税  適用無   適用無   適用無 適用有 適用無

平成16年から18年は、消費税を納める必要がありませんから、簡易課税の適用もありません。平成19年は、2年前の平成17年の売上が5,000万円以下ですから、簡易課税を適用できます。

平成20年は、2年前の平成18年の売上が5,000万円を超えいていますので、簡易課税を適用することができません。

以前は、簡易課税適用の基準は、5,000万円ではなく、2億円でした。こちらも改正により、個人事業者の平成17年分、法人の平成17年3月期以降について、基準が引き下げとなります。

簡易課税を適用するためには、事前に届出が必要となります。また、1度届出を出すと、その届出の効力は、永久に続くことになります。ですので、簡易課税を止める時も、届出が必要です。ただし、1度、届出を出したら、2年間は、取りやめをすることができません。

設備投資等を考えている場合などは、簡易課税を適用することにより、納税額が増えてしまう場合もありますので、計画をきちんと立てておく必要があります。

なお、納めるべき一定割合とは、業種によって、次のようになっています。

卸売業  売上でもらった消費税の10%
小売業       〃     20%
建設・製造業    〃     30%
金融・保険業    〃     40%
サービス業     〃     50%


(4)課税事業者の選択

 2年前の売上が無かったり、1,000万円以下だったとしても、事前に届出をすることにより、消費税の納税義務者になることができます。
 
 なぜ、納めなくてもいいのに、わざわざ、消費税を納めるようにするのでしょうか?
 
 何度も書いていますが、消費税は、売上分の消費税から、経費等の消費税を控除した残額を納めます。経費等の金額には、設備投資の金額も含まれます。一時的に経費が増加したり、大規模な設備投資を行ったりすると、支払った消費税が預かった消費税より大きくなり、納税ではなく、国から払いすぎの消費税が、還付されることになるのです。
 
 なんか、得した気分になりますよね(^○^)。
 
 この届出も簡易課税と同じで、一度届出をすると、その効力は永久に続くことになりますので、止める場合には、その旨の届出をすることになります。ただし、1度、課税事業者を選択したら、2年間は、取りやめをすることができませんので、1年目で還付を受けたとしても、2年目は納税というようなことにもなりますので、きちんとした計画が必要になります。


(5)資本金1,000万円以上の会社

 新たに会社を設立した場合には、1期目と2期目は、2年前の売上がゼロですので、消費税を納める必要がありません。
 
 しかし、資本金が1,000万円以上の会社は、売上の規模も大きいだろうということで、1期目と2期目については、消費税の申告をしなければいけないことになっています。
 
 3期目以降は、2年前の売上がありますので、売上が1,000万円以下かどうかによって判断することになります。


(6)不動産収入の場合

 消費税の納税義務の判定基準が1,000万円引き下げられたことにより、今まで、消費税を納めてこなかった事業者も、これからは納める必要がでてきます。
 
 不動産収入で1,000万円を超えている場合にも、対象になりますが、不動産収入のうち、土地と居住用の賃貸料は、非課税となっています。1,000万円の判定には、非課税のものは除いて判定します。


(7)帳簿の記載

 経費等の消費税を控除するためには、帳簿と請求書等の保存が必要になります。請求等には、領収証が含まれますので、今まで、領収証だけで申告をしていた場合には、帳簿の保存がないと、控除ができないことになります。
 
 帳簿の記載事項は、次のようになります。この内容をきちんと記載していないと、消費税の納税が増える可能性がありますよ。
 
 ・支払先の氏名又は名称
 ・支払年月日
 ・支払の内容
 ・支払金額
 

(M.H)

※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

平成16年度税制改正

2004年5月6日

 今年は、小幅な改正といわれていますが、主な改正の内容をご紹介いたします。


(1)住宅ローン減税の延長

 ローンを利用して、住宅を取得した場合に、10年間、年末ローン残高の1%分、所得税が減額される制度が、平成16年末まで、延長されました。
 
 平成17年以降は、徐々に控除額が減少することになります。ちなみに、ローンを3,000万円としますと、住宅を取得する年により、10年間の控除額は、次のようになります。
 
 居住年     控除額
 平成16年    約270万円
 平成17年    約250万円
 平成18年    約240万円     ※特別減税を考慮しない。


(2)居住用財産の譲渡損の繰越控除

 居住用の不動産を売却して、取得時の金額よりも値下がりしたために、売却損が発生した場合には、給与などの他の所得と、相殺して、相殺しきれなかった金額は、3年間繰り越して、他の所得と相殺できることになりました。
 
 この制度は、以前からあったのですが、売った不動産にローンが残っていなければならない、新たに、居住用の不動産を取得しなければならないなどの、条件がありましたが、この条件が無くなりました。
 
 これによって、ローンの返済が終わっている不動産の売却や、賃貸アパート等への住み替えの場合にも、適用できるようになります。


(3)不動産売却の税率の引き下げ

 不動産を売却した場合の、売却益に対する、所得税の税率が引き下げられました。住民税を含めた税率は、次のようになります。
 
 長期譲渡(所有期間5年超)  20%(改正前26%)
 短期譲渡(所有期間5年以下) 39%(改正前52%)
 
 税率の引き下げと引き替えに、100万円の特別控除という制度が廃止されました。この廃止により、税率が引き下げられても、所得税の負担が増える場合もあります。


(4)損益通算の廃止

 居住用以外の不動産を売却して、売却損が発生した場合に、給与などの他の所得との相殺ができなくなりました。
 
 この改正は、増税は遡及しないという、税制改正の原則を破る、悪しき前例になる可能性があります。


(5)投資信託の税率の引き下げ

 株式投資信託の税率が、上場株式並みに、引き下げられました。売却益に対する税率が、所得税、住民税を合わせて、10%(改正前26%)になりました。また、特定口座での利用も可能になったり、売却損を繰り越せることになったりと、以前よりも、利用しやすくなりました。


(6)非上場株式の税率の引き下げ

 上場株式に比べて、割高だった、非上場株式の売却益に対する税率が、所得税、住民税を合わせて、20%(改正前26%)になりました。
 
 
 上記(2)から(6)の改正は、平成16年1月1日以後の売却から、適用されます。


(7)欠損金の繰越期間の延長

 法人の今期の赤字を、翌期以後5年間の黒字と相殺して、法人税がかからなくなる、繰越欠損金の制度が、5年から7年に延長されました。7年に延長されるのは、平成14年3月期以降の赤字からになります。

 これにより、帳簿の保存期間も、5年から7年に延長されました。また、税務調査の対象期間も延長されることになります。


(8)年金課税の強化

 公的年金等控除額が縮小されました。65歳以上の場合、年金からの最低控除額が、140万円から120万円になります(65歳未満は、70万円で変わりません。)


 この改正は、平成17年分から適用されます。


(9)老年者控除の廃止

 65歳以上の方(年間所得1000万円以下に限る)の老年者控除65万円が廃止されます。
 
 この改正は、平成17年分から適用されます。

 政府税制調査会でも話題になっていますが、これからは、高齢者の課税はどんどん強化されていくのでしょうか?


(10)青色申告特別控除の引き上げ

 平成17年分から、所得税の事業所得や不動産所得に対する、青色申告特別控除額が、65万円(現行55万円)に引き上げられました。これにより、青色申告を選択し、帳簿をきちんと付けることの有利さが、増すことになります。
 
 
(11)住民税均等割の引き上げ

 所得に関係なく、住民1人あたりに課税される、個人住民税の均等割が、平成17年分から下記のとおり、引き上げられ、統一されました。
 
       現行            改正後
 人口50万以上の市      3,000円 → 3,000円
 人口5万以上50万未満の市  2,500円 → 3,000円
 その他の市及び町村     2,000円 → 3,000円

 また、同一生計の妻に対する均等割の優遇措置も縮小され、パート収入100万円以上の場合には、平成18年から、全額課税されます。

 
(M.H)


※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。
 

決算賞与

2004年4月5日

(1)従業員への賞与

 従業員へ賞与を支給した場合には、原則として、支給日に、会社の経費に計上することになります。
 
 例えば、賞与の計算期間が6月から11月分を、12月に支給というような場合には、11月に経費に計上することはできませんので、注意が必要です。

(2)決算賞与

 使用人に支給額を通知した日に、経費に計上できる場合もあります。そのために、下記の条件がついてきます。
 
 
・支給額を、支給を受けるすべての従業員に通知すること。

 従業員全員に通知することになっていますので、一部の幹部職員だけに通知するというわけにはいきません。また、それぞれ、個人個人の支給額を通知することになっていますので、「従業員全員で○○万円」という、通知のしかたも認められません。
 
 
・通知した金額を通知した従業員全員に支給すること

 通知した日から、支給日までの間に、急に退職することになり、退職した従業員には、支給しないということはできません。支給日で、支給することが確定していますので、社長が、辞める人間にまで、賞与を出したくないと思っても、支給しないわけにはいきません。


・決算日から1ヶ月以内に支給すること

 決算日が、3月31日であれば、4月30日までに支給しなければいけません。これを過ぎると、通知日ではなく、支給日で、経費に計上することになります。
 
 
・通知日の事業年度で損金経理すること

 損金経理とは、会社の決算で、経理処理することをいいます。決算書にきちんと経費として計上しましょう。


(3)通知手続き

 社長が口頭で、従業員に伝えても、上記の用件は満たしますが、後から、通知をしたかどうかの確認が不可能になりますので、書面で通知するようにしましょう。
 
 従業員同士の賞与額を、公にしたくないのであれば、個別に文書を渡すようにしましょう。
 
 業績賞与などの場合に、賞与を明らかにしたいと思えば、一覧表を提示して、従業員から、確認の押印又はサインをもらうようにしましょう。
 
 いずれの場合も、通知日が問題になりますので、日付をきちんと入れることを、忘れないでください。


(4)源泉徴収税額の算出

 賞与の場合の源泉徴収税額は、給与とは違ってきます。算出に使う数字は、次の2つです。
 
・前月の給与の総支給額から、非課税の通勤手当等と社会保険料を控除した金額
・扶養親族の数

この2つの数字を、源泉徴収税額表の別表第三に当てはめますと、税率が求められます。

その税率を、賞与額にかけて、源泉徴収税額を計算します。

なお、前月の給与がない場合、又は、前月の給与の10倍以上の賞与を支給する場合には、毎月の給料計算で使う、源泉徴収税額表の別表第一を使うことになります。

源泉徴収税額表は、最寄りの税務署でもらうか、国税庁のHPからダウンロードできます。
 

(M.H)


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消費税総額表示雑感

2004年4月5日

 4月1日から消費税の総額表示制度がスタートしました。各小売店とも、様々な工夫を凝らして、表示方法の変更を行ったようです。
 ただ、表示方法については、認められている方法と、認められない方法があります。先週の折り込み広告を見ますと、ほとんどの広告は、きちんと対応しているのですが、一部、認められていない方法で表示している店がありました。
 
 どのような表示方法かというと、100円(税込105円)という、表示方法です。

 いわゆる100円ショップがこの方法を採用するのではないかと思われていましたが、スーパーなどでもこの方法を採用したようです。
 
 しかし、問題がありました。この方法には、条件が付いており、税抜金額が税込金額より目立ってはいけないとなっています。スーパーのモ○ヤや靴小売りのA○Cマート、ラーメンの会○っぽなどは、明らかに目立っていますね。
皆さんも、近所で、確認してみてください。
 
 この総額表示制度によって、実質、値下げをしている小売店が多いようですが、景気回復傾向の雰囲気が出てきた状況が、デフレにより、逆戻りすることのないよう、祈るばかりです。

 また、総額表示制度は、一般消費者に価格を提示する場合に適用されることになっています。ということは、事業者間の取引や見積書を発行して、打ち合わせをしてから、金額を決めるような取引の場合には、総額表示制度は適用されません。
 
 しかし、これだけ、総額表示制度が報道されますと、営業中に誤解が生じる可能性が出てきます。例えば、従来どおり、見積書を出した際に、税別20万円で出したつもりが、相手業者では、4月から総額表示だからということで、税込20万円と勘違いしてしまう可能性が出てきます。
 
 都度の取引は、税抜で、締め日の合計請求書で、消費税を上乗せする方法で取引をしている場合には、支払の際に、トラブルになる可能性が出てきますので、これからは、税抜なのか、税込なのか、しっかりと明記した方がいいでしょう。
 
 詳しくは、直接、ご説明いたしますので、お問い合わせください。

 
(M.H)


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年金課税の強化(老年者控除と公的年金等控除)

2004年4月2日

(1)平成16年度税制改正

 平成17年分の所得税から、65歳以上の課税が強化されることになりました。
年金生活者にとっては、かなりの増税となりますので、実質的には、年金課税への強化となっています。


(2)老年者控除の廃止

 65歳以上方には、所得税を計算する際、50万円の所得控除がありましたが、この制度が、平成17年から廃止されます。
 
 なお、年間の所得が1,000万円を超える場合には、元々、この制度の適用はありません。


(3)公的年金等控除の縮小

 65歳以上の公的年金については、年金収入から、最低140万円を控除した金額が、所得税の対象となっていました。この最低控除額140万円が、平成17年からは、120万円に縮小されることになります。
 
 本来は、65歳未満と同じ、70万円になるところでしたが、上記の老年者控除の廃止とともに縮小されたのでは、一気に税負担が増してしまいますので、120万円にとどまったようです。
 
 
(4)どのぐらいの増税?

 年金収入が年間250万円の場合の、所得税対象額は、次のようになります。
 
・平成16年まで
 年金収入250万-年金控除140万円=110万円
 
・平成17年から
 年金収入250万ー年金控除120万円=130万円

 控除額の最低額の差額が20万円ですので、この場合の、所得税と住民税の差額は、約3万円の違いが出てきます。(特別減税を考慮しない。)

 年金の支給額が減額された上に、増税では、ますます、手取り額が減ってしまいますね。
 

(M.H)

 

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会社設立前の費用は経費になるか

2004年3月4日

(1)繰延資産

 繰延資産とは、支出した費用のうち、その支出の効果が1年以上に及ぶものをいいます。法人の設立にかかる「創業費」や新技術の発明のための「試験研究費」などが該当します。


(2)繰延資産の経理

 繰延資産に該当する場合には、経費として処理せずに、一旦「資産」に計上します。そして、決算のときに、減価償却と同じように、繰延資産の種類毎に定められた期間に応じて、償却費として経費に計上していくことになります。


(3)会社設立前の費用

 会社の設立日は、設立登記の申請をした日となります。本来であれば、設立日以降に支出したものが、経費となるのですが、実際には、設立日以前から、設立登記の登録免許税、定款認証料、創立事務所の家賃などが支出されることになります。
 
 商法では、定款において、設立以前に支出したものを、会社の負担とする旨を記載している場合に限り、会社の負担とすることができることになっています。しかし、法人税法では、そのような規定がありませんので、会社負担の記載がなくとも、会社の第1期の支出として処理することができることになります。
 
 これら、設立前に支出した費用が、創業費という「繰延資産」となります。


(4)創業費の経理方法

 創業費は、会社が経費としたい金額をいくらでも、経費に計上できます(もちろん、支出した金額が上限ですよ。)。

 創業費は、商法で規定されている繰延資産です。商法では、創業費は、5年以内に毎期均等額以上を償却しなければいけないことになっています。ちょっと、表現がわかりづらいので、100万円の創業費ですと、100万円÷5年=20万円ですので、20万円以上であれば、いくらでも、償却していいことになっています。
 
 では、法人税では、どのようになっているでしょうか?法人税法では、償却費として経費に計上できるのは、会社が償却をした金額となっています。この規定から、20万円以上であれば、商法にも法人税法に違反していない事になります。

(M.H)

 

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コンピューターソフトの経費処理

2004年2月5日

(1)経理処理

 ソフトウェアは、無形固定資産という資産の一種に該当します。無形固定資産は、建物や車両のように、一旦購入金額を資産に計上し、減価償却により、経費に算入していくこととなります。

 ソフトウェアの減価償却方法は、残存価額ゼロで、定額法により計算します。計算式は、次のようになります。会計期間の途中で、ソフトウェアを取得した場合には、月割りにより按分して計算します。

 減価償却費=取得価額×償却率(※)×取得から期末までの月数÷当期の月数

 償却率は、耐用年数によって定められており、ソフトウェアの耐用年数は、次のようになっています。

・販売用の原本・・・3年(償却率0.333)
・開発研究用・・・・3年(償却率0.333)
・その他・・・・・・5年(償却率0.200)

 通常のパッケージとして販売されているソフトウェアの場合には、5年で償却することになります。

 3月決算の法人が、1月に50万円のソフトウェアを購入した場合は、次のようになります。

 50万円×0.200×3÷12=25,000円


(2)少額償却資産

 ソフトウェアは、購入金額によって、(1)の経理方法の他に、特例が認められています。

・10万円未満の場合

 1ライセンスあたりの金額が10万円未満の場合には、その全額を経費に算入することができます。(1)の通常の減価償却も採用できます。

・10万円以上20万円未満の場合

 1ライセンス当たりの金額が10万円以上20万円未満の場合の場合には、一括償却という方法を採用できます。一括償却とは、毎期3分の1ずつ減価償却をしていく方法をいいます。この場合は、月数按分を行いません。また、途中で、ソフトウェアを処分しても、除却損を計上することはできません。(1)の通常の減価償却も採用できます。

・中小企業で30万円未満の場合

 資本金1億円以下の中小企業で、1ライセンス当たりの金額が30万円未満の場合には、その全額を経費に算入することができます。20万円未満であれば、上記の一括償却を採用することもできます。また、(1)の通常の減価償却も採用できます。


(3)プリインストールのパソコンの場合

 市販のパソコンの場合には、ウィンドウズなどのOSやワープロ、表計算ソフトなどが、既に組み込まれているものがほとんどなっております。このような場合には、パソコンとソフトウェアに区分することは、不可能ですので、全額をパソコンとして、耐用年数4年で減価償却をすることになります。


(4)バージョンアップなどの場合

 バージョンアップにかかった費用は、そのバージョンアップの内容により判断することになります。プログラムの機能上の障害の除去、現状の効用の維持等のように、小幅な修正は、修繕費として経費に算入することになります。

 しかし、新たな機能の追加、機能の向上等、大幅な修正は、減価償却の対象となります。

 ただし、バージョンアップの費用が10万円(中小企業は30万円)未満の場合には、上記(2)から、全額経費に算入できます。


(5)ソフトウェアを使わないことになった場合

 ソフトウェアをパソコンから削除し、パッケージ等も処分した場合には、廃棄となり、まだ減価償却をしていない部分の金額を、経費に算入することになります。

 パソコンにそのソフトウェアが残ったままでも、そのソフトウェアを使用する業務を行わないことになったり、新しいソフトウェアを使用して業務を行うことになったため、古いソフトウェアを使用しないことが明らかなときは、まだ減価償却をしていない部分の金額を、経費に算入することができます。


(6)IT投資促進税制

・合計で70万円(資本金3億円超の場合は600万円)以上購入した場合

 次の特別償却か税額控除を選択できます。

 特別償却費=取得価額×50%

 控除税額=取得価額×10%


・合計で100万円(資本金3億円以下に限る)以上のリースを組んだ場合

 次の税額控除を受けることができます。

 控除税額=リース料総額×60%×10%

 

(M.H)

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給与所得以外の所得が20万円以下の場合

2004年2月5日

 サラリーマンは、年末調整で給与に関する課税関係は終了しますので、原則として、所得税の確定申告をする必要がありません。しかし、給与以外の収入が20万円を超える場合には、確定申告をしなければなりません。

 「しなければなりません」ということは、逆に言いますと、給与以外の収入が20万円以下の場合には、確定申告をしなくてもいいことになっています。しなくてもいいから確定申告をしないというのは、本当に得なのでしょうか?

 給与以外の収入には、様々なものがあります。原稿料や講演料収入、アパート等の不動産の賃貸収入、養老保険の満期金、株や不動産の売却益、配当金、クイズの賞金etc.・・・。

 これらの収入の中には、源泉徴収という制度により、所得税が天引きされて支払われるものがあります。上記の中では、原稿料、講演料収入、配当金、クイズの賞金が該当します。天引きされる金額は、おおむね10%から20%となっています。

 確定申告をした場合には、給与とこれらの収入を合算して、所得税を計算し直すことになります。計算の結果、天引きされた金額が、所得税の前払いとなり、所得税の還付を受けられる場合があります。

 例えば、上場会社から1万円の配当を受け取った場合、10%の税金(1,000円)が控除され、手取額は、9,000円となります。この配当を合算して、確定申告をした結果、増額となった税金が800円であれば、既に1,000円が控除されていますので、これが前払税金となり、200円の還付を受けることができます。

 確定申告の時期は税務署が非常に混み合います。少額の還付金のために、わざわざ出向くのも面倒くさいという方もいらっしゃると思いますが、現在は、インターネットから申告書を自宅のプリンターで出力して、郵送で申告することも可能です。

 切手代も時間ももったいないという方は、還付の場合には、確定申告期限(3月15日)を過ぎても、罰則はありませんので、申告期限以降に税務署に出向けば、時間をかけずに申告ができることと思います。

 

(M.H)



※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

還付を受けられる人

2004年2月4日

・年の中途で退職したため年末調整を受けていない人

・災害、盗難、横領により損害を受けた人

・10万円以上の医療費を1年間に支出した人

・1万円以上の特定の寄付を行った人

・ローンで住宅を新築又は購入、若しくは、増改築を行った人

・その他

 

(M.H)

※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

消費税の総額表示による経理処理

2004年1月5日

 平成16年4月から、一般消費者を対象とする取引では、消費税込みでの価格表示が義務づけられます。改正後の税抜きによる経理処理をご説明いたします。

  なお、今までの税込みによる経理を行っている場合には、経理処理、消費税の申告額の計算方法とも変更する必要はありません。


(1)税抜きの価格表示を行う場合

 例えば、税抜価格175円の商品を販売した場合には、175円の5%相当額は、8.75円となります。今までは、小数点以下の0.75円を切り捨て処理することが、法律上明文化されていましたが、この規定が廃止されることとなりました。

  当分の間、次のような経理処理が認められます。

  (借方)現金 183 (貸方) 売  上  175
                     仮受消費税等   8

  なお、企業同士の取引の場合には、税込表示は義務づけられません。


(2)税込みの価格表示を行う場合

 改正により税込表示が義務化されることにより、

 【183円(うち消費税等8円)】

というような表示方法になります。この場合の消費税等は、

 183×5÷105=8.714・・・

となり、この場合も、小数点以下の処理が問題となります。


 税込表示でも、消費税等相当額を明示している場合には、端数の切り捨て処理が当分の間認められることになり、上記(1)と同じ経理処理ができることになります。

  この経理処理は、既に平成15年10月1日以降から認められています。


(3)税込表示しているが、レジシステムが税抜計算しかできない場合

 【183円(うち消費税等8円)】と表示されている商品を10個販売した場合、販売額は、通常、1,830円となりますが、レジシステムが従来の税抜計算のままですと、

 175円×10個+1,750円×5%=1,837円(端数切捨て)

と、なってしまいます。

 このような場合には、税込システムへ変更するまでの措置として、次のような経理処理が、平成19年3月31日まで認められます。

  (借方)現金 1837 (貸方) 売  上  1750
                      仮受消費税等   87

 なお、この場合のお客さんとのトラブルは考慮していません。

 

(M.H)

 


※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

配偶者特別控除

2004年1月5日

 平成16年1月から、配偶者特別控除が縮小されました。

 配偶者特別控除とは、所得税を計算する際、配偶者の所得に応じて、所得税が段階的に安くなる制度です。

 配偶者がパート又は無職の場合、給与収入が103万円以下のときは、いわゆる扶養家族になり、配偶者控除が38万円控除されます。しかし、配偶者が扶養家族に該当する場合には、配偶者特別控除は、一切受けられないこととなります。

 ただし、給与収入が103万円から141万円未満の扶養家族にならない配偶者は、平成16年以降も配偶者特別控除の対象となります。


【配偶者特別控除の額】

給与収入        配偶者控除の額    配偶者特別控除の額

103万円以下        38万円          0円

103万超105万未満      0円        38万円

105万超110万未満      0円        36万円

110万超115万未満      0円        31万円

115万超120万未満      0円        26万円

120万超125万未満      0円        21万円

125万超130万未満      0円        16万円

130万超135万未満      0円        11万円

135万超140万未満      0円         6万円

140万超141万未満      0円         3万円

141万超              0円          0円
 


(M.H)

 


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年末調整のよくある間違い2007

2007年12月5日更新
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 年末調整を行うために、従業員は会社に対して「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」と「給与所得者の保険料控除申告書兼給与所得者の配偶者特別控除申告書」という、2つの用紙を提出することになっています。

 また、2年目以降の住宅ローン控除を受ける人は、その関係書類も会社に提出します。


(1)年末調整とは

 会社は、毎月の給料や賞与を支払う際に、従業員の扶養家族の人数等に応じて、所得税を概算額で給料等から天引きすることとなっています。毎月天引きしている金額は、概算額ですから、12月の給料支給時に1年分の所得税額を計算し直し、計算した所得税額と毎月の概算額との差額を精算することとなっています。

 この精算手続のことを、「年末調整」といいます。


(2)よくある間違い〜扶養控除等申告書編〜

・扶養親族の所得金額欄に、年収を記載している。

 所得と年収は違います。扶養親族になるのは、所得が38万円以下の人です。所得とは、収入から経費を引いた金額をいいます。パートやアルバイトの場合、経費に相当する金額として、最低65万円が与えられています。

 パート収入が年間100万円の場合、所得は、100万円−65万円=35万円となり、所得が38万円以下ですから、扶養親族に該当することとなります。金額欄には、「35万円」と記載します。

 パート収入は気にされている方が多いのですが、大学生の子供がいる場合には、子供のアルバイト代にも注意してください。稼ぎすぎていると、扶養親族に該当しなくなり、後で追徴課税されることがよくあります。

 なお、年金の場合の、経費に相当する金額は、65歳以上で最低120万円、65歳未満で最低70万円となっていますので、年金額が158万円(65歳以上)又は108万円(65歳未満)の場合に、扶養親族に該当します。


・「同居老親等」に○が付いていない

 70歳以上の父母や祖父母を扶養している場合には、扶養控除の金額が増加します。さらに、同居しているかどうかでも金額が変わってきます。同居しているのに、ここに印が付いていないと、控除額で損をすることとなります。

 ただし、同居老親等に該当するのは、直系のみですので、

 老人ホームなどに入居されている場合には、同居ではありませんので、こちらは○を付ないように注意してください。


・「特定扶養親族」に○が付いていない

 16歳以上22歳以下の方を扶養している場合には、扶養控除の金額が増加します。該当する場合には、○を付けてください。

 生年月日がきちんと書かれていれば、そちらで判断はできますが、たまに、生年月日も書かれていないときがあります。よく、2番目以降のお子さんの生年月日を、間違われる方がいます。お子さんにばれると大変ですよ。


・障害の内容が書かれていない

 本人が障害者であったり、障害者を扶養していたりする場合には、控除額が増加します。障害者である旨を記載する欄がありますので、そちらもきちんと記入してください。

 また、障害の重さにより、控除額も変わってきます。障害者手帳等に書かれている等級も記載するようにしてください。


・寡婦・寡夫を記載していない

 死別や離婚により配偶者がいない場合には、控除額が増加することがあります。男性と女性、死別と離婚では、要件が違いますので、申告書の裏面の要件をよく読んで、その旨を記載するようにしてください。


 寡婦

 夫と死別又は離婚して、扶養親族がいる人

 夫と死別して、所得が500万円以下(給与の場合には、年収約688万円以下)の人


 特別の寡婦

 上記の寡婦に該当し、扶養親族である子がいて、かつ、所得が500万円以下の人


 寡夫

 妻と死別又は離婚して、扶養親族である子がいて、かつ、所得が500万円以下の人


(3)よくある間違い〜保険料控除申告書編〜

・加入している保険すべてを記載してある

 生命保険料控除は、生命保険の種類によって、「一般」と「個人年金」の2種類に分かれています。

 それぞれ、年間の保険料が10万円以上であれば、生命保険料控除の控除額は5万円で打ち止めとなります。ですから、月額1万円程度の保険を1つだけ記載されれば、控除は満額受けられることになります。

 あまりにいっぱい保険をかけられていると、別の意味で心配になってきます。

 なお、「一般」と「個人年金」の区別は、証明書に、その保険がどちらが該当するか記載されていますので、証明書をきちんと確認してください。「年金保険」という名称の保険でも、「一般」に該当することもあります。


・損害保険料控除もあります

 平成19年分より、損害保険料控除は、廃止されました。ただし、平成18年12月31日までに契約した長期損害保険契約については、19年以降も、控除を受けることができます。

 「長期」になるのは、保険期間が10年以上で、かつ、満期返戻金があるものです。期間が10年以上でも、満期返戻金が無いものもありますので、その場合は、対象になりません。


・自分で払った健康保険料を記載していない

 年の途中で無職の期間があった場合には、健康保険料や国民年金を自分で納付することになります。この自分で払った保険料は、申告がないと、会社では一切把握できません。

 用紙の左下に記載する欄がありますので、自分で払った金額を記載してください。なお、領収証の添付は必要ありません。

 給料から社会保険料が天引きされている人は、会社で計算しますので、記載する必要はありません。


(4)よくある間違い〜住宅ローン控除編〜

・1年目なのに年末調整で控除を受けようとする

 住宅ローン控除は、1年目だけは、税務署で確定申告をすることになっていますので、年末調整で会社に提出されても、控除は受けられません。

 2年目以降は、会社の年末調整で控除を受けることができます。


・残高証明書しか提出しない

 年末調整で住宅ローン控除を受けるためには、金融機関発行の「残高証明書」と「住宅借入金(取得)等特別控除申告書」を、会社に提出する必要があります。申告書は、2年目の夏頃税務署から、2年目以降の分がまとめて郵送されます。

 紛失や転職等により、手元に申告書がない場合には、税務署に再発行の手続をする必要がありますので、年末調整時期になって慌てないようにしましょう。

 残高証明書は、毎年11月頃に、各金融機関から郵送されます。


(5)よくある間違い〜その他〜

・前職の源泉徴収票を提出しない

 年末調整は、その年の1月1日から12月31日までの給料を合計して行います。年の途中で転職等をした場合には、前の勤務先から源泉徴収票を発行してもらい、現在の勤務先に提出します。

 前職の源泉徴収が、1月31日までに入手できない場合には、年末調整はできませんので、確定申告で精算することになります。

 同時に2カ所以上の職場に勤務している場合には、源泉徴収を提出しても、年末調整は受けられません。勤務期間が重複している場合には、確定申告をすることになります。


・医療費の領収証を提出する

 1年間に多額の医療費がかかった場合には、所得税を軽減させる、医療費控除の制度があります。この医療費控除は、年末調整で行うことはできません。医療費控除が必要な場合は、確定申告を行うことになります。

(M.H)



※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

贈与税の仕組み|仙台市の税理士・ひなた会計事務所

2003年11月6日

 (1)贈与税の原則

 贈与税は、個人が他人から財産(現金、預貯金、株、公社債、土地、建物など)をもらったときに、もらった人にかかる税金です。財産をあげた人には、税金はかかりません。

 ひとりの人が1月1日から12月31日までの1年間で、他人(複数の場合は、全員分)からもらった財産の合計額が、贈与税の対象になります。ただし、財産をもらった人ひとりにつき、110万円の基礎控除額がありますので、1年間でもらった財産の合計額が110万円を超えなければ、贈与税はかかりません。

 例えば、2人から500万円ずつ、合計1,000万円の現金をもらった場合には、次のように計算します。

 贈与税額=(もらった財産の合計額−基礎控除額)×税率−控除額
     =(1,000万円−110万円)×40%−125万円
     =231万円

 ≪贈与税の税率表≫

 基礎控除後の課税価格 税率 控除額
   200万円以下    10%    −
   300万円以下    15%  10万円
   400万円以下    20%  25万円
   600万円以下    30%  65万円
  1,000万円以下    40%  125万円
  1,000万円超     50%  225万円

 贈与税がかかる場合は、財産をもらった年の翌年2月1日から3月15日までの間に、財産をもらった人の所轄税務署に、申告・納税をしなければなりません。もらった財産の合計が110万円以下で、贈与税がかからない場合は、申告の必要がありません。


(2)贈与税がかからない場合

 次のような場合には、贈与税はかかりません。

・法人から財産をもらった場合

 個人ではなく、法人から財産をもらった場合には、贈与税はかかりませんが、所得税がかかります。


・生活費や教育費としてもらった場合

 夫婦、親子、兄弟姉妹などの間で、仕送りなどの生活費や教育費としてもらった財産は、非課税となります。


・選挙の候補者が、選挙運動のためにもらった金品

 公職選挙法の規定により、報告が必要となります。


・香典、花輪代、年末年始の贈答、祝物又は見舞金など

 社会通念上相当と認められるものとなっていますので、お祝いという名目で、現金1,000万円をもらった場合には、贈与税の対象になります。


・その他


(3)贈与の事例

・離婚して財産をもらったとき

 離婚によって、財産分与や慰謝料として、相手方から財産をもらった場合は、通常、贈与税はかかりません。ただし、形式的に離婚をしても、内縁状態が続いている場合には、贈与税を免れるための離婚として、贈与税の対象になります。


・子の借金を親が返済したとき

 子の借金を親が返済した場合には、親が現金を子に贈与し、子はそのもらった現金で借金を返済したことになります。結局、善意で親が返済してあげても、子に、贈与税の負担が残ることとなります。


・親子間の借金

 親が子に金銭を貸し付けた場合には、贈与税はかかりません。しかし、親子間の場合、返済がルーズになったり、無利息であることがよくあります。このような場合は、実質的に贈与と同じ結果になりますので、当初決めた約束通り、返済は滞らないようにしましょう。なお、返済ルールや利率などは、書面にして残しておくようにしてください。


(4)夫婦間での居住用不動産の贈与

 結婚20年以上の夫婦間で、自分が住むための土地、建物やその土地・建物を購入するための資金をもらった場合には、通常の基礎控除額110万円に、特例として、2,000万円の配偶者控除が上乗せされます。つまり、2,110万円までは、贈与税はかからなくなります。

 この場合は、贈与税がかからなくても、この特例を利用する意思表示をするために、翌年3月15日までに、申告が必要となります。

 また、この特例は、一組の夫婦間で、一生に一度しか利用できません。


(5)住宅取得資金等の特例

 父母又は祖父母から、住宅を取得するための資金又は住宅を増改築するための資金をもらった場合には、1,500万円までの金額について、贈与税の軽減を受けることができます。

 贈与を受けた金額が550万円以下の場合には、軽減を受けると、贈与税はかからなくなります。

 父母又は祖父母には、義理の父母及び祖父母は含まれませんので、この場合には、養子縁組をする必要があります。

 この特例も、上記(3)と同様に、贈与税がかからなくても、この特例を利用する意思表示をするために、翌年3月15日までに、申告が必要となります。

 また、この特例は、平成17年12月31日で廃止となります。


(6)相続時精算課税制度

 平成15年から、65歳以上の親から20歳以上の子へ、財産を贈与した場合には、2,500万円まで、財産をもらった子へ贈与税がかからない、「相続時精算課税制度」ができました。

 この制度には、様々な制限がありますので、適用前には、必ずご相談をお願いいたします。


(7)相続時精算課税制度の場合の住宅取得等資金の特例

 住宅を取得するための資金又は住宅の増改築のための資金の贈与について、相続時精算課税制度を適用する場合には、65歳以上という親の年齢要件は問わないこととなります。さらに、2,500万円の非課税枠が1,000万円上乗せとなり、非課税枠は、3,500万円となります。

 この特例は、上記(4)の特例との選択適用となります。上記(4)の特例を選択した場合には、(6)の特例は、5年間、利用できなくなります。



(M.H)


※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

消耗品の経費処理

2003年10月7日

 文房具などの消耗品を購入した場合には、通常、購入したときに全額経費に算入する経理がなされています。ただし、なんでもかんでも購入した少額物品が経費に算入できるわけではなく、消耗品には、制限が設けられています。

 対象となる消耗品は下記の通りです。これらの消耗品は、毎期おおむね同じような数量を購入し、経常的に使用するもでなければいけません。

・事務用消耗品(筆記用具、コピー用紙、ノート、のりなど)

・作業用消耗品(手袋、タオル、ウェス、グリス、作業服など)

・包装材料(包装紙、ひも、シール、段ボールなど)

・広告宣伝用印刷物、見本品(パンフレット、サンプル、試供品など)

・その他

 郵便切手や収入印紙は、現金等価物で上記の消耗品には該当しませんので、購入時に全額経費に算入することはできません。決算時の未使用分は、貯蔵品として資産に計上しなければなりません。

 

(M.H)

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会社へ資産を安く売った場合

2003年10月7日

 会社の役員の個人資産を、時価よりも低額で、その会社へ売却した場合には、売却代金を余り安くし過ぎると、税金が余計にかかる可能性がありますので、注意が必要です。


(1)売却代金が時価の2分の1以上である場合

・売却した役員個人にかかる税金

 売却代金の設定を時価の2分の1以上にした場合には、資産を売却した役員個人へは、資産を売却したことによるもうけ、つまり、売却益に対して所得税が課税されます。逆に、売却により損が出た場合には、所得税はかかりません。

なお、売却益の計算は次のようになります。

 売却益=売却代金-(その資産の購入金額+売却のためにかかった費用)

(設例)
 500万円で購入した土地を、時価1,000万円のところ、700万円で売却した場合(売却のための費用50万円)

 売却益=700万円-(500万円+50万円)=150万円


・購入した会社にかかる税金

 購入した会社側については、時価よりも安く購入できたということで、その分、得をしたわけですから、購入代金と時価の差額が受贈益となり、その差額に対して法人税がかかることになります。

(設例)
 上記の設例の場合

 受贈益=1,000万円-700万円=300万円


(2)売却代金が時価の2分の1未満である場合

・売却した役員個人にかかる税金

 売却代金の設定を時価の2分の1未満にした場合には、資産を売却した役員個人へは、みなし譲渡課税となり、所得税がかかります。みなし譲渡課税とは、たとえ、安い値段で売買をしても、時価で売却したものとみなすというものです。つまり、この場合の売却益の計算は次のようになり、いくらで売ったかというのは、税金の計算には関係のない話となってしまいます。

 売却益=時価-(その資産の購入金額+売却のためにかかった費用)

(設例)
 500万円で購入した土地を、時価1,000万円のところ、300万円で売却した場合(売却のための費用50万円)

 売却益=1,000万円-(500万円+50万円)=450万円


・購入した会社にかかる税金

 購入した会社の取り扱いについては、上記(1)の時価の2分の1以上で売却した場合と同じになります。


(3)同族会社の場合

 少数の株主で過半数の株を保有している会社を同族会社といいます。同族会社の場合には、「行為計算の否認」という規定があり、同族会社が不当に税金を安くする行為を行った場合には、税務署長の権限で、時価で売却をしたものとみなして税金の計算をし直すことができることになっています。

 

(M.H)

 

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たな卸資産の評価

2003年9月3日

「たな卸」という言葉を辞書で引いてみると【決算のとき手持ちの商品の数量と価格を調査すること】とあります。つまり、在庫調査のことです。では、実際にどのようなモノがたな卸に該当するのでしょう。
 
 当然、店先あるいは棚に置いているものですから売るための商品というのが基本で、倉庫にある材料や、工場でコンベアーの上にのっている製造途中の仕掛品も含まれます。


(1)たな卸資産の種類

 税法によると、たな卸資産というのは次のものをいうことになっています。

・商品・製品
・半製品(まだ製造中で製品としては売れないが、商品価値のあるもの)
・仕掛品(製造途中のもの)
・主要原材料
・補助原材料
・消耗貯蔵品(油、釘など。一つひとつの金額が小さく、いったん使ったらそれっ切りという消耗品的性格を持つもの)

 同じ建物でも、会社がそこへ入って仕事をしている建物は固定資産ですが、不動産売買業者が持っている建売りの建物は商品ですから、たな卸資産ということになります。


(2)たな卸資産の取得原価

 たな卸資産の原価は原則として次のようになります。

・買ったもの=仕入の原価+購入の際にかかった費用(引取運賃、運送保険料、手数料、関税など)
・作ったもの=材料費+人件費+諸経費


(3)たな卸の重要性

 決算におけるたな卸はその期の利益を左右する重要な作業です。
 
 例えば、前期から繰り越されてきた在庫が200万円あり、そこへ当期中に1,000万円の仕入をします。決算期末に倉庫に残っている商品を数えてみたら300万円ありました。

 すると、当期中に倉庫から払い出されて売上に回された商品は200+1,000-300=900万円になります。この商品が1,100万円で売れていれば単純に200万円のもうけということになります。

 ところが、期末のたな卸で品物の一部を二重に数え、期末に残っている商品を330万円と計算した場合はどうなるでしょう。払出高は、200+1,000-330=870万円となり、利益が 1,100-870=230万円と30万円多く計算されてしまいます。
 
 つまり、期末たな卸を実際より多く計算すると、その金額だけ利益が増えるわけです。もちろん、利益に対して税金がかかりますから、税金も余計に支払ってしまうことになりますので注意して下さい。


(4)たな卸資産の評価方法

 売上原価=期首たな卸高+当期仕入高-期末たな卸高
 
 期末たな卸数量を多く数えると利益が変動します。しかし、それだけではありません。期末に残っている商品、いわゆる在庫一つひとつの値段をどのようにつけるかでも、たな卸額が異なってきます。
 
 評価方法には原価法(買った値段)と低価法(原価と時価の低いほう)の二つがあり、原価法はさらに次のようないろいろな方法があって、どれを選定するかでたな卸額が違ってきます。
 
・個別法
  期末のたな卸商品をその個々の仕入の原価で評価します。

・先入先出法
  先に買ったものから順に売る、という考え方。つまりたな卸分は、期末近くに買ったものから順に残っていることになります。

・後入先出法
  後から仕入れたものが先に出て行った、という考え方。つまり、先に購入したものが在庫として残っていることになります。

・総平均法
  繰越分、仕入分の全商品の仕入額を合計し、平均単価を求め、期末在庫数量に掛けてたな卸額を決定する方法です。

・移動平均法
  仕入の度、平均単価を改訂していく方法です。

・単純平均法
  仕入れたときの数量を無視して、仕入れた回数で平均単価を求める方法です。

・最終仕入原価法
  期末の在庫がいつの仕入分であるかにお構いなく、期末に一番近い時点で仕入れた単価を使ってたな卸額を決定する方法です。一番簡単でわかりやすい方法になります。

・売価還元法
  売価から逆に売り上げた商品の原価を求めて計算する方法です。

 このようにどの方法を採用するかは、会社の特性や仕入管理の状況などとあわせて、慎重に選定するべきでしょう。

 会社が選んだ方法は税務署に届けることになっていますし、これまでの評価方法を変えるには、新しい方法を適用したい年度開始日前に、申請書をやはり税務署に提出しなければなりません。
 
 また、評価方法を届け出なければ、税務上は自動的に最終仕入原価法が適用されることになります。

 

(Y.C)

 

※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

消費税の総額表示

2003年9月3日

 平成15年度の税制改正で、消費税の総額表示制度が義務づけられました。
 適用時期は、平成16年4月1日からとなります。


(1)総額表示とは

 総額表示とは、消費者に対する「値札」や「広告」などにおいて価格を表示する場合に、消費税相当額を含んだ税込価額を表示することをいいます。

 例えば、税抜100円の商品の場合には、次のように表示することとなります。

 ・105円            ・105円(税込)
 ・105円(本体価格100円)  ・105円(うち税5円)
 ・105円(本体価格100円、税5円)

 次のような表示は、総額表示にはなりません。

 ・税抜100円+税        ・100円(税抜)
 ・税抜100円、税5円


(2)対象取引

  「不特定かつ多数の者」を対象として行う取引が総額表示の対象となります。一般の消費者が顧客となるスーパー、コンビニ等の小売業や、飲食店などのサービス業が該当してきます。

 値札やパッケージへの表示、広告やダイレクトメールなどに金額を表示する場合には、税込価額を表示しなければならなくなります。

 あらかじめ価格を表示する場合が該当しますので、見積書を提示して、価格交渉をしてから、金額を決定する場合は除外されます。

 また、事業者同士の取引の場合は、「不特定の者」に該当しませんので、この場合も今まで通りの取引形態で問題ありません。


(3)単価や手数料の表示方法

 精肉店が税抜100グラム300円の肉を販売する場合の表示方法は、「100グラム315円」と税込で表示しなければなりません。

 不動産業者の仲介手数料も「売買価格の3%」という表示は、「売買価格の3.15%」という表示になります。


(4)レジシステムの変更

 POSのようなレジシステムを導入している場合には、システムによっては、変更や入替えが必要となってきます。変更を行わなかった場合、次のような問題が発生する可能性があります。

 例:店頭で、「税込131円(うち税6円)」と表示されている商品を10個購入すると、合計で1,310円とすぐに計算できます。

   システムを変更しないと、レジでは、次のように計算されます。

   125円*10個=1,250円
   1,250円+1,250円*5%=1,312円(切捨)

 なお、システムや会計ソフトの変更費用は、全額経費になります。


(5)罰則規定

 総額表示を行わなかったとしても、罰則は一切ありません。

 逆に、現在、総額表示を禁止しているわけではありませんので、平成16年4月1日より早く変更することはかまいません。


(6)世間の対応状況

 POS入替えにかかる費用や価格表示変更にかかる費用負担の問題で、頭を悩ませている企業が多いようです。

 消費税導入時にシールで対応していた出版業界では、表紙の表示(本体○○円+税)は変えずに、本の間に挟んであるスリップ(注文書)を入れ替えて対応するようです。

 また、余計なお世話なのですが、どうしても気になるのが、100円ショップ。まだ、対策を決定していないようですが、どのような表示になるのでしょうか。

 

(M.H)

 

※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

会議費と交際費

2003年8月5日

 交際費については、一部損金に算入できない金額があります。得意先との飲食代を、「交際費」にするか「会議費」にするか迷うときがありますが、一つの判断の目安にしてください。


(1)交際費の範囲

 交際費とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他のために支出するものをいいます。 具体的には次のようなものです。

・飲食代やゴルフなどの接待費

・お中元、お歳暮、手みやげ等の贈答品

・会社外の人への慶弔費


(2)交際費の取り扱い

 資本金1億円以下の法人の場合は、次の金額が、経費に計上できなくなります。資本金1億円超の法人の場合は、支出交際費の全額が経費に計上できなくなります。なお、会議費は、全額、経費になります。

 中小法人の損金不算入額=支出交際費の額-A×90%

※Aは、次のア、イのいずれか少ない金額
 ア 400万円
 イ 支出交際費


(3)会議費となる場合

 会議や商談、打ち合わせの際に提供する、コーヒー、茶菓、弁当などの飲食代は、交際費に該当しません。ただし、次のような場合は、注意が必要です。

ア 飲酒を伴う食事

 食事の際に、ビールを飲みながら打ち合わせをすることもあるかと思います。1,2杯程度あれば、打ち合わせに支障がないということで、会議費としてかまわないといわれています。ただし、居酒屋やバーなどでは、飲酒が目的となりますので、交際費となります。領収証だけでは、後から判断がつきかねますので、報告書や領収証の裏などに、参加者の役職、氏名、会議の内容等をメモしておくと良いでしょう。

 また、1人あたりの金額が3,000円以下なら、会議費になるという人がいますが、法的な根拠は一切ありません。飲食の内容で判断してください。

イ ホテルでの会議

 社内に会議室がないなどの理由で、ホテル等で会議を行った場合でも、会議としての実態を備えていれば、会議費となります。参加者が遠方の場合の宿泊代も会議費としてかまいません。

ウ 懇親会が行われた場合

 会議の後に懇親会などを行う場合があります。会議と懇親会が別々の会場であれば、会議費と交際費の区分には、それほど神経を使わなくとも大丈夫でしょうが、同じ会場で行った場合には、注意が必要です。請求書や明細書から、スケジュールや参加人数に応じて、会議費と交際費に区分する必要があります。

 

(M.H)

※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

役員賞与の扱いについて

2003年8月5日

 今期の業績が順調なので、役員や従業員へ決算賞与を支給することがあります。社内の士気向上のためには結構なことなのですが、役員への賞与については、注意が必要となります。

(1)役員賞与の範囲

 賞与とは、臨時的に支給される給与のことをいいます。役員に対して支給する、いわゆるボーナスや決算手当などをいいます。税法では、その他にも役員賞与となるものがあります。


(2)役員賞与の取り扱い

 法人税法では、役員賞与は、経費にならないこととなっています。つまり、役員に賞与を支給しても、法人税が安くなることはありません。さらに、賞与を受け取った役員に対しては、所得税が課税されますので、二重に税金がかかることとなります。

 例えば、毎月の給与を50万円、賞与を300万円ずつ2回支給した場合、年間600万円しか経費になりませんが、賞与をなしにして、毎月の給与を100万円とすると、年間1,200万円が経費となります。

 なお、従業員への賞与は全額経費となりますので、法人税は安くなります。


(3)使用人兼務役員の場合

 取締役営業部長や取締役大阪支店長のように、取締役という役員の立場と、部長や支店長という従業員の立場の両方の役職がある人を使用人兼務役員といいます。

 使用人兼務役員に対して賞与を支給した場合には、その賞与を従業員分と役員分に分けて、従業員分は損金算入、役員分は損金不算入という取り扱いになります。


 

(M.H)

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