消費税の課税 Part4

2006年8月4日

 前回は、非課税の間違えやすい部分について解説しました。
 https://www.hinatax.jp/article/13127605.html
 
 続きを見ていきましょう。
 
(ク)社会保健医療

 非課税の対象になるのは、基本的に、健康保険の対象になる医療です。美容整形や歯の矯正など、いわゆる自由診療になるもの、消費税の対象です。

 勤務中の事故等で、診療を受ける場合に、労災や自動車保険の給付対象であれば、消費税は、非課税になります。

 また、健康診断は、健康保険が使えませんから、非課税になりません。インフルエンザ等の予防接種も、健康保険が使えませんね。会社として、これらの受診をした場合には、消費税も負担することになります。
 
 
(ソ)住宅の貸付け

 居住用として賃貸した建物は、非課税となります。これは、契約書に「居住用」と記載されているかによって判断します。出張用に週単位等で契約するような物件については、たとえ居住用でも、課税になります。契約期間は、1ヶ月単位以上である必要があります。共益費等を徴収する場合には、家賃が非課税であれば、共益費等も非課税となります。

 アパートで、地域によっては、1部屋に1台の駐車場を確保することがあります。駐車場代が、家賃に含まれているような契約形態であれば、駐車場代相当額も、非課税となります。

 貸す側、借りる側の立場の違い、消費税の納税義務の有無によって、有利不利が変わってきます。よく検討して、契約を結ぶようにしましょう。

(M.H)

※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

住民税の増税

2006年8月4日

 平成18年6月頃、住民税が増税になったと、苦情や問い合わせが、市町村の窓口に殺到しているという記事が、新聞紙上を賑わしました。去年まで、税額がゼロだった人が、数万円の税額になったり、一気に10倍の税額になった人もいたようです。なぜ、このような騒動にまでなってしまったのでしょうか。

年金受給者を例に、説明していきます。


(1)年金受給者の住民税の課税方法

 住民税は、前年の所得に基づき、市町村が算出して、直接納税者に税額を通知します。納税者は、その通知に基づき、金融機関等で、年4回に分けて、住民税を納付することになります。


(2)年金受給者の所得税の課税方法

 所得税は、年金を支給する際、その支給額から、所得税の概算額を算出し、年金から天引きする形で、納付することになっています。支給時には、概算額で計算していますので、本来の負担額とは、ズレが生じてしまいます。このズレを是正するために、毎年2~3月に、確定申告をして、精算することになります。


(3)平成17年の税制改正

 平成17年から、年金受給者について、所得税、住民税を計算する際に、控除される公的年金控除や老年者控除が、縮小されました。この縮小により、所得税も住民税も増税となっています。


(4)なぜ、住民税だけが騒動になったのか

 (2)のとおり、所得税は、概算額が天引きされます。概算額の算出には、(3)の控除額の縮小が、考慮されています。年金支給時の所得税は、既に増税となっていて、その通知も手元に届いていたのですが、1回の増税額がわずかであることから、問題にする人が多くなかったのです。

 年金支給額の変更は、このような税制改正の他に、介護保険料の改正や支給額自体の改正もありますので、支給額の変更に慣れてしまい、あまり気にされなかったということもあるでしょう。

 それに対して、住民税は、税制改正が考慮されるのは、(2)のとおり、6月の1回限りになります。増税額も1年分が一気に課税されますので、負担感が非常に増すことになります。そのため、事情を知らない納税者が、役所に殺到したということなのでしょう。

 ちなみに、住民税の税率は、国会で決めてますので、うちの市は、住民税が安いということはないです。


(5)平成19年は、もっと増えます!

 平成19年1月から、所得税と住民税の税率が変わります。年金収入が約400万円以下の場合には、所得税10%、住民税5%の税率が、所得税5%、住民税10%となります。

 所得税は、支給時に天引きする概算の税額が、変わります。税率が10%から5%ということは、天引きされる所得税は、半分になります。平成19年の1月以降の年金と取り額は、その分増えることになりますね。

 住民税は、6月に税率の変更が行われます。こちらは、5%から10%ですから、倍になるわけです。平成18年は、10倍になった人もいたようですね。確かに、4,000円の税額が、40,000円になれば、10倍です。これが、さらに倍になるわけですから、今度は、40,000円が80,000円です。2年間で、一気に20倍です。平成19年の役所の窓口は、もっと混雑しそうですね。

(注意)上記は、一例です。税額は、個人によって全く違います。増加する税額も、それぞれです。

(M.H)

※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

消費税の課税 Part3

2006年7月5日

 そのうち、特に間違えやすい部分を見ていきましょう。
 
(ア)土地の譲渡及び貸付け

 あくまでも非課税の対象になるのは、土地です。建物を貸すときは、その建物が建築されている土地も貸していることになりますが、このような場合には、建物の貸付と判断し、非課税には該当しません。ただ、その建物が住宅用としての貸付であれば、(ソ)の住宅用建物の貸付ということで、非課税になります。
 
 同様に、野球場やテニスコート等は、設備の貸付ということで、消費税は非課税になりません。
 
 駐車場の貸付は、更地のまま駐車場として貸し付ければ、非課税です。ただ、一般的には、舗装をしたり、ラインを引いて貸し付けるかと思われます。その場合には、駐車場設備の貸付ということになり、非課税になりません。
 
 貸付の期間も問題で、非課税になるためには、契約期間が1ヶ月以上である必要があります。工事現場の資材置き場として、一時的に、2,3週間、土地を貸した場合には、非課税になりません。
 
 
(オ)商品券、プリペイドカードなどの譲渡

 商品券やプリペイドカードは、誰が使用するかで、消費税の扱いが変わります。
 
 商品券やプリペイドカードを、贈答品として購入した場合には、消費税は、非課税として扱います。
 
 交通機関のプリペイドカードのように、自社で使用する場合には、消費税は、課税として扱います。
 
 手間のかからない経理処理としては、商品券等の購入時に、贈答用であれば、消費税の処理を非課税に、自社使用であれば、課税にしておくことといいでしょう。
                              
 〈つづく〉

(M.H)

※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

役員賞与の支給

2006年7月5日

 平成18年度の税制改正で、これまで経費算入が認められていなかった役員賞与について、税務署に事前に届出をすれば、経費算入が可能になりました。この制度の特徴を確認してみたいと思います。


(1)事前に届け出ること

 経費算入が認められる役員賞与のことを「事前確定届出給与」といいます。この名の通り、事前に届出が必要になります。届出の期限も定められていて、次のうち、いずれか早い日となっています(改正初年度は、平成18年6月30日までの提出も認められます。)。
 
 ・役員としての職務の執行を開始する日
 ・会計期間開始から3ヶ月以内

 「職務の執行を開始する日」という表現が、非常にわかりづらいですね。これは、原則としては、役員に就任した日をいいます。ただ、以前から引き続き役員となっている場合には、毎年決算日から3ヶ月以内に、必ず開催される、定時株主総会の日をいうことになっています。


(2)届出書の記載内容が詳細

 役員賞与支給対象者の氏名、賞与の支給日、金額を記載するのはもちろんですが、その対象者の毎月の役員報酬額と支給日も記載しなければなりません。さらに、役員賞与対象者以外の役員についても、氏名と役員報酬額、支給日を記載することになっています。

 また、役員賞与の支給を決定した機関名も記載することになっていますので、何月何日の株主総会で決定したなど、後日、決定したことを証明するための議事録等を、きちんと保管する必要があります。

 その他に、毎月の役員報酬以外に、賞与で支給することになった理由も、記載することになっています。
 
 事前届出給与にすると、税務署は、税務調査をしなくても、完全に把握することが可能になりますね。


(3)事前に確定していること

 「事前確定届出給与」は、事前に確定し、事前に届出をした給与ということになります。事前届出については、上記で説明しましたが、事前に確定していることも必要になってきます。
 
 事前に確定しているとは、上記の届出期限のところで触れた「職務の執行を開始する日」までに、役員賞与の支給日、支給額を確定しなければならないということです。

 そうすると、定時株主総会で役員賞与の支給を決定することになっている会社は、定時株主総会開催日が、「事前確定」の期限であるとともに、「事前届出」の期限でもあるということです。
 
 支給を決定したその日に、税務署へ届出をしないと、役員賞与を経費算入することは、できなくなってしまいます。


(4)非常勤役員等の年俸制も対象

 これまでは、非常勤役員等への役員報酬を、1年に1回や、半年に1回のように支給していた場合には、原則として、何の手続も必要なく、経費算入することが可能でした。
 
 しかし、1ヶ月単位よりも長いサイクルで支給する役員報酬は、全て事前確定届出給与として、扱われることになりました。
 
 そのため、年払いや半年払いのような支給形態でも、経費算入するためには、事前の届出が必要になってきます。たとえ、非常勤監査役だけが年払い5万円の支給だったとしても、全役員の役員報酬を、税務署へ届け出ることになりま
す。


(5)届出後の変更はできない

 一旦届出をしたら、その後の金額の増減は、できなくなります。
 
 当初、役員賞与を6月、12月にそれぞれ100万円ずつ支給するような決定をしていても、その後の業績不振や資金繰の都合で、70万円に減額したとします。その場合には、支給した70万円全額が、経費不算入ということになります。
 

   (M.H)

※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

給料計算の仕方

2006年6月5日

(1)支給総額の計算

 まずは、給料の総額を計算します。タイムカードや出勤簿をもとに、残業手当、休日出勤手当等を計算します。さらに、毎月定額である住宅手当、家族手当等を加算します。逆に、欠勤や遅刻早退があれば、規程に基づき、給与を減額する必要があるかもしれません。


(2)社会保険料

 次に、健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料を控除します。保険料は、標準報酬月額に、保険料率をかけて計算します。実際には、保険料額表を使用することになります。
 
 標準報酬月額は、毎年4月~6月の3ヶ月間の給与実績によって、決定されます。残業手当が増えて、給料がいつもの月より増えたとしても、標準報酬月額は変わりませんので、社会保険料の金額は、変わりません。
 
 ただ、途中に昇級等があって、給与額に変動があった場合には、昇級等から3ヶ月の実績に基づき、標準報酬月額の見直しが行われることもあります。昇級等から3ヶ月経過したら、標準報酬月額の変更手続の必要があるか、確認するようにしましょう。
 
 標準報酬月額は、基本的に変動しないことになりますが、厚生年金保険料や介護保険料は、保険料率の見直しが行われますので、1年間に2回ぐらい、保険料額表の変更が行われます。常に最新の表を入手するのを忘れないようにしましょう。
 
 さらに、年金基金に加入している会社は、年金基金の保険料も控除することになります。


(3)雇用保険料

 雇用保険料は、給与支給総額の0.8%になります。これを、給与から控除します。社会保険料と違って、給与額の変動に合わせて、雇用保険料の金額は、変動します。


(4)所得税

 次に、所得税を計算します。まず、給与支給総額から、非課税の通勤手当を控除します。公共交通機関を利用して通勤している場合には、原則として、実費相当額が、非課税となります(1ヶ月10万円を限度)。マイカー等で通勤している場合には、通勤距離よって、非課税額は変わります。
 
 通勤手当を控除した金額から、さらに、社会保険料、雇用保険料を控除します。その金額と扶養親族の人数を、税額表に当てはめて、所得税額を計算します。


(5)住民税

 住民税の納税方法は、従業員が自分で納税する普通徴収と、会社が給料から天引きして納税する特別徴収の2種類があります。給料計算に関係してくるのは、特別徴収を取っている場合です。
 
 従業員が住んでいる市町村から、毎年5月に、6月以降の住民税額の通知が、会社に届きます。毎月、天引きする金額が、記載されていますので、その金額を、給料から控除することになります。
 
 普通徴収、特別徴収は、途中で変更することも可能です。退職した場合には、残額を最後の給料から一括で徴収するか、従業員が自分で納税することになります。


(6)その他の控除額

 その他に会社が独自に、給料から天引きするものがあれば、控除することになります。主なものとしては、財形貯蓄、生命保険料、親睦会費等があります。


 

(M.H)


※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

消費税の課税 Part2

2006年6月5日

 次の4つの要件全てを満たしていることが条件で、一つでも条件を満たさないものは、消費税の対象から除外されます。

(ア)国内での取引であること
(イ)事業者が事業として行ったものであること
(ウ)対価があること
(エ)資産の譲渡及び貸付け並びに役務提供であること


(2)非課税

 上記の4つ全ての要件を満たしても、消費税の趣旨に合わないものは、社会政策的に消費税を課税することが不都合なものについては、非課税制度が設けられています。
 
 非課税になるのは、限定されていて、次のものが非課税になります。これらに該当しないものは、原則として、消費税が課税されることになります。土地の譲渡やアパートの賃貸に消費税がかからないというのは、ここで規定されていたんですね。

※非課税項目※

(ア)土地の譲渡及び貸付け
(イ)有価証券、支払手段等の譲渡
(ウ)預貯金の利子及び保険料
(エ)郵便切手類の譲渡、印紙及び証紙の譲渡
(オ)商品券、プリペイドカードなどの譲渡
(カ)国、地方公共団体等が行う行政事務手数料
(キ)国際郵便為替、国際郵便為替振替業務及び外国為替取引の手数料
(ク)社会保険医療
(ケ)介護保険サービス、社会福祉事業等によるサービス
(コ)助産
(サ)火葬料や埋葬料
(シ)身体障害者用物品の譲渡や貸付け
(ス)学校の入学金、授業料等
(セ)教科用図書の譲渡
(ソ)住宅の貸付け
                               〈つづく〉

 

(M.H)

※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

消費税の課税 Part1 消費税の課税 Part1 消費税の課税 Part1

2006年5月10日

 料金設定をする際に、何となく、消費税を上乗せしていたりしませんか。どんなときに、消費税を上乗せする必要があるのか、きちんと確認をしてみましょう。


(1)消費税の対象

 消費税の対象になるかどうかは、次の4つの要件を全て満たしていることが、条件になります。一つでも条件を満たさないものは、消費税の対象から除外されます。

(ア)国内での取引であること

 消費税は、日本国内だけのものですから、海外で行われた取引については、消費税は関係ありませんね。日本人同士の取引でも、取引が海外で行われてい
れば、日本の消費税は、対象外ということになります。
 
 日本より消費税率が高い国は、いっぱいありますので、海外の消費税のほうが、高くつく可能性もありますね。


(イ)事業者が事業として行ったものであること

 消費税の納税義務者は、事業者になります。事業者とは、全ての法人と個人事業者をいいます。法人が行う取引は、全て事業として行ったと解釈されます。
 
 個人事業者の場合には、プライベートに関する取引は、消費税の対象外です。自宅や自家用車の売買は、事業には関係ありませんので、消費税の対象外になります。
 
 インターネットオークションなどで、たまに不要品を売ったりするのは、事業ではありませんが、頻繁に出品したり、オークションで生計を立てているときは、消費税の納税義務が発生する可能性もあります。
 
 
(ウ)対価があること

 ただで物をあげた場合には、消費税の対象外です。金銭のやりとりがなくても、物々交換のように物で支払をしたときは、交換でもらった物が、対価ということになります。
 
 
(エ)資産の譲渡及び貸付け並びに役務提供であること

 商品などの物を販売する行為や、物品をレンタルする行為、さらに、サービスの提供が、消費税の対象になります。
                               〈つづく〉


 

(M.H)

※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

繰越欠損金

2006年5月10日

(1)青色欠損金の繰越制度

 法人税は、収益から費用を引いた利益に対して、税率をかけて計算します。当期が黒字であっても、過去に赤字が発生していた場合には、当期の黒字と過去の赤字を相殺することができます。相殺後の黒字額に税率をかけて、法人税を計算することになりますので、過去の赤字の分、税負担が軽減されることになります。

 赤字額が黒字額を上回っていれば、その年の法人税はゼロとなり、相殺しきれなかった金額は、翌年以降に繰り越すことができます。


(2)繰越期間

 相殺しきれなかった金額を繰り越すことができる期間は、7年間が限度となります。7年経過しても、黒字と相殺しきれなかった場合には、その赤字は、それ以降は、相殺の対象から外れることになります。
 
 なお、平成14年2月期以前の赤字の場合は、5年間しか繰り越せません。


(3)要件

 毎期、きちんと申告をしていれば、特に問題にはなりませんが、相殺をするには、次のような要件が定められています。

 赤字が生じた年は、青色申告法人でなければなりません。一般的には、会社の場合には、青色申告にしていると思いますが、途中、期限後申告や無申告等があった場合には、青色申告が取り消されることがありますので、注意が必要です。
 
 さらに、赤字が生じた年から黒字と相殺しようとする年まで、申告書を毎期続けて提出している必要があります。これは、相殺しようとする年の申告書を提出する日までに、申告書が提出されていればいいので、申告期限を過ぎていても、提出するようにしましょう。

   
(4)相殺順序

 過去に赤字になった年が、何年もある場合には、古い順に相殺していくことになります。


 以下、事例でご説明します。

   

決算期 利益 相殺額 繰越額 課税対象利益
14年3月期 −500万 500万
15年3月期 100万 100万 400万
16年3月期 −200万 400万(H14)  
      200万(H16)
17年3月期 300万 300万 100万(H14)
      200万(H16)
18年3月期 200万 200万 100万(H16)
19年3月期 300万 100万 200万
(5)所得税の場合
 
 所得税にも、欠損金の繰越制度があります。ただし、繰り越しできる期間は、3年だけになります。対象になるのは、事業所得や不動産所得になります。
 

(M.H)
 

※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

更正の請求

2006年3月4日

 既に提出した申告書が間違っていて、税金を多く納めすぎてしまった場合には、更正の請求の手続により、納めすぎた税金を還付してもらうことができます。
 
 「更正」とは、税務署長が、税金の誤りを正すことをいい、「更正の請求」は、誤りを正すことを請求する手続になります。
 
 税務署長は、納めすぎが事実と認められれば、税金を還付することになります。


(1)更正の請求の期限

 更正の請求は、本来の申告期限から1年以内であれば提出することが可能です。平成16年分の所得税の確定申告の場合には、平成17年3月15日が申告期限ですので、その1年以内ということは、平成18年3月15日が、更正の請求の期限になります。
 
 
(2)更正の請求書

 更正の手続をするためには、更正の手続書に、納めすぎが事実であることを証明する書類を添付します。経費の計上漏れの場合には、その領収証等ということになります。
 
 
(3)1度も申告をしていない場合

 更正の請求は、既に申告した内容の訂正になります。過去に1度も申告をしてない場合には、期限後の還付申告ということになり、5年前の分まで、さかのぼって申告することが可能です。
 
 過去に、医療費控除や住宅ローン控除をし忘れていた場合には、5年前までさかのぼって、還付請求することができます。手続は、通常の確定申告になります。期限後申告でも、還付申告ですから、ペナルティとして加算される延滞税等は、ありません。


 

(M.H)

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会計参与

2006年3月4日

 平成18年5月に施行が予定されている、新会社法において、新たな会社の役員として、「会計参与」が加わりました。

(1)会計参与とは

 会計参与とは、取締役と共同して決算書を作成する、株式会社の役員をいいます。会計参与を置くかどうかは、会社が任意に決めることができます。

 会計参与は、会計の専門的知識を生かし、直接、決算書の作成に関わるということから、決算書の信頼性がより一層増すと考えられています。金融機関が、どのような対応をするか見極める必要がありますが、会計参与が作成した決算書によって、融資が受けやすくなる可能性があります。


(2)資格

 会計参与になれるのは、税理士か公認会計士(税理士法人及び監査法人を含む。)だけです。決算書の正確さに対する専門性を高めるため、会計や税務に対する専門性が求められています。
 
 会社の顧問税理士が、会計参与を兼務することは、可能です。


(3)任期

 会計参与の任期は、原則として2年です。定款において、最長で10年まで伸長することもできます。
 
 取締役の任期も新会社法の施行後は、10年にすることができますが、取締役と会計参与の任期を一致させる必要はありません。ただ、任期満了による役員改選の際には、同じ人が再任する場合でも、登記手続が必要になりますので、一致させておいた方が、登記料の負担が軽くなります。


(4)選任

 会計参与の選任は、取締役と同様、株主総会で行います。会計参与を辞めさせたいときにも、株主総会で決議します。会計参与を自主的に辞めるときは、後任の会計参与が決まるまで、その責任は、継続します。
 
 会計参与は、選任、解任、辞任時に、株主総会で意見を述べることができます。取締役と意見が合わずに、決算書の作成ができない場合などは、作成できない理由などを述べることになります。
 
 
(5)職務と権限

 会計参与は、取締役と共同での決算書作成のため、会計参与報告を作成します。作成した決算書及び会計参与報告は、会計参与の事務所に5年間保管し、債権者や株主から、閲覧請求があった場合には、開示しなければなりません。
 
 取締役が不正行為や法令違反を行っているのを発見した場合には、株主にそのことを報告しなければならないという、不正に対する厳しい義務もあります。
 

(M.H)

※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

5,000円以下の飲食費は、全額経費に

2006年2月6日

(1)改正の内容

 平成19年3月決算の会社から、1人あたり5,000円以下の飲食費は、交際費から除外することになりました。
 
 
(2)交際費に該当した場合

 資本金額に応じ、次の金額は、経費になりません。
 
・資本金1億円以下の場合
 損金不算入額=支出交際費の額-A×90%
※Aは、次のア、イのいずれか少ない金額
 ア 400万円
 イ 支出交際費

・資本金1億円超の場合
 損金不算入額=支出交際費の全額
 
 交際費に該当すれば、一部、経費計上できなかったのですが、今後は、交際費であっても、5,000円以下の飲食費であれば、全額経費にすることができます。
 
 
(3)1人あたりとは

 1人分の飲食費が5,000円以下かどうかが問題になります。例えば、20,000円の飲食費の場合、4人以上であれば、1人あたりが5,000円以下となりますね。1人あたりの金額をはっきりさせるために、今後は、より一層、帳簿等に、飲食したメンバーの名前を、きちんと控えておくようにしましょう。
 
 
(4)5,000円以下とは

 会社の消費税の経理方式が、税込経理方式の場合は、注意が必要です。税込経理方式では、帳簿には、税込金額しか記載されません。そのため、このような金額判定の際には、全て、税込で行うことになります。
 
 税込5,250円(税抜5,000円)の飲食代では、経理方式により、不利になります。今後は、飲食店でも、この税制改正に合わせて、5,000円のメニューを多く出してくると思われます。少しでも収入を上げたい飲食店側としては、税抜5,000円の設定にしたいところですので、会社側でも、それに合わせて、税抜経理に変更していったほうがいいですね。
 
(5)5,000円を超えた場合は

 5,000円を超える飲食費は、全て交際費になるわけではありません。あくまでも、飲食の内容によります。やむを得ない理由により、会議時の昼食代が、たまたま5,000円を超えてしまったようなときには、交際費ではなく、会議費になります。しかし、接待の意味があって、高額の食事を提供したのであれば、交際費になります。


 

(M.H)

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1人オーナー会社の増税

2006年2月6日

(1)制度の内容

 役員報酬は、所得税法上、給与として扱われます。給与所得には、サラリーマンの経費に相当する部分として、給与所得控除というのがあります。この給与所得控除の金額を、法人税を計算する際に、利益に加算することになります。法人税は、利益に税率をかけて計算しますので、利益に加算するということは、その分、法人税の負担が増えることになります。
 
 ちなみに、給与所得控除の金額は、年収1,200万で230万円、年収2,400万円で、290万円となります。

 なお、この改正は、平成19年3月決算から始まる予定です。


(2)対象となる会社

 次の2つの要件を満たす会社です。
 
・社長とその親族の持株割合が90%以上であること
 
・社長とその親族が、役員の過半数を占めること

 改正案では、「業務を主宰する役員」という表現が使われています。これは、趣旨としては、社長のことを指しています。ただ、実質的なオーナー以外に、名義上の社長がいるような場合には、オーナーを指すことになります。
 
 また、「常務に従事する役員」という表現から、役員の過半数を判定する際には、非常勤役員や名義上の役員は、除外して判定します。
 
 役員が3名でも、社長と2名の非常勤役員という構成の場合は、常勤役員は、社長1人ですので、過半数を占めていることになります。


(3)除外規定

 この規定には、除外規定が設けられています。上記(2)の2つの要件に該当しても、(1)の規程は、適用されませんので、法人税が増えるないことになります。除外規定の判定には、まず、次の所得等の金額を求めます。
 
 所得等の金額=
 (前期以前3期分の会社の利益+前期以前3期分の社長の役員報酬額)÷3
                
・所得等の金額が800万円以下の場合

 利益と役員報酬を足した金額が、800万円以下であれば、この規程は適用されません。利益がゼロで、役員報酬が800万円以内であれば、これまでの税負担と、何ら変わらないことになります。
 
・所得等の金額が800万円超3,000万円以下の場合

 この場合には、社長の役員報酬額が、所得等の金額の50%以下であれば、適用除外となります。
 
 
(4)対策

・社長一族の持株割合を90%未満にする

 親族以外の第三者に10%超の株式を保有してもらえば、この規程は、適用されなくなります。信頼のおける取引先で、同じように、この規程に苦しめられそうなところがあれば、お互いに、11%ずつ株を持ち合えば、この規程の対象外になります。
 
 取引先以外では、従業員などに出資してもらうのも大丈夫です。
 
 ただ、後から仲が悪くなったり、退職したりすると、株を保有していることが問題になることもありますので、慎重に実行する必要があります。


・役員を増やす

 社長一族が役員の過半数を占めてはいけませんので、親族以外の役員を増やせばいいことになります。しかし、名義上や非常勤ではダメですので、常勤できる人物を役員にしなくてはいけません。
 
 従業員で信頼の置ける者がいれば、役員への昇格を持ちかけてみてはいかがでしょうか。肩書きによって、仕事にやりがいを持つことにより、業績もアップするかもしれません。名義上ではダメですから、役員として、経営参加させることを忘れないでくださいね。
 
 また、取締役会の過半数を反社長派に握られた場合には、社長解任というようなクーデターを起こされる可能性もありますので、こちらも慎重に実行してください。
 

・社長以外の役員報酬比率をアップする

 社長以外の役員になっている奥さんや子どもの役員報酬を上げれば、適用除外になる可能性が高くなります。社長個人の収入は減ってしまうかもしれませんが、社長一家として、結果的に収入が減らないことを目的とします。
 
 これも、勤務実態とかけ離れた役員報酬を支給した場合には、この規程以前に、経費として認められない可能性が出てきます。


 現段階では、まだ、改正案の状況ですので、このまま法案が通るかという問題もありますし、詳細についても決まっていない部分もありますので、今後の推移を注意深く見守ってください。


 

(M.H)

※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

株式譲渡の税金

2006年1月16日

 サラリーマンが、上場株式の売買を行って、損益が発生した場合の、所得税の確定申告について、ご説明いたします。

(1)譲渡損益の計算

 まずは、株を売って、儲かったのか、損したのかの計算方法をご説明します。譲渡損益は、次の計算式で算出します。

 譲渡損益=売却価額−取得費−手数料等


(2)取得費とは

 取得費というのは、買ったときの金額に、手数料を足した金額になります。何回かに分けて購入している場合には、平均単価を計算することになります。例えば、1株ずつ、手数料込みで50万円と70万円で2回購入している場合には、(50万円+70万円)÷2株=60万円が単価となり、2株のうちの1株を売却していれば、60万円×1株=60万円が、取得費になります。

 買った値段を把握していないときは、証券会社から送られてくる取引報告書で、確認することになります。また、過去10年以内に購入したものであれば、証券会社で調べてもらうことも可能です。

 それでもわからない場合には、自分が保管している、取引明細で確認することになりますが、預金通帳や家計簿、日記などで確認できるのであれば、それでもかまいません。

 過去の資料もない場合には、名義書換日を調べて、その日付から、証券会社のデータベースや新聞記事から把握することになります。


(3)特定口座と一般口座

 証券会社に口座を開設した場合に、特定口座か一般口座かを選択することになります。特定口座を選択すると、証券会社が、譲渡損益の管理を行ってくれます。さらに、特定口座を選択した方は、源泉徴収の有無を選ぶことになります。源泉徴収ありを選ぶと、譲渡益の10%が、口座から徴収されることになります。

 特定口座を選択しない場合には、一般口座となり、譲渡損益の管理は、自分で行うことになります。

 多くの証券会社は、特定口座の源泉徴収ありを進めますが、必ずしも、それが、税制上、一番有利とは限りません。


(4)一般口座で譲渡益の場合

 一般口座を選択し、1年間の収支がプラスの場合には、確定申告が必要になります。

 譲渡益に対する所得税7%は、確定申告で納めることになります。

 株の譲渡益には、住民税3%もかかりますが、これは、6月以降に納税することになります。会社からの給料天引きになっている場合には、通常、株の譲渡益分も一緒に給料天引きとなりますので、株の分の住民税は、別に納めたいという方は、確定申告書第二表の「自分で納付(普通徴収)」の欄に、チェックを入れてください。


(5)一般口座で譲渡損の場合

 一般口座で、譲渡損の場合には、確定申告は不要です。面倒くさがりの方は、申告をしないでそのままでもいいのですが、一手間をかけて、確定申告をすると、お得になる制度があるんです。

 それが、譲渡損失の繰越控除制度です。譲渡損が生じた場合には、確定申告をすることにより、翌年以後3年間の譲渡益と相殺することが可能になります。譲渡益が出ても、過去3年の赤字と相殺できるわけですから、申告の手間をかけるだけで、税負担が減少することになります。これは、申告を続けることによって受けられる制度ですから、忘れずに申告をしましょう。


(6)平成13年9月30日以前に取得した株式の売却

 平成13年9月30日以前に購入した株を売却した場合には、取得費を、平成13年10月1日の終値の80%相当額とすることができます。実際の購入額がいくらであろうと、取得費は固定されますので、親から相続でもらった株なんかを持っている場合には、計算上は、譲渡損となる場合も出てきます。

 実際の購入金額がわかっていて、そちらのほうが有利だという場合には、実際の株価で申告することも可能です。


(7)購入価額1,000万円までの非課税制度

 平成13年11月30日から平成14年12月31日までの間に購入した株式を、平成17年1月1日から平成19年12月31日までの間に売却した場合には、購入金額の合計が1,000万円に達するまでは、その譲渡は非課税となります。

 こちらも、確定申告が必要になります。


(8)特定口座(源泉徴収あり)の場合

 特定口座で源泉徴収ありを選択して、1年間の収支がプラスになっても、申告の必要はありません。源泉徴収ありの場合は、譲渡益に対して、証券会社の口座から、既に税金(所得税7%、住民税3%)が控除されていますので、改めて申告書を提出するという、投資家の手間を省く制度になっています。

 しかし、上記の(5)(6)(7)の制度は、確定申告をしないと受けられない制度
になっていますので、譲渡損が発生した場合や非課税制度を利用したい場合などは、申告の手間を惜しんだために、税負担が多くなることもあります。


(9)特定口座(源泉徴収なし)の場合

 特定口座で源泉徴収なしを選択して、1年間の収支がプラスになった場合には、確定申告の必要があります。損益計算は、証券会社でやってくれますので、証券会社が発行した報告書を元に、(4)と同じように、申告をすることになります。

 報告書は、証券会社から税務署にも提出されますので、申告を忘れますと、後で、追徴されることになります。

 譲渡損の場合には、(5)と同様、特例を利用するのであれば、申告が必要になりますが、面倒という方は、そのままでも大丈夫です。


(10)専業主婦は注意を

 年間の所得が38万円以下の人は、親や配偶者等の親族の扶養になります。この所得には、特定口座(源泉徴収あり)で確定申告をしなかった場合の譲渡益は、含まれません。

 ですから、たとえ20億円の儲けがあったデイトレーダーでも、他に所得がなく、確定申告をしなければ、扶養親族の対象になります。

 専業主婦や学生などで、株で収益が上がっている場合には、申告をしてしまうと、扶養からはずれることになり、配偶者や親の税負担が増えることになります。



 

(M.H)


※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

消費税簡単計算

2005年12月6日

 平成16年4月に、消費税の免税事業者の基準が、3,000万円から1,000万円に引き下げられました。そこで、申告書の記載事項順に、税込で損益計算書を作成している方のために、簡単な消費税の計算方法を紹介します。

(1)課税標準額

 1年間の売上を1.05で割ってください。この数値を1,000円未満切り捨てしたものが、課税標準額です。ただ、消費税は、売上の概念が広いので、固定資産の売却があった場合には、消費税では、売上ととらえますので、売却額を売上に加えるようにしてください。

 車両の下取りのように、所有資産と購入資産を入れ替えるような場合には、下取りの査定額が売上となります。

 なお、売上の中に、輸出分が入ってる場合には、輸出は、免税となりますので、消費税の計算から除外します。

 また、消費という性格や政策的配慮から、非課税となっているものもありますので、こちらも除外します。


(2)消費税額

 消費税の税率は、現在のところ4%となっています。意外でした?実は、消費税5%というのは、国税の消費税4%+地方消費税1%の合計となっています。

 1,000円未満切り捨てをした課税標準額に、4%をかけたものが、消費税額となります。


(3)控除対象仕入税額

 仕入や経費等で、支払った金額に、4/105をかけます。これは、税込5%のうちの4%分の消費税を求める計算式になります。経費のうちには、消費税がかからないものもありますので、除外する必要があります。たとえば、給料等の人件費、法定福利費、減価償却費、租税公課、保険料、諸会費等が除外対象になります。運送関係の方は、特に軽油税も除外する必要があります。


(4)差引税額

 (2)の消費税額から(3)の控除対象仕入税額を引いた金額になります。


(5)中間納付税額

 前期の消費税額が60万円を超えると、中間納税を行っていますので、中間納税額を控除します。申告の際には、実際に納税しているかどうかは問いませんので、未納場合でも、計算に含めます。


(6)納付税額

 (4)の差引税額から(5)の中間納付税額を控除した残額です。この金額が、マイナスになった場合には、消費税を払いすぎているということで、還付ということになります。


(7)課税資産の譲渡等の対価の額

 (1)課税標準額の1,000円未満を切り捨てする前の数値を記載します。


(8)資産の譲渡等の対価の額

 (7)の課税資産の譲渡等の対価の額に、非課税売上を加算した金額になります。特に非課税項目に該当するものがない場合でも、非課税の中に、利子がありますので、受取利息分は、加算する必要が出てくると思います。


(9)譲渡割額

 地方消費税の計算をします。税率1%というのは、国税の消費税の25%相当額という意味になっていますので、国税の消費税で計算した、4%分の金額に25%をかけて計算します。


(10)消費税及び地方消費税の合計(納付又は還付)税額

 国税の消費税4%分と地方消費税1%分を合計した金額を記載します。これが、確定申告で納付する消費税額になります。



 

(M.H)


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同業者団体の会費

2005年12月6日

 会社が所属する協会や連盟などの同業者団体が、会員のために行う広報活動、研修指導、その他通常の業務運営のための会費については、会社が支払ったときに、経費に計上することになります。
 
 ただし、会費の使途が、会員相互の懇親、政治献金などの場合には、会社がその団体に対して、支出した時点では、経費にならず、前払費用となります。その団体が、会費の目的のために支出した時点で、交際費や寄付金などの経費に計上できることになります。
 
 支払い時に経費にならないことから、多額の場合には、資金繰りに影響しますし、交際費や寄付金は、税金の計算上、支払額の一部が経費にならないなどの不利が生じる場合がありますので、注意が必要です。
 
 なお、その団体の入会金については、会員としての地位を譲渡可能であれば、資産計上し、譲渡時又は脱退時に、譲渡損益の計算をすることになります。譲渡ができない場合には、繰延資産となり、5年間で償却ということになります。


(2)社交団体の会費

 ロータリークラブ、ライオンズクラブ等の社交団体の会費は、法人会員として入会した場合には、交際費として、取り扱うこととなります。法人会員制度がないため、やむを得ず、社長などの個人名で入会せざるを得ない場合には交際という扱いに変わりはありませんが、それ以外で、個人名義で入会した場合には、社長等の賞与として扱われ、会社の経費にならない上に、社長等には、所得税が課税される可能性があります。
 
 入会金についても、会費と同様、法人会員であれば、交際費の扱いとなりますが、個人会員であれば、交際費の場合と個人の賞与の場合があります。


(3)青年会議所の会費

 青年会議所の会費は、会費の使途や目的、事業内容に応じて、判断することになります。懇親が目的の会費であれば、交際費に該当しますが、交際費以外の目的での会費であれば、全額が経費に計上できる場合もあります。ロータリークラブやライオンズクラブの会費に比べれば、割安ということが影響しているようです。


 

(M.H)

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資格取得手当

2005年11月10日

 従業員が資格や技術を習得するために、会社が費用を負担した場合には、原則として、従業員への給与となり、所得税の対象となります。会社は、給料という経費ですが、従業員側は、源泉所得税がかかるので、その分、手取りが減ることとなります。
 
 ただし、次の条件のいずれかを満たす場合には、給与には該当せず、源泉所得税が課税されない上に、会社も、福利厚生費等の経費となります。
 
・会社の仕事に直接必要な技術や知識を、従業員に習得させるための費用であること

・会社の仕事に直接必要な免許や資格を、従業員に取得させるための研修会や講習会などの出席費用であること

・会社の仕事に直接必要な分野の講義を、従業員に大学などで受けさせるための費用であること

 条件としては、「会社の仕事に直接必要であること」になります。また、会社が習得等を「させる」場合に限られます。自主的に勉強する場合は、給与課税になります。
 
 各人の業務内容によって、判断が分かれる場合がありますので、不安がある場合には、きちんと税理士等に相談する必要があるでしょう。

 なお、役員でも、会社の仕事に必要があれば、課税対象外になります。


 

(M.H)

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初めて消費税を納めるとき

2005年11月10日

(1)消費税の基本的な仕組み

 消費税の納税は、売上等でお客さんから預かった消費税から、仕入や経費等の支払に含まれる消費税を控除したあとの残りの消費税を、税務署へ納めることになっています。 


(2)納税義務の判定

 売上が1,000万円を超えた場合には、その2年後の分から消費税を納めることになります。つまり、2年前の売上が1,000万円を超えるかどうかによって、今年の消費税の納税義務があるかどうかを判断します。

(3)免税事業者から課税事業者になった場合

 前期に消費税の納税義務がなかった事業者(以下「免税事業者」という。)が、今期に消費税を納める事業者(以下「課税事業者」という。)となった場合には、前期末に所有していた棚卸資産について、消費税の調整をする必要があります。

 前期末に所有していた棚卸資産分の消費税を、今期の消費税の納税額から控除することになります。例えば、前期末に、105万円(税込)の棚卸資産があった場合には、105万円×5÷105=5万円の納税額が減ることになります。

 翌期に消費税の納税義務があるかどうかは、(2)から既にわかっていますので、免税事業者であるときに、商品を多めに購入しておけば、翌年の消費税を減らせる結果となります。ただ、在庫は、通常、利益になりますので、その分、法人税の負担が増えることになりますから、消費税の軽減以上に、法人税の負担が増えることのないよう、注意が必要です。

 なお、以前に課税事業者であった期間がある場合には、免税期間中に仕入れた棚卸資産についてだけが控除の対象となりますので、いつ仕入れたものかがわかるように、きちんと明細に記載しておく必要があります。


(4)課税事業者から免税事業者になった場合

 (3)とは逆に、課税事業者から免税事業者になる場合には、課税事業者である期の末日に所有している棚卸資産の分の消費税は、納めるべき消費税から、控除できないことになります。

 期末に商品を大量に仕入れても、消費税の軽減にはつながりませんので、やはり、消費税の納税のことも考えた、計画的な仕入が必要になってきますね。


(5)簡易課税を選択している場合

 (3)の場合も(4)の場合も、簡易課税制度を選択している場合には、棚卸資産の分の消費税について、考慮する必要はありません。簡易課税制度は、売上のみで、納税額を計算する制度ですので、仕入れた分の消費税については、納税額に影響してこないんですね。



 

(M.H)


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紹介料の支払い方|仙台市の税理士・ひなた会計事務所

2005年10月5日

 お客さんを紹介してもらったお礼に、紹介料を支払った場合には、原則として、交際費に該当します。交際費は、中小企業の場合、一部が経費になりませんので、その分、税負担が増すことになります。ただし、下記の要件を満たしていれば、販売手数料等の経費となり、税負担が増えることはありません。


(1)情報提供が業務かどうか

 不動産の仲介業者のように、紹介をすることが業務となっている業者に支払った紹介料は、交際費には該当しません。しかし、以前に家を建てたお客さんが、友人を紹介した場合のように、一般の人や会社が紹介をしてくれた場合には、下記(2)以降の、いろいろな制約が出てきます。


(2)支払い基準を公表すること

 紹介料を支払う場合には、事前に契約書を交わしておく必要があります。しかし、紹介キャンペーンなんかを行う場合には、全ての人と契約書を交わしておくのは、現実的には不可能でしょう。

 そのような場合には、必ずしも契約書を交わしておく必要はなく、事前に、紹介料の支払い基準を公表しておけば、事足りることとなっています。公表の方法には、チラシ等の広告、ダイレクトメール等の文書を出したり、会社に掲示したりする方法があります。

 口頭での公表でもかまいませんが、税務署の調査の際には、公表の証明が大変になりますので、避けたほうがいいでしょう。


(3)支払額が妥当であること

 紹介料の支払額が、その内容に対して、妥当な金額である必要があります。紹介料を支払ったことにより、赤字になったり、相手先によって、金額が増減しないようにしましょう。

 支払い基準が、契約額の何パーセントというような場合には、細かい金額の端数が生じることもあると思います。1,000円未満切捨てなどのように、一定基準での端数処理は、妥当の範囲になるようです。


(4)取引先の従業員でないこと

 会社の従業員が、自分が勤める会社を紹介して手数料を受け取った場合には、交際費に該当することになります。従業員ですから、自分が勤める会社の利益になることをするのは、当然ですよね。

 取引先の従業員でも、紹介先がその会社でないところであれば、交際費に該当しないことになります。


(5)紹介内容等

 契約書や書面において、紹介を受ける内容を、あらかじめ明らかにしておく必要があります。また、紹介後に、実際に業務を行う必要があります。成約にならなくとも、紹介を頂いただけで、紹介料を支払うというのではなく、成約分についてのみ紹介料を払うようにしてください。


(6)紹介料をもらったら

 紹介料を受け取った側については、会社であれば、収入に加算することはもちろんですが、個人であっても、所得税の対象になるのが原則であることを、忘れないでください。どのような形であれ、紹介料を受け取れば、申告の必要があることを付け加えておいたほうがいいでしょう。

(M.H)


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白色申告のしかた

2005年10月5日

(1)白色申告と青色申告

 ほとんどの会社は、税金上の特典があることから、税金の申告には、青色申告を選択します。しかし、青色申告にするためには、事前に税務署へ届出をしなければなりません。

 事前に届出をしなかった場合には、税金の申告は、白色申告となります。


(2)白色申告のしかた

 基本的には、白色申告でも、申告のしかたは一緒になります。言葉のとおり、使用する用紙が、白色と青色の違いはありますが、その他の添付書類として使用する別表用紙は、同じものを使います。

 ただ、青色申告の特典といわれるように、青色申告だからこそ利用できる制度がありますので、白色申告の場合には、その特典を利用することができません。

 例えば、中小企業の場合には、30万円未満の備品等の固定資産は、購入時に一括で経費に算入することができます。これは、青色申告の会社に認められた特典ですので、白色申告の場合には、一括で経費に算入できる金額は、10万円未満に引き下げになってしまいます。

 10万円以上の固定資産については、一括で経費にはできず、減価償却という方法で、数年間にわたり、徐々に経費計上していくことになります。


(3)設立時に届出を!

 青色申告を適用する際の事前届出には、期限が定められています。設立第1期の場合には、第1期の決算日の前日までに提出しなければなりません。これを過ぎますと、第1期は、白色申告となります。

 この場合、青色申告の特典である、繰越欠損金制度を利用することはできなくなります。創業当初というのは、設備投資などがかさみ、赤字になることが多くあります。この赤字は、青色申告であれば、将来の黒字と相殺して、税負担を軽減するのに活用できるのですが、白色申告ですと、黒字になったときは、黒字に対する税金を、そのまま負担することになります。

 書類1枚を提出し忘れただけで、余分な税金を負担することになりますので、忘れずに、「青色申告の承認申請書」を提出するようにしましょう。


(4)所得税の白色申告

 所得税にも白色申告があります。現在の所得税の青色申告は、様式が以前と変わったために、用紙の色が青色ではなく、白色申告と同じ用紙となっています。青色と白色の違いは、申告書の該当箇所に、○印を付けるか付けないかだけになります。

 用紙は同じでも、青色申告の特典を適用できないことには変わりありません。特に所得税では、お金の支出を伴わない特典もありますので、帳簿をきちんと付けて、青色申告を目指しましょう。

 なお、申告書に添付する決算書は、青色と白色では、用紙が違いますので、間違えないようにしてください。



 

(M.H)


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源泉徴収の注意点

2005年9月5日

 給料やボーナスを支払う場合、支給する側が所得税を天引きして支給し、差引いた税額を従業員に変わって国に納めます。この作業を源泉徴収といいますが、給料の支給時だけではなく、源泉徴収は他にも様々な場合に発生しますし、天引きのしかたに注意が必要なものもあります。


(1)弁護士、税理士等の報酬

 弁護士や税理士へ報酬を支払う際も、一定の所得税額を源泉徴収しなければなりません。源泉徴収の対象となる主な報酬と、税額の算出方法は次の通りです。

・弁護士や税理士等(※)への報酬
 源泉徴収税額=支払金額の10%(支払額が100万円以下の場合)
例えば、税理士報酬10万円の場合、10万円×10%=1万円を天引きし、9万円を支払います。

※弁護士、税理士以外の対象者
 公認会計士、計理士、会計士補、社会保険労務士、弁理士、企業診断員、測量士、測量士補、建築士、建築代理士、不動産鑑定士、不動産鑑定士補、技術士、技術士補、投資顧問業者、火災損害鑑定人、自動車等損害鑑定人

・司法書士等(※)への報酬
源泉徴収税額=(支払金額-1万円)×10%
例えば、司法書士報酬10万円の場合、(10万円-1万円)×10%=9千円を天引きし、9万1千円を支払います。

※司法書士以外の対象者
 土地家屋調査士、海事代理士


(2)アルバイトの源泉徴収

 アルバイトに給料を支払う際にも、社員と同様、源泉徴収が必要です。源泉徴収税額表を見て、天引きする金額を算出しますが、アルバイトでも「扶養控除等申告書」提出のあるなしで、税額表の「甲欄」を使うか「乙欄」を使うかが違います。提出があれば「甲欄」、なければ「乙欄」を使いますが、徴収する税額に大きな差が出てきます。(日給の場合は、日額表の「丙欄」を使う場合もあります。)

 例えば、「扶養控除等申告書」を提出したアルバイトの給料が、月100,000円だった場合は、天引きする税額は1,130円です。それに対して、「扶養控除等申告書」を提出していない場合は、同じ給料でも、天引きする税額は5,500円になります(扶養親族なしの場合。)。このように、支給額に差が出てしまうので、アルバイト代をもらう本人のためにも、提出させるようにしましょう。


(3)未払いとなった給料

 会社の資金繰りの都合で、給料日に社長の役員報酬の一部が未払いとなってしまった場合は、給料支給日に、未払を含めた本来支払うべき役員報酬総額に応じて、源泉所得税を天引きします。のちに未払いの給料分として支払いがあった際は、すでに源泉所得税を天引きしているため、源泉徴収の必要はありません。


(4)源泉所得税の納付

 給料や、税理士報酬等で徴収した源泉所得税は、支払いをした日の翌月10日までに国に納付しなければいけません。

 ただし、給料の支給人数が10人未満の場合は、納付手続きを簡単にするために半年に1回、まとめて納付することができる特例制度があります。特例制度を適用するためには「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を税務署に提出する必要があります。なお、忙しいときに臨時で使用した人を含めると10人以上になるけど、平常の状態においては10人未満という場合はこの特例制度を選択できます。

 特例を適用すると、1月~6月までの源泉所得税を7月10日、7月~12月までの源泉所得税を翌年1月10日までに納付となります。さらに、源泉所得税の滞納がなければ、12月20日までに「納期の特例適用者に係る納期限の特例に関する届出書」を税務署に提出することによって、1月10日の納期限を1月20日までに延ばすことが可能です。これらの届出書は、1枚の紙にセットになっていますので、納期特例を選択すると、自動的に、1月の納期限は、1月20日になります。7月の納期限は、延長されませんから、注意してくださいね。

 また、納期限が土、日、祝日にあたる時は、それぞれ納期限が繰り下げになります。


 

(Y.C)

 

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