所得税の予定納税

2007.7.6

 法人税20万円、消費税等60万円、所得税15万円。前期の年税額が、この金額を超えた場合に、今期の税金を前払いする、中間申告と中間納税が必要になります。


(1)所得税の予定納税

 前年の所得税額が15万円以上の場合には、7月31日及び11月30日までに、前年の所得税額の3分の1ずつを、納税しなければなりません。

 予定納税が必要な方には、6月15日までに、税務署から税額が通知されます。所得税の納税を口座振替にしている場合には、7月31日及び11月30日に、引落しになります。


(2)確定申告時の処理

 確定申告時には、年税額を計算し、予定納税額を控除した金額を、納付することになります。

 結果的に、予定納税は、確定申告で納めるべき所得税の前払いをしていることになります。

 なお、1年分の所得税を計算した結果、予定納税の金額を下回った場合には、その下回った金額は、税務署から還付されます。


(3)減額申請

 6月30日の時点で、その年の所得税が、前年の所得税を下回ることが明らかな場合には、7月15日までに、予定納税額の減額申請を行うことができます。

 収入が減少した場合や、個人事業の廃業、法人成り等をした場合には、減額申請の手続きをした方がいいでしょう。もし、手続きをしなかったとしても、納めた予定納税額は、確定申告で精算されることになります。

 なお、11月30日納期分については、11月15日までに手続きをすれば、減額を受けられることになります。

(M.H)

※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

住民税の増税2007

2007.7.6

(1)税源移譲

 国から地方への税源移譲ということで、国税である所得税を減税し、地方税である住民税を増税するという措置が、平成19年より実施されました。

 所得税の減税措置は、サラリーマンの場合、既に1月から行われており、給料から天引きされる所得税が少なくなっています。

 それに対して住民税の増税措置は、6月から実施されました。このタイムラグのために、住民税が一気に上がったと感じる人が多かったようです。

 さらに、所得税、住民税の10%分を減税するという定率減税制度が、平成19年から廃止されたことも、税負担の増加に拍車をかけています。


(2)実質負担は

 総務省の説明では、所得税の増税分を住民税で減税しているので、実質的な負担は変わらないとしています。ところが、きちんと見ていくと、増税が行われていることがわかってきます。

 18年も19年も収入、社会保険料、扶養家族等に変動がなければ、総務省の説明のとおり、19年中に支払う税負担には、変動がありません。

 所得税は、その年の収入に対して課税されます。住民税は、前年の収入に対して課税されます。今回の税源移譲は、19年の収入に対して所得税の減税が行われたのに対して、住民税の増税は、18年の収入に対して行われています。

 つまり、18年の収入に対する税負担ということを考えると、住民税の増税措置だけが行われ、所得税の減税措置は行われていませんから、実際は、住民税が増えた分、増税になったことになります。


(3)損をしないための対策

 19年になってから退職した場合のように、18年は、収入があっても、19年から収入がなくなるような方には、19年分の所得税が減税になりませんので、救済措置が取られることになります。

 20年6月以降、住民税がかからなくなった場合には、平成20年7月中に、市町村に申請すれば、19年中に納めた住民税を還付してもらえることになっています。まだ先の話になりますが、忘れずに手続きをするようにしましょう。


(4)個人事業者の対策

 サラリーマンや年金受給者は、年初から、所得税が減税されていますが、個人事業者の所得税が減税されるのは、20年3月の確定申告時なります。19年6月から住民税の納税が始まってますので、減税より先に増税が行われています。

 19年の収入が18年より減ることが明らかであれば、7月又は11月に、手続きをすると、予定納税額を減少させることができます。


(5)住宅ローン控除

 平成18年までに住宅を購入した方にも、手続きが必要になる場合があります。住宅ローン控除は、所得税から控除する制度ですが、所得税が減税されたため、当初受けられる予定だった住宅ローン控除を満額受けられない場合が出てきます。

 所得税が控除しきれなかった住宅ローン控除は、住民税から控除されることになりました。こちらの手続きは、平成20年3月の確定申告期に行うことになります。

 19年の年末に会社から交付される源泉徴収票をよくご覧頂き、年税額がゼロの場合には、対象になる可能性が高くなります。

(M.H)

※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

消費税の中間申告

 2006.6.6

 法人税20万円、消費税等60万円、所得税15万円。前期の年税額が、この金額を超えた場合に、今期の税金を前払いする、中間申告と中間納税が必要になります。


(1)消費税等の中間申告

 1年決算の場合、前期の消費税等の年税額が、60万円を超える場合には、当期に中間申告をしなければなりません。申告期限は、決算開始から8ヶ月後になります。つまり、3月決算の場合には、11月30日が、期限になります。

 中間申告で納税する額は、下記のとおりとなります。

 中間納税額=前期の年税額×6÷12

 1年決算であれば、当期の売上に関係なく、前期の納税額の半分になります。なお、納期限も、決算開始から8ヶ月後です。


(2)決算時の処理

 決算の時には、まず、中間申告をしたかどうかに関係なく、1年分の消費税等の税額を計算します。この年税額から、中間申告をした場合には、中間納税額を控除した金額を、決算時に納付することになります。

 結果的に、中間申告は、決算で納めるべき消費税等の前払いをしていることになります。

 なお、1年分の消費税等を計算した結果、中間納税の金額を下回った場合には、その下回った金額は、税務署から還付されます。


(3)仮決算

 中間申告の時点で、今期の売上の減少が明らかな場合や、大規模な設備投資をした場合には、中間申告をする税額を、減らすこともできます。決算開始から6ヶ月間を、一つの決算期とみなして、仮決算を行い、その仮決算に基づいて中間申告を行うことも認められています。

 仮決算を行う場合は、必ず、中間申告書を提出することを忘れないでください。中間申告制度には、中間申告書の提出がなかった場合、前期の年税額の半分の金額で、自動的に納税義務が確定することになります。油断していると、知らないうちに、延滞税がかかることになります。


(4)課税期間の短縮

 法人税の決算期に関係なく、消費税独自の決算期を定めることが可能になっています。税務署に、課税期間短縮の届出書を提出すれば、3ヶ月ごと又は1ヶ月ごとに、確定申告をすることになります。課税期間を短縮した場合には、原則として、中間申告は、不要になります。


(5)前期の年税額が60万円以上の場合

 消費税等は、預り金の性格を有していますので、税額が大きい場合は、6ヶ月ごとの申告ではなく、3ヶ月や毎月の中間申告が必要になってきます。

 前期の年税額が、500万円以上6,000万円未満の場合は、3ヶ月ごとに中間申告が必要になります。納税額は、下記のとおりです。

 中間納税額=前期の年税額×3÷12

 前期の年税額が、6,000万円以上の場合は、毎月の中間申告が必要になります。納税額は、下記のとおりです。

 中間納税額=前期の年税額×1÷12

(M.H)


※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

法人税の中間申告

2007.5.7

 法人税20万円、消費税等60万円、所得税15万円。前期の年税額が、この金額を超えた場合に、今期の税金を前払いする、中間申告と中間納税が必要になります。


(1)法人税の中間申告

 1年決算の場合、前期の法人税の年税額が、20万円を超える場合には、当期に中間申告をしなければなりません。申告期限は、決算開始から8ヶ月後になります。つまり、3月決算の場合には、11月30日が、期限になります。

 中間申告で納税する額は、下記のとおりとなります。

 中間納税額=前期の年税額×6÷前期の月数

 1年決算であれば、当期の利益に関係なく、前期の納税額の半分になります。なお、納期限も、決算開始から8ヶ月後です。


(2)決算時の処理

 決算の時には、まず、中間申告をしたかどうかに関係なく、1年分の利益に対する法人税額を計算します。この年税額から、中間申告をした場合には、中間納税額を控除した金額を、決算時に納付することになります。

 結果的に、中間申告は、決算で納めるべき法人税の前払いをしていることになります。

 なお、1年分の法人税を計算した結果、中間納税の金額を下回った場合には、その下回った金額は、税務署から還付されます。


(3)仮決算

 中間申告の時点で、今期の業績が悪いということが明らかな場合には、中間申告をする税額を、減らすこともできます。決算開始から6ヶ月間を、一つの決算期とみなして、仮決算を行い、その仮決算に基づいて中間申告を行うことも認められています。仮決算を行った結果、赤字であれば、納税額は、ゼロとなります。

 仮決算を行った結果、納税額がゼロとなっても、必ず、中間申告することを忘れないでください。中間申告制度には、中間申告書の提出がなかった場合、前期の年税額の半分で、中間申告があったものとみなすことになっています。

 つまり、中間申告をしないと、前期の年税額の半分で、自動的に納税義務が確定することになります。中間納税額ゼロだと思って安心していると、知らないうちに、延滞税がかかることになります。


(4)地方税の中間申告

 原則として、法人税に中間申告の義務がある場合、法人住民税及び法人事業税についても、同様に、中間申告を行う必要があります。法人住民税は、赤字でも、均等割がありますので、必ず納税額は、発生します。

(M.H)

※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

減価償却制度の見直し

2007.5.7

(1)これまでの減価償却制度

 まず、これまでの減価償却制度について簡単におさらいします。

 減価償却とは、時間の経過とともにその価値が減少していく建物や車等の購入金額について、購入時に全額経費計上せず、法律で定められた期間(耐用年数)で按分して経費計上する制度です。

 経費計上できるといっても、税法上では購入金額の5%は資産に残す必要があります。

 また、毎期の減価償却費の計算について、基本的に「定額法」と「定率法」のどちらかの計算方法を選択することになり、耐用年数に応じた償却率を使って算出します。

 計算方法は次のとおりです。

・定額法の計算方法
  減価償却費=取得価格×90%×定額法の償却率

・定率法の計算方法
  減価償却費=(取得価格-前期までの償却額累計)×定率法の償却率


(2)減価償却制度改正の内容

 今回の改正で大きなポイントは次の2つです。

・購入金額のほぼ全額償却可能に

→ 平成19年4月1日以降に購入した資産は、今まで購入金額の5%分は、減価 償却ができませんでしたが、改正後は、購入金額の全額を減価償却すること ができます(1円は資産があることを忘れない為に残しておきます)。

・平成19年3月31日以前に購入した資産の計算方法変更

→ 平成19年3月31日以前に購入した資産については、今までの計算方法で減価償却を行った後、購入金額の5%を別の計算方法で減価償却していきます。


(3)旧・新制度での減価償却費の比較

 平成19年4月1日以降に購入した資産については、新償却率を使って計算します。償却率は大きく変わりましたが、計算式は基本的に変わりありませんので、具体的な例をみながら変更点を確認してみましょう。


・400万円の新車を、年度1ヶ月目に購入した場合の減価償却費(定率法、耐用年数6年)

      旧定率法  新定率法    差額
 1年目:1,276,000円 1,668,000円→+392,000円
 2年目: 868,956円  972,444円→+103,488円
 3年目: 591,759円  566,934円→△ 24,825円
 4年目: 402,987円 330,523円→△ 72,464円
 5年目: 274,435円 231,049円→△ 43,386円
 6年目: 186,890円 231,049円→+ 44,159円


 1、2年目の償却額が新定率法で非常に大きくなることがわかると思います。

 今回の改正により、資産を購入した年度から最初の何年間かは、減価償却費がこれまでと比べて増加する傾向にあるということを覚えておきましょう。


(4)既取得済資産についての償却方法

 平成19年3月31日以前に購入した資産の減価償却については、次の2段階で行っていきます。

・これまでと同様の方法で、購入金額の5%まで減価償却。

・購入金額の5%から1円を除き、5で割ったものを減価償却費として、償却終了の翌期より均等償却。

※計算式:減価償却費=(購入金額の5%-1円)÷5

 つまり、購入金額の5%については、おおむね5年間で償却していくこととなります。

 なお、既に減価償却を終えている場合は、帳簿上の5%について平成20年3月期以降から均等償却していくことになります。


(5)減価償却方法変更の届出

 現行制度上では、減価償却方法を変更する際、変更したい年度開始の前日ま
でに届出が必要で、最低3年間は同じ償却方法を使う必要がありました。

 新制度になっても上記内容に変更はありませんが、改正に伴い、経過措置が設けられました。

 経過措置では、平成19年4月1日以後、最初に到来する決算申告書提出期限までに届出した場合、以前の変更時期に係わらず、その事業年度から変更後の償却方法を使うことができるとされています。

 つまり3月決算の場合、平成20年5月末までに届出すれば、平成20年3月期より、新償却方法を使用できます。


(6)赤字転落の可能性

 定額法を採用している場合は、改正後も影響額はそれほど大きくありません。

 定率法を採用している場合、(3)の例では旧定率法と比べ、初年度で39万円の減価償却費が増加することになりますので、減価償却資産をこれから購入するのであれば、赤字転落の可能性も踏まえて計画を立てる必要があります。

 また、定率法の場合、節税の為の使い方も考えられます。

 例えば、期の初めに中古車を購入すると、100%経費計上できる場合もあります。

 ただし、年の途中で購入した場合、減価償却費は月数按分することになっていますので、決算直前に節税対策として購入しても、翌年の減価償却費は大きく増加しますが、購入した年での節税効果はほとんどありません。

(H.S)

※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

誰の扶養親族が得か

2007年4月5日

 子供が生まれたときに、誰の扶養親族にしますか。一般的には、家族の中で、一番収入の多い人の扶養にすることが多いと思いますが、必ずしも、それが得になるとは、限らないこともあります。


(1)扶養控除

 その年の12月31日現在で、所得金額が38万円以下の親族がいる場合には、所得税を計算する際、扶養控除の対象になり、その分、税金が安くなります。


(2)扶養控除額

 扶養控除の金額は、下記のとおりです。

・一般の扶養親族     38万円
・特定扶養親族      63万円
・老人扶養親族(同居以外)48万円
・同居老親等       58万円


(3)所得税の税率の違い

 所得税は、税率5%、10%、20%、23%、33%、40%までの6段階の累進課税となっています。収入が増えるにつれて、税率が上がっていく仕組みです。

 課税される所得金額が、150万円の場合、税率は、5%となりますので、所
得税は、次のとおりです。

 所得税額=150万円×5%=75,000円

 扶養親族(15歳以下)が1人増えると、課税される所得金額が38万円減りますから、所得税額は、次のように変わります。

 所得税額=(150万円-38万円)×5%=56,000円

 扶養親族が1人増えれば、扶養控除額に税率をかけた金額である19,000円だけ、負担する所得税が減少することになります。

 所得税の税率が20%の人の扶養親族にした場合には、38万円の20%が減少しますので、76,000円も所得税が減ることになります。

 このように、一般的には、税率の高い人、つまり収入の多い人の扶養親族にしたほうが、家族で負担する所得税が減少することになります。


(4)扶養控除が多い場合

 16歳から22歳までの特定扶養親族は、(2)のとおり、扶養控除額が、大きくなっています。この年代のお子さんが3人いると、控除額は、189万円となります。

 例えば、夫婦ともに給与収入が500万円である場合、3人のお子さんを、旦那さんの扶養親族とする場合が多いと思います。これを、旦那さんに2人、奥さんに1人と分けると、一家の所得税の負担が年間約2万円、減少することになります。

 扶養親族が複数いる場合には、振り分け方によって、所得税の負担が変わってきますので、いろいろと検討してみる必要がありますね。

 なお、健康保険の扶養親族を、全部ご主人に入れていても、所得税の計算は、別に行うことが可能です。

(M.H)

※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

輸入をした場合の消費税の取り扱い|仙台市の税理士・ひなた会計事務所

2007年4月5日



(1)消費税の課税

 海外から、商品や材料等を輸入した場合には、消費税が課税されます。

 輸入の場合には、国内の消費税と違って、事業者に限定されていませんので、事業を行っていない一般の人も、海外から商品を購入した場合等は、消費税を納める必要があります。

 また、この場合の輸入は、海外から物品を国内に持ち込むことをいいますので、海外旅行のお土産を買ってきた場合も、消費税法上の輸入となります。

 なお、税率は、国内での消費税と同じ5%(うち地方消費税1%)です。


(2)仕入税額控除

 輸入した商品等を、国内で販売、使用した場合には、輸入する際に税関に支払った消費税は、消費税の納税額を計算する際、納付する消費税から、控除することになります。

 控除する消費税は、税関に支払った消費税額です。必ずしも、輸入した商品代金の5%とはならないことに、注意してください。

 この控除を受けるためには、輸入した商品名や税額等を帳簿に記載し、かつ、輸入の許可があったことを証明する書類を保存しておく必要があります。


(3)経理処理

 輸入した商品等が、販売用であれば、次のような仕訳になります。

 (借方)仕入     ××  (貸方) 現預金  ××
    仮払消費税等 ××

 国内での商品仕入と仕訳は同じになりますね。ただし、記載する金額が違ってきます。

 「仕入」の金額は、商品等の本体価格に、関税、輸送料等を加算した金額になります。この金額は、消費税の計算には、基本的に関係のない金額になりますので、二重に控除してしまうことのないように、注意してください。

 「仮払消費税等」の金額は、税関に実際に支払った消費税の額です。輸入の手続きを、通関業者に委託している場合には、直接、税関に支払っていないので、気づかないかもしれませんが、請求書や支払明細書等に記載されている、「消費税等」や「消費税及び地方消費税」の金額になります。


(4)会計ソフトでの注意点

 会計ソフトを利用して、消費税の計算をしている場合には、ソフトの設定に注意が必要です。初期設定のままでは、輸入取引を行うことを前提としていない場合がありますので、その設定を変更してください。

 仕訳を入力する際には、「仕入」は、消費税の計算に関係ありませんから、「対象外」や「不課税」とします。ただし、日本国内での輸送料が判明している場合には、国内の輸送料は、消費税がかかりますので、別立てで「課税」としておく必要があります。

 「仮払消費税等」は、「輸入」や「輸入取引」のように、国内で負担した消費税とは、区別したほうがいいでしょう。

(注)会計ソフトによって、設定方法が違いますので、必ず、説明書等で確認してください。

 

(M.H)


※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

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青色専従者給与

2007年3月5日

(1)青色専従者給与とは

 所得税では、同一生計の親族に支払った給料は、経費として認められていません。しかし、1年を通じて、6ヶ月以上、事業に従事している場合には、届出をすることにより、支払った給与を、経費として計上することができます。

 なお、経費に算入するためには、青色申告である必要があります。


(2)青色事業専従者の要件

 青色事業専従者になれるのは、次に該当する場合です。

・同一生計の親族であること

 青色申告をする人と、生計を一にする必要があります。逆に生計が別であれば、労働の対価として適正な給料という条件がつきますが、経費計上は、特段、問題ありません。なお、親族は、6親等以内の血族と3親等以内の姻族をいいます。

・その年の12月31日現在、15歳以上であること

 年の途中で死亡した場合には、死亡当時の年齢で判定します。

・1年間を通じて、6月以上、その事業に従事すること

 学生は、原則として、青色事業専従者になれません。また、他に職業を持っている場合には、その職業が短時間で、事業に従事することに支障が無いことが条件になります。


(3)青色専従者給与の届出

 青色専従者給与を支給する場合には、その年の3月15日までに、青色専従者給与に関する届出書を提出する必要があります。届出書には、青色事業専従者の氏名、その職務の内容、給与・賞与の金額、給与・賞与の支給期、昇給の基準などを記載します。

 年の途中から事業を開始した場合には、事業開始から、2ヶ月以内に届出をすることになります。また、年の途中から新たに、専従者とすることになったときは、その日から2ヶ月以内に、届出書を提出します。

 支給する給与を変更する場合には、変更届出書を、提出することになっています。できるだけ、変更後に給与を最初に支給する日までに、提出するようにしましょう。

 最初の届出の際に、昇給の基準をきちんと記載しておけば、その範囲内で、給与の金額に増額があっても、変更届は、提出する必要はありません。「おおむね10~20%程度」などと、記載しておくとよいでしょう。


(4)支給額の帳簿記載

 青色専従者給与を支給した場合には、きちんと帳簿に記載するようにしてください。帳簿に記載された支給額が、届出額より少なかった場合には、経費に計上できるのは、支給額として、帳簿に記載した金額になります。

 経費計上額が、予定より少なくなってしまうことになります。身内ですとルーズになりがちですが、身内こそ、きちんとした処理が必要です。

(M.H)

※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

株式投資の確定申告の損得

2007年3月5日

(1)特定口座制度

 株式投資をする際に、証券会社に口座を開設する必要があります。開設する口座は、特定口座か一般口座を選択することになります。

 特定口座の場合は、売買をした際の損益の計算は、証券会社が行ってくれ、年1回、1年間の取引状況を年間取引報告書として、発行してくれます。さらに、源泉徴収ありを選択すると、1年間の損益を通算した金額の10%(所得税7%、住民税3%)の税金を、その口座から天引きすることになります。

 一般口座の場合は、損益の計算は自分で行い、その計算に基づき、所得税の確定申告を行うことになります。


(2)特定口座の申告不要制度

 特定口座の源泉徴収ありを選択した場合には、所得税の確定申告をする義務はありません。既に税金が天引きされているため、さらなる確定申告は、省略となっています。

 ただし、特定口座でも、源泉徴収なしの場合には、確定申告をする必要があります。

 詳しくは、こちらをご参照ください。
 https://www.hinatax.jp/article/13127593.html


(3)専業主婦や学生の確定申告

 最近は、専業主婦や学生等の、他に収入が無い方が、株式投資で稼いでる場合があります。源泉徴収ありの特定口座を選択していれば、確定申告をする必要はないのですが、一手間をかけて、申告をすると、ちょっとお得になる場合があります。

 証券会社の特定口座の場合には、社会保険料や扶養控除等の各種控除は、全く考慮されずに、税金が天引きされます。他に収入がない場合には、これらの控除を受けることなく、納税が完了しますが、確定申告をすれば、これらの控除を受けることができます。誰でも、基礎控除といって、38万円の控除が、最低限認められていますので、申告をすることによって、数万円の還付を受けることができます。

 ただ、収入が無い方は、他の親族の扶養家族になっている場合が多いと思います。株式投資の売却益が38万円以上の方が、確定申告をしますと、扶養家族から外れることになります。本人は、税金が還付されて得をした気分になりますが、旦那さんや親御さんが、扶養家族が減ったことにより、税金が増えることになります。一家としてどちらが得になるか、いろいろとシミュレーションしてみる必要があります。


(4)証券会社が複数の場合

 複数の証券会社に口座を持っている場合も、確定申告をすると得になることがあります。特定口座は、各証券会社に1つ開設することができます。証券会社ごとに、株式投資の損益を通算して、税金が天引きされます。証券会社同士での連携は行われません。

 全ての証券会社の特定口座が黒字であれば、それぞれの証券会社の売却益に対して、税金が天引きされます。赤字の特定口座があれば、その特定口座からは、税金は天引きされません。

 赤字の特定口座があれば、確定申告をすることによって、黒字の特定口座と相殺することが可能になります。全特定口座を通算した結果、黒字よりも赤字のほうが大きい場合には、相殺しきれなかった赤字は、翌年以降3年間の株式投資の黒字と相殺することができます。

 赤字を繰り越す場合には、翌年以後も申告が必要になります。翌年以降、扶養家族になるかどうかは、繰り越しした赤字と相殺する前の黒字額で判定することになりますので、こちらも、慎重に判断する必要があります。


(5)住民税の納付

 確定申告書には、給与以外の分の住民税の納付方法について、選択をする箇所があります。サラリーマンの場合、通常、給料を受け取る際に、会社から住民税が天引きされると思います。

 そのまま確定申告をしますと、給与以外の分の住民税も、会社へ通知が行き、合わせて給与から天引きされることになります。通知が行くわけですから、株式投資でいくら稼いだかが、会社の経理担当者にバレてしまうんですね。

 これを避けるためには、確定申告書第2表の右下に、「住民税・事業税に関する事項」欄がありますので、そこの「自分で納付(普通徴収)」に、チェックを入れるようにしてください。そうしますと、給与以外の分の住民税は、自宅に送られることになりますので、会社にバレずにすみます。

(M.H)

※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

メール送信で印紙税の節約

2007年2月6日

(1)印紙税とは

 契約書や領収証等、法律で定められた文書を作成した場合には、記載内容や記載金額に応じて、所定の金額の収入印紙を文書に貼付し、消印をすることになっています。

 例えば、工事請負契約書の場合には、契約金額によって、次のように定められています。

記載された契約金額が
1万円未満           非課税
100万円以下         200円
100万円を超え200万円以下 400円
200万円を超え300万円以下  1千円
300万円を超え500万円以下  2千円
500万円を超え1千万円以下   1万円
                     (以下省略)


(2)電子メール等による送信

 業種によっては、発注元から注文書が送付され、それに対する注文請書を交付する場合があります。この注文請書は、押印がなくても、一般的に、契約書とみなされ、印紙税の対象になります。

 押印が必要ない文書であれば、同じ内容を電子メールで送信することも可能になります。この場合には、電子メールは、文書ではないため、印紙税の課税対象から外れることになります。

 受信側が、念のため受信したメールを印刷して保管していた場合でも、受信側にとっては、コピーと同種のものであるため、印紙税はかかりませんが、送信側が、印刷して相手先に届けた場合には、文書を交付しているので、印紙税がかかることになります。

 送信側で、社内用として保存している場合には、相手に文書を交付していないということで、印紙税はかかりません。

 FAXで送信した場合も、受信側では、紙で出力することになりますが、これも、コピーと同様の扱いということで、印紙税はかかりません。送信用の原本も、相手に交付せず、社内で保存する場合には、印紙税の対象外です。

 印紙税の負担が大きい場合は、節約の手段として、検討されてみてはいかがでしょうか。

(M.H)

※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

不納付加算税の改正

2007年2月6日

 源泉所得税の不納付加算税の取り扱いについて、法定納期限内に納める意志があった場合の救済制度が創設されたことに伴い、その取り扱いが、国税庁から公表されました。


(1)不納付加算税

 給料等から天引きした所得税は、給料支給日の翌月10日までに、税務署へ納付することになっています。従業員等が10人未満の会社の場合には、半年分をまとめて納付する特例が認められています。特例の納期限は、1月から6月支給分までの給与については、7月10日、7月から12月支給分までの給与については、1月20日(又は1月10日)となっています。

 法定の納期限までに源泉所得税を納付しなかった場合には、納付しなければならない金額の5%の不納付加算税がかかることになります。未納に自分で気づいて納付した場合には、5%で済みますが、後日、税務署から税額の通知を受けて納付した場合には、10%の不納付加算税となります。

 なお、計算した不納付加算税の金額が、5,000円未満であれば、加算税は、免除されます。

例1
 不納付加算税=源泉税500,000円×5%=25,000円

例2
 不納付加算税=源泉税70,000円×5%=3,500円→5,000円未満のため免除


(2)毎月納付と納期特例

 源泉所得税を半年に1回納める納期特例を採用している場合には、年に2回だけの手続で済み、事務コストが少ないというメリットがあります。

 そのかわり、半年分をまとめて納付するため、1回の納税額が大きくなります。資金繰りに気をつけなければいけないということもありますが、上記の不納付加算税についても、金額が少なければ、不納付加算税が免除になる可能性もあります。


(3)不納付加算税の免除

 源泉所得税を、法定納期限から1ヶ月以内に納付した場合には、不納付加算税は、免除されます。ただし、過去1年間に、期限後納付があった場合には、免除は受けられなくなります。

 例えば、7月10日が納期限の場合、8月9日までに納付する必要があります。そして、前年の6月30日以降に納期限が到来する源泉所得税について、期限後納付がない場合に、不納付加算税が免除されます。1年1回程度の期限後納付であれば、加算税がかからないよう、救済の余地が出てくることになります。

(M.H)

※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

現金残高がマイナスに

2007年1月5日

(1)現金出納帳の様式

 現金出納帳の最低限必要な様式は、次になります。

┌──┬──┬──┬──┬──┬──┐
│日付│科目│摘要│入金│出金│残高│
├──┼──┼──┼──┼──┼──┤
│ │ │ │ │ │ │
├──┼──┼──┼──┼──┼──┤

 摘要欄には、入出金の相手先名とその内容を記載することになります。
 
 現金出納帳を記載したら、手元の実際の現金残高と現金出納帳の残高が合っていれば、その日の作業は終了ということになります。合わなければ、記載漏れや誤記入ということですので、その原因を追及し、修正することになります。


(2)残高がマイナスになる場合

 入金と全ての支払いを記帳したにもかかわらず、現金出納帳の残高がマイナスになってしまった。こんな経験はありませんか。もちろん、この状態では、実際の現金有り高と、一致しませんね。

 この原因として、一番多いのは、入金の記帳漏れです。ちょっとした支払いの時に、金庫から現金を出さずに、社長や経理担当者の財布から、支払いをすることがあったのではないでしょうか。ちょっと立て替えのつもりが、そのことをすっかり忘れてしまい、帳簿に記帳していないということが、よくあります。

 会社の立場からみれば、ちょっと立て替えというのは、入金があったことを意味します。立て替えた金額を、現金出納帳の入金欄に記入する必要があります。たとえ出金と同じ金額でも、面倒がらずに記帳するようにしましょう。

 また、支払いにお金が不足する時に、社長がポケットマネーから補充して、支払いをすることがあります。これも、会社からみれば、入金ということになります。社長が直接支払いをするような会社の場合には、この記帳漏れが起こりやすいですので、経理担当者に、きちんと伝えるようにしてください。


(3)勘定科目

 一週間や一月程度の、一時的に立て替えた時の勘定科目は、「仮受金」がいいでしょう。

 金額がまとまっていて、清算の目処が立っていない時は、「短期借入金」や「長期借入金」を使うことになります。短期と長期の違いは、返済期限が1年以内かどうかで、区別します。

 社長や会社の役員が立て替えた場合には、銀行融資などと区別するために、「役員借入金」や「社長借入金」を使用するのもいいでしょう。

(M.H)

※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

年末調整のやり直し

2007年1月5日

(1)年末調整の時期

 年末調整は、原則として、その年の最後の給与を支払う時に、行うことになっています。税金上の取り扱いは、ボーナスや賞与も「給与」になりますので、毎月の給料の後に、ボーナスの支給がある場合には、ボーナス支給時に年末調整をすることになります。


(2)年末調整のやり直し

 年末調整を受けるための扶養控除等(異動)申告書や保険料控除申告書兼配偶者特別控除申告書は、年末調整を受ける前に、会社に提出しなければなりません。会社によっては、11月中に提出を求められます。

 本来、年末調整は、12月31日現在の状況により行うことになるのですが、どうしても、会社の事務手続き上、早めに提出する必要が出てきます。年末調整のための申告書を提出した後に、出産や結婚等によって、扶養親族に変動があった場合などは、そのことを会社に申し出て、再度、年末調整をしてもらう必要があります。

 この年末調整のやり直しができるのは、翌年の1月31日までとなっています。


(3)扶養親族等の増減

 年末調整後12月31日までの間に、出産や結婚等により扶養親族が増加した場合には、年末調整をやり直します。

 結婚の場合には、配偶者の給与収入が、年間103万円以下である必要があります。結婚後に職場を退職した場合でも、その年の1月から結婚までの間の収入が103万円超あれば、扶養親族(配偶者控除対象者)にはなれませんので、注意してください。結婚後、引き続き無職であれば、翌年から、扶養となります。

 また、子供が結婚により、結婚相手の扶養となった場合には、自身の扶養からは、外れることになります。


(4)配偶者の収入見積額が変動した場合

 配偶者が扶養になるかどうかは、年末調整のタイミングにより、どうしても、収入の見積額で行うことになります。当初は、103万円以内に抑えるつもりだったのが、実際に支給されてみると、超えてしまっていたということがあり得ます。

 その様な場合には、年末調整のやり直しが必要になります。扶養から外れますので、差額を会社に支払う必要が出てきます。

 見積額が103万円以下で、変動後も103万円以内に収まった場合には、扶養であることに変わりありませんので、年末調整をやり直す必要はありません。

 103万円を超える場合でも、141万円未満の場合には、扶養にはなりませんが、配偶者特別控除の対象になります。配偶者特別控除は、1,2万円のちょっとした違いでも、控除額が変わることになりますので、見積額と実際の支給額に変動があった場合には、年末調整のやり直しが必要になるか、会社に確認してみたほうがいいでしょう。


(5)年末調整後に保険料を支払った場合

 年末調整を受けた後に、生命保険料、損害保険料、健康保険料、国民年金保険料、小規模企業共済の掛金等を支払った場合には、年末調整をやり直すことにより、還付金が増える可能性があります。

 生命保険料や損害保険料については、控除額に上限がありますので、既に、上限に達している場合には、還付金は増えません。それ以外については、控除する所得税が残っていれば、還付金が増えることになりますので、年末調整のやり直しをお願いしましょう。

 ただ、短期の損害保険料控除は、控除額が少額なので、還付金が増えても200円なんてこともありますので、手間と金額を考えて手続きをしてください。


(6)住宅借入金等特別控除申告書の入手

 会社に銀行から送られてきた残高証明書だけを提出して、住宅ローン控除は受けられない方が、たまにいらっしゃいます。年末調整で住宅ローン控除を受けるためには、残高証明書の他に、税務署から送付される申告書が必要になります。

 申告書は、住宅ローン控除の確定申告をした年の夏頃に、税務署から、2年目以降の申告書をまとめて送られてきます。住宅を取得した年によっては、最大で14年分ということもあります。

 保管期間が長くなる上に、1年に1回のことなので、どうしても紛失される方がおります。申告書を紛失した場合には、再発行が可能ですので、税務署で手続きをすることになります。再発行が年末調整までに間に合わなかった時は、再発行後、年末調整のやり直しをしてもらい、還付金を受け取ることになります。


(7)1月31日に間に合わなかった場合

 年末調整のやり直しの期限は、翌年1月31日です。それまでに間に合わなかった場合には、確定申告で、還付を受けることになります。手続きをしないと、住民税にも影響しますので、忘れずに確定申告をしましょう。

 ただし、追加納付となる場合には、1月31日の期限に関係なく、年末調整をやり直すことになります。そのまま手続きを怠りますと、10月頃に、税務署から会社宛に、追加納付を指摘されることがあります。

(M.H)

※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

所得税額控除

2006年12月5日

(1)法人税額控除

 会社でも、個人と同じように、所得税がかかることがあります。例えば、預貯金の利息を受け取ったときは、利息に対して、15%の所得税と5%の住民税が課税されます。

 会社名義の預貯金でも、個人名義の預貯金でも、同じように課税され、税金を控除した分が、通帳に入金されます。

 個人の場合には、控除されたまま、納税手続は、完了します。しかし、会社の場合には、あくまでも、利益に税率をかけて、法人税を計算することになっています。

 受取利息も会社の収益ですから、利益の一部になります。利息に税率をかけた金額が、利息に対する税金ということになるのですが、利息を受け取るときに、既に、税金は、課税されています。

 結果として、二重に税金を払っていることになりますので、利息の受取時に課税された15%の所得税は、法人税の前払いとして、法人税の計算から、控除することになっています。

 例えば、1,000円の利息を受け取った場合、1,000円×15%=150円の所得税が控除されます。法人税は、1,000円×30%=300円の納税になりますが、既に、150円の所得税という、同じ国税が既に控除されていますので、本来納めるべき法人税300円から、所得税150円を引いた、150円を税務署に納付することになります。

 住民税分の5%については、同じ住民税である法人都道府県民税の納税額から、控除することになります。


(2)対象となる所得税

 次に掲げる利子等、配当等、給付補てん金、利息、利益、差益、利益の分配又は賞金に対する所得税が、法人税から控除する対象となります。

・公社債及び預貯金の利子や公社債投資信託等の収益の分配
・法人から受ける利益の配当、常勤の分配等
・みなし配当
・定期積金にかかる給付補てん金
・その他


(3)税率

 控除される税金は、利息は、所得税15%、住民税5%の計20%ですが、上場企業の配当は、所得税7%、住民税3%の計10%となっています。

 このように、課税対象の違いによって、税率も変わってきます。投資対象の銘柄によっては、会社で投資するよりも、個人のほうが有利な場合もあります。

(M.H)

※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

国庫補助金等の圧縮記帳

2006年12月5日

(1)国庫補助金等を受け取った場合

 国から補助金をもらった場合、会社は、その分儲かったわけですから、通常、もらった補助金に対して、法人税がかかります。

 国の収入というのは、基本的に税金です。ということは、補助金は、税金から出ていることになります。税金から支出された補助金に、法人税という税金を課税するのは、結局、補助金を支給しても、国に戻ることになってしまいます。

 このため、補助金を受け取った場合には、その補助金を税金を気にしないで、有効に活用してもらえるように、法人税の負担を軽減する制度が設けられています。この制度を、圧縮記帳といいます。


(2)対象となる補助金

 圧縮記帳の対象になるのは、次の機関が交付する補助金、交付金、助成金、給付金で、一定のものになります。

・国又は地方公共団体
・独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構
・独立行政法人雇用・能力開発機構
・独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
・独立行政法人空港周辺整備機構又は成田国際空港株式会社
・独立行政法人農畜産業振興機構
・独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構
・社会保険診療報酬支払基金
・指定周波数変更対策機関
・日本たばこ産業株式会社


(3)固定資産取得要件

 補助金等の使途は、固定資産の取得や改良に充てなければいけません。補助金等の支給対象が、人件費の補填のように、経費のための支出の時は、圧縮記帳の対象になりません。

 補助金等をもらっても、そのまま、経費の支出になれば、収入=経費で、利益は、ゼロになりますね。法人税の負担を軽減するという圧縮記帳の手続は、必要なくなります。


(4)圧縮記帳の経理方法

 国庫補助金等を1億円もらい、その1億円で、新たに工場を建設した場合には、次の3つの方法により、経費を計上することができます。これらの方法により、収入=経費となり、補助金等に税金がかからないことになります。

 中小企業にとっては、最初の直接減額する方法が、処理上の手間が少なく、いいと思います。

・直接減額する方法

 (借方)固定資産圧縮損 1億  (貸方)建物 1億

 正確には、1円の備忘価額を残す必要があります。

・積立金方式

 (借方)固定資産圧縮積立金積立額 1億  (貸方)建物圧縮積立金 1億

 借方に、圧縮積立金積立額という、経費を計上します。直接減額する方法ですと、建物金額が、決算書から無くなってしまいますが、積立金方式ですと、決算書にも、実際に存在する建物の金額が、残ることになります。

・剰余金方式

 (借方)利益剰余金 1億  (貸方)建物圧縮積立金 1億

 決算承認の株主総会で、処理します。申告上は、承認する決算期の申告に反映されますので、申告書上で、調整する必要があります。


(5)その他

 補助金等によっては、返還条件がついている場合があります。圧縮記帳の条件として、補助金等の返還不要が確定する必要がありますので、条件付の場合には、返還不要が確定する前に決算期を迎えた場合には、返還不要として、経費計上することになります。

 そのまま、返還不要が確定すれば問題ありませんが、万が一、返還となった倍には、差額の法人税を、追加納付することになります。

 また、補助金等は、支給した金額に対して助成する場合が多くあります。支出した金額の領収証が、申請書類の添付書類となっていたりします。先に支出してから、補助金等をもらうことになりますので、資金繰りには、十分に注意する必要があります。

(M.H)


※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

社長の自宅を社宅にしたら

2006年11月7日

(1)家賃の徴収

 会社所有の建物を、社長へ社宅として貸し付けた場合には、会社は、一定額
の家賃を、社長から徴収する必要があります。

 家賃を徴収しないで無料で貸した場合には、家賃相当分の給与支給があった
とみなされ、社長に対して、所得税が課税されることになります。

 徴収すべき家賃の半額より低い金額で貸した場合には、実際に徴収した金額
と徴収すべき金額との差額が、給与とみなされ、所得税が課税されます。


(2)徴収すべき家賃の金額(小規模住宅)

 建物の床面積が、132平方メートル(マンション等の場合は、99平方メート
ル)以下である場合には、次の3つの金額の合計額が、社長から徴収すべき1
ヶ月分の家賃となります。

・(その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×0.2%
・12円×(その建物の総床面積(平方メートル)/3.3平方メートル)
・(その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×0.22%


(3)徴収すべき家賃の金額(小規模住宅以外)

 建物の床面積が、上記の132平方メートルを超える場合には、次の2つの
金額の合計額を12で割った金額が、社長から徴収すべき1ヶ月分の家賃とな
ります。

・その年度の建物の固定資産税の課税標準額×12%(マンション等の場合は、
10%)
・その年度の敷地の固定資産税の課税標準額×6%


(4)社長の自宅を社長個人で購入した場合

 一般的に、自宅といえば、そこに住む本人が購入するのが普通ですよね。そ
の場合、事業には関係ありませんから、購入費用に関しては、一切会社の経費
になりません。自己資金が足りなくて、ローンを組んでも、その返済は、社長
が会社から役員報酬としてもらった給料の中から支払うことになります。


(5)社長の自宅を会社で購入すると

 社長の自宅を会社が購入して、それを社長に貸すわけですから、会社は、不
動産賃貸業という事業を営むことになります。事業のためにかかった、不動産
の購入費用、ローンの金利、固定資産税等は、会社の経費になります。

 社長は、会社へ家賃を支払うことになりますが、上記(2)、(3)の方法で計算
してみると、徴収すべき家賃の金額は、通常、相場よりずっと安くなることが
多くなります。

 社宅にすると、少ない負担で住宅を取得することが可能になりますが、あく
までも不動産の名義は、会社ということになります。将来、社長を退任するこ
とになった場合には、会社へ、その住宅を返さなければいけなくなります。こ
れも、役員退職金規程を定めておけば、不動産を退職金代わりにすると、社長
を退任した後も、自分のものとして、住み続けることが可能になります。

(6)豪華な社宅

 建物の床面積が240平方メートルを超え、かつ、設備等が豪華になっている
社宅は、上記の計算式に関わらず、相場の家賃を徴収する必要があります。ま
た、床面積が240平方メートル以下であっても、プール等がついている場合に
は、豪華な社宅とされ、相場の家賃を徴収する必要があります。

(M.H)

※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

源泉所得税の納期の特例

2006年11月7日

(1)原則

 給与を支給した場合には、支給額に応じて、所得税を天引きする費用があり
ます。天引きした所得税は、毎月、翌月10日までに、納付しなければなりませ
ん。給料日が11月25日の場合には、翌月12月10日になります。また、給料計算
の締め日が、毎月末日で、支給日が翌月5日という場合には、支給日が12月5日
であれば、翌月1月10日が納期限となります。


(2)納期の特例

 給与の支給対象者が常時10人未満で、納期の特例の承認申請書を、税務署に
提出した場合には、毎月の納付から、半年に1回の納付に変更することができ
ます。1月から6月までに支給した給料の分については、7月10日までに、
7月から12月までに支給した給料の分については、1月1日までに、納付する
ことになります。

 申請書を提出した翌月分から、半年に1回の納付に変わりますので、提出し
た月の分までは、今まで通り、毎月納付となります。

 ただし、対象になるのは、給与の他には、賞与、退職金、そして税理士等の
報酬だけになります。外交員等の報酬や剰余金の分配をした場合の源泉徴収に
ついては、対象になりません。

 納付手続が、毎月から年2回に減少しますので、事務手続が楽になりますが、
半年分をまとめて納付することになるため、1回の納付額が高額になりますの
で、資金繰に注意する必要があります。


(3)納期の特例の特例

 1月10日納期限の源泉所得税については、年末調整等の事務も加わること
から、事務手続が煩雑になるため、納期限を、1月20日に延長することがで
きます。通常、上記(2)の納期の特例の承認申請書と同一の用紙になっていま
すので、納期の特例を選択すれば、自動的に、1月の納期限は、1月20日に
延長されることになります。

 ただし、滞納がある場合には、延長されませんし、また、1月20日までに
納税がなかった場合には、延滞税の計算は、1月10日より行われることにな
ります。


(4)納期の特例をやめる場合

 給与の支給対象者が、常時10人以上となった場合や、納期の特例をやめて、
毎月納付に変更したいと思った場合には、納期の特例の要件に該当しなくなっ
たことの届出書を提出することになります。

 提出した月の翌月から、毎月納付に変わります。提出した月の分までは、納
期の特例の対象ですが、納期限は、提出した月の翌月10日になりますので、
注意してください。

(M.H)

※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

建設仮勘定

2006年10月10日

(1)建設仮勘定の経理

 建物を新築するときに、完成前に、建築代金の一部を支払った場合には、
「建設仮勘定」という勘定科目を使用し、有形固定資産として計上します。

 建物が完成し、引き渡しを受けた時点で、それまで建設仮勘定に計上してい
た金額を、「建物」へ振り替えることになります。


(2)法人税、所得税の取り扱い

 建物の引き渡しを受けて、使用を開始した場合には、決算の時に減価償却費
を計算して、経費に計上します。減価償却費の計算は、次のようになります
(定額法)。

減価償却費=取得価額×0.9×償却率×使用開始日から決算日までの月数÷12
 
 償却率は、建物の構造、使用目的に応じて、減価償却資産の耐用年数等に関
する省令で定められています。

(3)消費税の取り扱い

 建物の代金として支払った消費税は、納付すべき消費税を計算する際、改正
引き渡しを受けた時点で、納付すべき消費税から控除します。法人税、所得税
では、使用を開始してから減価償却を開始しますが、消費税では、引き渡し時
点で、控除されることになります。引き渡しと使用開始の間に、決算を挟んだ
場合には、法人税等と消費税では、控除のタイミングがずれることになります。

 建築が完了する前に、一部分について、引き渡しが行われたことが明らかな
場合には、引き渡しが行われた部分だけを、先に、納付すべき消費税から控除
することもできます。

(M.H)

※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

領収証のもらえない経費

2006年10月10日

(1)車代

 新商品の発表会等に、招待した得意先にお車代を渡すことがあると思います。
このような場合って、領収証がもらえませんが、領収証が無くとも、経費とし
て認められます。

 車代を支払ったときに、相手先に領収証を請求するということは、普通行い
ません。このように、社会一般で領収証のやりとりを行わない支出については、
領収証が無くとも、経費算入が認められています。

 領収証がない場合には、社内の記録として、支払先の名称や支払額が、わか
るようにしておく必要があります。車代の支払先が2,3件であれば、出金伝
票や現金出納帳への直接の記載でかまいません。支払先の件数が多い場合には、
一覧表にして保管しておくようにしましょう。

 また、支払額についても注意する必要があります。具体的にいくらまでの支
出なら、経費として認められるという規定はありませんが、あくまでも、実費
弁償としての支払ですから、通常の交通手段で、負担するであろう金額の範囲
内で、支払うようにしましょう。会場まで、タクシーで往復3,000円ぐらいか
かるというような場合に、車代を10,000円支給した場合には、差額が、法人税
の対象になる可能性があります。


(2)慶弔費

 一般的に、領収証のやりとりをしないものとして慶弔費があります。慶弔費
ついては、招待状や御礼状が、一つの証明手段になりますので、保存しておく
ようにしましょう。


(3)その他の取引

 商品の売買等で、先方にいくら依頼しても、領収証を発行してもらえない場
合には、支払通知書を作成しましょう。強く依頼すると、今後の取引に影響を
及ぼす可能性もありますから、こちらから、相手先の住所、名称、日付、支払
金額、支払内容を記載した、支払通知書を作成し、相手に渡して、受け取って
もらうようにしましょう。控えを保存しておけば、きちんとした証憑書類とな
ります。

(M.H)

※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。

通勤手当いろいろ

2006年9月6日

 通勤手当は、通勤手段と通勤距離によって、所得税の非課税枠が定められています。1ヶ月分の通勤手当が、非課税枠の範囲内であれば、従業員に通勤手当を支給しても、所得税は、かからないことになります。

 非課税枠については、国税庁のHPをご参照ください。


(1)2km未満の障害者がマイカーで通勤する場合

 通勤距離が2km未満の者が、マイカーで通勤した場合には、非課税枠は0円ですから、通勤手当を支給した場合には、全額、所得税の対象になります。

 しかし、障害等の理由により、公共交通機関での通勤が無理な場合には、マイカー通勤にかかるガソリン代等の実費相当額であれば、所得税はかかりません。


(2)複数の勤務場所がある場合

 1ヶ月の間に、月の前半は、本社勤務、月の後半は、工場勤務というように、複数の事業所に勤務している場合には、通勤日数に応じたそれぞれの合計額で、非課税枠を判定することになります。

 例えば、本社への通勤距離が10km、工場への通勤距離が15kmで、どちらもマイカーで通勤しているとします。10kmの非課税枠が6,500円、15kmの非課税枠が11,300円ですから、6,500円÷2+11,300円÷2=8,900円が、1ヶ月間の非課税枠となります。

 ただし、どのような場合でも、1ヶ月間の上限は、10万円となっていますので、非課税になるのは、10万円以下の場合になります。


(3)月の途中で通勤距離が変更になった場合

 月の途中で、引越や転勤等で、通勤距離が変更になった場合には、会社の規程に従うことになります。

 会社の通勤手当の支給規程が、通勤日数による按分計算となっている場合には、按分した金額が、非課税枠とになります。給料計算の締め日現在で、判断することになっている場合には、その締め日現在の通勤距離で、非課税枠を判定します。

 いずれか長い方の通勤距離で、通勤手当を支給することになっている場合には、その長い方の距離で、非課税枠を判定することになります。このような会社であれば、引越日によっては、ちょっとした所得税の節税をすることができますね。


(4)アルバイトの非課税枠

 週3日勤務などのアルバイトやパートの場合には、通勤手当の非課税枠は、出勤日数に関係なく、1ヶ月間の金額で、非課税枠を判定します。非課税枠は、1ヶ月単位で定めてありますので、たとえ勤務日数が少なくとも、日割りする必要はなく、月額で、判定することになります。


(5)緊急業務のためのタクシー代

 夜間に、緊急業務の必要があり、やむを得ずタクシーで出勤した場合には、そのタクシー代は、普段の通勤方法にかかわらず、所得税の対象になりません。


(M.H)


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代表者 日向雅之

ひなた税理士法人
株式会社ひなた会計事務所

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