2008.3.5
(1)減価償却方法の選択
建物(平成10年4月1日以後取得の建物を除く。)、建物附属設備、車両運搬具、工具器具備品、機械装置等の有形固定資産は、減価償却の方法を、定額法か定率法のどちらかを選択することになります。
新たに法人を設立した場合等は、定額法又は定率法のどちらを選択するか、第1期の申告期限までに、届出をする必要があります。もし届出をしなかった場合には、定率法を選択したものとみなされます。これを法定償却方法といいます。
個人事業者の場合も、開業初年度の確定申告期限までに選択することになりますが、届出をしなかった場合には、法人と違い、法定償却方法は定額法になります。
(2)減価償却方法の変更
一度選択した償却方法を変更したい場合には、変更したい決算期の前期末までに、変更の承認申請書を提出する必要があります。変更したい決算期末までに、税務署から何の通知もなければ、変更が承認されたことになります。
ただし、前回の選択又は変更から3年経過してない場合には、特別な理由がない限り、変更の承認申請は、却下されることになります。
(3)19年度税制改正による措置
平成19年度税制改正で、減価償却方法が改正されました。
https://www.hinatax.jp/article/13186989.html 税制改正初年度の平成19年4月1日以後に最初に終了する決算期(例:20年3月期決算)については、減価償却方法の変更に特例が設けられています。
本来は、前期末までに承認申請となっていますが、改正初年度は、変更したい決算期の申告期限までに、変更承認申請を提出すればよくなっており、申請すれば、そのまま承認されることになっています。20年3月期決算の場合には、20年5月までに提出すればいいわけです。
従来の定率法を採用している場合、減価償却の改正で、減価償却額が大幅に増加しました。このため、設備投資初年度に、より節税効果を得られるようになっています。
逆に思わぬ経費の増加により、計画していた利益が計上できないということも出てきます。その場合には、定額法への変更も検討する必要が出てきます。
なお、変更等の手続きを行わなかった場合には、従来の償却方法を継続して選定したものとみなされます。
(4)変更と選定
全ての資産を、法定償却方法から別の減価償却方法に変更したい場合には、変更承認申請の他に、選択の届出も行う必要があります。
税制改正が実施された平成19年4月1日前後では、減価償却方法の選択は、別々に行うことになっています。ですから、平成19年3月31日以前取得の資産は、法定償却方法からの変更承認申請、平成19年4月1日以後取得の資産は、新たに償却方法の選択届を行います。
平成19年4月1日以後取得資産の選択届を行わなかった場合には、改正日を境に、2つの償却方法で計算する必要が出てきますので、注意が必要です。