相続税の改正|仙台市の税理士・ひなた会計事務所
2014.9.5
(1)相続税の基礎控除
人が亡くなった場合に、相続税の申告が必要かどうかの基準となる金額を、基礎控除額といいます。
遺産の総額が、基礎控除額を超える場合に、相続税の申告が必要になります。
この基礎控除額は、2015年1月1日以降に亡くなった場合には、下記の計算式で計算します。
基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の人数
例えば、夫婦と子供2人の4人家族で、父親が亡くなった場合には、法定相続人は、母親と子供2人の合計3人となりますから、次の金額となります。
基礎控除額=3,000万円+600万円×3人=4,800万円
父親の遺産の総額が4,800万円を超える場合には、相続税の申告が必要になるわけです。
(2)2014年以前の基礎控除額
2014年以前に亡くなった場合の基礎控除額は、下記の計算式です。
基礎控除額=5,000万円+1,000万円×法定相続人の人数
2015年以降は、基礎控除額が2014年以前の60%になっています。
これによって、相続税が増える人が多くなります。
さらに、今まで相続税が関係なかった財産規模の人も、相続税がかかるようになります。
(3)相続税額の増加額
ではいったい相続税は、いくら増えるのでしょうか。
法定相続人が配偶者と子供2人で、法定相続分どおりに遺産相続をした場合で、考えてみます。
例えば、遺産総額が8,000万円の場合には、2014年以前の相続税はゼロだったのが、2015年以降は140万円となります。
遺産総額5,000万円でも、相続税はゼロから10万円となります。
今まで相続税の申告も必要がなかったのに、税務署に申告をしなければならないとなると、かなりの心理的負担が想像されますね。
また、遺産総額が10億円の場合ですと、2014年以前の相続税は1億6,650万円だったのが、2015年以降は1億7,810万円と、1,160万円増えることになります。
税金が1,000万円以上増えると聞くと、すごい増税のように感じますね。
そこで相続税を少しでも減らそうと、アパートを建築したり、生命保険に加入したりと、さまざまな対策を検討することになります。
でもその対策をする前に、ご自身の財産内容を、きちんと把握してください。
極端すぎますが、遺産10億円が、もし全て現金だったら、どうでしょうか。
増税があってもなくても、相続税の納税後に、8億円以上の現金が残ることに変わりはないですね。
これをどう捉えるかは、人それぞれの感覚なので何ともいませんが、目先の減税だけにとらわれないようにご注意ください。
相続税が減ったのはいいけど、アパートが空室だらけだったり、保険を解約したら目減りしたりしないでしょうか。
対策が原因で、遺族同士が争う、いわゆる「争族」になる可能性もあります。
相続税対策をする前に、もう一度よく考えてくださいね。
(M.H)
※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。