2023年5月2日
(1)新設法人は原則2年間消費税免除
会社を新たに設立した場合、設立第1期と第2期は、消費税の納税は原則不要です。
これは、消費税の申告が必要かどうかの判断を、2期前の売上が1,000万円を超えるかどうかで判断されるためです。
2期前の消費税対象の売上が1,000万円を越えていると、その決算期は消費税を納めなければいけません。
新設法人の場合は会社が存在してませんから、2期前の売上ないため、消費税を納める義務がないのです。
(2)インボイス開始で課税事業者に
2023年10月からインボイス制度が始まります。
もともと売上が1,000万円以下でずっと免税事業者でいたけども、取引の都合上、課税事業者にならなければいけないという個人事業者も多いことでしょう。
免税事業者で、インボイスを機に課税事業者になって、いきなり消費税の納税が始まるというのはちょっときついですよね。
そんな事業者のために、消費税の納税額を売上でお客様からいただいた消費税のうち、2割だけ納税すれば良いという特例があるんです。
10%の消費税をもらっているのであれば2%分だけ、食品等の軽減税率の対象であれば、1.6%分だけ納税すれば良いのです。
もちろん他の方法で計算すると消費税が減るという場合は、他の方法で計算することも可能です。
2割特例を利用するための事前の届出は不要です。
申告書を作成する際に有利な方法を採用するだけです。
なお、この特例は2026年までの制度になります。
(3)法人成りでも2割特例
売上が1,000万円を越えているから、はじめから消費税を納めていますという個人事業者の方は、法人成りを検討してみてください。
既に消費税を納税している個人事業者は、2割特例は使えません。
しかし、株式会社等を新たに設立して法人成りすれば、2割特例を適用できるのです。
確かにインボイス開始前であれば、最長2年間の消費税免除期間をとました。
納税額ゼロと2割納税では、お得感は減るかもしれません。
それでも業種によっては、納税額が売上対する消費税相当分の半分以上になる場合もあります。
納税のシミュレーションを行えば、2年間の消費税の減税額がわかると思います。
ただし、法人成りによる負担増にも注意してくださいね。
法人の場合には、赤字でも最低年約7万円の地方税がかかります。
社会保険の加入が義務ですので、社長1人の会社であっても社会保険料の負担が増加します。
もちろん法人設立の登記費用もかかります。
様々な面から、インボイス制度をきっかけに法人成りを検討してみてください。
(M.H)
※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。