2023年4月20日
(1)事業承継税制で相続税免除
会社の社長が代替わりで交代した場合に、一緒に社長の持ち株も生前贈与をすると、贈与税の納税が猶予される場合があります。
先代社長が60歳以上であるとか様々な要件をクリアすると、本来納税すべき贈与税を当分納めなくて良いことになります。
将来先代社長が亡くなった場合に、後継社長が経営を続けているとかのこちらも様々な要件をクリアすると、納税が猶予されていた贈与税が免除されます。
その後贈与税から相続税の納税猶予に変わりますが、相続税も要件を満たすことで免除となります。
(2)承継計画提出期限は2024年3月
事業承継税制を使って納税猶予・免除になるために最初にやらなければいけないのは、特例承継計画を策定し、それを都道府県に提出することです。
計画書自体はそれほど難しいものではありません。
後継社長が、会社を引き継いだ直後の5年間、どのように会社を導いていきたいか、その思いを綴ってもらえば十分です。
顧問税理士等の認定支援機関のチェックが必要ですから、計画の内容について、都道府県の確認を受けられるか見直してもらうと良いでしょう。
注意しなければいけないのは、この承継計画の提出確認期限が2024年3月31日であることです。
この期限を過ぎると、事業承継税制は使えなくなってしまいます。
都道府県の担当者の確認が必要ですから、提出は余裕を持って行うようにしましょう。
(3)後継者は3年間の役員経験
事業承継税制は2027年12月までに、代替わりをして生前贈与を行わなければなりません。
社長が引退を考えているのであれば、今から準備を始めないと間に合わなくなるかもしれません。
その1番の理由が、後継者長には3年間の役員経験が必要だということです。
経験といっても、実際に役員としての業務を行う必要はありません。
取締役として登記してあれば十分です。
役員報酬ゼロの無報酬でかまいません。
もしちょっとでも代替わりを考えているのであれば、すぐにでも後継候補者を取締役にしましょう。
実際には、猶予税額をシミュレーションすると、税額が意外に少ないことが多いです。
税額が少ないから承継計画を提出しなかったり、役員への就任をしなかったりすると、後からやっぱり事業承継税制を使いたいと思っても使えなくなります。
繰り返しになりますが、ちょっとでも可能性があるなら、承継計画の提出はしておきましょう。
くれぐれも税制優遇のために、必要のない事業承継はしないように。
(4) 相続の時期は選べません
生前贈与の時期は選べますが、相続の時期は選べません。
今は健康だから問題ないと思っていても、万が一2027年12月までに亡くなる可能性というのは誰にでもあります。
人間には、死は必ず来るわけですから。
2024年3月までに承継計画さえ提出してあれば、事業承継税制を適用できる可能性を残せます。
後悔しないためにも、とりあえず承継計画の提出をしておきましょう。
その際には、自社株だけでも良いので、後継者に相続させる旨の遺言書も作成しておきましょう。
(M.H)
※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。