特定口座を申告するデメリット|仙台市の税理士・ひなた会計事務所
2022年2月4日
(1)特定口座とは
源泉徴収ありの特定口座とは、個人投資家が株式の売買をするときに、証券会社に開設する口座の一つです。
特定口座は1証券会社につき1口座開設できます。
特定口座で売買した株式の損益は、証券会社が計算してくれます。
売却益が出た場合は、約20%の税金を証券会社が天引きして、税務署等へ納税します。
売却損の場合は、その年の売却益と相殺して、税金が払いすぎであれば証券会社が還付してくれます。
配当金を特定口座で受け取ることにしてれば、証券会社が配当金も含めて売却損益を計算して、税金を天引きしてくれます。
特定口座での売買は、どんなに利益が出ても確定申告をする必要はありません。
ただし、証券会社は1年分の売却損益と配当金の金額を集計して、年間取引報告書を個人投資家と税務署に交付します。
(2)特定口座を申告するデメリット
特定口座の売却損益は、確定申告をすることもできます。
売却益の特定口座を申告すると、合計所得金額が増えることになります。
本人が誰かの扶養になっていた場合は、申告をしたことで合計所得金額が48万円を超えてしまい、扶養から外れることになります。
申告しなければ扶養のままだったのにということになりかねません。
また国民健康保険の場合には、保険料の算定根拠に含まれる可能性があり、保険料の増額となるかもしれません。
国保の保険料については、確定申告をしても申告書第二表下段の「特定配当等・特定株式等譲渡所得の全部の申告不要」欄にチェックを付けることで回避できます。
結局、特定口座を申告しても、手間だけでなく負担も増える結果となる可能性が高いんですね。
とは言っても、きちんと計算すると負担が減ることもありますので。
(3)売却損を申告して税金還付
売却損の場合には、申告をすることで、翌年以降の売却益と相殺することができます。
今年の100万円の損失を確定申告して、翌年100万円の利益が出たとします。
翌年も確定申告をすると、前年の赤字100万円とその年の黒字100万円が相殺されて、証券会社が100万円の黒字から天引きされた税金が還付されます。
ただこれも注意が必要で、扶養になるかどうかの判定基準は赤字と相殺する前の所得金額ですから、100万円の黒字を申告した時点で扶養を外れることになってしまいます。
特定口座については、手間を考えれば申告しないと割り切ってしまうのも一考かもしれません。
(M.H)
※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。