所得拡大促進税制の適用を受けるための手続き|仙台市の税理士・ひなた会計事務所
2020年12月4日
(1)所得拡大促進税制とは…
所得拡大促進税制とは青色申告をしている人が使える制度です。
前期と今期、通じて働いている従業員の給与が増加したら法人税が減額されます。
前期と今期、通じて働いている従業員とは、前期と今期で会社が2年間毎月給与を支払っていた人です。
途中入社や途中退社は含まれませんので注意してください。
前期と今期の全体額の比較として、その従業員らの給与が1.5%以上増加していた場合、前期より給与額の増加した金額の15%分が法人税より減額されます。
(2)給与に該当する手当
今年はコロナウイルスの影響で事業の縮小・休業せざるを得なく、従業員に休業手当を支給した会社もあるかと思います。
休業手当とは会社の責任で休ませた場合に支払わなくてはいけない手当で、これは税務上は給与として扱われます。
給与として扱われますので、源泉徴収も差し引かれ、社会保険料も差し引かれます。
けがや病気で労災から受け取る休業補償は給与とはなりません。
通勤ラッシュを避けるための在宅勤務を導入した企業もあると思います。
在宅勤務をしている人に支払う在宅勤務手当も給与に該当します。
(3)所得拡大促進税制の減税額の例
前期の従業員10名の従業員全員の基本給は月20万円です。
今期の従業員10名はコロナウイルスの影響で在宅勤務を始めたので基本給は20万円、在宅勤務手当が月1万円になりました。
この場合、前期は給与として2,400万円支払っていますが今期は2,520万円支払っていることになります。
支払給与が1.5%以上増加しているので、増加分の120万円×15%の18万円が法人税より減額されます。
(4)雇用調整助成金を受け取ったら…
所得拡大促進税制は給与に充てるための助成金は支払った給与から除外して考えます。
雇用調整助成金も休業手当として支払うための助成金のため、支払った分から差し引いて計算します。
休業手当や在宅勤務手当、雇用調整助成金など今年は所得拡大促進税制に影響のあるお金のやり取りが多めです。
休業手当や在宅勤務手当を支給したために給与が増加した場合でも、そもそも、所得拡大促進税制の対象従業員でないと所得拡大促進税制が使えない場合もありますので、所得拡大促進税制の対象従業員を知っておいた方がよいでしょう。
(I.K)
※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。