みなし役員で給与賞与が認められない|仙台市の税理士・ひなた会計事務所
2020年11月20日
(1)みなし役員とは
役員というと一般的には登記されている取締役などですが、登記をしていない人でも役員とみなされる場合があります。
役員とみなされた場合、支給している給与や賞与が会社の経費にならない可能性がでてきます。
役員については会社法に細かい規定があるのですが、今回は家族で会社の全株式を所有しているような同族会社に絞って記載させて頂きます。
(2)みなし役員のリスク
同族会社において家族に働いてもらい給与を支払うことはよくあることです。
家族だからこそ他の使用人よりも経営にかかわる重要な仕事を行うこともあるのではないでしょうか。
実は使用人として働いている場合であっても役員とみなされる場合があります。
その場合、給与は役員報酬とみなされ毎月同額でなくては経費にできません。
賞与も事前に届出を提出しなくては経費と認められないのです。
(3)みなし役員の判定
家族が役員とみなされる判断基準として、「経営に従事」「株式の所有割合」という基準があります。
経営に従事というのは会社の方針を決める会議へ参加するなど、一般の従業員にはできない経営判断を行うことです。
銀行と設備投資や融資の相談を行ったり、従業員採用の会議へ参加し他の役員と相談を行ったりなどが該当します。
株式の所有割合は本人やその家族で会社の株をどれだけ所有しているかで決まります。
社長一家で全株式を所有している同族会社であれば、本人が5%を超える株を所有しているかで判断をします。
例えば、社長が95%で息子が5%の株を所有している場合、息子が銀行と交渉したとしても所有割合は5%以下ですのでみなし役員になりません。
社長が90%、息子が10%であれば5%を超えますのでみなし役員に該当してしまいます。
注意点として、夫婦は2人合わせた株式で判定されます。
夫が100%所有している場合は、妻も100%所有していることになります。
そのため妻が経営に従事する行為をしている場合は、みなし役員となってしまいます。
給与や賞与が否認された場合、所得税に加えて経費を否認された分の法人税も納税することになります。
否認されてからでは遅いので不意に該当することがないように事前に確認を行う必要があります。
単に事務処理を行ったり、銀行へ記帳に行ったりする程度では役員とみなされません。
みなし役員に該当しそうであれば役員にして役員報酬のルールで支給を行うか、条件を満たさないように業務内容の見直しを行いましょう。
(M.H)
※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。