事業承継を考える|仙台市の税理士・ひなた会計事務所
2018.7.5
(1)事業承継税制の拡充
2018年4月から、事業承継税制が大幅に拡充されました。
中小企業の株式を後継者が生前贈与された場合、その株式に対する贈与税全額が、納税猶予・免除されます。
また、先代経営者の死亡により、中小企業の株式を相続した場合には、その株式に対する相続税全額が、納税猶予・免除されます。
もちろん免除になるには、条件に合致している必要がありますが。
この特例は、2027年12月31日までに贈与又は相続した株式が対象です。
(2)2023年までに承継計画の策定
贈与税や相続税の免除を受けるためには、後継者を誰にするかや、事業承継後の計画等を記載した、特例承継計画を策定し、都道府県に提出しなければなりません。
提出期限は、2023年3月31日です。
計画書はA4用紙4枚程度ですが、期限を過ぎたら特例の対象になりません。
(3)免除は株式分のみ
贈与税や相続税が免除されるのは、中小企業の株式に対する税金だけです。
相続の場合には、株式以外に、不動産や金融資産等も相続することになると思います。
株式以外の遺産に対する相続税は、亡くなってから10ヶ月以内に、納税することになります。
相続税は、遺産額に応じた超過累進税率です。
遺産額が大きければ大きいほど税率が上がっていきます。
最高税率は55%です。
株式に相続税はかからないといっても、株式の評価額が高ければ、相続税全体の金額は上がっていきます。
相続税を減らしたいのであれば、評価額を下げる対策を取る必要も出てきます。
相続の時期は選べませんが、贈与のタイミングは自分で選べます。
株価に対する対策をして、どのタイミングで生前贈与をするかも、よく検討しなければいけません。
(4)後継者がいない場合
うちには後継者がいないから関係ない、自分の代で終わりと考えている経営者も多いと思います。
確かに体が動かなくなったら終わりという、考え方もあります。
借金があるから、誰も引き継いでくれないと、諦めている方もいます。
しかし、後継者がいない場合でも、特許や技術、得意先を評価して、第三者が事業を買い取ってくれる場合もあります。
ただ廃業して終わりと思っていた会社が、お金に変わる可能性もあるのです。
事業譲渡を仲介する業者もたくさんあります。
各都道府県には、無料で相談に乗ってくれる事業引継ぎ支援センターが設置されています。
迷ったら、まずは顧問税理士に相談してみてください。
(M.H)
※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。