災害損失特別勘定|仙台市の税理士・ひなた会計事務所

2011.5.20 

 

(1)修繕前に経費計上

 販売用商品と建物や機械等の固定資産が、東日本大震災によって被災した場合に、修繕をやる前の見積もりの段階で、経費に計上できます。

 経費計上の対象となる修繕費は、被災資産の取り壊し費用、原状回復費用、土砂等の除去費用となります。また、被災前の状態を維持するための、補強工事や土留め工事等も対象となります。

 経費計上できる金額は、原則として、建設業者やメンテナンス業者の見積額となります。これを、仕訳にすると次のようになります。

 (借方)災害損失特別勘定繰入損 ×× (貸方)災害損失特別勘定 ××

 決算書上では、災害損失特別勘定繰入損は損益計算書の特別損失、災害損失特別勘定は貸借対照表の流動負債に記載するとよいでしょう。

 なお、災害損失特別勘定を計上できるのは、3月11日を含む決算期だけで、法人税の申告書に、災害損失特別勘定についての明細書を添付しなければいけません。


(2)翌期は収益計上

 災害損失特別勘定を計上した期の次の期には、災害損失特別勘定の全額を収益に計上しなければなりません。仕訳は、次のようになります。

 (借方)災害損失特別勘定 ×× (貸方)災害損失特別勘定戻入益 ××

 翌期に実際に修繕を行えば、同額の修繕費が計上されますので、翌期の損益は、プラスマイナスゼロとなります。見積額と実際の修繕費用が違っていても、差額が収益又は費用に計上されるだけになります。

 決算書上では、災害損失特別勘定戻入益を損益計算書の特別利益に記載して、震災による修繕費を特別損失に記載すれば、経常利益には影響しなくなります。


(3)3月12日までに修繕

 災害損失特別勘定に計上できる修繕費の見積額は、震災から1年以内に支出が見込まれるものという条件がついています。ということは、平成24年3月12日までに修繕を行うのが前提となります。

 ただし、あくまでも見込みなので、会社が1年以内にやる予定で見積もりを取っていれば、資材の手配がつかなかい場合や復興計画等によって、1年以内に修繕が行われなくても問題ありません。

 その場合には、翌期の決算日までに、所轄税務署長に、延長確認申請書を提出すれば、(2)の戻入益の計上をもう1期延長することができます。


(4)保険金の受け取り

 災害損失特別勘定を計上しようとする修繕費について、保険金を受け取った場合には、受け取った保険金を収益に計上します。

 災害損失特別勘定は、既に受け取った保険金については考慮せずに、修繕費の見積額をそのまま計上します。保険金50、修繕費の見積額30とすると、仕訳は次のようになります。

 (借方)現金預金        50 (貸方)保険金収入    50
    災害損失特別勘定繰入損 30    災害損失特別勘定 30

 収益50−費用30=利益20となり、結果として、受け取った保険金を除いた金額が、修繕費として経費に計上されることになります。

 保険金の受け取りが翌期以降となる場合は、予定される保険金の金額を、修繕費の見積額から差し引いて、災害損失特別勘定を計上することになります。

 保険金の算定に時間がかかる場合には、見積額をそのまま災害損失特別勘定とすることも認められています。

(M.H)
※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。
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