リース取引の経理処理|仙台市の税理士・ひなた会計事務所
2008.4.4
(1)リース取引の改正
平成20年4月1日以後に契約する所有権移転外ファイナンス・リース取引は、売買取引として、扱われることになります。
これまでは、リース料の支払時に、リース料や賃借料として、経費処理していました。改正後は、契約時に、資産として計上し、減価償却費として経理処理していくことになります。
なお、リース契約には、他に所有権移転ファイナンス・リース、オペレーティングリースとありますが、ほとんどのリース契約が所有権移転外ファイナンス・リース取引となっています。
(2)契約時の仕訳
リース取引は、売買取引として扱われますので、資産の購入とそれに対するローンの支払いということになります。
期首に月額105、リース期間5年、リース料総額6,300というリース契約の場合(以下、(3)以降同じ。)には、次のような仕訳になります。
(借方)リース資産 6,000 (貸方)リース債務 6,300
仮払消費税等 300
消費税も、売買として扱われることになりますので、契約時に、リース料総額の5%分を、仮払消費税等として計上することになります。
消費税の経理方法を、税込方式又は一括税抜方式を採用している場合には、仕訳時には、消費税を意識する必要がありませんから、消費税込みで、次のように仕訳します。
(借方)リース資産 6,300 (貸方)リース債務 6,300
(3)リース料支払時の仕訳
リース料の支払いは、ローンの支払いということになりますので、次のような仕訳になります。
(借方)リース債務 105 (貸方)現金預金 105
(4)決算時の仕訳
これまで、リース取引では、決算時の仕訳は、必要ありませんでしたが、改正後は、減価償却費の計算が必要になります。申告の際は、定率法や定額法の減価償却と同様、償却の明細を別表16(4)に記載する必要があります。
減価償却費の計算方法は、リース期間定額法となり、税抜経理方式の場合、次のように計算します。
減価償却費=リース料総額×当期の賃借月数÷賃借期間の月数
=6,000×12月÷60月=1,200
仕訳は、会社の経理方法により、次のどちらかになります。
・間接法
(借方)減価償却費 1,200 (貸方)減価償却累計額 1,200
・直接法
(借方)減価償却費 1,200 (貸方)リース資産 1,200
1年間のリース料の支払額が、税抜100×12月=1,200ですから、減価償却費として経費計上できる金額と支払額が同額となります。
(5)賃借料の経理処理
中小企業の負担を減らすために、これまで通り、支払時にリース料や賃借料として、経理することも認められています。申告の際の別表記入も省略することができますので、結果的に、これまでと同じ処理でも、法人税は問題ありません。
ところが、リース料と経理しても、リース取引を売買として扱うことに変わりはありませんので、消費税の計算では、注意が必要です。税抜経理方式を採用している場合には、消費税の処理を適正に行うために、契約時に次の仕訳を行います。
(借方)仮払消費税等 300 (貸方)リース債務 300
さらにリース料の支払時には、次の仕訳を行います。リース料の消費税の設定も、既契約は、課税対象ですが、平成20年4月1日以降の契約は、課税対象外とします。
(借方)リース料 100 (貸方)現金預金 105
リース債務 5
消費税計算や固定資産管理の手間を考えると、平成20年4月1日以降に契約のリース取引は、上記(2)から(4)の処理をしたほうが、管理が楽になると思われます。