繰越欠損金
2006年5月10日
(1)青色欠損金の繰越制度
法人税は、収益から費用を引いた利益に対して、税率をかけて計算します。当期が黒字であっても、過去に赤字が発生していた場合には、当期の黒字と過去の赤字を相殺することができます。相殺後の黒字額に税率をかけて、法人税を計算することになりますので、過去の赤字の分、税負担が軽減されることになります。
赤字額が黒字額を上回っていれば、その年の法人税はゼロとなり、相殺しきれなかった金額は、翌年以降に繰り越すことができます。
(2)繰越期間
相殺しきれなかった金額を繰り越すことができる期間は、7年間が限度となります。7年経過しても、黒字と相殺しきれなかった場合には、その赤字は、それ以降は、相殺の対象から外れることになります。
なお、平成14年2月期以前の赤字の場合は、5年間しか繰り越せません。
(3)要件
毎期、きちんと申告をしていれば、特に問題にはなりませんが、相殺をするには、次のような要件が定められています。
赤字が生じた年は、青色申告法人でなければなりません。一般的には、会社の場合には、青色申告にしていると思いますが、途中、期限後申告や無申告等があった場合には、青色申告が取り消されることがありますので、注意が必要です。
さらに、赤字が生じた年から黒字と相殺しようとする年まで、申告書を毎期続けて提出している必要があります。これは、相殺しようとする年の申告書を提出する日までに、申告書が提出されていればいいので、申告期限を過ぎていても、提出するようにしましょう。
(4)相殺順序
過去に赤字になった年が、何年もある場合には、古い順に相殺していくことになります。
以下、事例でご説明します。
決算期 | 利益 | 相殺額 | 繰越額 | 課税対象利益 |
14年3月期 | −500万 | 0 | 500万 | 0 |
15年3月期 | 100万 | 100万 | 400万 | 0 |
16年3月期 | −200万 | 0 | 400万(H14) | |
200万(H16) | 0 | |||
17年3月期 | 300万 | 300万 | 100万(H14) | 0 |
200万(H16) | 0 | |||
18年3月期 | 200万 | 200万 | 100万(H16) | 0 |
19年3月期 | 300万 | 100万 | 0 | 200万 |
(M.H)