医療控除から除外する保険金等

2005年2月7日

 医療費控除とは、1年間に支払った医療費の一部を所得税の計算対象から控除することによって、所得税を軽減させることをいいます。原則として、次の計算式で計算した金額に税率をかけた金額が減税されます。この制度を受けるためには、確定申告が必要となります。

 (支払った医療費−受け取った保険金など)−10万円(※)
       (※)その年の所得によって10万円を下回る場合があります。


(1)対象になる医療費

 基本的に病院や薬局で支払った医療費であれば対象になりますが、一部対象にならないものもありますので、申告の際には、注意が必要です。以下に、主な具体例を挙げておきます。

 医療費控除から除外されるもの

・医師への謝礼
・健康診断の費用(健康診断により疾病等が発見された場合を除く。)
・ビタミン剤などのいわゆる健康食品の購入代金
・美容整形の費用
・通院のためのガソリン代


(2)出産費用

 出産費用は一時期に多額の医療費が発生しますので、控除を受けようと考えている方も多いと思いますが、その際は、以下の点に注意してください。

・妊娠と診断されてからの定期検診や検査などの費用、入院費は医療費控除の対象になります。

・タクシー、電車、バス等の通院費用は、医療費控除の対象になりますが、領収証がない場合には、家計簿やメモにより支払額を明確にしておきます。

・健康保険などから出産育児一時金や配偶者出産育児一時金などが支給されますので、その金額は医療費控除の額を計算する際に医療費から差し引かなければなりません。市町村によっては、「お祝い金」としているところもありますので、注意してください。


(3)歯の治療費

 歯の治療も保険が適用されずに医療費が高額になる場合がありますので、申告の際は次の点に注意してください。

・保険のきかない自由診療のうち、一般的な治療については、医療費控除の対象になりますが、必要以上に高額な材料を使用したり、容貌を美化したりするための治療は対象になりません。

・歯の治療費を歯科ローンにより支払う場合には、信販会社への金利や手数料相当分は、医療費控除の対象となりません。また、病院から領収証を発行されなかったときは、ローンの申込書等を用意してください。


(4)その他の注意点

・介護サービスも対象となるものがあります。

・医療費控除は、1月1日から12月31日を計算期間としますので、治療が年をまたいだ場合には、それぞれの年ごとに医療費の計算を行います。例えば、合計で17万円(12月に9万、1月に8万)の支払をした場合には、医療費控除を受けられない場合があります。

・原則として、領収証の提出又は提示が必要です。


(5)受け取った保険金等とは

 医療費控除を計算する際には、支払った医療について保険金等で補てんされた金額を、控除金額から除外することになっています。対象となる保険金等は、下記の通りです。
 
・健康保険等から受ける、高額療養費、移送費、出産育児一時金等
・損害保険、生命保険、共済等から受ける医療保険金、入院費給付金、傷害費用保険金等
・医療費の補てんのために受け取る損害賠償金
・互助会等から医療費の補てんのために受け取る給付金

 高額の入院給付金を受け取れる医療保険に加入していると、負担した入院費より、受け取った保険金のほうが、大きい場合があります。このようなときは、その入院費については、医療費控除の対象から除外することになります。ただし、オーバーした分は、他の医療費と相殺する必要はありませんので、他の医療費の合計が10万円を超えれば、医療費控除を受けることができます。


(6)保険金が未確定の場合

 12月の入院の分を保険会社に請求したところ、3月15日の確定申告期限までに入金されなかった場合には、一旦、概算額で確定申告を行うことになります。給付額が確定して、概算額と差額がある場合には、後日、訂正を行うことになります。結構、面倒なんですね。


(7)出産手当金

 健康保険に加入している本人が、子供を出産した場合には、出産育児一時金と出産手当金が支給されます。

 出産育児一時金は、1児につき30万円が支給され、上記に記載のとおり、医療費から控除することになります。
 
 出産手当金は、産前産後に会社を休んだために、受けることができなかった給料を補てんするために支給されます。医療費の補てんのために支給されるものではありませんので、医療費から控除する必要はありません。


(8)職員互助会からの給付金

 会社の互助会や親睦会から、医療費の補てんのために入院給付金を受け取ったときは、たとえ、任意の団体から受け取ったものでも、医療費の補てん目的であれば、医療費から控除する必要があります。
 
 ただし、入院という事実だけに基づいて、社交上の儀礼として支給される入院見舞金であれば、控除する必要はありません。


(9)交通事故の慰謝料を受け取った場合

 交通事故にあい、加害者側の保険から、慰謝料や保険金が支給された場合には、医療費の補てん目的で支給されたものであれば、医療費から控除することになります。
 
 また、慰謝料という収入が発生していますが、この受け取った慰謝料は、非課税となっています。


(M.H)


※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。
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