平成16年度税制改正


2004年5月6日

 今年は、小幅な改正といわれていますが、主な改正の内容をご紹介いたします。


(1)住宅ローン減税の延長

 ローンを利用して、住宅を取得した場合に、10年間、年末ローン残高の1%分、所得税が減額される制度が、平成16年末まで、延長されました。
 
 平成17年以降は、徐々に控除額が減少することになります。ちなみに、ローンを3,000万円としますと、住宅を取得する年により、10年間の控除額は、次のようになります。
 
 居住年     控除額
 平成16年    約270万円
 平成17年    約250万円
 平成18年    約240万円     ※特別減税を考慮しない。


(2)居住用財産の譲渡損の繰越控除

 居住用の不動産を売却して、取得時の金額よりも値下がりしたために、売却損が発生した場合には、給与などの他の所得と、相殺して、相殺しきれなかった金額は、3年間繰り越して、他の所得と相殺できることになりました。
 
 この制度は、以前からあったのですが、売った不動産にローンが残っていなければならない、新たに、居住用の不動産を取得しなければならないなどの、条件がありましたが、この条件が無くなりました。
 
 これによって、ローンの返済が終わっている不動産の売却や、賃貸アパート等への住み替えの場合にも、適用できるようになります。


(3)不動産売却の税率の引き下げ

 不動産を売却した場合の、売却益に対する、所得税の税率が引き下げられました。住民税を含めた税率は、次のようになります。
 
 長期譲渡(所有期間5年超)  20%(改正前26%)
 短期譲渡(所有期間5年以下) 39%(改正前52%)
 
 税率の引き下げと引き替えに、100万円の特別控除という制度が廃止されました。この廃止により、税率が引き下げられても、所得税の負担が増える場合もあります。


(4)損益通算の廃止

 居住用以外の不動産を売却して、売却損が発生した場合に、給与などの他の所得との相殺ができなくなりました。
 
 この改正は、増税は遡及しないという、税制改正の原則を破る、悪しき前例になる可能性があります。


(5)投資信託の税率の引き下げ

 株式投資信託の税率が、上場株式並みに、引き下げられました。売却益に対する税率が、所得税、住民税を合わせて、10%(改正前26%)になりました。また、特定口座での利用も可能になったり、売却損を繰り越せることになったりと、以前よりも、利用しやすくなりました。


(6)非上場株式の税率の引き下げ

 上場株式に比べて、割高だった、非上場株式の売却益に対する税率が、所得税、住民税を合わせて、20%(改正前26%)になりました。
 
 
 上記(2)から(6)の改正は、平成16年1月1日以後の売却から、適用されます。


(7)欠損金の繰越期間の延長

 法人の今期の赤字を、翌期以後5年間の黒字と相殺して、法人税がかからなくなる、繰越欠損金の制度が、5年から7年に延長されました。7年に延長されるのは、平成14年3月期以降の赤字からになります。

 これにより、帳簿の保存期間も、5年から7年に延長されました。また、税務調査の対象期間も延長されることになります。


(8)年金課税の強化

 公的年金等控除額が縮小されました。65歳以上の場合、年金からの最低控除額が、140万円から120万円になります(65歳未満は、70万円で変わりません。)


 この改正は、平成17年分から適用されます。


(9)老年者控除の廃止

 65歳以上の方(年間所得1000万円以下に限る)の老年者控除65万円が廃止されます。
 
 この改正は、平成17年分から適用されます。

 政府税制調査会でも話題になっていますが、これからは、高齢者の課税はどんどん強化されていくのでしょうか?


(10)青色申告特別控除の引き上げ

 平成17年分から、所得税の事業所得や不動産所得に対する、青色申告特別控除額が、65万円(現行55万円)に引き上げられました。これにより、青色申告を選択し、帳簿をきちんと付けることの有利さが、増すことになります。
 
 
(11)住民税均等割の引き上げ

 所得に関係なく、住民1人あたりに課税される、個人住民税の均等割が、平成17年分から下記のとおり、引き上げられ、統一されました。
 
       現行            改正後
 人口50万以上の市      3,000円 → 3,000円
 人口5万以上50万未満の市  2,500円 → 3,000円
 その他の市及び町村     2,000円 → 3,000円

 また、同一生計の妻に対する均等割の優遇措置も縮小され、パート収入100万円以上の場合には、平成18年から、全額課税されます。


(M.H)


※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。
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