贈与税の仕組み

2003年11月6日

 (1)贈与税の原則

 贈与税は、個人が他人から財産(現金、預貯金、株、公社債、土地、建物など)をもらったときに、もらった人にかかる税金です。財産をあげた人には、税金はかかりません。

 ひとりの人が1月1日から12月31日までの1年間で、他人(複数の場合は、全員分)からもらった財産の合計額が、贈与税の対象になります。ただし、財産をもらった人ひとりにつき、110万円の基礎控除額がありますので、1年間でもらった財産の合計額が110万円を超えなければ、贈与税はかかりません。

 例えば、2人から500万円ずつ、合計1,000万円の現金をもらった場合には、次のように計算します。

 贈与税額=(もらった財産の合計額−基礎控除額)×税率−控除額
     =(1,000万円−110万円)×40%−125万円
     =231万円

 ≪贈与税の税率表≫

 基礎控除後の課税価格 税率 控除額
   200万円以下    10%    −
   300万円以下    15%  10万円
   400万円以下    20%  25万円
   600万円以下    30%  65万円
  1,000万円以下    40%  125万円
  1,000万円超     50%  225万円

 贈与税がかかる場合は、財産をもらった年の翌年2月1日から3月15日までの間に、財産をもらった人の所轄税務署に、申告・納税をしなければなりません。もらった財産の合計が110万円以下で、贈与税がかからない場合は、申告の必要がありません。


(2)贈与税がかからない場合

 次のような場合には、贈与税はかかりません。

・法人から財産をもらった場合

 個人ではなく、法人から財産をもらった場合には、贈与税はかかりませんが、所得税がかかります。


・生活費や教育費としてもらった場合

 夫婦、親子、兄弟姉妹などの間で、仕送りなどの生活費や教育費としてもらった財産は、非課税となります。


・選挙の候補者が、選挙運動のためにもらった金品

 公職選挙法の規定により、報告が必要となります。


・香典、花輪代、年末年始の贈答、祝物又は見舞金など

 社会通念上相当と認められるものとなっていますので、お祝いという名目で、現金1,000万円をもらった場合には、贈与税の対象になります。


・その他


(3)贈与の事例

・離婚して財産をもらったとき

 離婚によって、財産分与や慰謝料として、相手方から財産をもらった場合は、通常、贈与税はかかりません。ただし、形式的に離婚をしても、内縁状態が続いている場合には、贈与税を免れるための離婚として、贈与税の対象になります。


・子の借金を親が返済したとき

 子の借金を親が返済した場合には、親が現金を子に贈与し、子はそのもらった現金で借金を返済したことになります。結局、善意で親が返済してあげても、子に、贈与税の負担が残ることとなります。


・親子間の借金

 親が子に金銭を貸し付けた場合には、贈与税はかかりません。しかし、親子間の場合、返済がルーズになったり、無利息であることがよくあります。このような場合は、実質的に贈与と同じ結果になりますので、当初決めた約束通り、返済は滞らないようにしましょう。なお、返済ルールや利率などは、書面にして残しておくようにしてください。


(4)夫婦間での居住用不動産の贈与

 結婚20年以上の夫婦間で、自分が住むための土地、建物やその土地・建物を購入するための資金をもらった場合には、通常の基礎控除額110万円に、特例として、2,000万円の配偶者控除が上乗せされます。つまり、2,110万円までは、贈与税はかからなくなります。

 この場合は、贈与税がかからなくても、この特例を利用する意思表示をするために、翌年3月15日までに、申告が必要となります。

 また、この特例は、一組の夫婦間で、一生に一度しか利用できません。


(5)住宅取得資金等の特例

 父母又は祖父母から、住宅を取得するための資金又は住宅を増改築するための資金をもらった場合には、1,500万円までの金額について、贈与税の軽減を受けることができます。

 贈与を受けた金額が550万円以下の場合には、軽減を受けると、贈与税はかからなくなります。

 父母又は祖父母には、義理の父母及び祖父母は含まれませんので、この場合には、養子縁組をする必要があります。

 この特例も、上記(3)と同様に、贈与税がかからなくても、この特例を利用する意思表示をするために、翌年3月15日までに、申告が必要となります。

 また、この特例は、平成17年12月31日で廃止となります。


(6)相続時精算課税制度

 平成15年から、65歳以上の親から20歳以上の子へ、財産を贈与した場合には、2,500万円まで、財産をもらった子へ贈与税がかからない、「相続時精算課税制度」ができました。

 この制度には、様々な制限がありますので、適用前には、必ずご相談をお願いいたします。


(7)相続時精算課税制度の場合の住宅取得等資金の特例

 住宅を取得するための資金又は住宅の増改築のための資金の贈与について、相続時精算課税制度を適用する場合には、65歳以上という親の年齢要件は問わないこととなります。さらに、2,500万円の非課税枠が1,000万円上乗せとなり、非課税枠は、3,500万円となります。

 この特例は、上記(4)の特例との選択適用となります。上記(4)の特例を選択した場合には、(6)の特例は、5年間、利用できなくなります。


(M.H)


※内容につきましては、記載日現在の法令に基づき、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しております。実際の申告の際は、必ず、税理士又は税務署にご相談ください。
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